居酒屋を開業するには、さまざまな手続きや設備を用意する必要があります。これらの準備を計画的に進めることが、余裕をもった開業につながります。今回は、居酒屋開業に必要なものと、その理由を簡単に解説します。開業準備の参考にしてください。
居酒屋開業に必要な物件

居酒屋開業には物件が必要です。物件には以下2つの種類があり、それぞれ異なる特徴があります。
| 種類 | 物件の状態 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 居抜き物件 | 以前の内装や設備が残る状態 | ・工費や費用を抑えられる ・開業希望者からの需要が高い |
・設備面の整備が必要 ・レイアウトやデザインを変更しにくい |
| スケルトン物件 | 構造躯体だけの骨組みの状態 | ・設備の管理がしやすい ・レイアウトやデザインを自由にできる |
・工費や費用がかさむ ・退去時に原状回復が必要 |
このように、物件はそれぞれ一長一短あるため、物件を探す際はそれぞれの特徴を比較しつつ、希望条件と照らし合わせながら決めましょう。なお、物件を決める際は優先度をあらかじめ決めておくと探しやすくなります。探す際は以下の特徴を意識しましょう。
- 物件の種類
- 立地
- 面積
- 賃料
- 交通の便などのそのほかの特徴
たとえば、費用を抑えたい場合は居抜き物件の方が開業資金を抑えられます。優先度は物件の種類、居抜き物件かどうかになります。集客力を重視したい場合は、立地が深く影響するため、最優先要素は立地です。
なお、居酒屋の開業が成功するかは、物件の特徴とコンセプト、その相性が深く関係しています。慎重に選びましょう。
以下のページでは居抜き物件を中心に物件について詳しく解説しています。興味を持たれた方は、こちらもご覧ください。
参考記事:居抜き物件を探せるサービスと紹介会社の比較
居酒屋開業に必要な資格や手続き
居酒屋開業には、以下の資格や許可が必要です。
- 食品衛生責任者
- 飲食店営業許可の申請
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
- 防火管理者
次は、それぞれの内容について解説します。
食品衛生責任者
食品衛生責任者は、飲食店営業を行う際に店舗ごとに設置が求められる衛生管理の責任者です。食品衛生責任者になるには、自治体が実施する養成講習会の修了など、定められた要件を満たす必要があります。食品衛生法第51条において、飲食店の店舗1つにつき1名配置することが義務付けられています。
出典:食品衛生法|e-Gov 法令検索
食品の衛生管理を行う役割を担っており、顧客が安心して食事をするために重要な資格でもあります。
食品衛生責任者の資格取得には、保健所等で開催されている講習の受講が必要ですが、講習会が開催される日は限られています。予約は電話やインターネットで申し込めますが、人口の多い地域の保健所はすぐに予約が埋まってしまう傾向にあります。予約はできるだけ早めに取りましょう。
受講料は地域によって差がありますが、大体1万円前後です。予約の時点ですぐ支払えるよう、事前に用意しておきましょう。
なお、以下のコラムでは詳しい内容を解説しています。こちらも併せてご覧ください。
参考記事:飲食店開業に必要な資格一覧|調理師免許の有無や届出の申請についても解説
飲食店営業許可の申請
飲食店を開業するには、保健所による飲食店営業許可が必要です。申請手続きの際は、以下の書類を用意しましょう。
- 飲食店営業許可申請書
- 営業施設及び設備の図面
- 水質検査成績書(貯水槽や井戸水を使用する場合)
- 食品衛生責任者の資格を証明する書類(食品衛生責任者手帳など)
- 店舗場所の見取り図
- 登記事項証明書(法人が申請する場合)
なお、許可を得るには保健所の担当者立会いによる施設検査を通過しなくてはなりませんが、そのためには店舗や設備に設けられた細かい規定に従う必要があります。この規定は保健所ごとに異なるため、手続きをする前に保健所に相談しておきましょう。
なお、飲食店営業許可については、以下のコラムでも解説しています。こちらも併せてご覧ください。
参考記事:飲食店開業に必要な保健所の許可とは?立会検査の内容も一部解説
深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
深夜0時以降に営業し、主として酒類を提供する飲食店は、店舗所在地を管轄する警察署へ「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」の提出が必要です。
出典:風俗営業等の規則及び業務の適正化等の法律|e-Gov 法律検索
そのため、居酒屋を経営する場合、この届出書も開店前に提出する必要があります。保健所から飲食店営業許可を得たら、以下の必要書類をそろえて警察署の窓口で手続きしましょう。
- 営業開始届出書
- 営業方法が分かる書類
- メニューの写し
- 営業所平面図・営業所面積求積図・客室面積求積図・音響照明設備配置図
- 申請者の住民票(本拠地記載)
- 保健所の飲食店営業許可の写し
なお、法人として届出を提出する場合は、追加で以下の書類を提出する必要があります。こちらも忘れないようにしましょう。
- 法人登記簿謄本(登記全部事項証明書)
- 法人の定款の写し(原本確認が必要)
- 役員全員分の本籍地記載住民票
深夜酒類提供飲食店営業開始届出書は、営業開始日の10日前までに提出する必要があります。提出期限を考慮し、余裕を持って準備しましょう。
防火管理者
防火管理者は、建物の用途や収容人数など一定の条件を満たす飲食店で選任が必要となる管理者です。必要となる条件は用途や収容人員などで定められているため、所轄の消防署で確認しましょう。
・出典:防火管理者が必要な防火対象物と資格|東京消防庁
防火管理者には甲種と乙種があり、店舗の延べ面積によって必要な区分が異なります。それぞれ消防署で開催されている講習会に参加すれば取得できますが、取得にかかる時間と費用が異なるため、事前に店舗に合わせた講習会の内容を確認しておきましょう。
この講習会も食品衛生責任者の講習会同様、事前予約が必要です。地域によっては講習会の枠がすぐ埋まってしまうこともあるため、早めに予約・参加しましょう。
居酒屋の開業には、さまざまな手続きが必要になるため、計画的な行動を心がけてください。
居酒屋開業に必要な設備・備品
居酒屋の開業には設備や備品も必要です。次は開業に必要な設備や備品と、用意する際のポイントについて解説します。
キッチン設備
居酒屋のキッチン設備には、最低でも以下のものが必要です。
- 調理器具
- 冷蔵庫・冷凍庫
- ガスコンロ・電子レンジ・オーブンなど
- シンク・給排水設備
- 換気設備
このうち、シンクなどの一部設備は保健所の検査対象に含まれているため、規定に該当するものを用意しましょう。また、火気を使う設備は消防法に基づいて設置するのも忘れないようにしてください。
このほか、必須の設備として食材の鮮度を保つ冷蔵庫や冷凍庫がありますが、これらは耐久性の高い業務用がおすすめです。使いやすいものを選びましょう。
以下のコラムではキッチン設備について詳しく解説しています。こちらも併せてご覧ください。
参考記事:【2025年最新】居酒屋開業に必要な厨房機器リスト|費用・選び方・設置のポイントまで解説
ホール備品
ホールに設置する備品は、居酒屋のコンセプトやテーマに合ったものを選びましょう。たとえば高級志向や温かみを演出したいなら、木製や革製のテーブルやイスがおすすめです。カジュアルな雰囲気を出したいなら、明るい色合いのものを選びましょう。
また、業務をスムーズにこなしたいなら、POSレジなどの導入もいい方法です。以下の記事ではオーダー管理などに役立つレジを解説しています。より詳しい内容を知りたい方は、こちらもご覧ください。
参考記事:居酒屋におすすめのPOSレジ6選!必要な機能や選び方・比較ポイントを解説
什器や消耗品
居酒屋の開業や経営には、以下の什器や消耗品も必要です。
- 食器やグラス
- 箸やカトラリー
- おしぼり
- 調味料や飲料
- 清掃用具
これらを用意する際は万が一の事態に備えて余裕をもって用意しましょう。手作業での在庫管理はミスの発生につながる恐れがあります。
より効率的に管理したいなら、在庫管理システムの導入を検討しましょう。また、衛生基準を守るための清掃用具も忘れないようにしてください。
店舗環境を構築するもの
店舗環境を作るものは、ホール備品だけではありません。以下のものも忘れずに用意しましょう。
- 店内BGM
- 空調設備
- 観葉植物やオブジェなどの装飾品
店舗テーマに合わせたものを選ぶのがポイントです。過剰な装飾は狭苦しい印象を与えてしまうため、個性とシンプルさのバランスを取りましょう。
ここまで解説したものは、すべて店舗の開業や経営に欠かせないものです。開業を成功させるためにも、抜けや漏れがないか確認しながら進めましょう。
居酒屋開業に必要な物は漏れなく用意する
居酒屋開業に必要なものに抜けや漏れがあると、それがそのまま開業・経営の失敗や困難につながる恐れがあります。できるだけ抜けや漏れのないよう、計画的に行動しましょう。
そのためにも、開業計画や資金計画を立てる際は、できるだけ詳細を詰めて作成するようにしてください。

