スーパーマーケットやコンビニエンスストア、飲食店にいたるまで、さまざまな業種で導入する企業が増加しているのがセルフレジです。
業務負担軽減や会計ミスの抑制など、導入する目的は企業によって異なります。
では、セルフレジを人手不足解消や人件費削減を目的に導入した場合、効果は期待できるのでしょうか。
本記事では、セルフレジの導入は人手不足解消に役立つのか、どのように導入すれば効果を引き出せるのかについて解説します。
日本国内における人手不足の現状

企業が人手不足解消のためにさまざまな施策を講じる背景には、人材確保が難しくなり、人手不足を原因とした企業倒産が年々増加している現状があります。
帝国データバンクの調査によると、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の人手不足関連倒産は441件となり、前年度比約1.3倍に増加し、過去最多を更新しました。
これは年度ベースで初めて400件を超えた水準であり、人手不足が企業経営に与える影響が年々深刻化していることが分かります。
特に飲食店や小売店、クリニック、福祉施設など労働集約型の業種では、人材不足によって店舗運営そのものが難しくなるケースも増えています。
今後も少子高齢化による労働人口の減少が続くと予測されており、人材採用だけで人手不足を解消することはますます難しくなる可能性があります。
そのため近年では、省人化や業務効率化を実現する手段として、セルフレジの導入に注目が集まっています。
参考サイト:人手不足倒産の動向調査(2025年度)|帝国データバンク
セルフレジ導入でどのくらい人件費削減できるのか
セルフレジの導入を検討している店舗事業者にとって、気になるのが「実際にどのくらい人件費を削減できるのか」という点ではないでしょうか。
セルフレジは、従来スタッフが行っていた会計業務を顧客自身で対応できるようになるため、レジ対応に必要なスタッフ人数を減らしやすくなります。
特にスーパーやコンビニ、小売店、飲食店などレジ対応の頻度が高い業種では、省人化によるコスト削減効果が期待できます。
ここでは、一般的な店舗を想定した場合にどの程度人件費削減につながるのか、シミュレーションをもとに見ていきましょう。
レジ対応スタッフを減らせることで人件費削減につながる
例えば、これまで4人で対応していたレジ業務を、セルフレジ導入によって2人体制に変更できた場合、人件費には以下のような差が生まれます。
| 項目 | 導入前(有人レジ) | 導入後(セルフレジ導入) |
|---|---|---|
| レジ担当人数 | 4人 | 2人 |
| 時給 | 1,200円 | 1,200円 |
| 1日8時間の人件費 | 38,400円 | 19,200円 |
| 月間(30日営業) | 約115万円 | 約57万円 |
| 削減効果 | – | 約58万円削減 |
セルフレジを導入することで、レジ対応スタッフをほかの接客業務や品出し業務に回せるため、新たな人材採用を抑えられる場合があります。
長期的には採用コスト削減にもつながる
人件費削減だけでなく、長期的には採用コストを抑えられる点もセルフレジ導入のメリットです。
近年はアルバイトやパートスタッフの採用単価も上昇傾向にあり、店舗によっては採用活動そのものが大きな負担になるケースもあります。
セルフレジによって必要なスタッフ数を減らせれば、新規採用人数を抑えやすくなり、人件費だけでなく採用コストの削減にもつながります。
特に慢性的な人手不足に悩んでいる店舗では、単純な業務効率化だけでなく、店舗運営を安定化させる手段としてもセルフレジ導入を検討する価値があるでしょう。
セルフレジが人手不足解消に役立つ理由
セルフレジが人手不足解消に役立つのは、以下の3点が理由です。
- レジスタッフを最小限の人員配置にできる
- レジの回転率が上がる
- レジ締めの負担軽減につながる
具体的にどのようにして人手不足が解消されるのか、セルフレジの効果について解説します。
レジスタッフを最小限の人員配置にできる
セルフレジを導入すれば、複数台につき1人のレジスタッフ配置で済むため、人手不足解消に役立ちます。レジ1台ずつにスタッフを配置するのと比べて、最小限の人員で運用できるためです。
レジ業務において人手不足を感じるのは、顧客の列に対してレジの稼働台数が少ない状況が続くときでしょう。
有人レジの場合、1台につき1人を配置しなければならないため、スタッフの人数が足りないと感じます。
セルフレジシステムを導入すれば、レジスタッフを増やさずにレジの台数だけを増やすことが可能です。完全な無人レジにすることはできませんが、大幅な人員削減につながるでしょう。
レジの稼働数が増えればレジスタッフの人数を確保する負担が軽減でき、人手不足解消に役立ちます。
レジの回転率が上がる
セルフレジ機能を導入するとレジの回転率が上がるのも、セルフレジが人手不足解消に役立つ理由の1つです。
とくに、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売業でレジの混雑を解消するには、稼働させるレジの数を増やす必要があります。
しかし、そのためにはフルセルフレジを導入しなければなりません。客層によっては、すべてのレジをすぐにフルセルフレジ(完全セルフレジ)に変更することが、難しい場合もあるでしょう。
そこでおすすめなのが、会計や決済・支払いのみをセルフ化するセミセルフレジ(セルフ精算レジ)です。
商品登録はレジスタッフが行い、セルフレジ機能を決済・支払いの工程に導入して精算をセルフ化すれば、会計作業の時間短縮になるため、レジの回転率が向上します。
レジの回転率が上がれば、レジの稼働台数を増やさずに会計の待機列を解消できるでしょう。結果的にレジスタッフの配置を減らせるため、人手不足解消に役立ちます。
セルフレジの種類について、詳しくは以下のページで解説しています。こちらもぜひ参考にしてください。
参考記事:セルフレジの種類と特徴は?導入で解決できる課題と注意点
レジ締めの負担軽減につながる
レジ締め作業の負担軽減につながるのも、セルフレジが人手不足解消に役立つ理由です。
小売業向けPOSシステムや自動精算機などのレジ締め作業では、決済とレジ内の金額が合っているかを人の手で集計し、差異がないかを確かめなければなりません。
しかし、レジスタッフが現金での会計業務を行っていると、釣銭ミスによって金額が合わないこともあります。何度も計算し直したり、不明金がレジ周辺に落下していないか確認したりと、残業が発生することもあるでしょう。
セルフレジであれば、機種によってはレジ締め業務を自動化してくれる機能が備わっています。レジスタッフの業務負担が軽減でき、締め作業が生じる閉店間際の人員が確保できないなどの課題解消につながります。
業種別|セルフレジが人手不足解消に役立つケース
セルフレジはさまざまな業種で導入が進んでいますが、人手不足解消につながるポイントは業種によって異なります。
特に店舗スタッフが会計業務に多くの時間を割いている業種では、セルフレジ導入による省人化効果が大きくなる傾向があります。
以下では、業種別にセルフレジ導入によってどのような課題解決につながるのかを比較してみましょう。
| 業種 | 人手不足の課題 | セルフレジ導入効果 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 会計対応でホールスタッフが不足しやすい | 接客や配膳業務へスタッフを回しやすい |
| スーパー | ピーク時のレジ待ちが発生しやすい | 少人数で複数レジを運用できる |
| コンビニ | 深夜帯の人員確保が難しい | 少人数営業や省人化につながる |
| ドラッグストア | 品出しとレジ対応を兼任しやすい | 品出し業務へ人員を回しやすい |
| クリニック | 受付・会計業務の負担が大きい | 受付スタッフの業務負担軽減につながる |
このように、セルフレジは単純にレジ業務を効率化するだけでなく、限られたスタッフ人数で店舗運営を行うための省人化対策としても活用されています。
自店舗の業態に合わせて、どのような運用改善につながるかを検討することが重要です。
人手不足対策ならフルセルフレジとセミセルフレジどちらを選ぶべきか
セルフレジには大きく分けて「フルセルフレジ」と「セミセルフレジ」の2種類があります。
どちらも人手不足解消に役立つ設備ですが、店舗の業態や運用方法によって適したタイプは異なります。
特に人手不足対策を目的に導入する場合は、単純に価格だけでなく、どこまで業務を省人化したいかを基準に選ぶことが重要です。
まずは、それぞれの違いを比較してみましょう。
| 種類 | 特徴 | 向いている店舗 |
|---|---|---|
| フルセルフレジ | 商品登録から会計まで顧客がすべて対応 | スーパー・コンビニ・大型小売店 |
| セミセルフレジ | 商品登録はスタッフ、会計のみ顧客が対応 | 飲食店・クリニック・中小規模店舗 |
できるだけスタッフ数を減らしたい場合はフルセルフレジ、接客品質を維持しながら会計業務だけ効率化したい場合はセミセルフレジが向いています。
自店舗の業態や顧客層に合わせて選ぶことが、人手不足解消を成功させるポイントです。
セルフレジを導入しても人手不足解消につながらないケース
セルフレジは、導入するだけで課題を解決できるものではありません。とくに、どのような課題を解消したいのかが明確になっていないと、思うように導入した効果を実感できないでしょう。
セルフレジも万能ではなく、人手不足解消のために導入しても逆効果になる場合があります。
そのような事態を防ぐためにも、導入失敗につながりやすい要因について確認しておくことが大切です。
機器トラブルへの対応力不足
セルフレジの機器トラブルにスタッフが対応できず、能力のあるスタッフでなければ担当できない配置場所になる場合があります。人手が足りていても、優れた能力をもつ人材不足に陥るでしょう。
釣銭が詰まったり、システムトラブルを起こしたりするようなケースです。トラブルへの対処に慣れていないと、復旧までに時間がかかります。
機械操作に慣れていないことを理由に敬遠され、レジスタッフの募集に人が集まらないかもしれません。
そのような場合は、研修制度が充実していることや、慣れるまでサポートスタッフと2人で対応できることなどをアピールする必要があります。
また、積極的に従業員間で情報共有を行い、トラブルへの対処方法に関するノウハウを蓄積することが大切です。
セルフレジ担当者への負担集中
セルフレジの担当者に負担が集中することも、人手不足解消に逆効果になるケースの1つです。
セルフレジの担当者は、複数台のセルフレジを1人で担当しなければなりません。同時に顧客に呼ばれたり、トラブルが発生したりすると、どうしても顧客を待たせます。
また、セルフレジの機種によっては、店員がキャッシュレス決済に付きっ切りで対応しなければならないケースも少なくありません。レジ袋の登録ができていないなど、会計を修正する業務も発生するでしょう。
そのため、有人レジでレジ打ちをするよりも負担が増加する可能性があります。
結果的に、退職者が出たり人員確保が思うようにできなかったりするなど、レジ業務を担う人員不足を加速させる可能性があるため注意が必要です。
参考記事:セルフレジでよくあるトラブルの事例と対処法|導入を成功させる運用方法のヒント
セルフレジを人手不足解消に役立てる導入のポイント

セルフレジを人手不足解消のために導入するのであれば、導入時する前にスタッフ教育や業務オペレーションの変更について、検討しておくことが重要です。
ここからは、セルフレジの導入失敗を防ぐための、導入時に意識しておくべきポイントについて解説します。
レジスタッフの研修を十分に行う
セルフレジを導入する際は、レジスタッフの研修を十分に行い、機器トラブルへの対応力や速度を向上させることが大切です。
とくに、セルフレジの担当者だけでなく、応援に入れるようにスタッフ全体のスキルを上げておく必要があります。
セルフレジを操作できる担当者を増やすことで、セルフレジの担当になることへの抵抗感の緩和につながるでしょう。
人員配置を適切に行う
セルフレジを導入するときは、人員配置を適切に行い、最小限の人員にこだわりすぎないことが大切です。
1人当たりの担当台数が多くなり、セルフレジのスタッフに負担が集中するのを避ける目的があります。
例えば、応援スタッフを選定しておく、1人あたりの担当レジ台数を減らす、などの工夫が重要です。
また、セルフレジの導入直後は、顧客も操作に慣れていません。操作が分からない顧客に、何度も呼ばれることが想定されます。
そのため、セルフレジの導入直後は、スタッフの負担を分散させるために複数人で対応にあたるなど、導入から定着までの人員配置を入念に検討すると良いでしょう。
業種・客層に合うセルフレジを導入する
セルフレジを導入するときは、業種や客層に合うセルフレジを選ぶことも大切です。
例えば、高齢者が多くキャッシュレス決済をする顧客が少ない地域であれば、支払いのみをセルフ化するセミセルフレジ(自動釣銭機)の導入が良いでしょう。
比較的若い世代の顧客が多い場合には、キャッシュレス決済のバリエーションを増やすのも効果的です。会員限定のコンテンツとして、ポイント獲得に応じた特典制度を導入すれば、集客にも役立ちます。
セルフレジを導入する場合、必ずしもフルセルフレジを導入する必要はありません。
セミセルフレジでレジの回転率を上げるのも、結果的に稼働させるレジの台数の削減につながります。業種や客層に合わせた機種を選ぶことが、人手不足解消への近道です。
また、小売業と飲食業では、導入に適した機種や必要な機能が異なります。飲食店でのセルフレジ導入を検討している場合は、以下の記事も参考にしてください。
参考記事:飲食店にセルフレジは導入すべき?メリット・デメリットとおすすめ機種を紹介
人手不足対策におすすめのセルフレジ3選
慢性的な人手不足に悩む店舗では、会計業務の自動化によって少人数でも運営できる環境づくりが重要です。
ここでは、Bizcan掲載サービスの中から、人手不足解消や業務効率化に役立つおすすめのセルフレジを3つ紹介します。
| サービス | 特徴 | 向いている業種 | 人手不足対策 |
|---|---|---|---|
| CASHIER | 低コスト導入・クラウドPOS連携 | 飲食店・小売店 | 省人化しながら売上管理も効率化 |
| e-POSセルフ | セルフ会計・セミセルフ対応で柔軟に運用 | 飲食店・小売店・サービス業 | 会計業務を自動化しスタッフ負担を削減 |
| A-2015 WSCREEN | 対面式セミセルフで会計業務を効率化 | スーパー・小売店・量販店 | 会計業務負担を大幅軽減 |
セルフレジを選ぶ際は、価格だけでなく、どの業務をどれだけ自動化できるかを比較し、自店舗の人手不足課題に合ったサービスを選ぶことが重要です。
CASHIER|株式会社ユニエイム

CASHIERは、飲食店や小売店向けに導入しやすいクラウドPOS型セルフレジサービスです。
セルフレジ化によって会計業務を効率化しながら、売上分析や在庫管理まで一元管理できる点が特徴です。
比較的導入コストを抑えやすいため、中小規模店舗でも導入しやすく、人手不足対策を進めたい店舗に適しています。
できるだけ少ないスタッフで店舗運営を行いたい事業者におすすめのサービスです。
e-POSセルフ|株式会社トランジット

e-POSセルフは、株式会社トランジットが提供するセルフレジ・セミセルフレジ対応サービスです。
店舗の運用に合わせてセルフ会計とセミセルフ運用を柔軟に選択できるため、スタッフの会計業務負担を軽減しながら省人化を進めやすい点が特徴です。
キャッシュレス決済やPOSシステムとも連携できるため、会計業務の効率化だけでなく、店舗全体のオペレーション改善にもつながります。
飲食店や小売店など、人手不足に悩む店舗で導入しやすいセルフレジサービスです。
A-2015 WSCREEN|日本NCRサービス株式会社
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A-2015 WSCREENは、日本NCRサービス株式会社が提供する対面式セミセルフレジです。
スタッフが商品登録を行い、会計は顧客自身が対応する仕組みによって、レジ業務の負担軽減と会計時間の短縮を実現できる点が特徴です。
また、自動釣銭機やキャッシュレス決済との連携にも対応しており、現金授受が不要になることでレジ違算防止や衛生面の向上にもつながります。
特にスーパーやドラッグストア、小売店など、レジ対応に多くのスタッフを割いている店舗の人手不足対策に向いています。
まとめ
セルフレジは、人手不足解消に効果的な設備です。しかし、導入方法や機種選びを間違えると、逆効果になる可能性があります。
導入する際には、店舗の客層に合わせて必要な機能を選びましょう。また、導入する前の段階で、導入後の業務の進め方やスタッフの配置などを検討することが大切です。

