ラーメン店や定食屋、アミューズメント施設など、さまざまな場所で活躍している決済設備の1つが自動券売機(食券販売機)です。
これから店舗を開業するにあたり、券売機導入を検討しているが購入すべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、券売機の導入方法を検討している方向けに、券売機を購入する場合のメリット・デメリットや、購入・レンタル・リース・サブスクのうちどの導入方法を選べば良いのかを解説します。
券売機の導入方法は4パターン
券売機の導入方法は、大きく分けて以下の4パターンです。
- 購入する
- レンタルする
- リース契約で利用する
- サブスク利用する
それぞれの具体的な導入方法や、特徴について解説します。
購入する
券売機は、購入して導入する方法があります。購入する場合、新品や中古の機種を見比べて判断しますが、基本的には新品の購入がおすすめです。
中古品は、古くなっているとパーツの製造が終了していたり、メーカーの保証対象外になっていたりして、導入後に故障すると修理が困難になる可能性があります。
そのため、開業時に券売機を購入する場合は、新品の購入を検討しましょう。
レンタルする
券売機は、レンタルで導入する選択肢もあります。レンタルは、券売機を販売しているメーカーや、仲介しているレンタル事業者と契約し、券売機を借りる方法です。
基本的に月額利用料のみを支払えば良いため、導入費用を抑えられるメリットがあります。
ただし、長期間利用する場合、レンタル費用を支払い続けるよりも券売機本体を購入した方が安く済む場合もあるので、利用期間の長さや費用負担の程度を考慮した上で検討することが大切です。
リース契約で利用する
券売機は、リース契約を利用して導入することも可能です。リース契約は、レンタルとは異なり、中長期的な契約期間が定められています。
契約期間中に中途解約する場合、違約金が発生するケースも多く、短期利用には適していません。
リース契約は、リース事業者がメーカーから券売機を買い付けて、利用者に提供する方式が一般的です。そのため、基本的に券売機の所有権はリース事業者となります。
リース契約を提供している事業者によっては、リース期間満了後に券売機の所有権が利用者に移行されるサービスもあるので、検討してみると良いでしょう。
サブスク利用する
券売機は、サブスク利用する方法もあります。サブスクとは、サブスクリプションの略称で、定期利用や定期契約を意味する言葉です。
券売機のサブスクサービスでは、毎月一定金額の料金を支払うことで、券売機を利用できます。
サブスクとリース契約との違いは、サブスク利用者側で契約期間をコントロールできる点です。リース契約のように契約期間の長期的な定めがないため、比較的短い期間でも解約できます。
また、サブスクとレンタル利用の違いは、券売機そのものを借りる契約か否かという点です。レンタルは券売機ごとに価格設定されていますが、サブスクの場合は料金内で機種を選べたり変更できたりするケースもあります。
また、レンタルサービスの場合、レンタル利用できる期間が定められている一方で、サブスクは料金を支払い続ける限り利用し続けられるのも特徴です。
券売機の購入にかかる費用の目安
券売機の購入費用は、50万円~200万円が目安です。
券売機の種類やサイズなどで価格に差があるため、購入する場合は事前に値段もリサーチしておきましょう。
とくに、タッチパネル式券売機は価格が高くなる傾向にあるため、レンタルやリース・サブスクなどの選択肢も含めて判断する必要があります。
券売機を購入するメリット
券売機を購入するメリットは、以下の3点です。
- 企業の資産として減価償却できる
- 月額利用料の負担がない
- 国や自治体の補助金・助成金制度が活用できる
それぞれ具体的にどのような理由でメリットにつながるのか、詳しく解説します。
企業の資産として減価償却できる
券売機を購入した場合、事業利用する設備の購入費用となるため、企業の資産として減価償却による会計計上できるメリットがあります。
券売機の法定年数は5年で、その期間にわたって経費計上できることから節税に効果的です。
利益を生むための設備投資として活用できるため、企業資産を購入する代金と考え、券売機を購入して導入するのも良いでしょう。
月額利用料の負担がない
券売機を購入すれば、月額利用料の負担がないというメリットもあります。
レンタルやリース、サブスクのように毎月一定額の支払いが続くこともなく、購入費用さえ負担すれば将来的な費用負担を軽減できるでしょう。
とくに、長期間利用する場合は、月額利用料を負担し続けていると購入費用を上回るケースが出てきます。
毎月の支出を抑えたいのであれば、券売機を購入して導入する方法がおすすめです。
国や自治体の補助金・助成金制度が活用できる
国や自治体の補助金・助成金制度が利用できるのも、券売機を購入するメリットの1つです。
中小企業の支援などを目的として、国や自治体が実施している制度で、券売機の購入にも活用できるものがあります。
- 中小企業省力化投資補助金
- IT導入補助金
- 業務改善助成金
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり補助金
券売機の購入費用の一部を補助・助成してくれる仕組みのため、券売機の購入にかかる費用負担の軽減につながる点が特徴です。融資とは異なり、資金を支給される制度なので返済の必要もありません。
ただし、補助金・助成金制度を活用して券売機を導入するには、支給要件を満たしている必要があるため、制度の内容を詳しく確認しておくことが大切です。
券売機を購入するデメリット
券売機を購入するデメリットは、以下の3点です。
- 初期費用の負担が大きい
- 故障対応など保守管理費が別途必要
- キャッシュレス決済の導入が難しい
それぞれ、店舗経営にどのような影響を及ぼす可能性があるのか、券売機の購入時に注意しておきたいポイントについて解説します。
初期費用の負担が大きい
初期費用の負担が大きいのは、券売機を購入するデメリットの1つです。
券売機の購入費用は、上述の通り50万円~200万円ほどかかります。とくに、小規模店舗や個人店舗でこれだけの金額を支出するのは、負担になるケースも多いでしょう。
補助金・助成金制度を活用して導入する選択肢もありますが、補助・助成されるのは購入費用の一部であり、全額支給されるわけではありません。
無理をして券売機を購入すると、費用の返済で資金繰りが難しくなる可能性もあります。
比較的手ごろな価格帯の券売機を選んだり、レンタルやリース・サブスクサービスをうまく活用するなどして、購入にこだわらず導入方法を検討することが大切です。
故障対応など保守管理費が別途必要
券売機は、故障した際に修理に出す必要があります。券売機の修理費用や、正常通り動作するかを定期的に確認する保守管理費用が別途必要になるのも、デメリットの1つです。
レンタルやリース・サブスクサービスの場合、保守管理費用も月額利用料に含まれているケースが多く、途中で故障しても修理対応や設備交換を任せられます。
券売機を購入する際は、故障した場合にどのような対応が受けられるのかを確認しておくと良いでしょう。
券売機を提供している事業者によっては、保守点検サービスを実施しているところもあるので、このようなサービスを活用するのもおすすめです。
キャッシュレス決済の導入が難しい
キャッシュレス決済の導入が難しいのも、券売機を購入するデメリットの1つです。とくに、ボタン式券売機は現金決済のみに対応している機種が多いため、キャッシュレス決済の導入に悩んでいる方は少なくありません。
QRコードを設置して顧客のスマホに読み取ってもらい、決済を行う方式であれば低コストで導入できますが、食券の発行ができなくなるなどの課題があるのも現状です。
キャッシュレス決済にも対応できるタッチパネル券売機を導入する選択肢もありますが、費用面で導入を迷っている方も多いでしょう。
そのような場合は、ボタン式券売機に外付け可能な、キャッシュレス決済端末を追加で導入する方法がおすすめです。
券売機に外付けできるキャッシュレス決済端末については、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:小規模飲食店におすすめの券売機に外付けできるキャッシュレス決済端末3選
券売機は購入・レンタル・リース・サブスクどれが一番お得?
券売機を導入する際、購入・レンタル・リース・サブスクで迷ったときは、以下のポイントで比較して導入方法を検討すると良いでしょう。
購入 | レンタル | リース | サブスク | |
---|---|---|---|---|
初期費用の負担 | × | ◎ | ◎ | ◎ |
月額利用料の負担 | ◎ | △ | △ | △ |
長期的な利用 | ◎ | × | ○ | △ |
保守管理の負担 | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
所有権の保有 | ◎ | × | △ | × |
長期利用するなら購入がおすすめ
券売機を長期的に利用するのであれば、購入して導入する方法がおすすめです。
初期費用さえ負担すれば、月額利用料の負担がないため、長期的に見ればレンタルやリース・サブスクよりもコストが安く済む場合もあります。
また、所有権をもっているため自由なカスタマイズも可能で、店舗コンセプトに合わせたラッピングや塗装などを施せるのも魅力です。
初期費用を抑えたいならリース契約がおすすめ
券売機の導入にかかる初期費用を抑えたいのであれば、リース契約がおすすめです。ただし、3年~5年単位で契約期間が定められているケースも多いため、短期間の利用には適していません。
券売機のリースサービスを提供している事業者によっては、リース契約満了後に券売機の所有権を移行してもらえるところもあります。
券売機を分割支払いによる購入と同じ感覚で利用できるため、所有権の移行に対応している券売機のリースサービスを活用するのもおすすめです。
短期間の利用ならレンタルもしくはサブスクが便利
券売機の短期間利用であれば、レンタルもしくはサブスクの利用が便利です。イベント出店やポップアップストアなど、出店期間が限定的な場面での利用にも適しています。
故障しても保守点検サービスが付帯していることも多いので、万が一のときも安心です。
ただし、長期的に利用し続ける場合は、購入するよりもトータルコストが高くなることもあるので、利用期間と費用負担のバランスを考えて導入方法を検討する必要があります。
まとめ
券売機を購入するには初期費用の負担が大きいことから、レンタルやリース・サブスクの利用と比較し、最適な導入方法を検討することが大切です。
ただし、初期費用だけでなく、長期的なコスト負担も念頭において判断するようにしてください。
また、店舗の業態や扱う商品によって最適な券売機の大きさやボタンの数なども異なります。必要以上に大きな券売機を導入するのも、券売機の購入にかかる費用負担が増加する原因になるので注意しましょう。
券売機は、高額紙幣対応の機種やキャッシュレス決済に対応している機種など、多数の選択肢があります。
以下の記事では、ラーメン店におすすめの券売機を紹介しています。自店舗で導入する券売機を比較検討する際の参考として、ぜひお役立てください。