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2025/03/11

セミセルフレジとは?導入するメリット・デメリットやトラブルへの対策方法を解説

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セミセルフレジとは?導入するメリット・デメリットやトラブルへの対策方法を解説

近年、小売業や飲食店など、さまざまな業種の店舗で導入が進むセルフレジですが、1台に1人のレジスタッフが配置されているタイプの「セミセルフレジ」も広まっています。

人件費削減を目的にセルフレジを導入する店舗も多い中で、なぜレジスタッフの配置が必要なセミセルフレジを導入するケースもあるのでしょうか。

本記事では、セミセルフレジとはなにか、購入価格の目安や導入するメリット・デメリットについて解説します。また、セミセルフレジ導入後に発生することが多いトラブルの事例や、対処法についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

セミセルフレジとは

レジで会計をする親子と対応するスタッフのイメージ

セミセルフレジとは、レジスタッフが商品登録・バーコードスキャンなどの操作を行って会計金額を算出し、支払いのみを顧客が自ら行うレジのことです。

商品登録やバーコードスキャンも顧客が行う機種の場合は、フルセルフレジと呼ばれます。レジ設備にはさまざまな機種があり、セミセルフレジ以外にも種類は豊富です。

例えば、売上・在庫データの管理・記録ができるPOS機能(Point of sales)が備わった「POSレジ」、手打ち式のキャッシュドロアがついたレジ「キャッシュレジスター」などが挙げられます。

セミセルフレジ・フルセルフレジにPOS機能が備わっている製品も多くあるため、自店舗のレジオペレーションに合う設備を選ぶことが大切です。

参考記事:セルフレジの種類と特徴は?メリット・デメリットと導入で解決できる課題・注意点

セミセルフレジの価格目安

セミセルフレジの導入にかかる価格の目安は、100万円~400万円です。フルセルフレジとは異なり、商品登録機と会計機(キャッシュレス決済機・自動釣銭機など)の両方を別で導入する必要があるため、高額な費用がかかります。POS機能を搭載しているセミセルフレジの場合は、インターネット環境の整備も必要です。

また、設置工事費や保守・管理費が別途必要になることもあるので、予算には余裕をもって機種選定することをおすすめします。

セミセルフレジの購入費用を抑えたい場合は、レンタル・リース・サブスクを活用したり、補助金・助成金制度を利用したりして導入コストを抑えるのも良いでしょう。

セミセルフレジを含む、セルフレジ(自動精算機)の導入に利用できる補助金・助成金制度については、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもぜひ参照ください。

参考記事:【2025年最新】セルフレジ(自動精算機)導入に利用できる補助金制度まとめ

セミセルフレジを導入するメリット

笑顔のアイコンにチェックを入れるイメージ

セミセルフレジを導入するメリットは、以下の3点です。

  • レジ待ち時間の短縮につながる
  • 釣銭ミスやレジ不正が抑止できる
  • キャッシュレス決済の導入で非接触対応ができる

それぞれ、具体的にどのような効果があるのか、メリットにつながる理由も踏まえて詳しく解説します。

レジ待ち時間の短縮につながる

セミセルフレジは、レジ待ち時間の短縮につながるメリットがあります。会計操作を顧客がセルフで行うことにより、支払いが終わるのを待つことなく次の顧客対応ができるためです。

セミセルフレジを導入する場合、レジスタッフが操作する商品登録機1台につき、自動精算機・キャッシュレス決済機を2~3台導入している店舗も少なくありません。

結果的にレジの回転率が上がり、有人レジと比べて少ない台数でもレジの行列を減らしつつ、会計対応ができるようになります。

釣銭ミスやレジ不正が抑止できる

釣銭ミスやレジ不正の抑止につながるのも、セミセルフレジを導入するメリットの1つです。フルセルフレジの場合、サポートスタッフを配置しても、1人のスタッフが複数台を見る必要があり、目が届きにくい場面もあります。

セルフレジでの万引き行為は大きな問題となっており、フルセルフレジを導入する際は、このような不法行為への対策も講じなければなりません。

セミセルフレジであれば、商品登録はレジスタッフが行うため、レジ不正を抑止できます。また、自動釣銭機やキャッシュレス決済機で会計を行ってもらえば、釣銭ミスのような人的ミスの低減にも効果的です。

また、金銭の授受がなくなることから、レジ締め作業の効率化にもつながります。

参考記事:セルフレジの防犯対策方法まとめ!万引きを防ぐ導入のポイントとは

キャッシュレス決済の導入で非接触対応ができる

セミセルフレジの会計機は、キャッシュレス決済に対応している機種も多くあります。キャッシュレス決済を導入することで、非接触対応ができ、衛生的に接客できるのもセミセルフレジのメリットです。

新型コロナウイルスの流行拡大をきっかけに、店内の感染症対策に力を入れる店舗が増加しました。

この機にキャッシュレス決済を導入する事業者も増えており、キャッシュレス決済の利便性のみならず衛生面でのメリットにも注目が集まっています。

新型コロナウイルスのほか、インフルエンザやノロウイルスなど、例年流行することが多い各種感染症に対する予防策としても効果的な手段です。

セミセルフレジを導入するデメリット

セミセルフレジの導入を検討している場合、メリットだけでなくデメリットがあることも把握しておくことが重要です。具体的には、以下3点のデメリットが挙げられます。

  • 1台に1人のスタッフを配置しなければならない
  • 設置スペースが必要
  • 導入コストが高い

なぜこのようなデメリットがあるのか、理由やデメリットをカバーするための対策方法について確認していきましょう。

1台に1人のスタッフを配置しなければならない

セミセルフレジを導入するデメリットは、1台に1人のスタッフを配置しなければならない点です。フルセルフレジであれば、1人の従業員が複数台のサポートを行えます。

しかし、セミセルフレジを複数台対応することは難しく、人件費削減の観点ではフルセルフレジに及びません。

一方で、レジの回転率が上がり、有人レジの対応が残せるメリットもあります。操作が難しいことを理由に、フルセルフレジによる客離れが発生するケースもあるため、顧客の年齢層が高い店舗での導入に最適です。

参考記事:セルフレジによる客離れを防ぐには?顧客が嫌がる理由と改善策を紹介

設置スペースが必要

広い設置スペースが必要になるのも、セミセルフレジを導入するデメリットです。フルセルフレジはコンパクトな機種が多く、省スペースで導入できる強みがあります。

一方で、セミセルフレジの場合は、商品登録機と決済機を別々に導入しなければならず、一般的な有人レジよりも広いスペースが必要になるケースも少なくありません。

設置スペースを広くとらなければならないデメリットはありますが、セミセルフレジでレジの回転率が上がれば、有人レジよりも設置台数を減らせる可能性があります。

結果的に人件費や設置スペースの削減にもつながるため、店舗に必要な導入台数についても、しっかりと検討しましょう。

導入コストが高い

セミセルフレジは、導入コストが高いデメリットもあります。フルセルフレジの場合、購入価格は100万円~300万円が目安です。セミセルフレジは商品登録機と決済機を別々に設置することから、費用が高くなる傾向です。

一方で、フルセルフレジの場合は回転率を上げるために複数台設置することが多く、数を増やすほど費用が高くなります。

セミセルフレジであれば、1台あたりに決済機を複数置けるため、トータルの設置台数を減らすことで導入コストの負担軽減につながるでしょう。

参考記事:セルフレジ導入のデメリットと対策方法|自店舗に最適な機種の選び方

セミセルフレジでよくあるトラブルの事例と対策方法

タブレット端末を見ながら悩む店員

セミセルフレジを導入した際、以下のようなトラブルが発生することもあるため、事前に対策方法を検討しておくことが大切です。

  • 硬貨大量投入による詰まり
  • 通信エラーなどのシステムトラブル
  • 操作説明に対応が長引く
  • 顧客同士での揉め事
  • 支払い忘れによる万引きトラブル

ここからは、それぞれ具体的なトラブルの例や、トラブルへの対応策について解説します。

硬貨大量投入による詰まり

セミセルフレジの会計機に自動釣銭機機能が搭載された設備を導入した場合、顧客が硬貨を大量投入して詰まってしまうトラブルが発生するケースもあります。

自動釣銭機は、機種によって一度に投入できる硬貨の枚数に制限が設けられているため、顧客に周知しなければなりません。

硬貨詰まりを取り除く作業でレジ業務が途絶えてしまうため、端末それぞれに硬貨の上限枚数を掲示し、顧客が硬貨の枚数を制限してくれるように対策しましょう。

通信エラーなどのシステムトラブル

セミセルフレジにはPOS機能が搭載されている機種も多く、運用するにはインターネット環境が必要です。

インターネット環境に不具合が生じたり、設置場所の通信環境が悪かったりすると、通信エラーや決済エラーなどのシステムトラブルが発生します。

硬貨が詰まるケースと同様に、レジ業務を中断して対応する必要が出るため、あらかじめシステムトラブルが発生した際の対応方法を従業員に周知しておきましょう。

事前に想定しておけば、エラーやシステムトラブルが発生した際にも、スムーズに対応できるようになります。

操作説明に対応が長引く

セミセルフレジでは、セルフ会計に慣れていない顧客の操作説明を行うことも多くあります。対応が長引くと、待っている顧客からクレームが入るようなトラブルに発展しかねません。

例えば、キャッシュレス決済のみに対応しているセミセルフレジに、決済方法が限定されていることを知らず、現金で支払いたい顧客が来てしまうケースもあります。

操作説明や支払い方法の間違いによる対応は長引くことが多いため、サービスカウンターやレジの応援スタッフに任せるなど、レジの流れを止めずに済む対応策を講じておくことが大切です。

顧客同士での揉め事

セミセルフレジは、顧客同士での揉め事が発生することもあります。例えば、会計操作に時間がかかって、レジ待ちをしている人がストレスを感じてしまうようなケースです。

とくに、セミセルフレジの決済機を1台しか導入していないと起こりやすいトラブルのため、決済機は複数台導入することをおすすめします。

会計操作に慣れていない顧客がいても、安心して会計できるよう、余裕をもった台数の設備を導入することが重要です。

支払い忘れによる万引きトラブル

セミセルフレジでは、支払い忘れによる万引きトラブルが発生する場合もあります。有人レジと間違ってしまい、商品登録を終えた時点で会計が完了したと、顧客が勘違いしてしまうケースです。

故意でない場合も多いことから、セルフ会計が必要であることを理解できるように、「〇番で会計をお願いいたします」「会計は〇番です」など、レジスタッフによる声掛けを行いましょう。

また、故意による支払い逃れが疑われる場合は、防犯カメラを事前に設置しておくことで抑止につながります。

参考記事:セルフレジでよくあるトラブルの事例と対処法|導入を成功させる運用方法のヒント

セミセルフレジとフルセルフレジならどちらがおすすめ?

セミセルフレジとフルセルフレジには、どちらにもメリット・デメリットがあるため、店舗の状況に応じた設備を導入することが大切です。

  • セミセルフレジ:有人レジからの切り替えを検討している店舗や、操作に慣れていない高齢者世代の顧客が多い店舗におすすめ
  • フルセルフレジ:顧客にキャッシュレス決済利用のニーズが高い若い世代の多い店舗におすすめ

フルセルフレジはすべての会計作業をセルフ化できる反面、操作に慣れていない人にとってはストレスに感じるケースも少なくありません。

セミセルフレジであれば、有人レジのスタッフ対応と会計のセルフ化が両立できる利点もあります。

また、大型の店舗であれば、フルセルフレジとセミセルフレジを両方導入して、利用者のニーズによって使い分けられるようにしておくのもおすすめです。

まとめ

セミセルフレジは、有人レジによる会計対応を残しつつ、レジの回転率を上げられる効率的な設備です。

しかし、導入するにはフルセルフレジよりも高額な費用がかかるケースもあるため、導入する機種や導入数は慎重に判断する必要があります。

どのような機種が自店舗に合っているのかよく検討しながら、最適な設備を導入してレジ業務の効率化や顧客満足度向上を図りましょう。