特定技能外国人を採用する際、「正社員として雇用しなければならないのか」「契約社員や派遣でも受け入れられるのか」といった疑問を持つ企業担当者は多いのではないでしょうか。
原則として、特定技能外国人の雇用形態は正社員・フルタイムでの直接雇用です。週5日・30時間以上の勤務が求められるため、アルバイトやパートでの雇用は認められていません。
また、正社員として雇用する場合にも、日本人と同等以上の待遇確保や雇用契約書の整備など、事前に把握しておくべきルールがあります。
そこでこの記事では、特定技能外国人を正社員として雇用する際の基本ルール・雇用形態ごとの違い・手続きの流れ・待遇面の注意点まで、企業担当者の方向けにわかりやすく解説します。
特定技能外国人の雇用形態は「正社員・直接雇用」が原則

特定技能外国人を受け入れる場合、雇用形態は原則として正社員または契約社員・フルタイムでの直接雇用となります。
「正社員でなければならないのか」と疑問に思う方も多いですが、重要なのは雇用形態の名称よりも、フルタイムの直接雇用であるかどうかという点です。
フルタイム勤務が必須条件
特定技能外国人の雇用には、週5日以上・年間217日以上・週30時間以上の勤務が必要とされています。
この条件を下回るアルバイトやパートでの雇用は認められておらず、複数の企業が同一の特定技能外国人を雇用することも認められていません。
なお、正社員・契約社員のいずれの雇用形態であっても、日本人労働者と同等の労働条件や福利厚生を確保することが法律上の義務となっています。
アルバイト・副業は禁止されている
特定技能外国人は、雇用契約を結んだ事業所以外でのアルバイトや副業が原則として禁止されています。これは外国人本人だけでなく、受け入れ企業側にとっても重要なルールです。
仮に企業側がアルバイトとして受け入れた場合、在留資格の要件を満たさないと判断されるリスクがあります。
例外的に派遣雇用が認められるケースとは
原則として直接雇用が必要な特定技能ですが、一部の分野では派遣雇用が例外的に認められています。自社の業種が該当するかどうかを確認したうえで、受け入れ方法を検討しましょう。
農業・漁業分野のみ派遣が可能
農業・漁業分野に限っては、特定技能外国人を派遣形態で雇用することが認められています。これは、農業と漁業が季節や地域によって繁忙期・閑散期の差が大きく、正社員として雇用した場合に仕事がない期間が発生してしまうという業種特有の事情を考慮したものです。
また同じ地域で同じ作物を育てている場合でも、事業所ごとに人手を必要とするピーク期間が異なるため、派遣という柔軟な形態が認められています。
なお、派遣形態での受け入れが認められているのはあくまで農業・漁業の2分野のみです。それ以外の分野で派遣形態による受け入れを行うことは認められていないため、注意が必要です。
派遣雇用のメリットと注意点
農業・漁業分野において派遣形態を活用する主なメリットは、繁忙期のみ必要な人数の戦力を確保できる柔軟性にあります。
閑散期に仕事がなくなるリスクを回避しながら、必要なタイミングで即戦力を確保できる点は、季節変動の大きい業種にとって大きな利点といえます。
一方で、派遣形態での受け入れには、直接雇用と同様に受け入れ側にも一定の義務が生じます。
具体的には、特定技能協議会への加入や支援計画の策定・実施、定期報告の提出など、直接雇用と変わらない手続きが必要となるため、事前に手続きの全体像を把握しておくことが大切です。
正社員として雇用する際の待遇・契約のルール

特定技能外国人を正社員として雇用する場合、日本人と同等以上の待遇を確保することが法律で定められています。雇用契約の内容は在留資格の審査にも直結するため、事前にルールをしっかり把握しておくことが大切です。
日本人と同等の報酬・待遇が義務
特定技能外国人に支払う報酬は、同等の業務・経験を持つ日本人と比較して不当に低くなってはならないと定められています。
「外国人だから」という理由で賃金を引き下げることは認められておらず、賃金・賞与・福利厚生のいずれにおいても、日本人と均等・均衡な待遇を確保することが求められます。
また、報酬は口座振込など、確認可能な方法で支払う必要があり、実態として日本人と同等水準であることを証明できる状態にしておくことが重要です。
雇用契約書に明記すべき主な項目
特定技能外国人との雇用契約書には、通常の雇用契約書と同様の記載に加え、特定技能雇用契約として必要な事項を漏れなく記載する必要があります。主な記載項目を以下にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業務内容 | 従事する特定産業分野の業務内容を具体的に記載 |
| 勤務時間・労働日数 | 週5日以上・週30時間以上・年間217日以上を満たす内容 |
| 賃金 | 同等業務の日本人と比較して同等以上であること |
| 休日・休暇 | 法定休日・有給休暇の付与条件 |
| 契約期間 | 無期・有期の別と更新の有無 |
| 社会保険・雇用保険 | 加入状況の明記 |
雇用契約の内容は特定技能外国人の在留資格審査にも関わるため、記載漏れや不備がないよう、行政書士や社会保険労務士に確認を依頼することもおすすめです。
参考記事:【チェックリスト付】外国人採用で確認すべき事項一覧
特定技能外国人を正社員で採用するメリット

正社員としての雇用は、受け入れ企業にとっても多くのメリットをもたらします。人手不足の解消にとどまらず、長期的な人材戦略の観点からも検討する価値があります。
長期的な人材確保・定着につながる
特定技能外国人は、各分野の技能試験と日本語能力試験を合格した即戦力人材です。正社員として安定した雇用環境を整えることで、外国人材の定着率が高まり、採用・教育コストの削減にもつながります。
また、特定技能外国人は技能実習生と異なり転職が可能なため、待遇や職場環境が整っていないと離職につながるリスクがあります。正社員としての雇用条件や職場環境をしっかり整備することが、長期定着への近道といえます。
特定技能2号への移行で無期雇用も視野に
特定技能1号の在留期間は通算5年が上限ですが、より高度な技能が認められる特定技能2号に移行することで、在留期間の上限なく更新が可能になります。さらに、特定技能2号では家族帯同も認められるため、日本での長期的な生活基盤を築きやすくなり、結果として企業にとっても長期雇用の見通しが立てやすくなります。
受け入れ企業にとっては、採用・育成にかけたコストを長期的に回収しやすくなるだけでなく、特定技能2号を社内のキャリアパスとして位置付けることで、外国人材のモチベーション向上や定着促進にも効果が期待できます。
参考記事:外国人採用が増える理由とは?人手不足解消を経営強化につなげる新しい人材戦略
特定技能外国人の正社員採用を検討しよう
この記事では、特定技能外国人の雇用形態の基本と、正社員として採用する際のルール・メリットについて解説しました。
特定技能外国人の雇用は原則として正社員・フルタイムの直接雇用であり、アルバイトや副業は認められていません。農業・漁業分野のみ例外的に派遣雇用が可能ですが、その場合も受け入れ側に支援計画の策定や協議会への加入など、直接雇用と同様の義務が生じます。
人手不足が深刻化する中、即戦力として活躍できる特定技能外国人の正社員採用は、長期的な人材確保の観点からも有効な選択肢です。自社の業種・雇用ニーズを整理したうえで、特定技能外国人の正社員採用を積極的に検討してみましょう。

