さまざまな飲食店で導入が進むモバイルオーダーシステムは、利用した経験がある方も多いでしょう。近年、キャッシュレス決済の多用化を背景に、オーダーした時点で支払いまで完結するシステムも増加傾向にあります。
券売機やセルフレジ、セルフオーダーKIOSK端末などがある中で、モバイルオーダーシステムもその1種です。しかし、モバイルオーダーを導入する場合、現金支払いには対応できるのでしょうか。
今回は、モバイルオーダーで注文した際に現金支払いは利用できるのか、モバイルオーダーで利用できる支払い方法や決済方法、すでにモバイルオーダーシステムを導入している飲食店の事例を解説します。
モバイルオーダーとは
モバイルオーダーとは、顧客が自らのスマホで飲食店の料理やドリンクをオーダーするセルフオーダーシステムのことです。
QRコードを読み取る場合はQRオーダーシステム、店舗アプリやブラウザからの注文の場合はモバイルオーダーシステムと、分けて呼ぶ場合もあります。
店内でテーブルからオーダーする店内版モバイルオーダーだけでなく、店外から予約注文やテイクアウト注文・デリバリー注文を行う店外版モバイルオーダーがあるのも特徴です。
参考記事:モバイルオーダーとは?メリット・デメリットや仕組みと主な支払い方法・活用事例を紹介
モバイルオーダーで現金支払いは可能?
モバイルオーダーを利用した際、基本的に注文した商品の代金を現金で支払うことはできません。
一部の飲食店では、モバイルオーダーで注文した商品を店頭で受け取る際に、現金での支払いを可能としているケースもありますが、キャッシュレス決済での支払いが主流です。
現金支払いに対応している飲食店でも、モバイルオーダーを通じた注文はキャッシュレス決済のみ、というケースも多くあるので注意しましょう。
モバイルオーダーで現金支払いできないことが多い理由
モバイルオーダーで現金支払いができないことが多い理由として、以下の項目が挙げられます。
- 直前キャンセルによる損失抑止
- 店頭支払い対応の負担軽減
- 現金決済による釣銭ミスの抑止
- 非対面・非接触注文に対するニーズへの対応
モバイルオーダーは、多くの飲食店が業務効率化や人件費削減など、店舗経営の効率化・円滑化を目的に導入している設備です。
そのため、現金支払いへの対応を残した場合、結局レジ対応が必要になることから、基本的にはキャッシュレス決済のみに対応しています。
一部の店舗では、モバイルオーダーシステムと受け取り時の現金支払いに対応していますが、効率化を目的としている場合にはキャッシュレス決済のみのシステムの方が効果的です。
モバイルオーダーで利用できる支払い方法・決済方法
モバイルオーダーで注文した際に、代金を支払う手段として利用できるのは、以下4つの決済方法です。
- クレジットカード決済
- QRコード決済・バーコード決済などのスマホ決済
- 各種ポイント支払い
- 現金支払い
キャッシュレス決済の中でも、電子マネーに対応していないモバイルオーダーが多い点に注意しましょう。電子マネー決済は、店頭でキャッシュレス決済端末を介して支払う方法が一般的なため、オンラインで決済を完結するモバイルオーダーでは基本的に利用できません。
上記を踏まえて、モバイルオーダーで利用できる決済方法と、それぞれの決済手段を利用する際のポイントについて解説します。
クレジットカード決済
モバイルオーダーで注文した際に、もっとも一般的な代金の支払い手段としてクレジットカード決済が挙げられます。
クレジットカード決済は、店頭で決済端末を介して利用する場合、磁気スワイプ・挿し込みによるICチップの読み取り・タッチ決済などで決済を行う方法が一般的です。
一方で、モバイルオーダーの場合は、クレジットカード番号や有効期限、セキュリティコードの入力を行って決済します。サインは不要ですが、入力作業が必要になる点が特徴です。
QRコード決済・バーコード決済などのスマホ決済
QRコード決済・バーコード決済などのスマホ決済も、モバイルオーダーで利用できる支払い方法です。
ただし、店頭での利用とは異なり、バーコードリーダーやカメラで読み取って決済することができないため、モバイルオーダーと連携可能な決済サービスを選ぶ必要があります。
ここで利用できるのは、いわゆるPayPayや楽天ペイなどのPay系の決済ブランドです。モバイルオーダーによって、対応している決済ブランドが異なるので、事前に確認した上で導入するシステムを選定しましょう。
各種ポイント支払い
モバイルオーダーシステムによっては、各種ポイント支払いによる代金清算に対応しているものもあります。具体的には、楽天ポイントやdポイント、WAONポイントなどです。
各種ポイントサービスと提携していない場合は利用できないため、ポイント支払いに対応可能なモバイルオーダーシステムを導入したい場合は、事前に対応可能か確認しておく必要があります。
現金支払い
一部のモバイルオーダーには、現金支払いに対応しているサービスがあります。少数派ではあるものの、オーダー時のキャッシュレス決済と、店頭受け取り時の現金支払いのいずれかを選択できるケースです。
飲食店の顧客の年齢層が高い場合や、キャッシュレス決済手数料の負担を軽減する手段として、現金支払いを残しておきたいと考えている店舗で導入されている傾向にあります。
モバイルオーダーを導入している飲食店の活用事例と支払い方法
ここからは、モバイルオーダーを導入している飲食店の活用事例について、支払い手段の特徴にフォーカスして紹介します。
マクドナルド
マクドナルドのモバイルオーダーは、全国の多くの店舗で利用可能で、事前に店舗アプリで注文と決済を済ませることでレジに並ばず商品を受け取れる点が特徴です。ランチタイムや休日の混雑緩和に効果があり、店内飲食・テイクアウト・ドライブスルーなど多様な受け取り方法に対応しています。
支払い方法は、クレジットカード(VISA、Mastercard、JCBなど)のほか、PayPay・d払い・楽天ペイ・au PAYといったQRコード決済、さらにApple PayやGoogle Payが利用可能です。現金やSuica等の電子マネーは店頭では使えますが、モバイルオーダーでは対象外となっています。
スターバックスコーヒー
スターバックスでは「Mobile Order & Pay」と呼ばれる仕組みを提供しており、アプリや公式Webサイトから事前注文と決済に対応しています。混雑時でもスムーズに商品を受け取れる点が特徴で、とくにオフィス街や駅近店舗では利用が定着しています。
支払い方法は、スターバックスカード(アプリに登録済み)やApple Payを通じて行うのが基本で、残高不足時にはクレジットカードやPayPayなどから即時チャージも可能です。
また、スターバックスリワードのポイント(Star)と交換したeTicketも使用できます。店舗ではSuicaやiDなど電子マネーが使えますが、モバイルオーダーに直接対応しているのはスターバックスカードとApple Payのみです。
松屋
牛丼チェーンの松屋では、公式アプリを通じたモバイルオーダーを導入しており、事前注文後に店舗で受け取りが可能です。食券機に並ぶ必要がなく、忙しい時間帯の効率的なオペレーションを実現する手段として活用されています。
とくにテイクアウト需要に対応しており、オフィスワーカーや家庭向けの持ち帰りニーズを取り込んでいる点が特徴です。支払い方法は、クレジットカード決済のほか、PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAYなどのQRコード決済に対応しており、アプリ上で完結できます。
モバイルオーダーとは異なりますが、松弁ネット(松屋のお弁当予約サービス)では、「事前決済 (キャッシュレス決済)」もしくは「店頭での現金支払い」のいずれかを選択できる点が特徴です。
まとめ
モバイルオーダーは、基本的にキャッシュレス決済による事前支払いに対応しているサービスです。店舗で導入する場合は、現金支払いの対応可否を含めて判断する必要があります。
ただし、店外からの事前注文はいたずら注文や直前の無断キャンセルなどが発生する可能性もあるため、可能であれば事前決済タイプのモバイルオーダーシステムの導入がおすすめです。