ラーメン店では、事前決済を行う手段とオーダーの簡略化を兼ねて、券売機(自動券売機・事前精算機)を導入している店舗が多くあります。
しかし、券売機の種類は多岐にわたります。これから自店舗で券売機を導入したいと考えていても、どれを導入すれば良いのかわからない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、券売機導入を検討しているラーメン店開業予定の方に向けて、導入におすすめのラーメン店向け券売機や、導入する際の注意点について解説します。
また、券売機の種類ごとの特徴や強みについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
券売機の種類について
ラーメン業界の店舗で導入されている券売機は、以下の3種類のうちいずれかです。
- 卓上式券売機(小型券売機)
- ボタン式券売機
- タッチパネル式券売機
まずは、券売機ごとの特徴や強みについて解説します。
卓上式券売機(小型券売機)
卓上式券売機(小型券売機)は、卓上に設置できるサイズのコンパクトな券売機です。
小さい分、対応できるメニュー数は限られていますが、1種類のメニューのみを提供しているようなラーメン店などでの導入に適しています。
大型の券売機と比べて導入費用が安く済む反面、40kg前後の重さで持ち運びできることから防犯対策を施す必要があります。
ボタン式券売機
ボタン式券売機は、メニュー名と価格が表示されているボタンを押して発券するタイプの券売機です。いわゆる食券機タイプの製品で、世代問わず利用しやすい点が特徴です。
近年では、ボタンにメニュー写真を掲載できたり、キャッシュレス決済に対応しているボタン式券売機も登場しています。
ただし、ボタンの数と同数のメニューまでしか販売できないため、メニューの種類やトッピングの選択肢が豊富なラーメン店で導入する場合は注意が必要です。タッチパネル式券売機と比べると、導入コストは安く済む傾向にあります。
タッチパネル式券売機
タッチパネル式券売機は、大型モニターが搭載されているタイプの券売機です。画面にメニューが表示されるため、タップすると注文・発券できる仕組みになっています。
タッチパネル型券売機とも呼ばれており、強みはメニューのカラー写真を大きく掲載できること、トッピングやセットメニューの選択など、さまざまなオーダースタイルに対応できることです。
売上管理・在庫管理を行うPOSレジ機能が備わっているものも多いため、ラーメン店だけでなく幅広い業種の店舗で導入されています。
ラーメン店向け券売機の価格相場
ラーメン店向け券売機の価格相場は、以下の通りです。
- タッチパネル型券売機(キャッシュレス決済対応):200万~350万円
- ボタン式券売機(高額紙幣対応):100万~200万円
- ボタン式券売機(低額紙幣のみ対応):50万~80万円
タッチパネル式券売機は、登録できるメニュー数が豊富で多言語表示機能やキャッシュレス決済にも対応している機種が多いことから、費用が高くなる傾向にあります。
券売機を購入する際の値段を抑えたいのであれば、卓上式券売機のボタン式モデルがおすすめです。卓上でさらに低額紙幣のみ対応の機種であれば、50万円前後で購入できるでしょう。
ラーメン店での導入におすすめの券売機5選
ここからは、ラーメン店での導入におすすめの券売機事業者を5選紹介します。各社特徴や強みが異なるため、券売機の機種だけでなく、価格やサポート面でも比較検討することが大切です。
GLORY
出典:グローリー株式会社
GLORYの特徴は、卓上式券売機・ボタン式券売機・タッチパネル式券売機の3種類すべての導入に対応している点です。飲食店向け小型券売機を導入したい場合にも、活用を検討してみると良いでしょう。
サポートサービスも充実しているため、システムトラブルや故障に不安がある場合でも、安心して利用できます。
また、保守サービスだけでなく、従業員の勤怠管理やシフト管理、店舗の売上管理・メニュー別集計による売上分析などが行える「店舗支援ASPサービス」を提供しているのも特徴です。
経営しているラーメン店の業務効率化や、管理の一元化を図りたい方に適しています。
プラン名 | 利用料金 |
---|---|
ー | 要問い合わせ |
参考サイト:GLORY公式サイト
ELESTYLE
出典:ELESTYLE株式会社
ELESTYLE の特徴は、券売機・セミセルフレジ・フルセルフレジの3種類の機能を1台で導入できる「OneQR Retailing for セルフレジ」がある点です。
同社では、セルフレジやPOSレジシステムも提供しているため、周辺機器との連携にも対応しています。
例えば、キッチンとの連携やキャッシュレス決済の導入など、利便性の高い機能を導入することが可能です。
自動メニュー更新や売り切れ表示にも対応しているため、ランチタイムなどの忙しい時間帯でも、販売メニューの変更対応に追われずに済むメリットがあります。
プラン名 | 利用料金 |
---|---|
ー | 0円~20万円(初期費用) |
※決済手数料別途必要
参考サイト:ELESTYLE公式サイト
ユニエイム
出典:株式会社ユニエイム
ユニエイムの特徴は、最短1日からセルフレジレンタルや券売機レンタルが利用できる点です。
ラーメン店のマーケティング戦略として、ラーメン博やラーメンイベントへの出店を検討している方も多いでしょう。
そのような場合におすすめなのが、ユニエイムのセルフレジ・券売機です。出店期間に合わせてレンタルできるため、コストを抑えて券売機を導入できます。
また、周辺機器の導入にも対応しているため、自動釣銭機や事前注文システム、キャッシュレス決済に対応できるマルチ決済端末も導入できて便利です。
プラン名 | 利用料金 |
---|---|
ー | 要問い合わせ |
参考サイト:ユニエイム公式サイト
券売機.JP
出典:株式会社パルサー
券売機.JPの特徴は、業界トップクラスの機種ラインナップにあります。ラーメン店での導入に特化した「ラーメン店専用券売機」を取り扱っているため、ラーメン屋に特化した機種を導入したい方は利用を検討してみると良いでしょう。
機種は、卓上式券売機やボタン式券売機、タッチパネル式券売機から選択でき、導入する際に店舗のコンセプトやイメージに合わせてラッピングを施すことも可能です。
券売機.JPでは、メニュー名と価格が表示されているボタン式券売機のほか、メニュー写真が掲載できる写真POP付券売機も取り扱っています。
また、現金一括払いでの購入方法に加え、リース・レンタル利用にも対応しているため、状況に応じて契約方法を選択すると良いでしょう。
プラン名 | 利用料金 |
---|---|
ー | 要問い合わせ |
参考サイト:券売機.JP公式サイト
POS+(ポスタス)
出典:ポスタス株式会社
POS+の特徴は、券売機モードとセルフレジモードを切り替えて利用できる点にあります。昼はラーメン店、夜は居酒屋など、1日の中で業態が変更になる店舗での導入におすすめです。
また、POS+はPOSレジシステムを提供している事業者のため、POSレジシステムの機能も利用できます。売上管理やチェーン店の複数店舗管理、多言語表示機能が備わっているほか、キッチン伝票出力などの周辺機器との連携も可能です。
POS+は、さまざまな決済方法にも対応しているため、キャッシュレス券売機としての導入にも適しています。導入する機種によって料金が変動するため、詳しくは直接事業者までお問い合わせください。
プラン名 | 利用料金 |
---|---|
POS+ FOOD | 14,000円~/月額 |
参考サイト:POS+公式サイト
ラーメン店に最適な券売機の選び方と比較ポイント
ラーメン店での導入に最適な券売機を選ぶ際の比較ポイントは、以下の3点です。
- 券売機のタイプを選ぶ
- 導入にかかる費用で比較する
- 機能で比較する
それぞれ、具体的にどのような点を比較すれば良いのか解説します。
券売機のタイプを選ぶ
ラーメン店に券売機を導入するときは、まず券売機のタイプを選択する必要があります。基本的には、設置スペースの広さやメニュー数などで検討するケースが一般的です。
とくに、メニュー数が少なく限られているのであれば、卓上式券売機を選べば導入コストも抑えられるでしょう。
また、業態が変動する店舗に導入する場合は、券売機とセルフレジが切り替えられるタッチパネル式券売機の導入がおすすめです。
経営している店舗のメニュー数や業態に合わせて、最適な券売機を選びましょう。
導入にかかる費用で比較する
導入にかかる費用で券売機を比較し、選定するのも機種を比較するポイントの1つです。
機能の豊富なタッチパネル式券売機は便利ですが、50万円~200万円ほどが相場のため、ほかの機種と比べて導入コストが高くなる傾向にあります。
一方で卓上式券売機の場合は、20万円~100万円ほどで購入できるため、導入費用で比較するのもおすすめです。
また、タッチパネル式券売機を低コストで導入したい場合は、レンタルやリース、サブスクサービスを利用する方法もあります。
券売機本体を購入する場合は、条件を満たしていれば国や自治体の補助金・助成金制度を活用できる場合もあるので、確認してみると良いでしょう。
機能で比較する
ラーメン店で導入する券売機を選ぶときは、券売機に備わっている機能で比較検討するのも選択肢の1つです。
券売機によっては、POSレジ機能が備わっているものやキャッシュレス決済に対応しているもの、キッチンディスプレイと連携してオーダーが自動転送されるものなど、さまざまな製品があります。
また、タッチパネル式券売機の場合は、多言語表示機能が搭載されているものも多いため、インバウンドの来店が多い店舗での導入におすすめです。
来店する客層や業務効率化を図る上で欲しい機能が備わっているかを比較し、導入する券売機を選ぶと良いでしょう。
すでに導入している券売機で新札・キャッシュレス決済に対応するには
すでに券売機を導入している場合、新紙幣・新硬貨への対応やキャッシュレス決済の導入方法に悩んでいる方も多いでしょう。
まず、新紙幣・新硬貨に対応する手段としては、券売機のメーカーに依頼して、既存の券売機に備わっているシステムをアップデートしてもらう方法があります。
システムアップデートの費用は50万円~120万円程度かかりますが、既存の券売機本体を買い替える必要はありません。もちろん、新紙幣・新硬貨の発行を機に、新たな券売機に買い替える選択肢もあります。
券売機の新札対応については、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもぜひ参考にしてください。
参考記事:【2024年7月】券売機の新紙幣対応方法!補助金活用まで徹底解説
また、キャッシュレス決済を導入する場合、新たな券売機を購入する以外の対応方法も検討しておきましょう。
具体的には、店頭用QRコードを設置して顧客のスマホで読み取ってもらう方法と、券売機に外付けできるキャッシュレス決済端末を導入する方法があります。
店頭用QRコードの設置は低コストで行える反面、食券が発行できず店員によるオーダー受注が発生する点に注意が必要です。そのため、外付けできるキャッシュレス決済端末の導入をおすすめします。
ラーメン店に券売機を導入する際の注意点
ラーメン店に券売機を導入する際は、以下の点に注意しましょう。
- 「左上の法則」を意識する
- 防犯対策を行う
- 対応している紙幣を確認する
- キャッシュレス決済は手数料がかかる
それぞれ、具体的にどのような点に配慮して対策すれば良いのかを解説します。
「左上の法則」を意識する
ラーメン店に券売機を導入する際、メニューの配置について「左上の法則」を意識しましょう。
左上の法則とは、券売機やメニュー表などを顧客が見るとき、つい左上の商品を見てしまう顧客の行動心理を表した用語です。
つまり、もっともおすすめしたいラーメンやメニューを券売機の左上に配置すれば、売上が伸びやすいことを意味します。
ボタン式券売機はもちろん、タッチパネル式券売機でメニューを表示させる際も同様に、左上にイチオシメニューを配置するように心がけましょう。
小型の卓上ボタン式券売機など、写真を掲載できない機種の場合は、左上のイチオシメニュー付近に商品写真などのPOPを掲示しておくのも効果的です。
防犯対策を行う
ラーメン店に券売機を導入するときは、防犯対策を行うことが欠かせません。
とくに、卓上式券売機などの小型タイプの製品を導入している場合は、持ち出されないように固定する、防犯カメラを導入するなど対策を講じた上で導入しましょう。
また、キャッシュレス決済に対応している機種を導入するのも、券売機における盗難被害を抑える方法の1つです。券売機に入れておく現金を最小限に抑えられるため、万が一被害に遭っても損失額を抑えられます。
参考記事:キャッシュレス決済対応の券売機おすすめ7選|導入するメリットと選び方のポイント
対応している紙幣を確認する
ラーメン店に券売機を導入するときは、対応している紙幣の種類を確認する必要があります。
券売機は、小額紙幣(千円札)のみに対応しているもの、高額紙幣(五千円札・一万円札)に対応しているものなど、さまざまな種類があるためです。
高額紙幣対応ができない機種を導入する場合は、両替方法なども検討しなければなりません。
また、新紙幣に対応していない機種もあるため、導入を検討している機種がどの紙幣に対応しているか事前に確認しておきましょう。
将来的に新紙幣・新硬貨が発行された際に、導入した機種で対応できるのか、変更のためのサポートは受けられるのかなど、中長期的な視点でチェックすることが重要です。
キャッシュレス決済は手数料がかかる
キャッシュレス決済に対応している券売機も多くありますが、キャッシュレス決済対応機を導入する場合は決済手数料がかかることに注意が必要です。
売上に対して数%程度の決済手数料が発生するため、キャッシュレス決済を導入する場合は手数料を見越して、商品の価格を設定する必要があります。
決済手数料は導入するキャッシュレス決済機器によって異なるため、何%の支払いが発生するのか確認した上で、導入する機種を決定しましょう。
まとめ
ラーメン店では、券売機を導入している店舗が多く見られます。事前に支払い・精算を済ませてもらえるため、食い逃げなどのリスク軽減につながるのも、券売機を導入するメリットの1つです。
一方で、セットメニューやメニューの選択肢が多い店舗では、券売機で対応できない場合があります。
そのような場合には、モバイルオーダーシステムの導入がおすすめです。モバイルオーダーシステムについて、詳しくは以下の記事を参照ください。
参考記事:モバイルオーダーシステムの飲食店向けおすすめサービス10選を徹底比較
券売機の導入に適している店舗と適していない店舗があることを念頭に、自店舗の業務フローに合わせて最適な設備を導入しましょう。