ラーメンは豊富なバリエーションと幅広い顧客層を確保できる業種です。開業するにあたって魅力的なお店ですが、成功させるにはその前の手続きやリサーチを入念に行う必要があります。
このコラムでは、ラーメン屋開業に必要な資格や届出の基本的な内容と、事業を成功させるために実施しておきたいポイントについて解説します。
ラーメン屋開業の大まかな流れ

ラーメン屋を開業する際、以下の流れで作業や手続きを進めていきます。
- コンセプトの作成
- 事業計画書と資金計画書の作成
- 開業予定地や競合店のリサーチ
- メニュー作成
- 資金調達
- 物件の調査・契約
- 仕入れ先の決定
- 各種届出の提出
- 従業員の雇用
- 販促ツールの作成・宣伝
開業計画をスムーズに進めるには、この工程を1つずつ達成していくことが重要です。より詳しい内容は以下のコラムにて解説しています。こちらも併せてご確認ください。
参考記事:ラーメン屋開業までの流れとは?スムーズに進めるポイントも紹介
ラーメン屋を開業する際に最低限必要な資格や届出
ラーメン屋を開業する場合、以下3つの申請・届出が必要です。
- 食品営業許可申請
- 防火・防災管理者選任(解任)届出書
- 開業届と青色申告承認申請書
次は、それぞれの資格について解説します。
食品営業許可申請(食品衛生責任者)
ラーメン屋を開業するには、管轄の保健所へ食品営業許可を申請し、許可を受ける必要があります。この許可を得るには、店舗ごとに1名の食品衛生責任者を配置しなくてはなりません。
出典:食品衛生法(食品衛生法 昭和22年12月24日法律第233号)
食品衛生責任者は、衛生管理の責任者になるための資格です。資格を取得することで、衛生管理に必要な計画書や手順書を作成し、それに沿って実施状況を記録する立場となれます。食品衛生責任者は、各都道府県市の食品衛生協会などが実施する養成講習会を受講することで取得できます。
ただこの講習は参加人数が限られており、保健所によっては1か月前から予約が埋まっていることもあります。資格取得から取りかかる場合は、早めに行動しましょう。
食品営業許可申請は、食品衛生責任者の取得だけでなく店舗の衛生環境や設備が保健所の定める基準を満たしているかもチェックされます。このチェックは立会いで、店舗の内装や設備・備品もチェックされます。
内装の施工を依頼する前のタイミングで保健所に開業に関する相談をしておくと、立会検査の基準を教えてもらえるため、事前に相談しておくと安心です。
許可までの期間は自治体や検査状況によって異なりますが、申請から1〜2週間程度かかるケースもあります。許可を取る手続きをする際は、開業準備と並行して行いましょう。
防火・防災管理者選任(解任)届出書
店舗の収容人数が従業員を含めて30名以上になる場合、防火管理者の選任が義務付けられています。
出典:防火管理者が必要な防火対象物と資格|東京消防庁
防火管理者は火災予防計画の策定や避難訓練の実施などを担当するための役割です。防火管理者になるには、消防署や指定講習機関などが実施する防火管理講習を受講する必要があります。資格には甲種・乙種の区分けがあるため、店舗に合わせたものを取得しましょう。
- 甲種:すべての建物で管理者になれる
- 乙種:比較的小規模な防火対象物で選任できる場合がある
それぞれ講習時間や受講料が異なる場合が多いため、講習会に参加する際は計画的に行動しましょう。また、開催される日程も決まっているため、予約を取る際は注意してください。
防火管理者は店舗のある地域を管轄する消防署に提出します。ほかの資格と混同しないようにしましょう。
開業届・青色申告承認申請書
個人事業主として開業する場合、税務署に個人事業の開業届を提出する必要があります。提出期限を過ぎると、青色申告の適用時期など税制上の取り扱いに影響が出る場合があります。詳しくは所轄の税務署または国税庁の案内をご確認ください。
出典:A1-8所得税の青色申告申請承認申請手続|国税庁
青色申告承認申請書は、開業届と併せて税務署に提出する書類です。要件を満たすことで、最大65万円の青色申告特別控除を受けられる場合があります。
資格や手続きはすぐに発行・承認されるものではないため、取得・申請する際は計画的に行動しましょう。
以下のコラムではラーメン屋開業の際に必要な資格や許可について解説しています。こちらも併せてご確認ください。
参考記事:ラーメン屋開業時に必要な資格・許認可とは?調理師免許不要で開業可能か解説
ラーメン屋開業を成功させるための下準備
ラーメン屋は全国にあり、競合も多い店舗です。競合への対策を全くしない状態で開業しても、埋もれてしまう恐れがあります。これを防ぐためにも、開業の際は以下のポイントをおさえながら下準備しておきましょう。
ラーメン屋で働く経験を積む
ラーメン屋巡りなどをして開業を目指す方が多いですが、ラーメン屋に限らず飲食店は業務経験がないとわからないことが出てくる場合もあります。店舗で働いた経験がない場合は、可能であれば、開業前に一定期間、実際の店舗で働くなどして現場経験を積むことを検討しましょう。
外部からは分からない経営ノウハウやラーメンの麺・スープ・具を作るノウハウやこだわりを学べます。商品として成り立つクオリティが分かれば、より詳細にコンセプトやメニューを考えられます。
これらは、集客や立地の方向性にも影響する要素です。開業を成功させるためにも、実際にラーメンを提供する側としての経験を積んだうえで検討しましょう。
コンセプトやターゲットを意識した計画を立てる
飲食店は明確なコンセプトとそれに沿った戦略が求められます。これはラーメン屋も例外ではありません。たとえば、ラーメン1つとっても以下のようなバリエーションがあります。
- 濃厚とんこつ
- アッサリしょうゆ味
- 複数の出しを活かしたヘルシー系ラーメン
- マグロなどから出しを取った濃厚海鮮系
味は1つに絞り込む必要もありません。実際の店舗のなかには、複数の味を提供することで成功している事例もあります。
また、コンセプトに合ったターゲット層を見極め、それに沿ってメニューを提供することも重要です。
たとえば小さい子どものいる家族連れ世帯をターゲットにする場合、子ども向けメニューなどを取り入れ、広めの座席を用意するなどの工夫が求められます。働き盛りの年齢層を狙う場合は、お得ですぐ食べられるセットメニューや、ボリュームのあるメニューがおすすめです。
どちらの場合も競合店の価格帯や営業時間・客層の特徴などを分析し、自店舗の強みやコンセプトのよさを打ち出せるようにしておくことが大切です。
売上の仕組みを理解しておく
これまでのポイントともにおさえておきたいのが、売上の仕組みです。ラーメン屋の売上は「客単価×来客数」で決まります。
原価率は30〜35%程度を目安に語られることが多いものの、メニュー構成や仕入れ条件によって大きく変動します。売上だけでなくスープや麺の仕入れコストも適切に管理し、いかに利益を出すかもまた、成功のポイントといえます。
売上と原価の具体的な対策としては、以下のものがあります。
- ランチやディナーなどのかき入れ時は回転率を意識して効率よく注文をさばく体制を整える
- サイドメニューやトッピングで単価を上げる
- ドリンクメニューで利益率向上を狙う
なお、これらの対策が効果を発揮するかは、コンセプトやターゲット層によって異なります。コンセプトに合致する対策を選択・考案することも忘れないようにしましょう。
ラーメン屋開業を成功させるには、いかに事前調査をするかにかかっています。また、開業準備に入る前のリサーチと分析は入念に行いましょう。
ラーメン屋開業の成功はスムーズな手続きと入念なリサーチにかかっている
ラーメン屋の多くは顧客に支持される関係から、競合が多くなりがちな飲食店です。少しでも開業や経営を有利に進めるには、開業前の準備や手続きの時点から注意する必要があります。
まずは開業する前に、コンセプトやターゲット層を定めるためのリサーチから始めましょう。

