特定技能外国人を採用する際、「必要な日本語レベルはどの程度か」「N4で業務に支障はないのか」「分野によって基準は違うのか」と疑問を持つ企業担当者も多いのではないでしょうか。
特定技能では、日本語能力試験(JLPT)や国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)など、一定の日本語基準が設けられています。しかし、試験に合格していれば現場で問題なくコミュニケーションが取れるとは限らず、採用後のミスマッチを防ぐためには制度上の基準と実務で求められる日本語力の両方を正しく理解することが重要です。
そこで本記事では、特定技能における日本語レベルの基準や採用時の確認ポイント、入社後の日本語支援についてわかりやすく解説します。
日本語試験の種類と違い

特定技能1号の在留資格を取得するには、基本的には指定された日本語試験への合格が必要です。試験には主に2種類あり、どちらか一方に合格すれば要件を満たすことができます。※分野によっては、これらの試験に加えて追加の日本語要件が設けられているケースもあります。
ここでは、2種類の日本語試験の概要や特徴、違いについて解説します。
日本語能力試験(JLPT)
日本語能力試験(JLPT)は、日本語を母語としない人を対象とした、日本語能力をマークシート方式で測定・認定する試験です。
N1~N5までの5段階のレベルに分かれており、数字が小さいほど高いレベルとなります。
日本国内および海外約80の国・地域で年2回実施されており、留学や就職など幅広い場面で活用されている、認知度の高い資格です。
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)は、日本国内での生活場面で求められる基礎的な日本語コミュニケーション能力を測定するテストです。
CBT方式(コンピューター・ベースト・テスティング)で実施され、「文字・語彙」「会話・表現」「聴解」「読解」の4セクション・50問で構成されています。
年6回程度実施されており、受験当日に結果がわかる点が特徴です。JLPTと比べて受験機会が多く、結果確認もスピーディーです。
【2つの試験の比較】
| 項目 | JLPT | JFT-Basic |
|---|---|---|
| 実施形式 | マークシート方式 | CBT方式(コンピューター) |
| 受験回数 | 年2回 | 年6回程度 |
| 結果通知 | 約2〜3か月後 | 受験当日 |
| 実施国・地域 | 約80の国・地域 | アジア地域中心・日本 |
特定技能に求められる日本語レベルとは

特定技能1号では、一定の日本語能力が要件として定められていますが、例外として試験免除されるケースも存在します。
ここでは、試験で求められる日本語レベルや試験が免除される例外について解説します。
試験で必要な日本語レベル
特定技能1号の取得に必要な日本語レベルは、以下のとおりです。
| 試験 | 必要レベル | レベルの目安 |
|---|---|---|
| 日本語能力試験(JLPT) | N4以上 | 基本的な日本語を理解できる |
| 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic) | A2以上(200点以上) | 日常的な場面での基礎的なやり取りができる |
N4レベルは、日常的な場面での基本的な会話や、ゆっくり話された場合の聞き取りができる程度の日本語力です。職場での簡単な指示や報告・連絡・相談といった基本的なコミュニケーションであれば対応できるレベルといえます。
一方、JFT-BasicのA2レベルは、ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物・近所・仕事など直接的な関係がある場面において、よく使われる文や表現が理解でき、簡単で日常的な事柄についての情報交換に応じることができるレベルです。
試験が免除される例外ケースとは
特定技能(1号)の取得に必要な日本語試験(N4以上またはJFT-Basic A2以上)は、「技能実習2号を良好に修了した(または修了見込みの)者」であれば試験免除されます。
技能実習2号の修了者は、すでに一定期間日本での就労・生活を経験しており、実務レベルの日本語力を身につけていると判断されるためです。
技能実習からの移行を検討している企業にとっては、試験合否を気にせず採用を進められる点で大きなメリットとなります。
特定技能外国人の日本語レベルを見極める方法と採用時のポイント

試験合格はあくまで最低限の基準であり、合格だけでは実務に必要な日本語力を判断できない場合があります。採用時には試験結果に加えて、実際のコミュニケーション能力を確認することが重要です。
ここでは、面接で確認すべき日本語レベルのポイントと入社後の日本語教育について解説します。
面接で確認すべきポイント
面接では、以下のような点を中心に日本語の実務対応力を確認しましょう。
| 確認ポイント | 確認方法の例 |
|---|---|
| 敬語の理解 | 「〇〇をお願いします」「ありがとうございます」など敬語表現を使いながら会話し、自然に受け答えできるか確認する |
| 指示の聞き取り | 「この書類を3枚コピーして、棚に置いてください」など複数の指示を一度に伝え、正確に理解できるか確認する |
| 報連相の可否 | 「作業中に困ったことがあったらどうしますか?」など、報告・連絡・相談が必要な場面を想定した質問をしてみる |
筆記試験の結果だけでなく、実際に会話のやり取りを通じて判断することで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。
入社後の日本語教育の重要性
実際の職場では、業務指示の理解、マニュアルの読み取り、同僚との細かい意思疎通など、試験では測れない実務的な日本語力が求められます。そのため、合格していても入社直後は業務上の日本語でつまずくケースが少なくありません。
入社後に継続的な日本語教育を行うことで、こうしたギャップを埋め、職場への定着と生産性の向上につながります。
入社後にやるべき特定技能外国人への日本語支援
特定技能外国人が職場に定着し、長期的に活躍してもらうためには、入社後の日本語支援体制を整えることが重要です。
ここでは、企業が取り組むべき具体的な支援内容を紹介します。
日本語学習を支援する
業務に必要な日本語力を高めるために、日本語学習アプリやオンライン日本語講座の受講費用を企業が負担する形で日本語学習を支援することが効果的です。
また、業務で頻繁に使う単語や表現をまとめた「職場用語集」を作成して渡すことも、日常的な学習をサポートする手段になります。
このように、学習時間を就業時間内に確保できるよう配慮することで、外国人材の学習意欲向上にもつながります。
職場でのサポート体制を整備する
日本語に不慣れな段階でも業務をスムーズに進められるよう、職場環境を整えることが大切です。
業務マニュアルや安全注意事項などを母国語や平易な日本語(やさしい日本語)で作成・整備することで、指示の理解ミスや作業上のトラブルを防ぐことができます。
また、困ったときに気軽に相談できる担当者(メンター)を設けることも、外国人材の不安軽減に効果的です。
日本人社員との交流の場を設ける
日本語力の向上には、職場内での自然なコミュニケーションが欠かせません。
ランチ会や社内イベントなど、日本人社員と外国人材が気軽に交流できる場を定期的に設けて、業務外での日本語使用機会を増やすようにしましょう。
日常的な会話を通じて語彙や表現が自然に身につくだけでなく、職場への帰属意識が高まり、離職防止にもつながります。
特定技能外国人の日本語レベルは採用活動に重要
この記事では、特定技能に必要な日本語レベルや試験基準、入社後の支援について解説しました。
制度上はJLPTのN4レベルまたはJFT-BasicのA2レベルが基準となっており、基本的な日常会話や簡単な指示の理解ができる程度の日本語力が求められます。
一方で、実務では業務内容や職場環境によって必要な日本語力は異なるため、試験結果だけに頼らず面接での実践的な確認や入社後の継続的な支援体制を整えることが、採用成功のポイントです。
特定技能の日本語レベルを正しく理解し、自社の業務に適した人材採用につなげましょう。

