キッチンカー開業に向けた準備や、開業してすぐのころに遭遇しがちな失敗は、ときに事業計画に大きな支障をきたす要因になります。
これを回避するにはありがちな失敗が発生する原因を知り、適切な対処や回避策を学ぶことが大切です。このコラムでは、キッチンカー開業にまつわる失敗とその避け方について解説します。
キッチンカーの開業にありがちな失敗

中小企業庁の「2022年度版 小規模企業白書」によると、飲食サービス業は全体的に廃業率が高い傾向にあります。キッチンカーも飲食業の一形態として同様のリスクがあり、長く経営を続けるには廃業につながる失敗を避ける必要があります。
出典:中小企業庁 2022年度版「小規模企業白書」第2節中小企業・小規模事業者の現状 6.開廃業の状況
キッチンカーの場合、廃業につながる失敗としては、以下の6つがあります。
- 初期費用をかけすぎた
- 顧客に響かないメニュー
- 営業許可準備が進まない
- 出店場所のリサーチ不足
- 不適切な仕入れ値や客単価
- 非効率なオペレーション
まずはこれらの内容が、なぜ失敗につながるのかについて解説します。
初期費用をかけすぎた
キッチンカーの開業には初期費用が必要ですが、ここに費用を投入しすぎると開業後の営業で回収できない状態に陥ることがあります。以下の失敗は、開業後に費用をかけすぎると陥りやすくなる状況をまとめたものです。
- 車両の購入・改造に相場より高い金額を支払ってしまう
- 許可に必要な設備が不足して再度改造や備品を用意しなければならない状態になった
- 材料費や出店料・燃料費などのランニングコストを失念していた
このような事態を防ぐには、事前に保健所が提示している設備の規定や、車両・備品などの費用相場を調べておく必要があります。また、資金計画の際には、開業後のランニングコストも忘れないようにしましょう。
営業許可準備が進まない
保健所への営業許可申請がスムーズにいかず、いつまでたっても開業できないというのもキッチンカーにありがちな失敗です。保健所の営業許可は複数の作業をこなしていくため、計画的に準備する必要があります。
許可を得るには食品衛生責任者の資格が必要ですが、この資格を得るには講習会に参加する必要があります。講習会は参加人数が限られており、開始日の1か月前には予約がすべて埋まっていることも珍しくはありません。スムーズに許可を取るには、講習会の日程に合わせた行動が求められます。
開業に向けた具体的な準備を始める前に、必要な資格や設備などの調査を入念に実施しましょう。許可については以下のコラムでも取り上げています。こちらも併せてご覧ください。
参考記事:キッチンカーに開業届は必要?届出を出す際の注意点も解説
顧客に響かないメニュー
キッチンカーで販売するメニューは集客にも影響する要素です。だれも食べたことのない料理や奇抜な見た目では、顧客は受け入れにくい場合があります。そのため、基本的には顧客が選びやすい一般的なメニュー展開となります。しかし、ありきたりすぎると競合のなかに埋もれてしまいます。
競合に埋もれず顧客に選んでもらうには「この店でしか食べられない」こだわりや工夫が必要です。顧客受けとこだわりのバランスをいかに取れるかは、キッチンカー事業における重要なポイントといえます。
出店場所のリサーチ不足
キッチンカーの集客は、提供するメニューを好む顧客が多く通る出店場所を確保する必要があります。このような出店場所を得るには、入念なリサーチが求められます。リサーチ不足のまま出店しては、思ったような利益は上げられないでしょう。
リサーチ不足による失敗は、ただ調査していないだけでなく以下のような状態でも起こります。
- フランチャイズ本部に出店場所探しを任せきりにしている
- 出店場所を提供するサービスに登録しただけで活用しない
- 天候を考慮した出店場所を確保していない
フランチャイズや出店場所提供サービスは、経営者本人が活用しなければ本来の効果を発揮できません。また、天候に左右されない出店場所の確保や、天候に合わせた営業日時の調節などの工夫も必要です。これらを怠って窮地に陥ってしまうのもまた、キッチンカーにありがちな失敗といえます。
不適切な仕入れ値や客単価
大量の販売数があっても、以下のような行動を取っていては仕入れ値が膨らんで利益を出すのが難しい状態になります。
- 食材にこだわりすぎる
- 希少価値の高い食材を採用する
- ブランドのある物を大量に仕入れる
- 賞味期限や消費期限の短いものを大量に仕入れる
高い仕入れ値や食品ロスは、キッチンカー経営に悪影響を与える要素です。食材や食器(容器)の仕入れを考える際は、原価率を意識しましょう。キッチンカーの場合、30%以下が目安です。
また、仕入れ値に注意していても客単価を低すぎる値で設定してしまうと、利益が薄まってしまいます。キッチンカーは業態上、客単価は1,000円前後になることが多いため、値段設定の際はこの前後の値段を意識しましょう。メニューに付加価値やセットメニューをプラスして、客単価を向上させる工夫も有効です。
非効率なオペレーション
提供時間が遅いと、その分さばける顧客も減るため利益が減ってしまいかねません。また、キッチンカーの「気軽に食事を楽しめる」メリットも薄まってしまいます。このような事態を避けるには、効率的なオペレーションが必要です。
メニューを検討する際は、顧客受けだけでなく効率的に提供できるかにも注目しましょう。開業前の時点からチェックするのはもちろん、その後も内容を適宜見直し、必要に応じて改善してください。
キッチンカーの開業が失敗に終わってしまうのは、多くの場合準備または改善策が不十分であることが関係する場合があります。開業の計画や準備をする際は、不足している要素がないか適宜確認しながら実施しましょう。
ありがちな失敗から学ぶキッチンカー開業を成功させるコツ
キッチンカーにありがちな失敗を分析すると、開業を成功に導くコツがわかるようになります。
- 資金計画には余裕を持たせる
- 定期的に見直しして必要なら改善する
- スモールステップでのスタートも検討する
- 数値管理を徹底する
次はありがちな失敗から分かる開業成功のコツについて解説します。
資金計画には余裕を持たせる
キッチンカーの開業当初は、かかった費用を回収する所からスタートします。そのため、事業を断念するタイミングは、赤字になった時点ではなく、手持ちの資金が尽きたときであることも多いでしょう。この状態への対策としては、余裕を持った資金計画が有効です。
まずは開業にかかる費用とランニングコストを計算しましょう。算出された費用を元に、3~6か月は店舗を運営できるだけの費用を確保してください。また、独立する場合は利益が資金として手元に残るまでの生活費も併せて計算します。
定期的に見直しして必要なら改善する
事業・資金計画をきちんと立てても、予想外の事態を避けるのは難しい場合もあるでしょう。また、完璧な計画を立てても経営していくうえで課題が発生することもあります。このような事態に直面したときはもちろん、普段からより効率的に、利益が出るような運営ができているかを見直し・改善しましょう。
日々データを確認し、メニューやその価格・営業場所などに改善の余地がないか探して適宜対応する習慣を身に付ければ、失敗もある程度避けられるようになります。
スモールステップ(副業)でのスタートも検討する
キッチンカーでの失敗のうち、費用のかけすぎはスモールステップからのスタートである程度回避できます。具体的な方法としては、以下のものがあります。
- レンタル車両やフランチャイズを活用する
- 週末や休日だけの副業営業
サポートの利用や別の収入源がある状態で開業すれば、余裕を持った状態で運営できます。事業が軌道に乗った、または運営に慣れてきたタイミングで独立すれば、事業をより有利な状態でスタートできるでしょう。
万が一想定どおりに進まない場合でも、別の収入源があれば新しい道を探しやすくなります。
失敗やそのリスクが気になるなら、参入と撤退がしやすい状態から始めるのもいい方法です。
数値管理を徹底する
キッチンカーを運営するには、数値管理を徹底する必要があります。開業後は以下の数値を毎日正確にチェックしておきましょう。
- 売上金額
- メニュー別販売数
- 原価率
- 人件費
- 移動交通費
- 出店手数料
数値をチェックし続けることで、売上が良好なのに利益が得られないなどの失敗を回避できます。失敗につながる問題もある程度予防できるため、リスクを最小限に抑えることも可能です。数値管理の徹底は、失敗やリスクから身を守るために欠かせない要素といえます。
数値管理に活用できるものに、POSレジがあります。以下のコラムで詳しく解説しているので、興味を持たれた方はこちらもご覧ください。
参考記事:POSデータとは?レジを活用した売上の分析方法と活用事例を紹介
キッチンカー開業の失敗は、失敗要因を回避・改善しないために起こる場合があります。普段から問題がないか点検し、必要に応じて迅速に対応することが、開業を成功に導くポイントです。
キッチンカー開業の失敗は回避・改善できる

キッチンカー開業の失敗は完全に回避できるものではありませんが、適切な対応を心がければある程度は防げます。また、失敗に直面してもリスクを最小限に抑えることも可能です。失敗を過度に恐れるのではなく適切に対処しましょう。まずは事業や資金の計画を立てて、その時点から回避できる問題がないか見直してみてください。

