人手不足の解消や事業拡大を目的に、外国人採用を検討し始めた企業担当者の方も多いのではないでしょうか。しかし、「何から確認すればよいのか分からない」「日本人採用と何が違うのか不安」と感じている方も少なくありません。
実は、外国人採用には在留資格や法的責任など、日本人採用にはない注意点があります。これらを知らずに進めてしまうと、意図せず法令違反をしてしまったり、早期離職を招いてしまったりするリスクがあります。
そこで本記事では、外国人採用において特に重要な5つの注意点や入社後のトラブルを未然に防ぐ具体的なポイントを解説します。
外国人採用は日本人採用と何が違うのか?
外国人採用と日本人採用の最も大きな違いは、「在留資格(ビザ)」の確認と管理が法律で義務付けられている点です。日本人が原則として職種の制限なく就労できるのに対し、外国人は国から許可された範囲内でしか働くことができません。
具体的には、以下の3つのポイントが日本人採用とは異なります。
- 在留資格によって業務内容に制限がある
外国人は、持っている在留資格(ビザ)の種類によって従事できる業務が定められています。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の資格を持っている場合、単純作業や現場の軽作業をメインで行うことはできません。
- 日本人と同待遇で募集する必要がある
原則として雇用する外国人労働者の賃金や福利厚生などの労働条件は、同じ業務に従事する日本人と同等、あるいはそれ以上の待遇にする必要があります。
- 企業側にも法的責任が発生する
在留資格の確認を怠り、働く資格のない外国人を働かせてしまった場合、企業側が「不法就労助長罪」に問われ、5年以下の懲役または500万円以下の罰金(またはその両方)が科されるリスクがあります。
このように、外国人採用は日本人採用よりも確認すべき法的事項が多い傾向にあるため、企業は正しい知識を把握したうえで取り組むことが重要です。
以下の記事で在留資格について詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
参考記事:初めての外国人採用ガイド!在留資格の種類や手続きをわかりやすく解説
外国人採用前に知っておくべき5つの注意点

外国人採用を成功させるためには、以下で紹介する5つのポイントに注意することが不可欠です。事前に確認を徹底することで、不法就労や採用後のトラブルを未然に防ぐことができます。
在留カードの原本を確認する
面接の際は、必ず「在留カード」の原本を提示してもらいましょう。コピーだけでは偽造を見抜くのが難しいため、必ず原本を確認してください。
カードの表面で氏名、在留資格、在留期限を確認し、裏面で資格外活動許可の有無をチェックしてください。また、出入国在留管理庁の公式サイトで在留カード番号の有効性を確認することも重要です。
在留資格と業務内容が一致しているか
応募者が有している在留資格で、自社が任せたい仕事ができるかを必ず確認してください。
例えば、通訳として採用したのに、実際は工場でのライン作業がメインになっているケースでは「資格外活動」となり、法令違反になります。
「学歴・職歴」と「これから従事する業務」に論理的なつながりがあることがポイントです。
外国人の日本語レベルは基準に達しているか
業務を円滑に行うためには、日本語能力が基準に達しているかを確認する必要があります。日本語力が不足していると、指示の誤解や顧客対応のトラブルにつながる恐れがあります。
日本語能力試験(JLPT)のレベル確認や面接での会話チェックなどの複数の観点から、外国人の日本語レベルを見極めましょう。
外国人に必要な日本語レベルの目安について、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
参考記事:外国人採用で失敗しない日本語レベルの考え方|採用基準・教育方法を解説
業務内容や勤務条件の認識がズレていないか
採用後のトラブルで多いのが、業務内容や勤務条件の認識のズレです。勤務地、勤務時間、残業の有無、給与体系などを明確に説明し、双方が理解しているかを確認することが大切です。
「言わなくてもわかるだろう」という思い込みは避け、書面を用いて条件を詳しく伝えることで、入社直後のミスマッチやトラブルを防げます。
人材紹介会社を慎重に選ぶ
自社のみでの採用活動に不安がある場合、多くの企業が人材紹介会社にサポートを依頼しています。その際には、以下の点を確認したうえで人材紹介会社を選びましょう。
- 在留資格の手続きに精通している
- 過去に適切な紹介実績があるか
- 不法就労のリスク管理を徹底しているか
紹介後のフォロー体制や在留資格に関する知識・支援範囲を事前に確認し、自社の運用に合う会社を選ぶことで、リスク低減につながります。複数社を比較し、信頼できるパートナーを選定することが重要です。
外国人採用後に知っておくべき3つの注意点

外国人採用は採用して終わりではなく、入社後の管理やフォロー体制が、定着率やトラブル防止に大きく影響します。ここでは、外国人採用後に知っておくべき3つの注意点を紹介します。
在留資格を管理し続ける
入社時に確認した「在留期限」は、入社後も変わらず会社側で管理し続ける必要があります。以下の点を管理しておきましょう。
- 在留カードの有効期限
一般的には期限の3か月前から更新手続きが可能です。本人任せにせず、会社としてスケジュールを把握し、リマインドや手続き支援を行いましょう。
- 業務内容の管理
業務内容に変更があった場合に、現在の在留資格の範囲内かどうかを再確認する必要があります。
これらの管理を怠ると不法就労とみなされるリスクがあるため、期限管理表などを活用して継続的にチェックしましょう。
日本語教育を定期的に行う
入社時の日本語能力が十分であっても、業界特有の専門用語や社内独自の言い回しには苦労するケースが多くあります。
そのため、入社時点で一定の日本語能力があっても、業務に必要な専門用語や社内特有の表現については、継続的に学べる機会を提供しましょう。例えば、定期的な日本語研修やeラーニングの活用などが挙げられます。
日本語能力の向上に伴い、業務の幅が広がるだけでなく、本人も仕事に自信が持てるようになり、定着率の向上につながることが期待できます。
コミュニケーションを図る機会を設ける
外国人社員が孤立しないよう、社内でのコミュニケーション機会を意識的に設けることも大切です。
例えば、定期的な面談やチームミーティング、歓迎会などを行い、日本人社員との接点を増やすことで、お互いの文化や考え方を理解する環境づくりが重要です。
相談しやすい環境をつくることで、言語・文化の違いからくる誤解やストレスの蓄積を防ぎ、長期的な定着につながります。
外国人採用でトラブルを避けるためのポイント

外国人採用でトラブルを避けるには、採用前後の確認を徹底し、手続きを仕組み化することが重要です。以下の2つのポイントを意識しましょう。
チェックリストを使う
外国人採用では、在留カードの確認からハローワークへの届出まで、日本人採用にはない工程が多数存在します。これらを漏れなく遂行するためには、社内で統一したチェックリストを作成・活用しましょう。
手順を標準化することで、採用担当者が変わっても手続きをスムーズに実施でき、不法就労などの重大なミスの防止につながります。
参考記事:【チェックリスト付】外国人採用で確認すべき事項一覧
外国人の人材紹介会社を利用する
初めての採用で不安がある場合は、外国人採用に特化した人材紹介会社のサポートを受けるのが有効です。
人材紹介会社を利用すると、自社に適した人材のマッチングだけでなく、複雑な在留資格の申請サポート、入社後のフォローアップに関するノウハウを提供してくれます。
専門家の知見を借りることで、自社だけで対応するよりもリスク低減に役立つ可能性があります。
参考記事:外国人採用に最適な紹介会社おすすめ10選|エージェントの選び方・メリット・種類まで解説
注意点を押さえて外国人採用を成功させよう
この記事では、外国人採用の前後に知っておくべき注意点やトラブルを避けるためのポイントを解説しました。
外国人採用は、日本人採用とは異なり、法律や在留資格、文化の違いなど確認すべきポイントが多岐にわたります。手続きのミスは企業にとって大きな法的リスクとなるだけでなく、準備不足はせっかく採用した人材の早期離職にもつながりかねません。そのため、採用を始める前の段階から、社内ルールや受け入れ体制をしっかりと構築しておくことが非常に重要です。
優秀な外国人材に自社の一員として、長く安心して働いてもらうためにも、今回ご紹介した注意点を正しく理解し、自社の環境づくりにぜひ活用してください。

