特定技能外国人の採用を進める中で、「在留期間は最長何年まで認められるのか」「更新手続きはどのように進めればよいのか」といった疑問を抱える企業担当者の方は多いのではないでしょうか。
在留期間の管理は、外国人雇用において非常に重要な業務の一つです。期限を見落とすと、外国人材が不法就労状態になるリスクがあり、企業側も法的な責任を問われかねません。また、2024年の運用要領改正により、特定技能1号の在留期間に関するルールが一部変更されており、最新情報を正確に把握しておく必要があります。
この記事では、特定技能1号・2号それぞれの在留期間の違いから、改正による制度変更の内容、更新手続きの流れ・必要書類まで、企業担当者が知っておくべき情報をわかりやすく解説します。
特定技能の1号・2号とは?
特定技能とは、2019年に新たに創設された在留資格制度です。
少子高齢化による深刻な人手不足に対応するため、特定の産業分野において一定の専門性・技能を持つ外国人を即戦力として受け入れることを目的としています。
従来の技能実習制度が「人材育成・国際貢献」を目的としていたのに対し、特定技能は「労働力の確保」を正面から認めた制度として、多くの企業から注目されています。
特定技能1号・2号の主な違い
特定技能には1号と2号の2種類があり、以下のように技能水準や在留条件が異なります。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 技能水準 | 相当程度の知識・経験が必要 | 熟練した技能が必要 |
| 在留期間 | 通算5年以内(1回の付与は最長3年) | 上限なし(3年・2年・1年・6か月の更新制) |
| 家族帯同 | 原則不可 | 要件を満たせば可 |
| 対象分野 | 16分野 | 介護を除く11分野 |
| 支援義務 | あり(企業または登録支援機関) | なし |
特定技能1号は通算5年以内の在留期間で、技能試験・日本語試験への合格(技能実習2号修了者は免除)と義務的支援の実施が求められます。
一方、特定技能2号は在留期間の上限がなく家族帯同も可能ですが、分野ごとの技能試験合格と実務経験が必要であるため、1号より取得難易度が高くなっています。
参考記事:特定技能外国人を採用するには?手続き方法や注意点を解説
特定技能1号の在留期間は通算5年?改正で何が変わったのか

特定技能1号の在留期間は、原則として通算5年が上限です。ただし、2025年9月30日に施行された「特定技能外国人受入れに関する運用要領」の改正により、在留期間の付与単位の見直しや、通算上限に関する特例措置が新設されました。
ここでは、特定技能1号の在留期間について詳しく解説します。
在留期間は3年・1年・6か月・4か月ごとに更新
2025年9月30日の運用要領改訂により、特定技能1号の在留期間はこれまでの「1年を超えない範囲」から、「3年を超えない範囲」で付与できるよう変更されました。
これにより、従来は最長1年・6か月・4か月ごとに更新が必要だったものが、最長3年単位での付与が可能となり、企業・外国人のどちらも手続きにかかる負担が大幅に軽減されます。
| 区分 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 特定技能1号 | 1年・6か月・4か月のいずれか | 3年以内・1年・6か月・4か月のいずれか |
「通算5年」の正しいカウント方法
通算の在留期間の始まりの日は「在留カードを受け取った日(特定技能として入国した日)」です。「雇用開始日が通算の始まり」と誤解しやすいため、注意しましょう。
また通算期間のカウントにあたって、以下に含まれるケースと含まれないケースを整理しました。通算期間をカウントする際に参考にしてください。
| 通算期間に「含まれる」主なケース | 通算期間に「含まれない」主なケース |
|---|---|
| ・転職前の前職において特定技能として就労していた期間 ・外国人が帰国していた期間(みなし再入国許可による出国含む) ・失業期間・労働災害による就労不能期間 |
・妊娠・出産・育児、または病気・怪我(労災を含む)による休業期間 ※2025年改正により明記 ・新型コロナウイルス感染拡大防止のために再入国ができなかった期間 ※申請・承認を経て除外される |
【改正】在留期間「6年ルール」で実質1年延長へ
2025年9月の改正により、特定技能2号への移行試験に不合格だった場合でも、以下の場合に限り最大1年間の延長(通算最長6年)が認められる特例が新設されました。
- 移行試験で合格基準点の8割以上を得点している
- 引き続き移行試験を受験する意思がある
- 受入れ機関に、継続雇用・支援の意思がある
※自動車整備分野・航空従事者分野は対象外
この特例は、2号移行を目指す外国人材を雇用したい企業にとって大きなメリットとなります。雇用計画の策定にあたっては、通算期間の上限だけでなく、この特例措置も視野に入れておくことがおすすめです。
特定技能2号の在留期間は上限なし

特定技能2号の在留期間には上限がありません。定期的な更新手続きは必要ですが、条件を満たしている限り、理論上は無期限で日本に在留して就労することが可能です。
ここでは、特定技能2号の在留期間について詳しく解説します。
在留期間は3年・2年・1年・6か月ごとに更新
2025年9月の運用要領改訂により、特定技能2号の在留期間の選択肢に「2年」が新たに追加されました。これにより、3年・2年・1年・6か月のいずれかで付与されるようになっています。
| 区分 | 在留期間の上限 | 更新の単位 |
|---|---|---|
| 特定技能2号 | 上限なし | 3年・2年・1年・6か月のいずれか |
なお、特定技能2号を取得するには、分野ごとに定められた技能試験への合格と一定の実務経験が必要です。試験の難易度は1号より高く、複数の従業員を指導・管理できる「熟練した技能」が求められます。
永住権は取得できる?
特定技能1号では永住権の申請はできませんが、特定技能2号に移行し、さらに以下の要件を満たせば永住権の申請が可能です。
- 素行が善良であること
- 日本に10年以上在住していること
- 独立して生計を立てられること
- 身元保証人がいること
ただし、技能実習と特定技能1号の在留期間は、永住権申請に必要な10年間のカウントに含まれません。そのため、特定技能2号を取得してから10年以上在留することが永住権申請の目安となります。
また特定技能2号では、要件を満たすことで配偶者と子を帯同できる「家族滞在」という在留資格が付与されます。家族とともに日本で生活・就労できる環境が整うため、外国人材の定着率向上にも大きく貢献します。
特定技能における在留期間の更新手順と必要書類

在留期間の管理は、特定技能外国人を雇用する企業にとって最も重要な実務の一つです。期限を過ぎてしまうと外国人が不法就労状態となり、企業側も罰則を受けるリスクがあります。
ここでは、更新の流れと必要書類を整理します。
在留期間更新許可申請の基本的な流れ
在留期間の更新手続きは、在留期間の満了日を迎える3か月前から提出が可能です。必要書類の準備期間を含め、4か月前から更新準備を進めると良いでしょう。
以下に、具体的な手順をまとめました。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1.書類準備 | 受入れ企業・特定技能外国人の双方が必要書類を用意 |
| 2.申請書作成 | 「在留期間更新許可申請書」を作成 |
| 3.書類提出 | 受入れ企業の所在地を管轄する出入国在留管理局へ提出 |
| 4.審査 | 出入国在留管理局にて審査(目安:1〜3か月) |
| 5.新カード発行 | 審査承認後、新たな在留カードが発行される |
審査完了までにはおよそ1〜3か月かかります。4月は外国人の入社が多い傾向にあり、審査に時間がかかることが想定されるため、期間に余裕をもって手続きを進めましょう。
万が一、在留期間内に審査が完了しなかった場合でも、すでに更新手続きの審査中であれば「在留期間特例制度」によって最長2か月間は就労できる場合があります。
必要となる主な提出書類
更新申請に必要な書類は、受け入れ企業側と特定技能外国人側の双方で準備する必要があります。ここでは、必要となる主な提出書類をまとめました。
【受入れ企業側が準備する主な書類】
| 書類のジャンル | 書類名 |
|---|---|
| 雇用関係 | ・特定技能雇用契約書・雇用条件書 ・給与所得の源泉徴収票の写し ・外国人の報酬に関する説明書 |
| 企業概要 | ・特定技能企業概要書 ・登記事項証明書 ・業務執行に関与する役員の住民票の写し ・役員に関する誓約書 |
| 保険・税務 | ・労働保険概算・確定保険料申告書の写し ・社会保険料納入状況回答票または領収証書(24か月分) ・納税証明書(直近2年分) ・公的義務履行に関する説明書 |
【特定技能外国人が準備する主な書類】
- パスポート(原本)
- 在留カード(原本)
- 在留期間更新許可申請書
- 個人住民税の課税証明書・納税証明書
- 顔写真
ただし、分野によって異なる場合があるため、最新の書類リストは出入国在留管理庁のWebサイトで必ず確認してください。
特定技能の在留期間を正しく理解し、長期的な外国人採用につなげよう
この記事では、特定技能の在留期間について、1号・2号の違い、最新の改正内容、更新手順までを解説しました。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間の上限 | 通算5年(特例で最長6年) | 上限なし |
| 更新の単位 | 3年以内・1年・6か月・4か月 | 3年・2年・1年・6か月 |
| 永住権の取得 | 不可 | 要件を満たせば可能 |
| 家族帯同 | 原則不可 | 要件を満たせば可能 |
特定技能1号は通算5年が原則ですが、2025年9月の改正で付与単位の拡大・除外期間の明確化・最長6年の特例措置が新設され、制度は柔軟化しています。特定技能2号への移行も早期から視野に入れることで、企業は長期的な人材戦略を構築できます。
特定技能の在留期間を正しく理解し、更新管理や制度改正に対応することで、外国人材の安定雇用と人材不足の解消につなげましょう。

