近年、急速に広まっている決済手段としてQRコード決済やバーコード決済が挙げられます。また、キャッシュレス決済の中では、クレジットカード決済のユーザーが今なお多数を占めているのも現状です。
キャッシュレス決済手段の多様化にともない、キャッシュレス決済端末も新たな機能を備えた機種が続々と開発されています。
では、どのような種類のキャッシュレス決済端末があり、自店舗で導入するにはどのような基準で比較し、選定すれば良いのでしょうか。
本記事では、キャッシュレス決済端末の種類や設置方法の違いについて紹介しながら、最適な機種を選定するポイントについて解説します。
キャッシュレス決済端末とは
キャッシュレス決済端末とは、クレジットカードやQRコード決済・電子マネー決済など、現金以外の決済方法に対応している決済端末のことです。
クレジットカードのみに対応している機種もあれば、特定のQRコード決済のみに対応しているもの、幅広い決済手段に対応しているものなどさまざまな種類のものがあります。
導入費用やランニングコストにも差があるため、自店舗の業務フローや顧客ニーズに合わせて導入する機種を選ぶことが大切です。
キャッシュレス決済端末の種類
キャッシュレス決済端末には、以下のような種類の製品があり、それぞれに特徴や対応している決済手段に違いがあります。
キャッシュレス決済端末の種類 | 特徴 |
---|---|
カード決済端末 | クレジットカードやデビットカードなど、カードによるキャッシュレス決済に特化した端末 カードを磁気スワイプするか、挿入してICチップを読み取り、決済するタイプの製品が主流 |
QRコード決済・バーコード決済端末 | 顧客がスマートフォンやタブレットなど画面に表示させた決済用のQRコード・バーコードを、決済端末のバーコードリーダーで読み取って決済する端末 店頭にQRコードステッカーやPOPを置いて、顧客側のスマホアプリやカメラ機能で読み取ってもらうタイプもある |
モバイル決済端末 | 店舗のスマートフォンやタブレットに備わっているカメラ機能を活用して、QRコードやバーコードなどを読み取って決済する端末 POS機能やWi-Fiが備わっている製品もあり、持ち運びやすい点が特徴 |
タッチ決済端末 (NFC端末) | ICカードやスマートフォンを端末本体にある読み取り部にかざして、決済するタイプの端末 タッチ決済とも呼ばれている点が特徴で、非接触なので衛生的な支払いが可能になる |
マルチ決済端末 | クレジットカードだけでなく、QRコード決済・ICカード決済・電子マネー・ポイント支払いなど、多種多様なキャッシュレス決済に対応している端末 |
オールインワン決済端末 | マルチ決済端末の機能に加えて、レシートプリンターを内蔵しているタイプの決済端末 Wi-Fi内蔵でワイヤレス接続が可能な製品であれば、屋外利用にも対応できる |
それぞれ端末ごとの詳しい概要や強み、おすすめの利用シーンについて解説します。
カード決済端末
カード決済端末は、クレジットカードやデビットカード、交通系ICカードなどのカード決済に対応している端末です。一般的によく目にするタイプは、カードを挿入口に差し込んでカードのICチップを読み込みます。
また、細い溝にカードの磁気部分をスワイプして読み込む製品があるのも特徴です。近年では、後述のタッチ決済に対応しているものもあるなど、カード決済端末の種類も多様化しています。
参考記事:クレジットカード決済端末機のおすすめ5選|CAT端末を選ぶ基準と比較ポイント
QRコード決済・バーコード決済端末
QRコード決済・バーコード決済端末は、顧客が利用したい決済ブランドのQRコードやバーコードを、店舗側のバーコードリーダーで読み取って決済を行うスマホ決済に対応した端末です。
一方で、顧客のスマホで店頭に設置したステッカーやPOPのQRコードを読み取ってもらい、決済金額を入力してもらうタイプのシステムもあります。後者であれば、ほとんど導入コストがかからないのも魅力です。
モバイル決済端末
モバイル決済端末は、決済に特化した端末を設備として導入することなく、スマホやタブレット端末があれば活用できるタイプの決済設備です。
スマホやタブレットに、決済ができるPOSレジシステムや決済システムなどをダウンロードし、顧客が提示したQRコードやバーコードを読み取って決済を行います。
決済端末を購入する必要がなく、タブレットPOSレジと併用できるシステムもあるため、小規模店舗やキャッシュレス決済のニーズが高い店舗におすすめです。
参考記事:【2025年版】タブレットPOSレジとは?無料で導入できるおすすめサービスを5選紹介
タッチ決済(NFC)端末
タッチ決済端末はNFC端末とも呼ばれ、クレジットカードやスマホでタッチするだけで決済ができる端末です。また、SuicaやICOCA・PiTaPa・nanacoなど、タッチ決済対応の電子マネーでの支払いにも対応できます。
クレジットカード決済端末の中には、タッチ決済にも対応しているものがあるため、カード決済対応の端末を選ぶときはタッチ決済も導入するかを検討すると良いでしょう。
マルチ決済端末
マルチ決済端末は、クレジットカード決済やQRコード・バーコード決済、電子マネー決済など、さまざまな決済手段に対応している端末です。中には、楽天ポイントやdポイントなどのポイント支払いに対応している機種もあります。
クレジットカード決済の場合、ICチップの読み取り・磁気スワイプ・タッチ決済のすべてを、1台の端末で対応できる製品があるのも特徴です。
オールインワン決済端末
オールインワン決済端末は、マルチ決済端末と同様に幅広い決済手段に対応している設備で、さらにレシートプリンターも内蔵しているタイプの製品です。
決済端末とPOSレジ・レシートプリンター・Wi-Fiルーターなど、レジ周りに端末が多くなってしまうのを避けられるので、省スペースですっきりと設置できます。
オールインワン決済端末の中には、SIMカード内蔵でWi-Fi環境がない場所でも使用できる製品があるため、屋外イベントやキッチンカーなどでの利用にも最適です。
キャッシュレス決済端末の設置方法は2種類
キャッシュレス決済端末を導入する際は、以下2種類の設置方法から選択することが可能です。
- 据置型
- モバイル型(コードレス型)
それぞれの特徴や、導入におすすめの店舗について解説します。
据置型
据置型の決済端末は、レジ設備の横に設置するタイプの決済端末です。レジ設備や通信設備と有線接続する製品が多く、有人レジのほか、セルフレジや券売機・事前決済KIOSKなどと連携させて導入できます。
据置型の特徴は、有線接続することから通信が安定しており、通信環境に左右されてお客様を待たせる心配がない点です。また、盗難や紛失のリスクが避けられることから、防犯・セキュリティ面でも優れています。
モバイル型(コードレス型)
モバイル型(コードレス型)の決済端末は、無線で利用できる決済端末です。無線Wi-Fiで利用できるので、テーブル会計やイベント出店・キッチンカーなどでも活用できます。
モバイル型の端末は、レシートプリンターやSIMカード内蔵型のオールインワンタイプの製品が多く、決済設備をこれ1つで完結したい方におすすめです。
コードレスで設置できるので、レジ周りをすっきりと整理整頓できるメリットもあります。
自店舗に最適なキャッシュレス決済端末を選ぶポイント
自店舗に最適なキャッシュレス決済端末を選ぶには、以下の点を意識することが大切です。
- 設置タイプで選ぶ
- 決済ブランドの種類で選ぶ
- 連携可能な外部システムの種類で選ぶ
なぜ上記のポイントが大切なのか、決済端末を比較検討する際に確認しておきたいことを踏まえて解説します。
設置タイプで選ぶ
決済端末を選ぶ際は、まず設置タイプで比較検討しましょう。自動釣銭機やセルフレジなど、特定のレジ設備と組み合わせて使用したい場合や安定性・セキュリティ面を重視したい場合は据置型がおすすめです。
コンパクトさや屋外での利用、テーブル会計など持ち運ぶことを想定したい場合は、モバイル型の決済端末を選ぶと良いでしょう。
決済ブランドの種類で選ぶ
自店舗で導入する決済端末を選ぶときは、対応可能な決済ブランドの種類で選ぶのもポイントです。クレジットカードやQRコード決済・電子マネー・ポイント支払いなど、数十種類以上ある決済サービスの中から、顧客ニーズにマッチするブランドを選ぶ必要があります。
とくに、インバウンドの顧客が多い店舗の場合は、WeChatPayやAliPay・ApplePay・GooglePayなど、海外の人が多く利用している決済ブランドに対応しているか確認しておきましょう。
連携可能な外部システムの種類で選ぶ
決済端末は、外部システムと連携させて利用するケースも多いため、連携可能なシステムの種類をチェックしておくことが大切です。決済端末と連携可能なシステムとして、POSレジやセルフレジ、予約管理システム・顧客情報管理システムなどが挙げられます。
また、美容サロンやクリニックなどであればカルテやレセコン、飲食店であればモバイルオーダーと連携できるかなどもチェックしておくと良いでしょう。
参考記事:キャッシュレス決済端末5選|メリットや導入方法・選び方について徹底解説
キャッシュレス決済端末を導入するまでの流れ
キャッシュレス決済端末を導入するまでの主な流れは、以下の通りです。
- 導入するキャッシュレス決済端末を比較検討する
- 導入したい端末をショールームやテスト機で試してみる
- 導入するキャッシュレス決済端末を決定する
- 申し込み手続きを行う
- 決済代行会社の審査を待つ
- 審査に通ったらキャッシュレス決済端末の設置・初期設定を行う
- 運用を開始する
キャッシュレス決済端末を導入するとき、大切なのは顧客目線に立って利用しやすい設備を選ぶことです。そのため、店舗側の使いやすさはもちろん、顧客にとっても使いやすい端末を選ぶように心がけましょう。
決済端末は端末代金や初期費用が無料の製品もありますが、決済手数料が発生するので、手数料で比較検討してみるのもおすすめです。
また、キャッシュレス決済端末機を提供している事業者によっては、ショールームやテスト機でお試し利用ができたり、実機の1カ月無料お試しが利用できたりする場合があります。
試験的に導入して決済機能を体験したあと、本格導入すべきかを判断するのも良いでしょう。
まとめ
決済端末は、提供している事業者によって端末の性能や対応している決済ブランド、設置方法にいたるまで、さまざまな種類の製品があります。
近年はオールインワン決済端末も増加しており、どのような機種を選べば良いのかわからないときは、幅広い決済手段に対応している機種を導入するのも選択肢の1つです。
また、以下の記事では決済端末の中でもシェア率が高いメーカーの製品を紹介していますので、こちらも参考にしてみてはいかがでしょうか。