テイクアウト需要の高まりを受けて、飲食店のお持ち帰りメニューをオンラインで検索・注文・決済できる「テイクアウトのポータルサイト」が飲食店の集客チャネルとして定着しています。
食べログ テイクアウト機能・menu・Picksなど複数のサービスが存在しますが、種類・手数料・対応エリア・ユーザー層はそれぞれ異なり、自店の業態に合ったサービスを選ばなければ期待した効果は得られません。
この記事では、テイクアウトのポータルサイトの仕組みと種類から、飲食店が掲載する際のメリット・デメリット、選び方のポイント、主要サービスの特徴までを飲食店向けに解説します。
テイクアウトのポータルサイトとは

テイクアウトのポータルサイトとは、飲食店のお持ち帰りメニューや事前注文をオンラインで検索・注文・決済できるWebまたはアプリ型のプラットフォームのことです。
消費者はスマートフォンから近くの飲食店を探して注文・決済し、指定した時間に来店して商品を受け取ります。
飲食店側はポータルサイトを通じて、自店のホームページやSNSだけでは届きにくい新規ユーザーへアプローチできるため、集客チャネルの一つとして活用されています。
- テイクアウトポータルサイトの仕組み
- グルメサイト・デリバリーサービスとの違い
- テイクアウトポータルサイトが普及した背景
テイクアウトポータルサイトの仕組み
テイクアウトのポータルサイトの基本的な流れは、下記の通りです。
- 消費者がアプリまたはWebでメニューを選択・事前決済
- 注文情報が飲食店に届く
- 飲食店が調理・梱包を行う
- 消費者が指定時間に来店して商品を受け取る
事前決済が完了しているため、来店時に現金やカードを取り出す必要がなく、スタッフとのやりとりも最小限で済みます。
飲食店側にとっては、事前に注文数と受け取り時刻がわかることで、食材の準備や調理タイミングを計画的に管理できるというメリットがあります。
グルメサイト・デリバリーサービスとの違い
テイクアウトのポータルサイトは、グルメサイトとデリバリーサービスのいずれとも性格が異なります。
グルメサイト(食べログ・Rettyなど)は店舗情報の掲載と来店予約が中心であり、テイクアウトの事前注文・決済には原則対応していません。
デリバリーサービス(Uber Eats・Woltなど)は配達員による料理の宅配が主機能であり、配送手数料が発生します。
テイクアウトのポータルサイトは「来店してお持ち帰り」を前提としているため、配達に関する費用がかからず、店頭価格と同額で注文できる場合がある点が特徴です。
テイクアウトポータルサイトが普及した背景
テイクアウトのポータルサイトが普及した背景には、中食市場の継続的な拡大があります。
一般社団法人日本惣菜協会の「2024年版惣菜白書」によると、2023年の惣菜市場規模は対前年比4.9%増の10兆9,827億円となっています。
こうした中食需要の高まりと、スマートフォンによるオンライン注文への慣れが、テイクアウトのポータルサイトが飲食業界に浸透した主な背景です。
参考記事:テイクアウト専用モバイルオーダーの比較とサービス紹介
テイクアウトのポータルサイトの種類

テイクアウトのポータルサイトは、機能・ユーザー層・対応範囲によって大きく4種類に分類できます。
種類ごとに強みと想定ユーザーが異なるため、自店の業態と集客目的に合った種類を把握したうえでサービスを選ぶことが重要です。
- グルメサイト併設型(食べログ テイクアウト機能、Retty Orderなど)
- デリバリー兼用型(menu、Uber Eatsなど)
- テイクアウト専門・事前注文型(Picks、O:der To Goなど)
- モバイルオーダー連携型(自社オーダーシステムとの組み合わせ)
グルメサイト併設型(食べログ テイクアウト機能、Retty Orderなど)
グルメサイト併設型は、既存のグルメサイトのユーザー基盤を活かして、テイクアウトの事前注文・決済機能を追加したタイプです。
食べログでは、一部店舗でテイクアウト注文受付機能を提供しており、掲載店舗はオンラインで注文受付が可能です。初期費用は無料で1オーダーごとに手数料と決済手数料が発生する仕組みです。
すでに食べログに掲載実績がある飲食店にとっては、追加の集客経路として活用しやすいタイプといえます。
デリバリー兼用型(menu、Uber Eatsなど)
デリバリー兼用型は、デリバリーとテイクアウトの両方に対応しているサービスです。
menu(メニュー)は、menu株式会社が運営するテイクアウト・デリバリーサービスで、2019年4月にテイクアウトアプリとしてサービスを開始し、2020年4月よりデリバリーサービスも開始しました。
menuテイクアウトは全国の多くのエリアで利用できるサービスとして展開されています。アプリ上でテイクアウトできる飲食店を検索、注文、決済できます。
デリバリーとテイクアウトをまとめて管理できるため、両方の需要を取り込みたい飲食店に向いています。
テイクアウト専門・事前注文型(Picks、O:der To Goなど)
テイクアウトの事前注文・決済に特化したサービスです。
Picks(ピックス)は、株式会社DIRIGIOが運営するテイクアウト専門の事前注文・決済アプリで、2018年5月にサービスを開始しました。
現在地周辺のテイクアウトできる飲食店を検索し、受け取り時間を指定してアプリまたはWebから注文・決済できる仕組みです。
調理が完了するとプッシュ通知でお知らせが届き、指定時間に来店して受け取るだけで完結します。
テイクアウト特化のユーザーが集まるため、お持ち帰り需要の取り込みに集中したい飲食店に向いています。
モバイルオーダー連携型(自社オーダーシステムとの組み合わせ)
モバイルオーダー連携型は、自社のオーダー管理システムとテイクアウト受付機能を組み合わせたタイプです。
外部ポータルサイトを介さずに自社のシステムで注文を受け付けるため、顧客データを自社に蓄積できる点が最大の特徴です。
手数料がかからない分初期構築コストや運用管理の負荷は発生しますが、リピート促進施策やクーポン配信など、顧客に直接アプローチできる自由度が高くなります。
テイクアウトのポータルサイトに掲載するメリット

テイクアウトのポータルサイトに掲載することで、自店のホームページやSNSでは接触できない層へのアプローチや、業務効率化など複合的なメリットが得られます。
- プラットフォームの既存ユーザーから新規集客できる
- 初期費用ゼロ・手数料型で始めやすい
- 事前注文・決済でロスや待ち時間を削減できる
- 口コミ・レビュー機能で信頼性を高めやすい
プラットフォームの既存ユーザーから新規集客できる
テイクアウトのポータルサイトには、すでに多くのユーザーが日常的に利用する集客基盤があります。
自店のWebサイトやSNSフォロワーにしかリーチできない状況と異なり、「今日のランチをテイクアウトしたい」という購買意欲が高い状態のユーザーに対して、店舗名を知らない段階から接触できる点が大きなメリットです。
エリア・ジャンル・価格帯での検索を通じて、自然に新規顧客の流入が期待できます。
初期費用ゼロ・手数料型で始めやすい
食べログ テイクアウトやmenu・Picksなど、一部サービスでは初期費用を抑えて導入できる料金体系が採用されています。
注文が発生した際に手数料が生じる成果報酬型の仕組みが多いため、注文がない期間はコストが発生しません。
飲食店にとっては、リスクを抑えながらオンライン上の集客経路を追加できる導入のしやすさが評価されています。
事前注文・決済でロスや待ち時間を削減できる
テイクアウトのポータルサイト経由の注文は事前決済が基本のため、来店時の金銭授受が不要になり、スタッフの会計対応の手間が削減できます。
また、受け取り時刻と注文数が事前にわかることで、調理タイミングの最適化や食材ロスの低減につながるのがメリットです。
消費者にとっても店頭での待ち時間がなくなるため、双方にとってのメリットが生まれます。
口コミ・レビュー機能で信頼性を高めやすい
食べログなど口コミ機能を持つサービスでは、実際に注文したユーザーのレビューが蓄積されます。
テイクアウトの品質・梱包・対応に関する口コミが積み上がることで、掲載店としての信頼性が高まり、新規ユーザーが注文を検討する際の後押しになります。
参考記事:テイクアウト向けモバイルオーダー9選!店内版・店外版の特徴と導入事例を紹介
テイクアウトのポータルサイトのデメリットと注意点
掲載メリットが多い一方で、導入前に把握しておくべきデメリットと注意点も存在します。
- 手数料が売上を圧迫するリスク
- 競合店と並べて比較されやすい
- 顧客情報・リピート施策が制限される
- ポータルサイトに依存しすぎるリスク
手数料が売上を圧迫するリスク
テイクアウトのポータルサイトは、成果報酬型の手数料が売上に対して一定割合で発生します。
客単価が低い業態や薄利のメニューを主力とする場合、手数料分のコストが経営を圧迫するリスクがあります。
導入前に客単価と手数料率のバランスで費用対効果を試算し、採算が取れるかを確認することが重要です。
競合店と並べて比較されやすい
ポータルサイト上では、周辺の同業他店と同じ画面に並んで掲載されます。
価格・評価・写真の品質などで比較されやすい環境であるため、写真の質・メニューの訴求力・口コミ評価が集客に直接影響します。
掲載しただけでは注文は増えず、継続的な情報更新と評価向上への取り組みが必要です。
顧客情報・リピート施策が制限される
ポータルサイト経由の注文では、顧客のメールアドレス・電話番号などの個人情報は原則として飲食店側に提供されません。
そのため、注文履歴をもとに顧客にクーポンを送ったり、リピート促進のメッセージを配信したりするといった施策が取りにくくなります。
顧客データの自社蓄積を重視する場合は、自社のオーダーシステムやLINE公式アカウントと組み合わせた設計が必要です。
ポータルサイトに依存しすぎるリスク
ポータルサイトの仕様変更・サービス終了・手数料改定が発生した場合、掲載店の集客に直接影響が及びます。
特定のサービスに集客を依存しすぎると、サービス側の変化に翻弄されるため注意しましょう。
ポータルサイトはあくまで集客チャネルの一つとして位置づけ、自社のSNSやLINE公式アカウントによる集客と並行して運用することが安定した集客体制につながります。
テイクアウトのポータルサイト・モバイルオーダーサービスおすすめ比較
テイクアウトの注文・管理に対応した主要サービスを整理します。
各サービスの情報は公式サイト・プレスリリースをもとに記載しています。
最新の料金・仕様・対応エリアは必ず各社の公式サイトでご確認ください。
- menu(メニュー)
- 食べログ テイクアウト機能
- テイクイーツ
- CHUUMO(チューモ)
- CASHIER ORDER(キャッシャー オーダー)
menu(メニュー)

menuは、menu株式会社が提供するテイクアウト・デリバリーサービスです。
2019年4月にテイクアウトアプリとしてサービスを開始し、現在はテイクアウト全国対応・デリバリーは東京都内を中心に展開しています。
飲食店はアプリ内に店舗が一覧表示されることで、これまで店舗を知らなかったユーザーへのアプローチが可能です。
申し込みから掲載開始まで約1週間で完了します。
テイクアウトとデリバリーの両方の需要を一つのサービスでカバーしたい飲食店に向いています。
食べログ テイクアウト機能

株式会社カカクコムが運営する「食べログ」には、テイクアウト機能があります。
食べログ掲載店舗向けに導入できるテイクアウト注文機能で、初期費用は無料、1オーダーごとに手数料と決済手数料が発生する仕組みです。
食べログのユーザー基盤を活かして、グルメ情報を積極的に検索するユーザー層へのアプローチが期待できます。
CHUUMO(チューモ)

CHUUMOは、エフ・エス株式会社が提供する飲食店向けモバイルオーダーシステムです。
専用アプリ不要でお客様のスマートフォンからQRコードで注文できる仕組みで、テイクアウト対応も搭載しています。
ホテルのレストラン・焼肉屋・居酒屋・社員食堂・学生食堂など幅広い業態での導入実績があるサービスです。業務効率化・顧客満足度アップ・人件費削減を目的としたシステムになります。
無料トライアルを提供している場合があります。詳細は公式サイトをご確認ください。
CASHIER ORDER(キャッシャー オーダー)

CASHIER ORDERは、クラウドPOSレジ「キャッシャー」を提供する株式会社ユニエイムのオーダーシステムです。
テイクアウトオーダー機能では、お客様のスマートフォンから注文・事前決済が完結し、商品の準備ができ次第通知機能でお知らせが届く仕組みです。
受け取り可能時間は5分単位で最大120分後まで設定でき、クレジットカード・PayPayなどのキャッシュレス決済に対応しています。
月額3,000円から利用できるモバイルオーダープランがあり、POSレジ・キッチンプリンター・LINE通知との連携も可能です。
テイクイーツ

テイクイーツは、スイーツ・ベーカリー店や飲食店のテイクアウト業務に特化した予約・決済・管理システムです。
全国の導入店舗数は3,500以上で、キルフェボン・HARBSなどの大手洋菓子店でも導入実績があります。
初期費用・追加料金は無料で、月額3万円(1店舗あたり)+サービス手数料1.4%+オンライン決済手数料3.6%という料金体系です。料金体系はプランによって異なるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。
Googleビジネスプロフィールとの連携によるMEO対策・インバウンド対応・多言語対応・顧客管理機能・ECカート・自社デリバリー・イートインと幅広い機能を1プランでカバーしており、テイクアウトを軸に販売チャネルを広げたいスイーツ・ベーカリー店に向いています。
テイクアウトのポータルサイトの選び方
複数のサービスが存在するテイクアウトのポータルサイトは、ユーザー層・手数料・対応エリア・連携機能がそれぞれ異なります。
自店の業態・客単価・集客目的を整理したうえで選ぶことが、費用対効果を最大化する鍵です。
- 業態と客層でユーザー層が合っているか確認する
- 手数料と客単価のバランスで費用対効果を試算する
- 掲載エリアと利用者数を事前に確認する
- モバイルオーダーやPOSとの連携可否を確認する
- 複数サービスの併用も検討する
業態と客層でユーザー層が合っているか確認する
サービスによってユーザーの年齢層・利用シーン・注文傾向が異なります。
グルメサイト併設型は食事にこだわりを持つ層、テイクアウト専門型はランチ・帰宅途中のお持ち帰り需要、デリバリー兼用型は幅広い層に対応しています。
自店の料理ジャンル・価格帯・ターゲット客層と、サービスのユーザー層が合っているかを確認することが選定の出発点です。
手数料と客単価のバランスで費用対効果を試算する
手数料率はサービスによって異なります。
客単価が低い業態では手数料が利益を圧迫しやすいため、「客単価×手数料率=1件あたりのコスト」を試算し、採算ラインを事前に確認することが重要です。
月間の想定注文数と手数料の合計を見積もったうえで、導入の判断を行いましょう。
掲載エリアと利用者数を事前に確認する
サービスによって対応エリアが異なります。
自店の所在地がサービスの対応エリア内にあるか、またエリア内でのユーザー数が十分かを掲載前に確認しましょう。
ユーザー数が少ないエリアでは、掲載しても注文が集まりにくい場合があります。
モバイルオーダーやPOSとの連携可否を確認する
既存のPOSレジやモバイルオーダーシステムと連携できるかどうかを確認しておくことで、注文データの二重入力や管理の手間を省けます。
複数チャネルの注文を一元管理したい場合は、連携可能なサービスを優先的に選ぶことが運用効率の向上につながります。
参考記事:【手数料比較表付き】店外版モバイルオーダーシステムおすすめ5選!テイクアウト・デリバリーに最適なサービスの選び方
複数サービスの併用も検討する
1つのサービスに絞らず、複数サービスへの同時掲載で接触機会を増やすという選択肢もあります。
ただし、複数サービスへの掲載は運用管理の手間が増えるため、まずは1〜2サービスから始めて効果を検証し、状況に応じて拡張していくアプローチが現実的です。
まとめ|テイクアウトのポータルサイトは「目的・業態・費用対効果」で選ぶことが重要
テイクアウトのポータルサイトへの掲載は、プラットフォームの既存ユーザーへのリーチや、初期費用を抑えた集客経路の追加という点で、飲食店にとって有効な手段の一つです。
一方で、手数料コスト・顧客データの蓄積制限・サービス依存というデメリットも存在するため、自社の集客チャネル全体の中でポータルサイトをどう位置づけるかを設計したうえで活用することが重要です。
業態・客単価・対応エリア・手数料の費用対効果を軸にサービスを絞り込み、まずは1〜2サービスへの掲載から試験的にスタートして効果を検証する進め方が、リスクを抑えながら集客チャネルを広げるための現実的なアプローチです。

