さまざまな業種・業態の店舗で導入されているPOSレジですが、キャッシュドロアだけでなく、自動釣銭機と連携して導入するケースも増えています。
自動釣銭機を搭載したPOSレジは、飲食店・小売店はもちろん、病院やクリニック、アミューズメント施設・温浴施設など、多くの企業・店舗で活用されているのも特徴です。
しかし、POSレジの中には自動釣銭機との連携に対応していない機種もあるので、選定時には注意しなければなりません。
今回は、POSレジの基礎知識や種類について解説しながら、自動釣銭機と連携可能なおすすめのPOSレジを5選紹介します。
また、自動釣銭機とPOSレジを連携導入するメリットや、価格の目安についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
POSレジとは
POSレジとは、さまざまな店舗や施設で導入されている、POSシステムが搭載されたレジ設備のことです。POSシステム・POSレジのPOSは、Point of salesの略称で「販売時点情報管理」を意味します。
POSレジを通して会計を行うと、販売した商品の情報や日時、ポイントカードによる顧客情報などが自動的に記録される仕組みです。
POSレジの中には、ECショップの情報と連携して在庫管理・分析が行えるものもあれば、勤怠管理やシフト管理機能が備わっているものもあります。
自動釣銭機や決済端末とセットで導入すれば、会計・精算の自動化や非接触決済の実現も可能です。導入するPOSレジを選ぶ際は、自動釣銭機との連携可否だけでなく、自店舗に必要な機能を見極める必要があります。
参考記事:POSレジ・POSシステムの違いとは?主な機能と導入方法まとめ
自動釣銭機(自動つり銭機)とは
自動釣銭機とは、現金による会計・清算をレジ担当者に代わって自動で行う設備のことです。現金の受け渡しをレジスタッフに代わって行う機械で、投入金額から会計金額を差し引いて、自動的に釣銭金額を計算して排出します。
有人レジの場合、商品登録や会計・清算金額の算出をレジスタッフが行い、会計・清算を顧客が自動釣銭機で行うタイプの設備が多く活用されている傾向です。
キャッシュレス決済端末との親和性も高いため、キャッシュレス決済端末と自動釣銭機を搭載したPOSレジの導入により、レジ業務の大幅な効率化が実現できます。
自動釣銭機と連携できるPOSレジの種類
自動釣銭機と連携できるPOSレジは、大きく分けて以下の3種類あります。
- セミセルフレジ
- フルセルフレジ
- タブレットPOSレジ
これらの設備は、それぞれに特徴があるため、自店舗の状況や会計フローに応じた機種を選定することが大切です。ここからは、3種類のPOSレジそれぞれの特徴や、導入に適した環境について解説します。
セミセルフレジ
セミセルフレジは、有人レジと自動釣銭機による会計操作の自動化を両立したタイプのPOSレジです。小売業の場合、商品登録やバーコード読み取りをレジ担当者が行います。飲食店の場合は、オーダー用紙の読み取りやテーブルナンバーの入力などを店員が行い、会計を顧客に行ってもらう仕組みです。
とくに小売業では、商品登録作業を負担に感じる顧客も多く、無人レジを嫌煙する人も少なくありません。セミセルフレジでレジスタッフによる顧客対応を残しつつ、自動釣銭機で会計の一部を自動化することで、接客サービスとレジの回転率向上双方にとってメリットがある導入方法です。
参考記事:セミセルフレジとは?導入するメリット・デメリットやトラブルへの対策方法を解説
フルセルフレジ
フルセルフレジは、レジスタッフを配置せず、レジ設備のみを設置して導入するタイプのPOSレジです。レジ操作・会計・清算をすべて顧客が自ら行うため、店舗スタッフをレジ以外の業務に集中できるメリットがあります。
小売店や飲食店だけでなく、アミューズメント施設の入園券・利用チケットの販売や、温浴施設の事前精算機、クリニックの自動精算機として活用されているケースも少なくありません。POSシステムが備わっている券売機を導入する選択肢もあります。
ただし、顧客が使いやすい設備を導入しなければ、操作が難しいことを理由に利用を回避する「客離れ」につながる可能性があるので注意が必要です。
参考記事:セルフレジによる客離れを防ぐには?顧客が嫌がる理由と改善策を紹介
タブレットPOSレジ
タブレットPOSレジは、タブレット端末を活用してレジ設備として導入するタイプの機種です。大型のターミナル型POSレジと比べてコンパクトなため、小規模店舗や個人店舗でも設置しやすい特徴があります。
コンパクトなキャッシュドロアや決済端末とセットで導入するケースが多い一方で、自動釣銭機と連携して導入できるものもあり、多彩な導入方法に対応することが可能です。
自動釣銭機ではなく、タブレット端末やポータブル決済端末と併用すれば持ち運びにも対応でき、訪問販売や営業、美容サロンの対面販売、ハウスクリーニングや修理店の決済用としても活用できます。
参考記事:【2025年版】タブレットPOSレジとは?無料で導入できるおすすめサービスを5選紹介
自動釣銭機と連携導入できるPOSレジ5選
ここからは、自動釣銭機と連携導入できるPOSレジの中から、おすすめのサービスを5選紹介します。それぞれ備わっている機能が異なるほか、業種特化型の機能が備わっている機種もあるので、自店舗・自施設の状況に合わせて導入するPOSレジを選定しましょう。
スマレジ
出典:株式会社スマレジ
自動釣銭機と連携導入できるPOSレジなら、スマレジがおすすめです。スマレジは、グローリー社製の自動釣銭機(N300・グローリー380)との連携に対応しています。 新紙幣にも対応している点が特徴で、比較的設備サイズもコンパクトなので、大型店舗のみならず小規模店舗・個人店舗での導入にも最適です。
機内の現金残高の情報も一目で確認しやすく、有人レジ用・セルフレジ用のどちらの方法でも導入できます。POSレジ自体は、タブレットPOSレジとして導入できるクラウドシステムです。
各種分析機能が備わっていることはもちろん、会計ソフトやモバイルオーダー、スマレジタイムカードなど、豊富な機能が利用できます。キャッシュレス決済端末のPAY GATEとも連携可能です。
CASHIER POS
出典:株式会社ユニエイム
株式会社ユニエイムが提供しているPOSレジ・決済設備サービスのCASHIERも、自動釣銭機との連携に対応しています。CASHIERのPOSレジと連携できる自動釣銭機は、釣銭の補充頻度が少なく済む循環式が特徴で、顧客が投入した現金を循環させて釣銭として補充される仕組みです。
また、釣銭が不足した際には、1つ下の硬貨での払い出し(10円が不足したら5円2枚払う)ができる機能も備わっています。
POSレジの機能としては、モバイルオーダー・テーブルオーダー機能や、呼び出しディスプレイ・キッチンディスプレイとの連携機能も利用できる点が魅力です。リテール向け機能として、スマホセルフレジ機能やECショップ開設機能なども備わっています。
funfo
出典:ファンフォ株式会社
飲食店向けのPOSレジ&モバイルオーダーシステムを提供しているfunfoでも、自動釣銭機連携に対応しています。funfoのPOSレジは、店内版モバイルオーダー・店外版モバイルオーダー・テイクアウト注文などに対応しており、飲食店のレジ業務やオーダー業務効率化に最適なサービスです。
自動釣銭機を連携することで、釣銭ミスの抑止につながります。funfoのPOSレジは、セルフレジではなく基本的に有人レジを想定しているため、店員によるレジ対応を残しつつ、釣銭ミスの抑止やレジ業務の効率化を図りたい方におすすめです。
Airレジ
出典:株式会社リクルート
株式会社リクルートが提供しているPOSレジサービスのAirレジも、自動釣銭機との連携導入に対応しています。対面レジ・セルフ会計の両方の導入方法に対応しているため、非接触会計を導入したい店舗にも最適です。
また、Airレジは、外部システムやほかのサービスとの連携パターンも豊富にあります。例えば、従業員のシフト管理に役立つAirシフトや、予約管理システムのAirリザーブ、従業員の採用管理・給与支払システムのAirワークなどです。
さらに、キャッシュレス決済端末のAirペイとの連携も可能なため、店舗のオペレーションに合わせた独自のシステムを構築できます。
ハヤレジ
出典:ハヤレジ株式会社
自動釣銭機と連携可能なPOSレジをクリニックや病院などの医療機関で導入するなら、ハヤレジがおすすめです。テーブルトップ型の設備だけでなく、自立型のスタンド付きモデルも選択できます。
ハヤレジは、患者のカルテ情報管理やレセコンとの連携にも対応している点が特徴です。また、自動再来受付機や待合・会計案内表示システムの導入ができるほか、診療予約システムの導入にも対応しています。
非接触で衛生的に会計・清算対応するための設備として、医療機関で自動釣銭機と連携可能なPOSレジを導入するなら、カルテ・レセコンとの連携も可能なハヤレジが最適です。
POSレジと自動釣銭機を連携するメリット
POSレジと自動釣銭機を連携するメリットは、以下の5項目です。
- 釣銭ミスが防げる
- レジ締め・売上集計作業を自動化できる
- 支払い・清算をセルフ化できる
- 非接触で衛生的に対応できる
- レジの回転率が向上する
それぞれ、具体的にどのような効果があるのか、自動釣銭機とキャッシュドロアの機能差を踏まえて解説します。
釣銭ミスが防げる
POSレジと自動釣銭機を連携すると、釣銭ミスが防げるメリットがあります。キャッシュドロアの場合、人の手で紙幣や硬貨を数えて受け渡しを行う必要があるため、どれだけ確認していても人的ミスを完全に抑止することは困難です。一方で、自動釣銭機であれば自動的に釣銭が集計されて排出されるため、釣銭ミスの大幅な抑止につながります。
レジ締め・売上集計作業を自動化できる
レジ締め・売上集計作業を自動化できるのも、POSレジと自動釣銭機を連携導入するメリットです。キャッシュドロアの場合は、人の手で数えて金額を集計する必要があります。自動釣銭機とPOSレジを連携導入すれば、売上情報と照らし合わせて自動釣銭機が機内の現金を自動的に計算するため、レジ締め作業にかかる時間の効率化が可能です。
支払い・清算をセルフ化できる
支払い・清算をセルフ化できるのも、POSレジと自動釣銭機を連携するメリットの1つです。POSレジで集計した会計・清算料金の情報を自動釣銭機と共有できるため、支払い・清算を顧客に自ら行ってもらえます。キャッシュレス決済端末も追加で導入すれば、あらゆる決済手段での支払い・清算に対応可能です。ただし、POSレジや自動釣銭機の種類によっては、セルフ化に対応していないサービスもあるので注意しましょう。
非接触で衛生的に対応できる
POSレジと自動釣銭機を導入すると、非接触で衛生的に対応できるメリットもあります。自動釣銭機で会計操作をセルフ化することにより、レジスタッフと顧客が現金の受け渡しを行う必要がなくなるためです。接触頻度が減るため、感染症対策の観点でも効果的な設備として、とくにクリニックや医療機関での導入に適しています。
レジの回転率が向上する
レジの回転率が向上するのも、POSレジを自動釣銭機と連携導入するメリットです。自動釣銭機があれば、レジスタッフが受け取った現金を数えたり、釣銭金額に間違いがないか確認したりする時間が削減できます。また、会計・清算を顧客が自ら行うセルフレジとして導入すれば、レジスタッフも会計業務以外の業務に集中できることから、レジの回転率が向上し、レジ待ち列の解消にも効果的です。
参考記事:POSレジのメリット・デメリットとは?費用目安や選び方・導入時の注意点を解説
自動釣銭機とPOSレジの導入費用・購入価格の目安
自動釣銭機搭載型のPOSレジの導入費用は、約30万円~100万円が目安です。導入する機種の種類やサービス内容、利用するオプション・周辺機器などによっても変動しますが、一般的なキャッシュドロアとPOSレジを導入するのと比べると高くなる傾向にあります。
自動釣銭機やPOSレジの導入費用を抑えるには、レンタルやリース・サブスクなどを活用するのも選択肢の1つです。また、国や自治体が運営している補助金・助成金制度を活用して、自動釣銭機導入費の一部を支援してもらうのも良いでしょう。
参考記事:POSレジの価格相場はどれくらい?種類ごとの導入費用の目安と安く抑えるコツ
参考記事:【2025年最新】POSレジ導入に利用できる補助金・助成金5選|金額や申請要件について解説
自動釣銭機と連携できるPOSレジの選び方と比較ポイント
自動釣銭機と連携できるPOSレジを選ぶ際は、以下の比較ポイントを意識することが大切です。
- 導入にかかる費用で比較する
- POSレジの機能で比較する
- 業界に特化したサービスがあるかチェックする
- キャッシュレス決済端末や外部システムと連携できるか確認する
- 循環式・非循環式を比較する
- 停電やシステムエラーが発生した際の対策があるか確認する
- アフターサービスの充実度で選ぶ
自動釣銭機は、機能もサイズも多種多様なサービスが展開されています。とくに、釣銭の補充頻度が少ない循環式の自動釣銭機がおすすめです。
また、従業員の勤怠管理システムやシフト管理システム、給与計算ソフト・会計ソフト、予約管理システムなど、外部システムと連携できるか確認しておくと良いでしょう。
自店舗・自施設に必要な機能や予算、トラブルがあった際のサポート体制なども考慮した上で、導入する機種を選定することが重要です。
参考記事:POSレジの機能一覧|業種別のおすすめ機能と選び方のポイント
まとめ
POSレジは、自動釣銭機と連携した導入方法以外にも、キャッシュドロア付きタイプや決済端末とセットで導入する方法など、設備の組み合わせ方が多彩にあります。
また、POSシステムが備わっている券売機やKIOSK端末、POSシステム搭載型のキャッシュレス決済端末なども登場しており、POSシステムそのものに関する導入方法の検討も必要です。
複数の店舗を経営している場合には、複数店舗管理機能が備わっているPOSレジを選ぶなど、状況に応じて最適な機種を選びましょう。