小売業を営む店舗にとって、在庫管理は収益の増減をも左右する重要な業務の1つです。また、飲食業でも料理の原材料仕入れに関わるため、幅広い業種で在庫管理が取り入れられています。
しかし、手作業での在庫管理には限界があり、業務負担の増大や人的ミスの発生にもつながりかねません。
また、在庫管理システムを単独で導入する場合、コスト負担が大きくなることがネックになり、システムの導入に踏み切れずにいる方も多いでしょう。
そのような場合におすすめなのが、POSレジに備わっている在庫管理機能を活用する方法です。
本記事では、POSレジに備わっている在庫管理機能では、具体的にどのようなことができるのか、導入するメリット・デメリットについて解説します。
記事後半では、編集部おすすめの在庫管理機能が備わっているPOSレジを5選紹介していますので、選定時の参考としてぜひお役立てください。
在庫管理とは
在庫管理とは、商品や原材料など、事業者や店舗の商品提供に欠かせない物品の保管量をコントロールする業務のことです。
在庫量が過剰になれば、商品のロスや保管スペースの場所を圧迫し、在庫量が不足すれば需要に対する商品提供が追い付かず、収益機会を逃す原因になります。
また、賞味期限や使用期限などの管理のほか、古い在庫を顧客に提供することなく、つねに新しい商品を提供できる「品質管理」においても重要な業務です。
在庫量の最適化のみならず、品質管理による顧客満足度の向上にも関わる業務として、効率化とともに正確性も求められています。
POSレジに備わっている在庫管理機能について
POSレジに備わっている在庫管理機能には、以下のような業務に利用できる機能が備わっています。
- 棚卸機能
- 在庫量調整機能
- 検品・商品管理・品質管理機能
- 在庫分析機能
POSレジの在庫管理機能であれば、売上と連動した在庫管理が可能になるため、手作業での在庫量調整を行う手間が省けます。
レジ機能を通じて商品が売れるたびに、連動して在庫数が自動的に減少していくため、入荷した際に在庫量を調整しておけば管理を自動化できる点が魅力です。
また、商品管理・品質管理機能も備わっているので、原材料の賞味期限が切れてから慌てて発注する心配もありません。
在庫情報の増減も記録・蓄積されていくため、どのような時期にどの商品の需要が増減するのか、需要予測にも活用できます。
結果的に過不足のない在庫管理につながり、在庫の最適化による収益の最大化も実現するでしょう。
在庫管理にPOSレジを活用するメリット
在庫管理を手作業やアナログ管理で対応する方法がある一方で、在庫管理にPOSレジを活用するメリットとして、以下3項目が挙げられます。
- 在庫状況をリアルタイムに把握できる
- 複数店舗の在庫を一元管理できる
- 在庫の過不足がなくなり最適化が図れる
それぞれ、具体的にどのような効果が見込まれるのか、手作業・アナログ在庫管理と比べてどのような違いがあるのか確認していきましょう。
在庫状況をリアルタイムに把握できる
在庫管理にPOSレジを活用すると、在庫状況をリアルタイムに把握できるメリットがあります。POSレジのPOSは、「販売時点情報管理」を意味する言葉であり、その名の通り販売と情報管理を連動させられる点が特徴です。
商品が売れるたびに在庫量が連動して減少するため、販売に合わせて在庫量を調整する手間がかかりません。
とくにECショップを経営している場合、在庫データがリアルタイムに反映されていないと、在庫がないにも関わらず注文が入り、トラブルが発生するリスクがあります。
在庫の確認も容易になるので、店頭で在庫を問われた際、POSレジの管理画面上からすぐに在庫確認が行えるのも利点の1つです。
複数店舗の在庫を一元管理できる
POSレジで在庫管理を行うと、複数店舗の在庫管理業務を一元化できるメリットもあります。雑貨屋やアパレルショップなど、複数の店舗を経営している場合、近隣店舗に在庫があれば取り寄せて販売することも可能です。
複数店舗の在庫を管理する業務工数の削減につながるだけでなく、収益機会の最大化も図れます。また、店舗ごとに売れ行きの違いを分析し、店舗独自の集客・販促戦略を立案するなど、マーケティング戦略にもデータを活用できます。
在庫の過不足がなくなり最適化が図れる
在庫の過不足がなくなり、最適化が図れるのも、在庫管理をPOSレジで行うメリットの1つです。手作業で在庫管理を行う場合、仕入れ量の調整は経験や担当者の能力によって左右され、属人化する可能性があります。
一方で、在庫管理をPOSレジで行えるようになれば、過去のデータから在庫分析を行った上で、仕入れ量を判断できるでしょう。
過去の売上予測に基づいた在庫調整が可能になり、担当者を問わず誰にでも過不足のない在庫管理が行えるようになるため、業務の均一化も実現できます。
在庫管理にPOSレジを活用するデメリット
在庫管理にPOSレジを活用する場合、メリットだけでなくデメリットがあることにも留意しておくことが大切です。
- 導入・運用にコストがかかる
- システムに慣れる必要がある
- 停電やシステムエラーが発生した際の対応策が必要になる
ここからは、在庫管理にPOSレジを活用するデメリットや、導入前に把握しておきたい注意点について解説します。
導入・運用にコストがかかる
導入・運用にコストがかかるのは、POSレジで在庫管理を行うデメリットの1つです。在庫管理表やエクセルなどを活用した手作業での在庫管理であれば、導入コストがほとんどかかりません。
しかし、POSレジの場合、POSレジを導入する費用がかかるほか、サービスによっては月額利用料の負担も生じます。
また、POSレジを利用するためのインターネット環境を整える必要もあるため、コスト負担が大きくなる点には注意が必要です。
システムに慣れる必要がある
システムに慣れる必要があるのも、POSレジで在庫管理を行うデメリットです。在庫管理をPOSレジシステム上で行うため、機器操作や管理方法を従業員に周知しなければなりません。
IT機器類に慣れていない人がいた場合、従来の在庫管理方法から切り替える際、慣れるまでに時間を要する可能性があります。
使い方を周知するだけでなく、誰にでも簡単に操作できるような操作性に優れたPOSレジを選定することが大切です。
停電やシステムエラーが発生した際の対応策が必要になる
POSレジで在庫管理を行うと、停電やシステムエラーが発生した際に使用できなくなるため、対応策が必要になるデメリットがあります。
POSレジそのものが使用できなくなるため、レジ対応の方法も緊急時に備えておきましょう。
また、データ喪失のリスクを避けるため、在庫状況のバックアップ手段も検討しておく必要があります。
停電時に備えて予備電源を準備したり、クラウド利用できる在庫管理機能で万が一に備えておくなど、事前の対策を講じておきましょう。
POSレジを導入するメリット・デメリットは、在庫管理のみならずレジ業務や店舗の業務オペレーション全体にも影響します。
POSレジ導入によるメリット・デメリットについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、こちらもぜひ参照ください。
参考記事:POSレジのメリット・デメリットとは?費用目安や選び方・導入時の注意点を解説
在庫管理ができるおすすめのPOSレジ5選
ここからは、在庫管理機能が備わっているおすすめのPOSレジを5選紹介します。
設備ごとに備わっているそのほかの機能や利用料金に違いがあるため、自店舗の状況に合わせて機種を選定すると良いでしょう。
スマレジ
出典:株式会社スマレジ
スマレジは、タブレット端末で導入できるクラウドタイプのPOSレジアプリです。iPadやiPhoneにインストールすれば導入できます。在庫管理をバーコードで行えるようになる点が特徴です。
従来の在庫管理専用バーコードリーダーを導入するのと比べて、導入コストが安く済むため、比較的小規模な店舗での在庫管理にも適しています。
棚卸機能はもちろん、複数店舗の在庫を共有している場合に、店舗間で在庫の移動が発生しても、スムーズに入出庫情報を登録することが可能です。
CASHIER
出典:株式会社ユニエイム
CASHIERでは、さまざまなタイプのPOSシステムが備わった設備に対応しています。 一般的なターミナル型POSレジのほか、自動釣銭機搭載型POSレジや、タッチパネル式券売機として利用できる設備があるのも特徴です。
スタータープラン・プロフェッショナルプランなど、商品登録数によって最適なプランでの導入ができ、オプション機能として在庫管理機能を追加導入できます。
在庫の入出庫記録や棚卸、店舗間移動にも対応しているため、導入するPOSレジの種類を選びながらも、在庫管理機能を追加利用できる点が魅力です。
Airレジ
出典:株式会社リクルート
在庫管理機能が備わったPOSレジを導入するなら、Airレジもおすすめです。
Airレジは、株式会社リクルートが提供しているサービスで、会計に連動した在庫数の自動調整を行ってくれる在庫管理機能を搭載しています。
CSVファイルによる商品在庫の一括登録にも対応しているので、スムーズかつ効率的な在庫管理が行えるのも特徴です。
商品入荷登録はバーコード読み取りでも行えるので、店舗の業務フローに合わせた在庫管理が実施できます。そのほか、従業員のシフト管理ができるAirシフトや、キャッシュレス決済端末のAirペイとの併用も可能です。
Square
出典:Square株式会社
Squareでは、小売店向けのサービス「Squareリテール」を提供しています。タブレット型のPOSレジやターミナル型のPOSレジとしての導入に対応しており、キャッシュレス決済端末のSquareターミナルとの連携ができるのも魅力です。
小売店向けのSquareリテールでは、一般的な在庫管理機能に加え、店舗独自にECショップを作成できる機能も搭載しています。
店舗在庫とECショップの在庫を一元管理できるため、これからECショップの展開にもチャレンジしていきたいという方におすすめです。
POS+(ポスタス)
出典:ポスタス株式会社
小売業向けの在庫管理に特化したPOSレジを導入したいなら、POS+retail(リテール)もおすすめです。ほかのPOSレジと同様にタブレット端末での導入が可能なPOSレジシステムのため、比較的手ごろな価格帯で導入できます。
店舗間の在庫移動にも対応しており、リアルタイムに多店舗の在庫量をチェックできるため、複数店舗経営している方に最適です。
帳票やバーコード印刷にも対応しているので、バーコードがない商品の在庫管理も一元化できます。
まとめ
店舗の在庫管理は、在庫管理システムを導入しなくても、POSレジの在庫管理機能で簡単に導入できます。POSレジを活用した在庫管理は、大型倉庫などの本格的かつ大量の在庫を捌くよりも、店舗の在庫管理を効率化・一元化したいという方におすすめです。
複数店舗の在庫管理にも活用できるので、在庫管理のシステム化を機に、POSレジの導入方法を見直してみるのも良いでしょう。