飲食店などで券売機(自動券売機)を事業用として導入する際、法定耐用年数に応じて減価償却すれば、法定耐用年数の期間にわたって、費用計上できます。しかし、券売機を導入する際、減価償却計上できるのは基本的に購入するケースのみです。
では、券売機をリース・レンタル利用する場合、減価償却の対象外なのでしょうか。減価償却できない場合は、どのように費用計上すれば良いのでしょうか。
本記事では、券売機導入時に把握しておきたい、券売機の法定耐用年数や減価償却の方法と、リース・レンタル利用時の計上方法について詳しく解説します。
券売機の費用計上に欠かせない「法定耐用年数」とは
まずは、券売機を費用計上する際に出てくる用語を解説します。意味を正しく理解した上で、法定耐用年数に応じた費用計上を行いましょう。
法定耐用年数とは
法定耐用年数とは、費用計上の公平を期すために、国税庁建物や機械装置、器具備品などの減価償却資産が、税法上使用できると認められる期間として、法律で一律に定めた年数のことを指します。
取得した資産の種類によって法定耐用年数が異なるため、固定資産を取得した際は法定耐用年数に応じた減価償却を行わなければなりません。
また、法定耐用年数と耐用年数の違いは、法的に定められている期間であるか否かという点です。メーカーの品質保証や、一般的に問題なく使用し続けられる期間の目安として「耐用年数」が用いられることもあります。
費用計上を行う際は、一般的な耐用年数ではなく、必ず法定耐用年数に応じた計上を行いましょう。
固定資産とは
固定資産とは、流動的あるいは消耗的ではない資産のことです。具体的には、土地や建物(不動産)・設備などが挙げられます。
会社や個人事業主などの事業で取得したものだけでなく、個人で所有している場合も固定資産として認められる点が特徴です。ただし、経費として減価償却できるのは会社や個人事業主など、事業に関わる支出が発生した際に限られます。
固定資産を取得した際は、法定耐用年数に応じて減価償却を行いましょう。法人税法では償却限度額の範囲内で償却費を計上できます。
減価償却とは
減価償却とは、不動産や土地・設備などの固定資産を取得した際に、法定耐用年数に応じて取得費用を配分し、費用計上することを指します。
減価償却できる固定資産は、減価償却資産と呼ばれるのも特徴です。基本的には、取得にかかった費用が10万円を超える固定資産のみ適用されます。
減価償却を行う方法は、定額法と定率法の2種類あるため、どちらの方法で計上すべきか検討しておくことが大切です。
券売機の法定耐用年数は何年?

券売機の法定耐用年数は、設備の仕様や資産区分によって判断します。一般的な飲食店用の券売機は「機械及び装置」として耐用年数8年で処理されるケースが多いです。
ただし、法定耐用年数はあくまで減価償却を行う際の税務上の基準であり、実際に券売機を使用できる期間とは異なります。
一般的な券売機の寿命は約5年〜7年程度といわれており、使用頻度や設置環境によっては、法定耐用年数に達する前に故障や修理対応が発生するケースもあります。
一方で、定期的なメンテナンスや適切な保守管理を行うことで、10年以上使用できる場合もあります。
費用計上する際の減価償却については、実際の使用期間にかかわらず、券売機の法定耐用年数である8年を基準に処理する点に注意しましょう。
また、券売機は導入に向いている店舗ばかりではありません。どのような飲食店であれば券売機の導入に適しているのかは、以下の記事で解説していますのでこちらもぜひ参照ください。
参考記事:券売機導入に向いている飲食店は?設置に向いている店舗の特徴と機種の比較ポイント
券売機を法定耐用年数に応じて減価償却する方法
ここからは、券売機を法定耐用年数に応じて減価償却する方法について解説します。取得費用や定額法・定率法のどちらで計上するかによって、金額に差があるため注意してください。
自社で券売機を購入した場合の減価償却方法
自社で券売機を購入した場合、定額法もしくは定率法で減価償却を行い、経費として計上します。ここでは、購入金額100万円の券売機を導入した場合の減価償却方法について解説します。
定額法
定額法とは、毎年一定の金額を減価償却費として費用計上する方法です。毎年同じ金額を計上できるため、費用管理がしやすい点が特徴です。
| 年度 | 減価償却費 | 期首残高 (その年の開始時点の残高) |
期末残高 (その年の終了時点の残高) |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 12.5万円 | 100万円 | 87.5万円 |
| 2年目 | 12.5万円 | 87.5万円 | 75万円 |
| 3年目 | 12.5万円 | 75万円 | 62.5万円 |
| 4年目 | 12.5万円 | 62.5万円 | 50万円 |
| 5年目 | 12.5万円 | 50万円 | 37.5万円 |
| 6年目 | 12.5万円 | 37.5万円 | 25万円 |
| 7年目 | 12.5万円 | 25万円 | 12.5万円 |
| 8年目 | 124,999円 | 12.5万円 | 1円 |
100万円の券売機を購入した場合、原則として毎年ほぼ一定額を計上し、最終年度は備忘価額1円を残す形で償却します。
定率法
定率法は、期首残高に対して一定の割合をかけて減価償却費を算出する方法です。購入初年度の減価償却費が大きく、年数が経過するにつれて計上額が減少する点が特徴です。
| 年度 | 減価償却費 | 期首残高 (その年の開始時点の残高) |
期末残高 (その年の終了時点の残高) |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 25万円 | 100万円 | 75万円 |
| 2年目 | 18.75万円 | 75万円 | 56.25万円 |
| 3年目 | 14.06万円 | 56.25万円 | 42.19万円 |
| 4年目 | 10.55万円 | 42.19万円 | 31.64万円 |
| 5年目 | 79,101円 | 31.64万円 | 237,306円 |
| 6年目 | 79,260円 | 237,306円 | 158,046円 |
| 7年目 | 79,260円 | 158,046円 | 78,786円 |
| 8年目 | 78,785円 | 78,786円 | 1円 |
定率法で100万円の券売機を減価償却する場合、法定耐用年数8年のため、毎年25%※の割合で算出した金額を計上します。
※償却率25%と仮定して計算
定率法では、毎年の期首残高に一定割合をかけて計算するため、購入初年度ほど減価償却費が大きくなります。
また、定率法では通常の償却率で計算した減価償却費が保証額を下回った場合、改定償却率を適用して計算します。
法定耐用年数8年の場合、以下の数値を使用します。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 償却率 | 0.250(25%) |
| 保証率 | 0.07909 |
| 改定償却率 | 0.334 |
保証額は以下の計算式で算出します。
| 購入金額100万円 × 保証率0.07909 = 79,090円 |
5年目以降は、通常の償却率0.250で計算した減価償却費が保証額を下回るため、改定償却率0.334を適用します。
しかし、8年経過後も資産として保有していることを記録するため、1円を残した78,785円で計上します。
残存簿価1円を残すことで、減価償却終了後も事業で使用している資産を帳簿上で管理できます。
Bizcan編集部のワンポイントチェック!
減価償却の計算例は、100万円の券売機を購入した場合の目安だよ!
実際の会計処理では、購入時期や事業者の状況によって計算方法が変わる場合があるから、必要に応じて専門家へ相談してね♪
券売機をレンタル・リース利用した場合の減価償却方法
ここからは、券売機をレンタル・リース利用した場合の減価償却方法を紹介します。契約内容によっては、減価償却の対象外になる場合もあるため、契約内容をよく確かめて会計処理しましょう。
ファイナンスリース契約
ファイナンスリース契約を締結して券売機を導入した場合は、購入時と同様の減価償却方法で計上します。ファイナンスリース契約は分割払いに近い契約方法で、券売機メーカーによる提供が多いのも特徴です。
ただし、ファイナンスリース契約には所有権移転型と所有権移転外型があります。現在は所有権移転外ファイナンスリースが一般的であり、契約満了後も所有権はリース会社に残るケースが多くなっています。所有権移転ファイナンスリースの場合には、利用者に所有権が移譲されます。
所有権が移転しない所有権移転外ファイナンスリースも、同様の計上方法です。
所有権移転ファイナンスリースの場合、契約期間満了後に券売機を自己保有資産として所有できるようになる半面、中途解約できないケースが多いので注意しましょう。
オペレーティングリース契約
オペレーティングリース契約は、自己保有資産として券売機を所有できないので減価償却計上はできません。
ファイナンスリース契約とは異なり、リース契約満了後も所有権が移譲されないためです。リース利用料として支払っている経費は、勘定科目の「リース料」として計上できます。
減価償却による計上とは異なるため、リース契約を締結する場合は、ファイナンスリース契約かオペレーティングリース契約かを把握しておきましょう。
オペレーティングリース契約の場合、違約金を支払えば中途解約できるようになっていたり、契約期間が短めに設定されていたりするため、中期的な利用に適している契約方法です。
レンタル契約
レンタル契約で券売機を導入した場合は、減価償却による費用計上の対象外です。オペレーティングリース契約と同様に自己保有資産にはあたらないためで、レンタル利用料を経費で支払うときは「賃借料」の勘定科目で計上します。
レンタル契約は契約期間が比較的短い傾向にあり、券売機の短期利用であれば最短1日から利用できるサービスがあるのも特徴です。
いずれの導入方法でも、券売機の導入にかかった費用を経費として計上できますが、計上方法が異なる点に注意しましょう。
参考記事:券売機の購入方法を比較|レンタル・リース・サブスクとの違い、おすすめ機種5選と費用相場を解説
券売機を導入する方法の選び方

券売機の導入方法を選択する場合は、券売機を必要とする期間の長さに応じて検討する方法がおすすめです。
券売機の導入方法を選ぶポイント
- 短期利用ならレンタル契約する
- 中期利用ならリース契約する
- 長期的に利用するなら購入する
期間ごとにそれぞれの導入方法をおすすめする理由や、メリットについて詳しく解説します。
短期利用ならレンタル契約する
券売機を短期的に利用したい場合は、レンタル契約がおすすめです。レンタル契約は、契約期間の定めが短いものも多いため短期利用に適しています。
例えば、ポップアップストアやイベント出店など、出店する期間が事前にわかる場合は、レンタルサービスを利用すると良いでしょう。
店舗で券売機を導入する際にレンタルサービスを利用することも可能ですが、長期的に利用していると購入した方が安く済むことになるので注意が必要です。
中期利用ならリース契約する
中期的(1年~5年)な利用であれば、リース契約がおすすめです。とくに、券売機の所有権を将来的に移譲してもらいたい場合は、ファイナンスリース契約を締結すると良いでしょう。
所有権の移譲を希望しておらず、リース契約満了のタイミングで機種を新しいものに入れ替えたいという場合は、オペレーティングリース契約もおすすめです。
リース契約の場合、エラーや故障・システムアップデートなどの対応も、すべてサービス事業者に任せられるメリットがあります。
定期的な入れ替えを検討していたり、数年単位の利用を検討していたりする場合は、券売機のリースサービスを活用すると良いでしょう。
長期的に利用するなら購入する
券売機を長期的(5年以上)にわたって利用する予定であれば、購入がおすすめです。購入すれば自社の固定資産として減価償却費を計上することができ、月額利用料などを負担し続ける必要もありません。
また、券売機を購入する際に国や自治体の補助金・助成金制度を活用できる場合があるので、結果的に費用負担を抑えられる可能性があります。
ただし、保守管理費用や故障した際の修理、新紙幣への対応にともなうシステムアップデートなどが必要になったときは、販売会社によって別途費用が発生することもあるので注意しましょう。
券売機で新札対応する方法や、導入時に活用できる国や自治体の補助金・助成金制度については、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:券売機の新紙幣・硬貨の対応方法とおすすめ機種3選!既存機種の更新方法と買い替え時の補助金活用まで徹底解説
参考記事:【2026年最新】券売機の導入に利用できる補助金・助成金制度5選|制度ごとの補助上限額や申請要件も紹介
まとめ
券売機の耐用年数は5~6年程度ですが、費用計上する際の法定耐用年数は5年です。また、自動釣銭機や自動精算機、POSレジ・セルフレジを購入する場合は、法定耐用年数が5年に定められているので違いに注意してください。
券売機の周辺機器として決済端末やレシートプリンター、キッチンディスプレイなどを購入した場合は、「事務機器・通信機器」に該当するので法定耐用年数が5年となります。
券売機の購入にかかる費用が負担になっているのであれば、レンタルやリースでの導入もおすすめです。
券売機の導入方法で迷った際は、以下の記事で価格や利用料金の目安を解説していますので、比較検討する際の参考としてお役立てください。


