人材紹介・人材派遣・登録支援機関の違い
外国人採用に関わる「人材紹介」「人材派遣」「登録支援機関」は、それぞれ役割や契約形態が異なり、目的に応じた使い分けが必要です。
人材紹介
企業と求職者をマッチングし、採用が決定した時点で報酬が発生する仕組みです。採用後は企業と外国人が直接雇用契約を結ぶため、自社での長期的な雇用を前提とした採用に適しています。
人材派遣
派遣会社と外国人労働者が雇用契約を結び、労働力を企業へ一時的に提供する形式です。短期間の人手不足や即戦力の補填などに向いていますが、在留資格の種類によっては派遣ができないケースもあるため注意が必要です。
登録支援機関
特定技能外国人を受け入れる企業に代わり、生活支援や定着支援、各種行政手続きの代行を行う制度上の機関です。人材紹介や派遣とは異なり、雇用後の支援フェーズに特化しており、特定技能人材を安定して就労させるうえで欠かせない存在です。
それぞれのサービスには明確な役割と違いがあり、自社の採用目的や対応すべき在留資格によって、適切な組み合わせを選ぶことが重要です。
対応している在留資格の種類
外国人採用サービスを選ぶ際には、サービスが対応している「在留資格の種類」を正しく理解することが重要です。
在留資格は外国人が日本でどのような活動を行えるかを定める法的ステータスであり、企業が採用できる職種や雇用形態にも大きく関わります。
たとえば、「特定技能」は人手不足が深刻な業界(介護、外食、建設、農業など)で即戦力の外国人を採用できる資格で、登録支援機関による生活・職業支援が必須です。
「技術・人文知識・国際業務」は主にホワイトカラー職(エンジニア、営業、翻訳、マーケティングなど)向けで、大学卒業や専門的知識が必要とされる高度人材の採用に適しています。
また、「技能実習」は開発途上国の人材育成を目的としており、教育・研修の要素が強く、制度上の制約が多いのが特徴です。
採用サービスによって対応できる在留資格が異なるため、自社の希望職種や雇用条件に合った資格に対応しているかを事前に確認する必要があります。
在留資格の種類に対する正しい理解と、採用サービスとの適合性を確認することで、トラブルを防ぎ、安定した外国人雇用の実現が可能になります。
外国人採用のメリット・デメリット
外国人採用には、人手不足の解消など多くのメリットがある一方で、文化・言語の違いによる課題もあり、両面を正しく理解しておくことが大切です。
メリット
- 慢性的な人手不足を補える
- 若くて意欲のある労働力を確保できる
- 多国籍人材を活用することで接客・業務の幅が広がる(例:外国語対応・海外顧客対応など)
- 技能や知識を持つ高度人材の採用が可能
デメリット
- 日本語力や業務理解に時間がかかる場合がある
- 宗教・文化の違いによるトラブルや誤解が起きやすい
- 在留資格の更新・管理といった法的対応が必要
- 長期的な定着やキャリアパス設計が課題になる場合がある
デメリットもありますが、外国人雇用に慣れた企業や、登録支援機関・紹介会社など適切なパートナー企業を活用し体制をつくれば、企業にとって大きな成長機会となります。
外国人を採用する流れと必要な手続き
外国人を採用するには、求人募集から在留資格の申請、就業後のサポートまで、法的手続きを含めた明確なステップを踏む必要があります。
まずは、採用したい職種や条件に応じて求人票を作成し、外国人人材紹介会社や求人媒体を通じて候補者を募ります。
その後、書類選考・面接を経て内定を出しますが、外国人の場合は在留資格(ビザ)が必要となるため、採用決定後には在留資格認定証明書の交付申請や在留資格変更申請などの手続きを入国管理局へ行います。
特定技能人材を採用する場合は、登録支援機関と契約を結び、支援計画の策定と実施が必須です。
また、雇用契約書や労働条件通知書を外国人本人が理解できる言語で用意し、労働条件の説明責任を果たすことも求められます。
就業後は、社会保険の加入や住民登録の手続き、日常生活の支援なども企業の責任として発生します。外国人が安心して働けるよう、社内の受け入れ体制も整えておくことが重要です。
外国人採用は一般的な採用フローに加えて、法務手続きや生活支援など多岐にわたる対応が求められます。