キッチンカー(移動販売)は、場所や時間にとらわれずに開業できる手段として、近年注目されています。スーパーやショッピングセンターなどの商業施設のほか、イベント会場やオフィス街でも人気が高いことから、これから開業を検討している方も多いのではないでしょうか。
キッチンカーを開業するには、資格や許認可を取得しなければなりません。今回は、キッチンカーの開業に必要な資格や許認可の種類と、調理師免許の必要性、取得しておくと便利な資格について解説します。
キッチンカー(移動販売)とは?
キッチンカー(移動販売)とは、車内で調理できる設備が整った車両を活用して、飲食の販売を行う開業方法のことです。ケータリングカーやフードトラックとも呼ばれています。
雑貨類や調理済みの商品を販売するような移動販売とは異なり、飲食物をその場で調理して提供する点が特徴です。ランチ向けのキッチンカーのほか、スイーツやドリンクに特化しているものもあります。
店舗を出店するのと比べて、開業費用が安く抑えられること、土日祝日のみ・ランチのみなど自由に働けることから、副業としても注目されている開業方法です。
キッチンカー(移動販売)開業に必須の資格・許認可は4つ

キッチンカーの開業に必須の資格・許認可は、以下の4種類です。
| 資格・許認可 | 必要な理由 | 取得・申請先 | 取得・申請の目安 |
|---|---|---|---|
| 食品衛生責任者 | キッチンカーで食品を提供する際に必要な資格。食品衛生管理や食中毒防止に関する知識を身につける。 | 各都道府県の食品衛生協会など | 約6時間の講習を受講して取得(費用は約1万円程度) |
| 飲食店営業許可証 | キッチンカーで調理した飲食物を販売するために必要な許可。車両設備が基準を満たしているか確認を受ける。 | 営業する地域を管轄する保健所 | 車両完成後に申請。出店地域ごとに確認が必要 |
| 運転免許 | キッチンカーを出店場所まで移動させるために必要。車両サイズによって必要な免許区分が異なる。 | 運転免許試験場・自動車教習所など | 車両の大きさに応じて普通免許・準中型免許などを確認 |
| 車両の構造変更申請 | 車両をキッチンカー仕様へ改造する場合に必要な手続き。加工車として登録するために行う。 | 運輸支局 | 車両改造後、必要に応じて申請 |
それぞれどのような資格なのか、なぜ必要なのか、取得するにはどうすれば良いのかを解説します。
キッチンカー(移動販売)開業に必須の資格・許認可は4つ
キッチンカーを開業するには、食品を安全に提供するための資格や、営業を行うための許可取得が必要です。
主な資格・許認可は以下の4つです。
| 資格・許認可 | 必要な理由 | 取得・申請先 |
|---|---|---|
| 食品衛生責任者 | 食品衛生管理や食中毒予防の知識を有する責任者を配置するため | 食品衛生協会など |
| 飲食店営業許可 | キッチンカーで調理した飲食物を販売するため | 営業地域を管轄する保健所 |
| 運転免許 | キッチンカー車両を出店場所まで移動させるため | 運転する車両に応じて取得 |
| 車両の構造変更申請 | 車両をキッチンカー仕様へ改造する場合に必要 | 運輸支局 |
食品衛生責任者
食品衛生責任者とは、食品を扱う営業施設ごとに配置が必要な資格で、食品衛生管理や食中毒予防などの知識を身につけるための資格です。
キッチンカーでは、車内で調理や食品提供を行うため、営業開始前に食品衛生責任者を1名配置する必要があります。経営者本人が取得するケースが多いですが、従業員が取得している場合は、その人を責任者として配置することも可能です。
資格は、各都道府県の食品衛生協会などが実施する養成講習会を受講することで取得できます。講習では、食品衛生法や衛生管理、食中毒予防など、飲食事業に必要な知識を学びます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得方法 | 食品衛生責任者養成講習会を受講 |
| 講習時間 | 約6時間 |
| 費用目安 | 約1万円程度 |
| 取得先 | 各都道府県の食品衛生協会など |
講習の日程や費用は地域によって異なるため、開業予定地域の食品衛生協会で事前に確認しておきましょう。
なお、調理師免許や栄養士などの資格を取得している場合は、食品衛生責任者養成講習会の受講が免除される場合があります。
運転免許
運転免許は、キッチンカーを出店場所まで移動させるために必要な資格です。
多くのキッチンカーは普通免許で運転できますが、車両の大きさや重量によって必要な免許区分が異なります。
特に大型車両を利用する場合は、開業前に必要な免許区分を確認しておくことが重要です。運転できない車両を購入すると、営業開始までに追加で免許取得が必要になる可能性があります。
| 車両サイズ | 必要になる可能性がある免許 |
|---|---|
| 小型キッチンカー | 普通免許 |
| 大型車両を使用する場合 | 準中型免許以上が必要になる場合あり |
車両の購入や製作を検討する際は、取得している免許で運転できるサイズか確認しておきましょう。
営業許可証(飲食店営業許可)
営業許可証とは、キッチンカーで調理した飲食物を販売するために必要な許可で、営業地域を管轄する保健所へ申請するものです。
キッチンカーは移動販売ができる業態ですが、自由に営業できるわけではありません。営業する地域ごとに保健所の設備基準を満たし、飲食店営業許可を取得する必要があります。
申請時には、食品衛生責任者の資格証明書や車両設備に関する書類を提出します。また、保健所による車両確認が行われ、手洗い設備や給排水設備、調理スペースなどが基準を満たしているか確認されます。
営業許可取得前に確認するポイント
- 出店予定地域の保健所へ設備基準を確認する
- 必要な給排水設備や調理設備を車両に設置する
- 車両完成後に営業許可申請を行う
自治体によって設備基準や必要な手続きが異なる場合があるため、車両製作前に確認しておくことで、完成後に許可が取得できないリスクを防げます。
車両の構造変更申請(加工車登録)
車両に食料品の加工や製造を行うための設備を導入するキッチンカーは、移動販売車両の構造変更申請も必要になります。構造変更を申し出るには、要件を満たしているか車両検査を受ける必要があるため、運輸支局に検査申し込みを行っておきましょう。
加工車として車両を登録するには、以下の要件を満たしている必要があります。
| 確認項目 | 要件 |
|---|---|
| 加工設備 | 加工台、流し台、加工用具を収納する棚などを車内に備え、車内で使用できる状態にすること |
| 照明・換気設備 | 加工作業を行う場所に照明および換気装置を設置すること |
| 火気設備周辺の安全対策 | 火気など熱量を発生する設備の周辺は、耐熱性・耐火性を確保し、必要な換気が行える設備を備えること |
| 作業スペースの確保 | 加工設備付近に0.5㎡以上の作業スペースを確保し、作業場所の高さは床面から1,600mm以上(条件により1,200mm以上)を確保すること |
| 物品積載設備 | 物品積載設備を設置していないこと |
参照:「自動車の用途等の区分について(依命通達)」の細部取扱いについて|国土交通省
キッチンカーの設備を整える際は、これらの要件を満たせるようにしておきましょう。
参考記事:キッチンカー(移動販売)の仕込み場所はどこ?営業許可を得るために知っておきたい開業準備ガイド
キッチンカー(移動販売)の開業に調理師免許は必要?

キッチンカーを開業する際、調理師免許の資格取得は必須ではありません。店舗型の飲食店も同様で、調理師免許がなくてもキッチンカーや飲食店を開業できます。また、調理担当として、顧客に料理を提供することも可能です。
必ずしも取得している必要はありませんが、取得していると顧客の安心感につながったり、食材調理の知識やスキルが身に付くメリットがあります。
キッチンカー(移動販売)開業時にあると便利な資格
キッチンカー開業時にあると便利なのは、以下のような資格です。
キッチンカー開業時にあると便利な資格
- 調理師
- 管理栄養士
- 菓子製造技能士・パン製造技能士
- フードコーディネーター
- 野菜ソムリエ
それぞれどのようなメニューを提供する際に利便性があるのか、資格ごとの特徴について解説します。
調理師
調理師免許は、キッチンカー開業時に取得しておくと便利な資格の1つです。必須ではないものの、調理工程の知識やスキルを有する証明ができるため、顧客からの信頼を得やすくなる利点があります。
また、調理師免許を取得していると、講習を受けなくても食品衛生責任者の資格を取得できるのも特徴です。
調理師免許は国家資格なので、取得しておくとキッチンカー以外にもさまざまな飲食関連の就業に役立ちます。調理の知識やスキルを本格的に学びたい方におすすめです。
管理栄養士
管理栄養士は、栄養バランスの取れた食事が提供できることを証明したい場合におすすめの資格です。栄養に関する専門知識を有していることが証明できる国家資格で、病院やスポーツ分野でも注目されています。
例えば、栄養バランスの取れたランチを提供したり、「疲労回復」「冷え改善」などに役立つ食材でスムージーを販売したりするのも良いでしょう。
菓子製造技能士・パン製造技能士
菓子製造技能士・パン製造技能士も、キッチンカーの開業時に取得しておくと便利な資格です。それぞれ菓子製造や、パン製造に関する知識やスキルを証明できます。
キッチンカーで、菓子類(スイーツ)やパンの販売を行いたい場合に最適です。菓子製造士には、洋菓子・和菓子それぞれの分野があるので、任意のものを選択できます。
フードコーディネーター
キッチンカー開業に向けて資格を取得するなら、フードコーディネーターもおすすめです。フードコーディネーターとは、食の「開発」「演出」「運営」を手掛けるクリエイターのような資格で、新たな食生活やフードビジネスの創出を行います。
調理に特化したスキルというよりも、ブランディングやトレンド創出など、マーケターの側面が強いのもフードコーディネーターの特徴です。取得しておくと、キッチンカーで販売する商品メニューの開発に役立ちます。
野菜ソムリエ
健康志向のニーズに対応するメニューをキッチンカーで販売するなら、野菜ソムリエの資格もおすすめです。取得しておくと、野菜や果物の旬や選び方、栄養に配慮した調理などが行えることを証明できます。
野菜ソムリエには、野菜ソムリエ・野菜ソムリエプロ・野菜ソムリエ上級プロの3段階の資格があるため、資格取得を通じてより深い知識が身に付けられるのも魅力です。
キッチンカーでは、「野菜ソムリエが考えたメニュー」として売り出せる利点もあります。
キッチンカー開業前に確認すべき準備項目
キッチンカーを開業するには、資格や許認可の取得だけでなく、車両準備や販売環境の整備など、事前に確認しておくべき項目があります。
特に、営業許可を取得するには車両設備が基準を満たしている必要があるため、資格取得と並行して開業準備を進めることが大切です。
キッチンカー開業前に確認すべき準備項目
- 販売するメニューや提供方法を決める
- 必要な調理設備や車両仕様を確認する
- 営業予定地域の保健所へ設備基準を確認する
- キッチンカー車両を準備する
- 出店場所や販売方法を決める
- 決済方法や注文受付の仕組みを整える
資格や許認可を取得していても、営業に必要な設備や販売環境が整っていなければ開業できません。車両製作や設備導入も含めて、余裕を持って準備を進めましょう。
参考記事:キッチンカー開業までの流れ7ステップ!開業資金の目安や資格など準備の進め方を解説
キッチンカー(移動販売)の開業資金の目安

キッチンカーの開業資金の目安は、約300万円~800万円です。車両の大きさや提供するメニューの種類によって、初期費用は大きく変動します。
一方で、一般的な飲食店を開業する際の費用は1,500万円程度必要です。比較すると、キッチンカーの方が低コストで開業できる選択肢であることがわかります。
開業資金はあくまで目安であり、キッチンカーを新車で購入して設備を投入するか、中古車を購入するかでも大きく変動します。
キッチンカーの開業時に利用できる補助金・助成金制度をうまく活用して、開業にかかる初期コストを抑えると良いでしょう。
参考記事:キッチンカーの開業資金はどれくらい必要?自己資金の目安と資金調達の方法を解説
キッチンカー開業準備をサポートするサービス3選
キッチンカーを開業するには、資格や許認可の取得だけでなく、営業許可の基準を満たした車両準備や、開業後の販売体制づくりも必要です。
キッチンカー製作や開業支援サービスを活用することで、車両設備の準備から営業開始後の運営まで、専門的なサポートを受けながら開業準備を進められます。
ここでは、キッチンカーの車両製作や開業支援、営業効率化に役立つサービスを紹介します。
| サービス | 特徴 | 対応内容 |
|---|---|---|
| キッチンカーの製作 mico株式会社 | 営業スタイルに合わせたオーダーメイド車両を製作 | 車両製作・設備設計・開業相談 |
| キッチンカーリース・コンサルティング|シンクラウド | 車両準備から開業後の集客まで支援 | 車両製作・開業サポート・SNS運用支援 |
| ISSUE PANDA | 注文・決済業務を効率化できるモバイルオーダー | 事前注文・キャッシュレス決済・顧客管理 |
キッチンカーの製作 mico株式会社|営業許可を見据えた車両製作に対応

mico株式会社は、キッチンカーの製作から開業後の運営相談まで対応するサービスです。
現場経験を持つスタッフが、販売するメニューや営業スタイルに合わせて車両を設計できる点が特徴です。
キッチンカーは、提供する料理によって必要な設備や作業スペースが異なります。mico株式会社では、実際の営業時の動線を考慮したキッチンレイアウトの提案にも対応しています。
また、保健所の営業許可取得や出店場所、開業後の運営方法についても相談できるため、初めてキッチンカーを開業する方にも適しています。
キッチンカーリース・コンサルティング|シンクラウド|開業準備から運営まで支援

シンクラウドは、キッチンカーの製作やリース、開業後の運営支援まで対応するサービスです。
車両の準備だけでなく、保健所への申請に関する相談やSNS運用支援など、開業後の集客まで見据えたサポートを受けられる点が特徴です。
キッチンカー製作は約1か月程度で対応しており、費用は180万円からとなっています。
開業前の準備から営業開始後の売上づくりまで相談したい方は、車両以外の運営面も含めて検討できます。
ISSUE PANDA|キッチンカーの注文・決済業務を効率化

ISSUE PANDAは、アプリ不要で利用できるWebモバイルオーダーシステムです。
注文受付から事前決済、顧客管理までを一元化でき、キッチンカー営業時の会計や注文対応の負担軽減に活用できます。
イベント出店やランチ営業では、短時間に注文が集中するケースがあります。ISSUE PANDAを導入することで、お客様自身のスマートフォンから注文・決済できるため、待ち時間の短縮やスタッフの対応効率化につながります。
また、12ヶ国語対応や来店履歴・注文履歴を活用したCRM機能も備えており、観光地やイベントでの販売、リピーター獲得にも活用できます。
まとめ
キッチンカーの開業には、必須の資格もあります。また、営業許可証に関しては、出店場所すべての保健所で申請が必要です。ある程度出店場所を絞っておくか、出店が決まった時点で営業許可証の申請手続きを進めておきましょう。
キッチンカーを開業する際に必要な設備については、Bizcanにぜひご相談ください。
モバイルオーダーや決済端末など、キッチンカーの営業に必要な設備の選定に関するお問い合わせや、資料請求に対応しています。
「どんな設備を導入すれば良いかわからない」、「こんな設備はある?」など、設備に関するお問い合わせは無料です。ぜひお気軽にご相談ください。

