パン屋を開業するには、そのための手続きや店舗の整備が必要です。これらの手配は前後することも多いため、計画的に用意する必要があります。
ここではパン屋を開業するときに必要な資格や備品を取り上げつつ、用意する際のポイントを解説します。
パン屋開業の流れ

パン屋の開業は以下の流れに沿って準備していきます。
STEP1コンセプトや事業計画書の作成
パン屋のコンセプトを明確にし、事業計画書を作成します。
STEP2物件探しと設備計画
店舗に適した物件を探し、必要な厨房設備や店舗設備を計画します。
STEP3資金計画書作成と資金調達
開業に必要な費用を整理して資金計画を立て、必要に応じて融資などによる資金調達を進めます。
STEP4各種許可申請・準備
営業に必要な資格や許可を確認し、保健所などへの申請・準備を進めます。
STEP5設備・備品手配
オーブンや冷蔵庫、ミキサー、レジなど、営業に必要な設備・備品を手配します。
STEP6スタッフ採用・教育
必要に応じてスタッフを採用し、接客や製造、衛生管理などの教育を行います。
STEP7開店準備・施策・集客
商品や店舗の最終準備を行い、SNSや広告などを活用して開店前後の集客を進めます。
なお、開業に必要な手順は、前後または並行して作業することもあります。とくに許可申請は時間や必要な資料を用意する手間もかかるため、ほかの作業と並行して行う状態になりがちです。
作業の漏れや抜けは、開業準備や運営上の不備につながる場合があります。ミスを少しでも減らすためにも、あらかじめ開業計画を立ててから行動しましょう。
以下のコラムでは、パン屋をはじめとした飲食店開業の主な流れについて解説しています。こちらも併せてご覧ください。
参考記事:飲食店開業までの流れと必要資格|開業準備はいつ始めるのがベスト?
パン屋開業に必要な資格・許可
パン屋の営業にあたって、代表的な資格・許可は以下のとおりです。
パン屋開業に必要な資格・許可
- 食品衛生責任者:店内で販売・提供される食品の衛生管理をするための資格
- 飲食店営業許可:店内で飲食スペースを設けて料理や飲み物を提供する場合などに必要となる許可
- 菓子製造業許可:パンの製造・販売を行う場合に必要となることが多い許可
これらの資格や許可は、店舗のある地域を管轄する保健所にて手続きできます。このうち、食品衛生責任者は、各自治体が指定する講習会を受講することで取得できます。開催場所や申込方法は地域によって異なるため、管轄自治体の情報を確認しましょう。
また、飲食店営業許可や菓子製造業許可は、保健所の基準(施設設備の要件など)を満たす必要があります。詳細は管轄の保健所で事前に確認のうえ、手続きを進めてください。手続き申請のなかには保健所の職員立会いの検査も含まれているため、細かい規定を必ず確認したうえで手続きしてください。
保健所ではパン屋を含めた飲食店開業に関する事前相談を受け付けています。資格や許可を得る段階が近づいてきたら、事前に相談しておきましょう。
以下のコラムでは資格や許可について詳しく解説しています。こちらも併せてご覧ください。
参考記事:パン屋開業に必要となる免許・資格とは?申請の流れも解説
参考記事:飲食店開業に必要な保健所の許可とは?立会検査の内容も一部解説
パン屋に最低限ほしい機材や備品
パン屋を開業する場合、最低でも以下の機材や備品が必要です。
パン屋に最低限ほしい機材や備品
- オーブン
- 冷蔵庫・冷凍庫
- ミキサー
- ホイロ
- 調理器具・衛生用品
- レジスターと陳列棚
次は、それぞれの内容や選ぶ時のポイントについて解説します。
オーブン
オーブンはパン屋にとって欠かせない機材の1つです。パン屋で活用されている業務用オーブンは、一度に大量のパンを焼き上げられるだけでなく、均一に庫内を加熱することで高品質なパンを作る効果があります。
オーブンは大きく分けて2種類あります。それぞれの特徴をまとめると、以下のようになります。
| オーブンの種類 | 仕組み | 特徴 |
|---|---|---|
| デッキオーブン | 内部ヒーターで加熱する | パン作り特化の伝統的なパン屋でよく採用されている |
| コンベクションオーブン | ファンからの熱い空気を循環させて加熱する | パンだけでなくクッキーなどの焼き菓子にも対応できる |
この図の特徴に加え、スチームの有無などの機能によっても活用方法や価格は異なります。自店舗にはどんな機能のあるオーブンを選ぶべきか、事前に調べておきましょう。
冷蔵庫・冷凍庫
オーブンと並んでパン屋に欠かせない機材が、冷蔵庫と冷凍庫です。
冷蔵庫はパン作りのための生地や材料を保管するために活用されます。業務用は強度が高く容量も大きいことから、庫内の温度変化を保ちつつ鮮度を維持する役割を果たします。冷凍庫は似たような役割を果たしますが、どちらかというと長期的な保存に向いている機材です。
オーブン同様、冷蔵庫・冷凍庫ともにパン屋の規模や業務形態によって適したサイズ・機能が異なります。具体的なビジョンに基づいて選ぶのがポイントです。
ミキサー
パン生地をこねるために使う専門のミキサーは、家庭用ミキサーとは異なります。業務用大型ミキサーは、きめ細かい生地づくりにつながるだけでなく効率的な作業には欠かせないものです。
これもほかの機材同様、パン屋の規模やメニュー数に合わせて適切な大きさを選びましょう。たとえばハード系のパンをメインに提供する場合は、パワフルなタイプが適しています。ミキサーを選ぶときは、コンセプトやメニューを参考にしながら検討してください。
ホイロ
ホイロとはパン用の発酵機のことで、発酵を進ませるのに適切な温度と湿度を維持する役割を果たします。パン生地の発酵は、パンの食感や風味に大きく影響を与える要素です。ホイロも慎重に選びましょう。
ホイロには以下のような種類があり、機種により設定できるモードも異なります。
ホイロの主な種類
- キャビネット型
- 棚型
- 丸形
ホイロを選ぶときは、店舗に適しているタイプや機能をある程度目星をつけておくと選びやすくなります。導入の際は、必要な機能を明確にしておきましょう。
調理器具・衛生用品
パン屋で活用される調理器具は、さまざまなものがあります。店舗の規模やメニューによっても異なりますが、代表的なものをまとめると、以下のようになります。
パン屋で使用する主な調理器具
- 刷毛
- クープナイフ
- パンナイフ
- タオル
- タイマー
- スケール
- スケッパー(カード)
- 霧吹き
- 木製ピール
- 食パンなどのパン型
- ベーキングシート
調理器具は中古で用意すればある程度費用を抑えられます。開業費用を抑えたい場合は、中古品の活用も検討しましょう。
また、パン屋の開業・営業において、衛生管理は最優先事項です。衛生管理のため、以下の衛生用品も準備しておくと安心です。
準備しておきたい衛生用品
- ハンドソープ
- 手指消毒液
- 機材・調理器具用消毒液・除菌剤
- マスク
- コックコート
- コックシャツ
- コックシューズ
- 衛生帽子
- 飲食店帽子
- ディスポ手袋または使い捨て手袋
これらの調理器具や衛生用品には、消耗品も含まれています。導入の際は継続的に使用・補充できる体制を整えることも忘れないようにしましょう。
レジスターと陳列棚
陳列棚はパンの鮮度を保ち、よりおいしそうに見せるために欠かせない備品です。サンドイッチやケーキを扱う場合は、冷蔵ショーケースも必要になります。陳列棚を選ぶ際は、以下の要素を意識しながら選びましょう。
陳列棚を選ぶ際のポイント
- 店舗の広さ
- オペレーション方法
- 一度に展開するメニュー数
- 経営状況
また、会計や売上管理をするためのレジスターも必要です。POSレジのようにさまざまな機能が搭載されたものなら、スムーズかつ間違いの少ない会計処理ができます。売上管理を行い利益率向上にも役立ちます。経営における事務作業の負担を減らしたい場合、POSレジの導入が選択肢の一つになります。
POSレジについては以下のコラムでも取り上げています。レジの導入を検討する方は、以下の内容もご覧ください。
参考記事:POSレジ導入完全ガイド|費用相場・おすすめ機種・補助金まで解説
パン屋の開業に必要なものは、オープン当日までに必ずそろえておきましょう。
パン屋の開業に必要なものは計画的に用意しよう
パン屋の開業に必要なものはたくさんあるため、それぞれ計画的に用意しましょう。許可や機材は開業・経営の成功を決める要素でもあります。自店舗に合ったものを選びましょう。
まずは事業計画や開業計画を元に、効率的かつ計画的に必要なものを用意するにはどうしたらいいかを考えるところから始めてください。

