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2024/10/04

「その体験に、出会いをもっと。」JTBが見据える訪日インバウンド集客の未来像!地域・事業者・旅行者の三方よしを実現する方法とは?

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「その体験に、出会いをもっと。」JTBが見据える訪日インバウンド集客の未来像!地域・事業者・旅行者の三方よしを実現する方法とは?

~はじめに~
2030年には訪日インバウンド旅行者が6000万人に昇ると言われている昨今、JTBが見据えるインバウンド集客の未来像と、日本の観光業のあるべき姿についてBOKUN事業運営センター長である青柳 淳様にお話しを伺いました。

――まずは「JTB BÓKUN<」は誰のどのような悩みを解決するサービスかお伺いしてもよろしいでしょうか?

「JTB BÓKUN」は、訪日インバウンド向け体験アクティビティの予約・在庫管理システムです。

訪日インバウンド集客に課題がある観光事業者様が抱えがちな、予約・在庫管理にかかる工数を大幅に削減する点が最大の特徴であり、ガイドツアーや文化体験、アウトドアアクティビティなどの幅広い分野の事業者様にご利用いただいております。

――では、「JTB BÓKUN」の具体的な特徴をお伺いしてもよいでしょうか?

JTB BÓKUN最大の特徴は、海外のOTA(オンライントラベルエージェンシー)と連携していることです。OTAとはインターネット上でのみ商品を取り扱う旅行会社のことをいいます。国内の観光事業者様が訪日インバウンド集客を増やしていくには、ViatorやGet Your Guide、Klookなど海外の旅行者が数多く利用する海外OTAの活用が必要不可欠です。

 

しかし、その一方で以下のような課題も生まれます。
・ある海外OTAでは2枠売れたため、その分他の海外OTAでも枠を減らさなければならない
・在庫設定ができないOTAも多く、オーバーブッキングの可能性がある

 

つまり、集客数を伸ばそうと海外OTAを活用すればするほど、事業者側の負担が増えるということになってしまいがちです。さらに、「本来であれば直前まで予約を受けたいものの、在庫を調整しきれず2,3日前に予約を終了しなければならず売り切れなかった」というロスが起きてしまうこともあります。

 

その点JTB BÓKUNは各種海外OTAと連携していることで、複数の海外OTAの在庫を一元管理することが可能です。JTB BÓKUNを使わない場合は、掲載先の海外OTAごとに在庫設定をし、かつ全体での在庫も管理する必要があるのですが、JTB BÓKUNを使えば海外OTAごとに別々の在庫を持たずに一元管理できるので、在庫管理の煩雑さから解放されます。

在庫管理の煩雑さがなくなれば、ギリギリまで予約を受けられる体制を整えることにも繋がり、機会損失を避け売上の最大化にも繋がると考えております。

 

――ありがとうございます。では「JTB BÓKUN」を提供し始めた背景や経緯についてもお伺いできますでしょうか。

JTB BÓKUNは、トリップアドバイザーが保有するシステムである「Bókun」の日本での国内における独占的営業権を取得したことで提供を開始しました。営業権 の取得に至った大きな要因は「タビナカ需要」(旅の中を意味し、旅行地で観光をする段階のこと)の獲得とプラットフォーム化の実現です。

 

これまでの旅行を振り返ってみると、かつてパッケージ旅行ができる前は旅行をする際に旅行者自らが計画を立てる必要がありました。しかしその後、ツアーが組み込まれたパッケージ商品が誕生し、旅行が身近なものになっていきます。

 

そしてそこからさらに進み、昨今では旅行前(タビマエ)にすべてを決めるのはもちろん、旅行中(タビナカ)のことも自ら決めたい、もっと自由に旅行がしたいという需要が高まってきています。

 

そこで、「Bókun」の営業権を取得し、「旅行中のことは旅行中に決めたい、自由に決めたい」という旅行者のニーズをJTBならではの方法で満たしたい、何か面白い方法でタビナカコンテンツと呼ばれる体験コンテンツを市場に浸透させられないかと考え始めました。

 

具体的には、旅行中のお食事、タクシーなどの交通機関や博物館・美術館の入場券購入など、旅行中のあらゆる出来事をまとめてプラットフォーム化していきたいという考えのもと、実現策を模索していた背景があります。

 

――なるほど。ではぜひその「プラットフォーム化」に関してもお聞かせください。

例えばこれまでの宿泊ですと、今まではJTBがJTBとして売るために宿泊施設さんから宿泊在庫を頂いてくるという流れが主流でした。しかしそれは1対1の関係でしかなく、同時に売り場もひとつしかありません。そのため、流通量に限りがあります。

 

そこで、我々が新たに取り組もうとしていたのが、売り手と提供者の間にまとめ役として立ち、需要と供給を一元管理する世界観を作ること、つまりタビナカをプラットフォーム化することでした。

 

一方で、その仕組みを弊社が自前で構築するのは難しく、何かいい解決策はないかと考えていた折、Bókunというサービスに行き当たりました。JTBがタビナカに対して新たなプラットフォーム化実現を目指す中で、このBókunいうサービスが世界的に見て一番優れていると判断し、連携のお声がけをした次第です。

――ありがとうございます。JTB BÓKUNの提供を開始した背景がよくわかりました。では、これまでで印象に残っている事例があれば教えてください。

いくつかあるのですが、株式会社羅針盤という企業様の事例が印象的です。

訪日インバウンド旅行者向けのガイドツアーなどを提供している企業様なのですが、JTB BÓKUN導入前から 複数の海外OTAを活用して集客をされていました。

しかし
・予約が2~3日前までしか受けられない
・在庫が限られたツアーの場合に、オーバーブッキングが起きやすい
・在庫管理にかなりの人的リソースを割いている
といった課題を抱えておりました。

 

そこで、在庫の一元管理をすべくJTB BÓKUNを導入したところ、在庫管理にかかる工数を大幅に削減することに成功し、さらにはツアー開始直前まで予約を受付できる体制を整えることで売上向上も実現しています。

 

JTB BÓKUNは非常に良いサービスであるという評価を頂けている上、同業他社様にもJTB BÓKUNをお勧めしてくださっており、非常に印象に残っている事例です。

――それでは、お客様から1番喜ばれているポイントはどこでしょうか。

類似サービスを展開している他社様と比較して、サポートが充実しているところは喜ばれている点かと思っております。

 

日本語対応が可能な点は当然なのですが、新しいシステム導入に対して不安感をお持ちの方に対してもサポート体制を整えておりますので、その点に対して満足いただけていると思っております。

 

他サービスでは、申し込み後のサポートがないものもあるようなのですが、我々はサービスお申込み後もオンラインで1時間、1対1の説明をさせていただく枠を確保しております。ですので、もし使い方がわからない場合は相談会に申し込んでいただければ、じっくりお話を聞いて細かいご質問にお答えすることが可能です。

 

また2024年9月からは有人チャットによるお問い合わせサービスも開始いたします。ユーザーの方が、よりお気軽にご質問いただける環境を整えている最中です。

――ありがとうございます。それでは、今後「JTB BÓKUN」はどのような使われ方をしていくのが理想とお考えでしょうか。

いくつかあると思っておりますが、第一は体験アクティビティ事業者様にいかに「使っていただくか」ということです。

 

実はJTB BÓKUNには多種多様な機能が搭載されています。単に商品を売るだけでなく、商品のアレンジが出来たり、予約の受け方をパターン化できたりするなど、事業者様のニーズに合わせてカスタマイズすることが可能です。

 

JTB BÓKUNを活用するにあたっては、ベーシックプランの場合事業者様から売上の1.5%を利用料としてお支払い頂いておりますが、弊社としてはそれ以上の価値があると自負しております。

 

そのため、事業者様にはJTB BÓKUNをぜひ使い倒して頂きたいです。2030年にはインバウンド旅行者の数が6000万人に昇る と言われていますが、その時代に向けて、日本全体のインバウンドの活性化に繋がっていくお手伝いがJTB BÓKUNで出来ればと思っております。

 

我々の仕事は良いサービスを旅行者様に提供したいという事業者様の願いを叶えることです。そのために今後はトリップアドバイザーと協力しながら、よりJTB BÓKUNブラッシュアップしてまいります。

 

またもう一つ面白い機能として「マーケットプレイス」があります。JTB BÓKUNはプラットフォーム機能も有しておりますので、複数の作り手と売り手をつなげることが可能です。そのため、マーケットプレイスを使えば一人の売り手が複数の商品をJTB BÓKUNでまとめて販売することもできます。

――それは面白い機能ですね。具体的な使用例などもお伺いできますか?

例えば、訪日インバウンド旅行者に対し茶道の体験ツアーを販売している事業者様が、着物の着付けのニーズもあることに気付いたとします。JTB BÓKUNのマーケットプレイスを活用すれば、同じ地域内で着物のレンタルサービスを提供する事業者を見つけることができ、コラボ商品の販売が可能です。

 

このように自社商品だけでなく、他事業者様の商品も活用することで多様なニーズに応え、販路拡大に繋げられるのもJTB BÓKUNの価値のひとつだと考えています。

 

今まさに、観光庁が観光DXを推進しており、中でも地域OTAの取り組みが注目されています。例えば、箱根に旅行に行く方は箱根の観光サイトなどで情報を得ると思うのですが、観光サイト上では体験商品や施設などの予約ができないのが一般的です。しかしこれからはある観光サイト内に複数の商品が紹介されており、そのサイト内で予約まで完結する。こういった仕組みが必要とされており、JTB BÓKUNがまさにソリューションになると考えております。

 

つまり、いち体験アクティビティ事業者という観点だけではなく、地域というより大きな単位でお使い頂けるというイメージです。日本各地にある営業拠点が各地域のハブとして機能し、自治体やDMOと連携をしながら、地域単位でJTB BÓKUNを活用いただける環境を作ってまいります。

――では、青柳様が所属するBÓKUN事業運営センターを一言であらわすと、どのような組織ですか?

自由な雰囲気があり、チャレンジングな風土がある組織だと思っています。チームメンバーが何か新しいことにトライしようとした時にNGはあまり出しませんし、メンバーが個々の役割を考えて、「こうしたい」と思った物事に取り組めています。

 

この風土の基、良いサービスを旅行者様に提供したいという事業者様の願いを叶えつつ、そのために今後はトリップアドバイザーと協力しながら、よりJTB BÓKUNブラッシュアップしていきたいと考えております。

――ありがとうございました。最後に、「JTB BÓKUN」の今後の展望を教えてください。

 

2024年9月現在で2000社以上のご契約がありますが、まだまだ右肩上がりで契約数は増加しています。このままご利用いただく業者様の数も伸ばしつつ、2030年には「訪日インバウンド集客ならJTB BÓKUN」というブランドを確立していきたいと思っています。

 

この実現に向けて、新たにタグラインも2021年にリリースした当初の「地域の想い、つながる」から「その体験に、出会いをもっと。」に刷新いたしました。

 

弊社のメインのクライアントは地域であり、ひいてはその地域を支える観光事業者であるという考えの基、旅行者と事業者の出会い、事業者と事業者の出会いをより増やしていきたいという想いをもって、JTB BÓKUNを展開していきたいと思っております。

――本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。