ガソリンスタンドの決済端末は、一般店舗で使用される決済端末とは異なり、給油機・精算機との連動や、給油エリアで使用する場合の安全要件など、業界特有の条件を考慮する必要があります。多様化するキャッシュレス決済への対応も求められる中、「何を基準に選べばよいか分からない」という運営者も少なくありません。
本記事では、ガソリンスタンドの決済端末の特徴・対応すべき決済手段・選び方のポイントを解説します。
ガソリンスタンドの決済端末とは

ガソリンスタンドの決済端末は、給油機や精算機とシステム連携し、給油から会計までを一連の流れで処理できる専用端末です。一般的な店舗のCAT端末とは異なり、危険物を取り扱う施設特有の安全基準や、セルフ式・フルサービス式で異なる精算フローに対応する必要があります。
- 給油機・精算機と連動する専用端末という点で一般業種のCAT端末と異なる
- セルフ式は給油機画面での事前決済、フルサービス式は車内・窓口精算が中心
給油機・精算機と連動する専用端末という点で一般業種のCAT端末と異なる
CAT端末とは、クレジットカードの利用可否を確認する信用照会端末であり、決済時にカード会社へ照会を行う仕組みです。CAT端末をPOS端末と連携させると、POS端末で入力した金額を決済端末に自動で反映でき、二重入力を減らせるため会計業務の効率化や入力ミスの防止に役立ちます。
ガソリンスタンドの決済端末も基本的な仕組みはCAT端末と共通していますが、給油量が確定するまで精算金額が定まらないという業界特有の事情があります。
石油製品の給油においては、給油単価は分かっていても、給油が完了しないと数量が確定せず精算額を把握できない点が、他業種にはない特殊性です。そのため、給油機・精算機とオンラインで連動し、給油完了と同時に正確な金額を決済に反映できる専用の仕組みが必要になります。
セルフ式は給油機画面での事前決済、フルサービス式は車内・窓口精算が中心
セルフ式のガソリンスタンドでは、給油前に支払い方法や給油条件を指定し、給油後に実際の給油量に応じて精算する仕組みが一般的です。そのため、給油設備と連動して決済・精算処理を行えるシステムが必要になります。
一方、フルサービス式では、係員が車内や窓口で精算を行うケースが中心となり、可搬性のある決済端末やハンディタイプの端末が使われることもあります。自店がどちらの運営形態かによって、必要となる決済端末のタイプも変わってくる点を押さえておきましょう。
ガソリンスタンドの決済端末が対応すべき決済手段

ガソリンスタンドはクレジットカード決済比率が他業種に比べて高く、元売り系の提携カードやタッチ決済など、幅広い決済手段への対応が求められます。
- クレジットカード(元売り系提携カードを含む)
- 電子マネー・タッチ決済(QUICPay・iD・交通系ICなど)
- QRコード決済(PayPayなど)
- スマホ給油・事前予約決済との連携
クレジットカード(元売り系提携カードを含む)
石油産業では、石油元売り各社がガソリン代の割引特典が付いたカードを古くから発行しており、提携クレジットカードと一体化しているカードも多く存在します。ガソリンスタンドは世界的にもほとんどの支払いがカードで決済されている業種であり、日本国内でも他業種と比べてクレジットカード決済比率が高いのが特徴です。
一般的な国際ブランドカードに加え、こうした元売り系の提携カードにも対応できる決済端末を選ぶことが、来店客の利便性確保につながります。
電子マネー・タッチ決済(QUICPay・iD・交通系ICなど)
近年は、QUICPayやiDといった電子マネー、交通系ICカードによるタッチ決済へのニーズも高まっています。現金や特定のカードしか使えない店舗では、支払い手段が合わずに利用を諦められてしまう機会損失につながる可能性があります。
幅広い電子マネー・タッチ決済に対応することで、顧客が普段使い慣れた方法で給油代金を支払える環境を整えられます。
QRコード決済(PayPayなど)
PayPayをはじめとするQRコード決済の普及に伴い、ガソリンスタンドでも対応を求める声が増えています。QRコード決済は初期費用や決済手数料の面で導入しやすいケースもあるため、他の決済手段とあわせて対応を検討する価値があります。
給油機や精算機との連携可否を含めて、対応状況を事前に確認しておくことが重要です。
スマホ給油・事前予約決済との連携
スマートフォンから事前に給油を予約しておき、来店後は給油機のQRコードを読み込むだけで給油できる「スマホ給油」サービスも登場しています。従来のガソリンスタンドでの操作を簡略化し、注文から決済までをスピーディに完了できる仕組みです。
こうしたサービスと連携できる決済端末を導入することで、給油機の操作に不慣れな顧客への対応や、混雑時の回転率改善にもつながる可能性があります。今後の店舗運営を見据え、スマホ給油のような新しい決済スタイルへの拡張性も選定基準の一つとして検討しておくとよいでしょう。
ガソリンスタンドに決済端末を導入するメリット

決済端末を導入することで、給油業務のスピードアップだけでなく、店舗運営全体の効率化にもつながります。
- 給油から精算までの時間短縮による回転率向上
- 現金管理の手間削減とレジ締め業務の効率化
- 幅広い決済手段への対応による顧客満足度・機会損失防止
給油から精算までの時間短縮による回転率向上
決済端末を給油機・精算機と連動させることで、給油完了後の精算がスムーズに進み、待ち時間の短縮につながります。特にセルフ式では、事前決済の仕組みが整っていることで、顧客自身がスムーズに給油から精算までを完結できます。
回転率が向上することで、限られた給油スペースでも多くの顧客に対応しやすくなります。
現金管理の手間削減とレジ締め業務の効率化
キャッシュレス決済への対応が進むことで、現金の取り扱いや釣銭の準備といった管理業務の負担を軽減できます。レジ締め業務においても、決済端末とPOSシステムが連動していれば、売上データの集計や照合作業を効率化しやすくなります。
現金管理にかかる時間を接客や店舗運営の他業務に充てられる点もメリットです。
幅広い決済手段への対応による顧客満足度・機会損失防止
対応できる決済手段が限られていると、支払い方法が合わずに他店を利用されてしまう機会損失が生じる可能性があります。クレジットカードや電子マネー、QRコード決済まで幅広く対応することで、顧客の利便性を高め、継続的な利用につなげやすくなります。
特に幹線道路沿いや観光地周辺の店舗では、幅広い決済手段への対応が集客面でも重要な要素です。
ガソリンスタンドの決済端末導入で押さえておきたい業界特有の注意点
ガソリンスタンドは危険物を取り扱う施設であるため、決済端末の選定においても業界特有の基準を満たしているかを確認することが重要です。
- 給油エリアで使用する場合の安全要件・屋外利用に適した機器仕様
- PCI DSS準拠・IC化対応などセキュリティ基準への対応
- 給油機・POSシステムとの連動可否
給油エリアで使用する場合の安全要件・屋外利用に適した機器仕様
給油エリアで決済端末などの電子機器を使用する場合は、危険物を取り扱う場所であることを踏まえ、安全性を確認する必要があります。使用できる機器や使用方法には条件があるため、導入する端末が給油取扱所での使用に対応しているかをメーカーや決済事業者に確認しましょう。
とくに給油設備の周辺で使用する場合は、所轄消防署への確認も含め、設置場所や使用方法に応じた安全対策を確認しておくことが重要です。
PCI DSS準拠・IC化対応などセキュリティ基準への対応
クレジットカードを取り扱う加盟店には、割賦販売法に基づき、クレジットカード番号等の適切な管理や不正利用防止対策が求められます。カード情報を保持する場合のPCI DSSへの準拠や、対面取引におけるIC対応などが代表的な対策です。
ガソリンスタンドでは、給油設備や精算方法などに業界特有の事情があるため、「国内ガソリンスタンドにおけるICクレジットカード取引対応指針」が示されています。給油エリアで使用する決済端末の安全性に加え、フルサービスでの車内精算や、給油機と連動する精算機のIC対応なども考慮が必要です。
また、給油前には最終的な精算額が確定しないというガソリンスタンド特有の決済フローもあります。そのため、決済端末を選ぶ際は、一般的なクレジットカードのセキュリティ対策だけでなく、給油設備や精算方法に対応したシステムかどうかも確認しましょう。
給油機・POSシステムとの連動可否
決済端末は、給油機やPOSシステムと正しく連動できなければ、金額の手入力によるミスや業務の煩雑化につながります。
既存の給油機やPOSシステムのメーカー・型式によっては、連携できる決済端末が限られる場合もあるため、事前に確認しておく必要があります。
システム更新や設備入れ替えのタイミングとあわせて、連動可否を含めた総合的な検討を行うことをおすすめします。
ガソリンスタンドの決済端末の選び方
ガソリンスタンドの決済端末は、対応範囲やコスト面に加え、業界での導入実績があるかどうかも重要な判断材料になります。
- 対応する決済ブランド・提携カードの範囲
- 導入コスト・決済手数料・入金サイクル
- 全国規模のガソリンスタンドでの導入実績とサポート体制
対応する決済ブランド・提携カードの範囲
国際ブランドカードだけでなく、元売り系の提携カードや各種電子マネー、QRコード決済まで幅広く対応できるかを確認しましょう。
対応ブランドが限られていると、来店客の支払い手段に対応しきれず、機会損失につながる可能性があります。
自店の主な顧客層がどのような決済手段を利用しているかも踏まえて選定することが重要です。
導入コスト・決済手数料・入金サイクル
決済端末の導入には、初期費用や月額費用に加え、決済ごとに発生する手数料もかかります。
サービスによっては、月に複数回の締め日を設けたうえで一定期間後に一括入金する仕組みを採用しており、資金繰りの効率化につながるケースもあります。
トータルのコストと入金サイクルを踏まえたうえで、複数のサービスを比較することが大切です。
全国規模のガソリンスタンドでの導入実績とサポート体制
ガソリンスタンド特有の要件に対応するには、業界での導入実績が豊富なサービスを選ぶことが安心につながります。
全国のガソリンスタンドへの導入実績を持つPOS連動型のクレジット決済サービスも提供されており、POSの手配からカード会社との契約まで一括で対応できる体制を整えているケースもあります。
トラブル発生時のサポート体制や、システム更新時の対応スピードも、選定時に確認しておきたいポイントです。
まとめ|ガソリンスタンドの決済端末は業界特有の要件を満たすサービス選びが重要
ガソリンスタンドの決済端末は、給油機・POSとの連動や、使用場所に応じた安全要件など、一般店舗とは異なる条件を確認する必要があります。
対応する決済手段の幅広さやセキュリティ基準、導入実績を踏まえたうえで、自店の運営に合ったサービスを選ぶことが重要です。
複数のサービスを比較しながら、自店に適した決済端末の導入を進めていきましょう。

