キッチンカーの開業を検討している人の中には、車両の選定にお悩みの方も多いのではないでしょうか。大型のフードトラックを導入するには費用がかかり、かといって小型車両では社内で立ったまま作業ができないなど、悩むポイントは多くあります。
では、キッチンカーを開業する際、移動販売車として軽自動車(軽トラ)は活用できるのでしょうか。また、軽自動車でキッチンカーを開業する場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
本記事では、キッチンカー開業時に軽自動車(軽トラ)は活用できるのか、軽自動車で開業するメリットや費用の目安、注意点について解説します。
キッチンカー開業は軽自動車(軽トラ)でも可能?
キッチンカーの開業は、軽自動車(軽トラ)でも可能です。軽自動車といってもさまざまな種類の車両があるため、業態や導入する設備の種類に応じて比較検討すると良いでしょう。
軽自動車のほか、普通車のバンタイプや牽引車、1tトラックなどもキッチンカーに適した車両です。
車両が大きくなると、移動時にかかるガソリン代や車両の維持にかかる税金なども高くなります。その点、軽自動車は比較的コンパクトなので、老若男女問わずキッチンカーを開業しやすい車両といえるでしょう。
キッチンカー開業におすすめの軽自動車は3タイプ
キッチンカーの開業におすすめの軽自動車は、以下の3タイプです。
- 軽バン
- 軽トラック
- ウォークスルーバン
それぞれタイプごとに、キッチンカーとして活用する際の特徴や強みについて解説します。
軽バン
軽バンは、いわゆるワンボックスカータイプの車両です。丸みを帯びたフォルムが特徴で、車両塗装次第で魅力的なキッチンカーになることから、女性人気が高い傾向にあります。
ただし、社内で立ったまま作業することが難しく、かがんで作業することになることから、膝や腰など体に負担がかかる点に注意が必要です。
容量が大きい給水・排水タンクの積載も難しいため、洗い物や調理工程が少ないメニューでの開業に適しています。
軽トラック
軽自動車の中で、キッチンカーにもっともおすすめの車両が軽トラックです。軽トラックは、軽自動車の中でも積載量が多く、比較的新しい車両が多いため、多くのキッチンカーで活用されています。
軽トラックの荷台部分に調理スペースを設ければ良いため、業態・提供メニューの種類を問わず、幅広いスタイルでキッチンカーを開業できる点が魅力です。
ウォークスルーバン
ウォークスルーバンは、運転席部分と荷台がつながっているタイプの車両です。宅急便・配達車などで、利用されていることが多い傾向にあります。
ウォークスルーバンは、軽バンと比べて社内で立ったまま作業できる点が強みです。軽トラックのと比べて荷台部分の位置が低く、顧客と近い目線で接客対応できます。
ただし、車両自体に古いモデルが多いことから、購入費用は抑えられても、将来的に整備・メンテナンス費用が高額になる可能性があるので注意しましょう。
軽自動車(軽トラ)のキッチンカーがおすすめの理由
キッチンカーの開業時に軽自動車(軽トラ)の活用がおすすめの理由は、以下の5つあります。
- キッチンに2人並んで作業できる
- 顧客との目線が近い
- 社内で立ったまま作業ができる
- コンパクトなので運転・駐車しやすい
- ガソリン代が安く抑えられる
それぞれ、キッチンカーの営業・経営にどのような利点があるのか見ていきましょう。
キッチンに2人並んで作業できる
軽自動車のキッチンカーは、キッチンに2人並んで作業できます。複数人でキッチンカーを経営する場合、軽自動車での開業は最適です。ただし、1tトラックや1.5tトラックと比べると手狭になります。
設備のサイズや設置位置によっては、2人は入れない場合もありますが、スイーツやカフェ系の調理工程が少ない業態なら問題ありません。
顧客との目線が近い
顧客との目線が近いのも、軽自動車でキッチンカーを開業する強みの1つです。とくに、ウォークスルーバンや軽バンなら、顧客と近い目線で接客対応できます。
軽トラックの場合、荷台部分にキッチンスペースを設ける形になるため、ウォークスルーバンや軽バンと比べるとやや目線が高くなる点に注意が必要です。
商品を受け渡す際の距離にも影響するので、中型~大型トラックサイズのキッチンカーと比べて、軽自動車タイプのキッチンカーの方が顧客とやり取りしやすい傾向にあります。
社内で立ったまま作業ができる
社内で立ったまま作業ができるのも、キッチンカーに軽自動車がおすすめの理由です。軽バンの場合はかがむ必要があるため難しいものの、軽トラックやウォークスルーバンであれば、車内で立ったまま調理や接客ができます。
車内から車外へ商品や現金の受け渡しを頻繁に行うことから、座って対応すると立ったり座ったりする回数が増えて、体力的にも負担になるでしょう。
軽自動車なら、立ったまま作業を続けられるので、長時間の営業でも体力的な負担を軽減できます。
コンパクトなので運転・駐車しやすい
コンパクトで運転・駐車しやすいのも、軽自動車でキッチンカーの開業をおすすめする理由の1つです。
キッチンカーは、出店場所に応じて移動しなければならないため、普通乗用車と比べて運転の難易度が高くなります。
キッチンカーの中でもコンパクトな軽自動車タイプなら、大型車種と比べて運転・駐車しやすいため、運転が苦手な人でも扱いやすいでしょう。
ガソリン代が安く抑えられる
キッチンカーを軽自動車で開業すると、ガソリン代が安く抑えられるメリットもあります。1tトラックや1.5tトラックの場合、車両自体が大きいためガソリン代の負担も大きくなるため、経費負担が上昇する要因の1つです。
軽自動車なら大型車と比べてガソリン代が安く抑えられるため、必要経費を可能な限り抑えたいという方に適しています。
一方で、選ぶ車種や年式によっても燃費が左右されるため、購入時に低燃費車両を確認した上で、購入する車両を選ぶのもおすすめです。
キッチンカー開業を軽自動車(軽トラ)で行う場合の購入価格・初期費用の目安
キッチンカーを軽自動車で開業する場合、車両本体価格の目安は、約100万円~400万円です。新車で購入するか、中古で購入するかで価格差が大きくなります。そのほか、走行距離や年式などでも左右されるでしょう。
また、キッチンカーを開業する際、車両購入費以外にも初期費用として、設備や内装・外装工事などにかかる費用の捻出も必要です。
トータルコストで考えた場合、キッチンカーの開業にかかる費用は、約300万円~800万円必要になります。
キッチンカー開業で軽自動車(軽トラ)を改造した場合の構造変更申請について
キッチンカー開業で軽自動車(軽トラ)を改造した場合、車両の構造変更申請を行う必要があります。車両検査を受けた上で、運輸支局に検査申し込みを行いましょう。
車両の設備をキッチンカー仕様に変更する際は、以下の要件を満たしている必要があります。
- 加工作業に必要な加工台、流し台、加工するための用具を収納する棚等を屋内に有し、かつ、当該設備は屋内において使用することができるものであること。
- 加工作業を行う場所には、照明及び換気装置を有すること。
- 火気等熱量を発生する場所の付近は、発生した熱量により火災を生じない等十分な耐熱性・耐火性を有し、その付近に換気装置を備え必要な換気が行えること。
- 1の設備の付近には一辺が30cmの正方形を含む0.5㎡以上の加工作業用の床面積を有し、かつ、当該床面から上方1,600mm(1の設備の端部と乗降口との車両中心線方向の最遠距離が2m未満である場合は、1,200mm)以上が確保されていること。
- 物品積載設備を有していないこと。
引用:「自動車の用途等の区分について(依命通達)」の細部取扱いについて|国土交通省
これらを守れていない場合、構造変更申請が通らない原因になるので注意してください。
また、キッチンカーを開業する際は、防火管理者資格や食品衛生責任者資格の取得も必要です。キッチンカー開業に必要な資格については、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:キッチンカー(移動販売)開業に必要な資格一覧!調理師免許の必要性や便利な資格まで徹底解説
キッチンカー開業を軽自動車(軽トラ)で行う際の注意点
キッチンカー開業を軽自動車(軽トラ)で行う際は、以下3項目に注意が必要です。
- 中古で購入する場合は8ナンバーか確認する
- 構造変更申請後は普通車の税金負担が必要
- 車両サイズが小さいので積載量が限られる
これらの注意点を意識しておかないとどのようなリスクがあるのか、それぞれ解説します。
中古で購入する場合は8ナンバーか確認する
軽自動車の中古キッチンカーを購入する場合、8ナンバーか確認しておくことが大切です。
8ナンバーの車両は、すでに車両の構造変更申請が済んでいることが保証された車両で、車体が大きく特殊な設備(キッチン・調理スペースなど)を意味します。
車検も頻度も2年に1度で済むので、中古車を購入する際は構造変更済みのものを選ぶと良いでしょう。
また、整備付保証付(車検整備付・法定整備付とも)の販売店保証が付いた車両を選択するのもおすすめです。中古車販売会社が車検を通してから販売されている車両なので、購入後に車検に出す負担が抑えられます。
構造変更申請後は普通車の税金負担が必要
キッチンカーとして使用する予定で、軽自動車を構造変更申請し、8ナンバーを取得した場合、普通車の税金負担が必要になる点に注意しましょう。
構造変更を行っていない場合、荷台部分の設備を降ろしてベース車両部分(本体)のみで車検が受けられるため、税金負担も抑えられます。
一方で、構造変更申請後は、荷台部分を降ろさずに車検が受けられる反面、税金負担も普通車同様の金額になるので負担増に注意が必要です。
車両サイズが小さいので積載量が限られる
車両サイズが小さく、積載量が限られるのも、軽自動車でキッチンカーを開業する際に注意しておきたいポイントです。
提供するメニューの種類が増えたり、調理工程が多くなったりすると、設備や材料を積載するスペースが必要になります。
軽自動車は、1tトラックや1.5tトラックほどの積載量がないため、設備の大きさや種類・メニューによっては、手狭になるかもしれません。
車両を選定する際は、導入予定の設備やメニューの種類なども見極めた上で、判断することが大切です。
まとめ
軽自動車は、コンパクトで運転もしやすく、キッチンカーを初めて開業する方におすすめの車両です。ただし、構造変更が必要になる点や、税金面の負担が増えるなどの注意点があることは事前に把握しておく必要があります。
キッチンカーは、飲食店の店舗を開業するよりも少ない資金で開業できる点が魅力です。
「将来的には飲食店を開業したいけど不安」という場合は、まずキッチンカーを開業してみて、顧客の反応を見ながら経営について少しずつ学んでみてはいかがでしょうか。