人手不足が深刻化する中、近年では配膳ロボットに注目が集まっています。
しかし、「どのようなロボットを導入すればよいのかわからない」といったお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、株式会社DFA Robotics Marketing&PRの五十嵐 彩乃様に、配膳ロボットについてお話を伺いました。
―――ズバリ貴社が得意としている店舗施設の課題解決は何かを教えてください。
人手不足です。
世間的に認知度が高いのは配膳ロボットかと思いますが、弊社ではそれ以外にも、運搬ロボットや清掃ロボット、案内ロボットなども扱っています。
これらの間接業務を自動化するサービスロボットを活用して人手不足の課題を解決しています。
―――お客様が抱える課題はどのような課題が多いですか?
一番多く挙がっているのはやはり「人手不足」です。働き手、つまり生産年齢人口がどんどん減っている中で、飲食やホテルのようなサービス業は特に働き手が見つかりにくく、人材確保に困っている企業が多いと感じています。
続いての課題としては、スタッフの数が少ない中でもインバウンドの需要が戻ってきたり、コロナも最近落ち着いてきたことで、皆さんが外出したり旅行に行く機会も増えてきて、お客様の数が増えていますよね。
そうなると、スタッフとお客様の数のバランスが取れなくなってきて、スタッフ一人あたりの負担がどんどん大きくなってしまう、という課題もあります。
あとは、スタッフの人数が少ないことでお店自体の運営が難しくなり、休業日が増えたり、営業時間を短縮せざるを得なくなったりと、売上における機会損失も発生してしまいます。
さらに、人件費の上昇や物価高などの影響もあり、利益を確保するのが難しくなっているというコスト面の課題もあります。
―――具体的な事例を教えてください
一つはホテルの事例になります。スカイツリーの近くにある「東武ホテルレバント東京」のレストラン「ヴェルデュール」さまでは“下膳”といって、食事後のお皿の片付け業務にロボットを活用いただいております。
9割ほどの下膳作業をロボットが担うことでスタッフさまの負担が大きく減りました。
立地的にスカイツリーの近くということもあり、外国人のお客様も多く、もともとスタッフさまもかなり疲弊されていたそうなんですが、ロボット導入後は、体の負担を理由に退職されるスタッフさまがいなくなったと聞いています。
そういった意味で、人材の定着にも貢献できた事例かと思います。
あとは、副次的な効果になりますが、以前は大きな台車でお皿を運んでいて、その台車のガラガラという音がうるさく、お客様の会話の妨げになっていたそうです。しかし、ロボットはとても静かに動くので、そのようなクレームが減ったという話を伺っています。
―――お客様から喜ばれているポイントを教えてください。
長期的なお付き合いの中で、例えば機器のトラブル対応やメンテナンスにおいて、迅速かつ確実なサポートを提供している点が評価されています。
当社では24時間対応のサポートセンターを設けており、電話一本で迅速にサポートを得られる体制を整えています。訪問サポートや電話対応が充実している点がお客様から喜ばれているポイントだと思います。
ロボットは「入れたら終わり」ではなく、実際にお店の中でどう使うのか、どうすれば最も効率的に運用できるのかという点が重要です。
弊社は大手外食チェーン企業様にも導入いただいており、3,500台以上の導入実績があります。
そうしたノウハウをもとに、導入サポートをしっかりと行うことができます。修理に関しても3,500台分の実績があるので、「導入して終わり」ではなく、ロボットが止まってしまった場合にもすぐに再稼働できるよう、アフターサポートのスピード感や、トラブルへの対応力に強みがあります。
―――貴社を一言で表すとどんな課題解決のプロですか?
そうですね……難しいですね(笑)。
なかなかキャッチコピーが思い浮かばないんですが、やはり高齢化社会の中で、「人手不足」と「生産性向上」が求められていると思います。
その2つの課題解決に強い、プロフェッショナルという感じかなと。
―――最後に今後の展望を教えてください。
冒頭でも少し触れさせていただいたのですが、やはりサービス業全般における人手不足の問題は、非常に深刻になっています。それは飲食店に限らず、他の業界でも同様に発生している課題です。
今後は、これまでロボットを導入してきた業界以外、例えば病院や介護施設といった分野にも支援を広げていきたいと考えています。
もちろん、飲食店やホテルなども引き続き重要ですが、特に医療や介護の分野は、社会全体にとっても不可欠なインフラであり、人材不足が直接的に安全や生命に関わる領域だとに認識しています。
私自身も老後の生活に不安を感じることがあります。介護施設も人手がどんどん減ってきている中で、人手不足の解消や生産性の向上には今後も力を入れていきたいと考えています。
もうひとつの展望としては、ロボット単体での活用ではなく、他のシステムと連携して、より活用の幅を広げていきたいという考えがあります。
たとえば、すでに取り組みを始めている「エレベーター連携」があります。特に商業施設や病院などフロアが複数ある施設では、縦の移動が可能になれば、さらに活用の幅が広がります。
そういった個別の施設システムと連携して、より一層DXを推進していきたいと考えています。
―――ありがとうございました。