食券機の導入を検討する飲食店オーナーや施設担当者にとって、「NEC」という選択肢は信頼性の高いブランドとして候補に挙がることが多いです。しかし、NECグループには食券機・券売機に関連する事業会社が複数存在するため、「どの会社のどの製品を選べばよいか」がわかりにくい面があります。
本記事では、NECグループのそれぞれの製品ラインナップ・特徴・選び方を整理し、自店舗に最適なNEC食券機の選定をサポートします。
参考記事:券売機を導入するメリット・デメリットとは?向いている業種・業態と選び方
NECの食券機とは?NECグループの券売機事業を整理

「NEC 食券機」と検索した際に出てくる製品は、実際には2つの異なるNECグループ企業が提供しています。まずはそれぞれの会社の概要と製品の位置づけを把握することが、適切な機種選定への第一歩です。
- NECマグナスコミュニケーションズの概要
- NECプラットフォームズの概要
- 2社の製品の違いと使い分け
NECマグナスコミュニケーションズの概要(ネッツエスアイ東洋を前身とするNECグループ企業・自動券売機・貨幣関連機器が主力)
NECマグナスコミュニケーションズ株式会社は、ネッツエスアイ東洋株式会社を前身とするNECグループの企業です。自動券売機・貨幣関連機器を主力事業とし、飲食店向け食券機から交通機関・公共施設向けの自動券売機まで幅広い券売機製品を手がけています。
食券機分野においては、ボタン式を中心とした豊富な機種ラインナップを揃えており、キャッシュレス決済対応・省エネ機能・スマートフォンによるメニュー設定機能など、現代の飲食店ニーズに対応した製品群を展開しています。券売機の製造・販売・保守を一貫して担う専門性の高さが、同社の強みのひとつです。
NECプラットフォームズの概要(飲食店向けPOSシステム「FoodFrontia」シリーズ・食券販売機VT-T21・FoodFrontia KIOSKを提供)
NECプラットフォームズ株式会社は、飲食店向けPOSシステム「FoodFrontia(フードフロンティア)」シリーズを中心とした外食向けソリューションを提供するNECグループ企業です。食券機単体の販売にとどまらず、POSシステム・注文管理・売上分析・本部連携までを統合したシステム提供を強みとしています。
食券機関連では、食券販売機「VT-T21」と、タッチパネル式セルフオーダー端末「FoodFrontia KIOSK」を提供しています。飲食チェーンや大規模施設の食堂など、POSシステムとの密な連携が求められる導入シーンに向いた製品群です。
2社の製品の違いと使い分け(券売機単体か、POSシステムとの統合連携か)
NECマグナスコミュニケーションズとNECプラットフォームズの最大の違いは、「券売機単体での導入か、POSシステムとの統合連携か」という点にあります。
食券機を独立した発券・決済機器として導入したい場合や、既存のPOSシステムとの連携を必要としない場合は、NECマグナスコミュニケーションズのBT-e3シリーズ・BT-L350Bなどが選択肢となります。
一方、注文管理・売上集計・本部一元管理を含めたシステム全体を刷新・構築したい場合や、チェーン展開における多店舗管理を重視する場合は、NECプラットフォームズのFoodFrontiaシリーズとの組み合わせがおすすめです。導入目的と運用規模を整理した上で、どちらの製品群が自社のニーズに合致するかを判断しましょう。
NECマグナスコミュニケーションズの食券機ラインナップ

NECマグナスコミュニケーションズは、設置環境・メニュー数・キャッシュレス対応ニーズに応じた複数の食券機シリーズを展開しています。主要モデルの特徴を以下に解説します。
- BT-e3シリーズ
- BT-L350B
- MR-T4Sシリーズ
- MP-T500シリーズ
BT-e3シリーズ(口座ボタン方式・キャッシュレス決済対応・ECOモード節電・フリーレイアウト最大100口座)

BT-e3シリーズは、口座ボタン方式を採用した多機能スタンダードモデルです。フリーレイアウトで最大100口座の設定が可能で、多品目のメニューを扱う飲食店でも十分な対応力を持ちます。
電子マネー・QRコード決済などのキャッシュレス決済に対応しており、非使用時の消費電力を抑えるECOモード(節電機能)も搭載しています。エネルギーコストの削減と現代的なキャッシュレス対応を両立させたいスタンダード志向の店舗に向いているモデルです。
BT-L350B(口座ボタン方式・キャッシュレス決済対応・スリムタイプ)

BT-L350Bは、口座ボタン方式を採用したスリムタイプの食券機です。本体をコンパクトに設計しており、設置スペースが限られた店舗入口や通路への設置に適しています。
キャッシュレス決済にも対応しており、省スペース設置を最優先としながらも現金・キャッシュレスの両方を受け付けたい店舗の選択肢となります。
MR-T4Sシリーズ

MR-T4Sシリーズは、タッチパネル方式を採用した食券機シリーズです。画面上に料理画像を表示してメニューを視覚的に訴求できる点がボタン式との大きな違いであり、メニュー数が多い業態や、写真による商品訴求を重視する店舗に向いています。
日本語を含め最大5言語まで対応し、インバウンド需要の取り組みとともに、従業員の多言語での接客対応に伴う負担軽減にもつながります。
MP-T500シリーズ

MP-T500シリーズは、NECマグナスのラインナップの中でも高機能な位置づけのモデルです。商業施設や公共施設、レジャー施設などで壁面に埋め込んで運用可能です。
言語選択で画面を切り替えれば、12言語まで対応可能です。内臓スピーカーによる音声ガイダンスも搭載され、操作を促したり取り忘れ防止などを音声で案内してくれます。
NECの食券機が対応するキャッシュレス決済

キャッシュレス決済への対応は、食券機選定における重要な判断軸のひとつです。NECマグナスコミュニケーションズの各機種がどの決済手段に対応しているか、また導入にあたって必要な手続きを整理します。
- NECマグナス各機種のキャッシュレス対応状況
- 対応する電子マネー・QRコード決済の種類
- キャッシュレス専用機との違い・現金との併用設定
- キャッシュレス導入時に必要な加盟店登録・審査の流れ
NECマグナス各機種のキャッシュレス対応状況(BT-e3・BT-L350B・MP-T4S等の対応範囲)
NECマグナスコミュニケーションズの主力モデルであるBT-e3シリーズ・BT-L350Bは、キャッシュレス決済オプションに対応しています。電子マネー(交通系IC・iD・QUICPayなど)およびQRコード決済(PayPay・d払い・楽天ペイなど)への対応が可能で、現金決済との併用設定もできます。
機種ごとに対応する決済手段の範囲が異なるため、導入前に対応決済の詳細を確認することが重要です。
対応する電子マネー・QRコード決済の種類
NECマグナスの食券機が対応するキャッシュレス決済の主な種類には、交通系電子マネー(Suica・PASMO・ICOCAなど)、iD・QUICPayなどの非接触型電子マネー、PayPay・d払い・楽天ペイ・au PAYなどのQRコード決済が含まれます。
対応範囲は機種・オプション構成によって異なるため、導入時に必要な決済手段をリストアップした上で、対応する機種・オプションを確認することをおすすめします。
キャッシュレス専用機との違い・現金との併用設定
NECマグナスの食券機は、現金決済とキャッシュレス決済の併用設定が可能です。すべての顧客がキャッシュレスに対応しているわけではないため、現金対応を残しながらキャッシュレスを追加するハイブリッド運用が現実的な選択肢となります。
現金不要のキャッシュレス専用機とは異なり、幅広い顧客層に対応できる点が、併用設定可能な機種の強みです。
キャッシュレス導入時に必要な加盟店登録・審査の流れ
食券機にキャッシュレス決済を追加する場合、各決済サービスへの加盟店登録と審査が必要です。
審査期間は事業者によって異なりますが、申込から利用開始まで約2〜3ヶ月程度かかるケースが一般的です。
開業直前の申込では間に合わない可能性があるため、開業準備の早い段階から手続きを開始しましょう。NECマグナスの担当者に相談することで、申込から導入までの流れをスムーズに進められます。
NECの食券機の強み・特徴
NECグループの食券機が他社製品と差別化される主な強みを、機能面・サポート面から解説します。
- スマホアプリ「スマホde券づくり」
- 年齢・性別判別カメラ
- SIer向けカスタマイズ対応
- 本部システム連携によるチェーン店向け一元管理
- CS活動の重視
- 新紙幣対応
スマホアプリ「スマホde券づくり」(スマートフォンでメニュー設定・口座ボタン設定を手軽に変更可能)
NECマグナスコミュニケーションズが提供する「スマホde券づくり」は、スマートフォンから食券機のメニュー設定・口座ボタンのレイアウト設定を手軽に変更できるアプリです。
従来、食券機のメニュー変更はパソコンを用いた専用ソフトでの操作や、業者への依頼が必要なケースが多く、手間とコストがかかる課題がありました。
スマホde券づくりを活用することで、日替わりメニューの追加・価格改定・季節商品の入れ替えなどを店舗スタッフが自分でスマートフォンから操作できるようになります。パソコン操作に不慣れな店舗オーナーでも操作しやすい点が評価されており、メニュー変更のたびに業者対応が必要な手間を大幅に削減できます。
年齢・性別判別カメラ(MP-T4S搭載・利用者の年齢/性別推定データを商品企画・販売戦略に活用)
MR-T4Sシリーズには、食券機の利用状況から年齢層や性別傾向を推定し、集計データとして活用できる機能があります。食券機を通じて蓄積される年齢層・性別ごとの注文傾向データは、新メニューの企画・価格設定・販促施策の立案に活用できます。
例えば「20代男性に人気の商品」「女性客が多い時間帯のメニュー構成」などを数値データで把握できるため、勘や経験に頼らない商品戦略が可能です。単なる発券機器を超えたマーケティングツールとしての活用を検討している店舗・施設に向いた機能です。
SIer向けカスタマイズ対応(MP-T4Sシリーズ・より自由な仕様変更が可能)
MR-T4Sシリーズは、システムインテグレーター(SIer)向けのカスタマイズ対応に優れており、標準仕様にとどまらない自由度の高い仕様変更が可能です。大規模なフードコート・病院・大学食堂など、独自の注文管理システムや施設管理システムとの連携が求められる案件において、柔軟な仕様対応ができる点が評価されています。
特殊な運用フローや外部システムとのAPI連携が必要な場合は、SIer経由での導入を検討する価値があります。
本部システム連携によるチェーン店向け一元管理(FoodFrontia Pro SA)
NECプラットフォームズが提供するFoodFrontia Pro SAは、複数店舗のPOSデータ・売上情報・メニュー設定を本部から一元管理できるチェーン向けシステムです。VT-T21やFoodFrontia KIOSKと組み合わせることで、本部から各店舗への価格改定・メニュー変更を一括配信したり、全店舗の売上データをリアルタイムで集約・比較したりすることが可能になります。
10店舗以上の多店舗展開を行うチェーン事業者にとって、店舗ごとの個別管理では生じる設定ミスや情報の非統一を防ぐ、重要なシステム基盤となります。
CS活動の重視(顧客満足度調査の継続実施・信頼第一の企業文化)
NECマグナスコミュニケーションズは、顧客満足度調査を継続的に実施し、サービス品質の改善に取り組む企業文化を持っています。
製品の品質だけでなく、導入後の対応・保守サービス・問い合わせ対応のクオリティを継続的に評価・改善する姿勢は、食券機を長期間にわたって安定稼働させる上で重要なパートナー選びの判断材料となります。
新紙幣対応(新紙幣対応特設ページを設置・機種別対応状況を明示)
2024年に刷新された新紙幣(一万円札・五千円札・千円札)への対応については、NECマグナスコミュニケーションズが特設ページを設けて機種別の対応状況を明示しています。新紙幣への対応が必要な機種については、アップグレード対応や新機種への切り替えについて担当者に確認することをおすすめします。
既存機器を継続利用する場合の対応可否や費用についても、導入前に明確にしておくことが重要です。
NECの食券機の選び方
NECグループの食券機は、2社・複数シリーズにわたる幅広いラインナップが特徴です。自店舗に最適なモデルを選ぶために、以下の判断軸を順に確認してください。
- 券売機単体(NECマグナス)かPOS連携型(NECプラットフォームズ)かを業態・規模で選ぶ
- ボタン式 vs タッチパネル式
- キャッシュレス対応の必要範囲から機種を絞る
- 年齢・性別データ活用など高度なマーケティング機能が必要かどうか
- チェーン展開・複数店舗管理ニーズがある場合はFoodFrontia Pro SA連携を検討
券売機単体(NECマグナス)かPOS連携型(NECプラットフォームズ)かを業態・規模で選ぶ
まず最初に判断すべきは、NECマグナスコミュニケーションズの券売機単体製品を選ぶか、NECプラットフォームズのFoodFrontiaシリーズとの統合ソリューションを選ぶかです。食券機単体として独立運用したい場合・既存POSと連携不要な場合はNECマグナスの製品が向いています。
注文管理・売上集計・本部一元管理を含めたシステム全体を整備したい場合や、チェーン展開を前提とした多店舗管理が必要な場合はNECプラットフォームズのシステムを検討してください。
ボタン式 vs タッチパネル式(メニュー数・写真訴求・多言語ニーズで判断)
メニュー数が少なく、日替わり変更の頻度が低い業態(ラーメン専門店・定食屋など)では、操作がシンプルで耐久性の高いボタン式(BT-e3シリーズ・BT-L350Bなど)が向いています。
メニュー数が多く料理写真による視覚訴求を重視する業態、または多言語対応が必要なインバウンド対応店舗では、タッチパネル式(MR-T4Sシリーズ・FoodFrontia KIOSKなど)を検討してください。
キャッシュレス対応の必要範囲から機種を絞る
電子マネーのみ対応できれば十分な場合と、QRコード決済・クレジットカードまで幅広く対応したい場合では、必要なオプション構成が異なります。導入前に「どの決済手段を受け付けるか」を決めた上で、対応する機種・オプションを確認することが重要です。
キャッシュレス比率が高い立地(駅ナカ・商業施設内など)では、より広範な決済対応が顧客満足度に直結します。
年齢・性別データ活用など高度なマーケティング機能が必要かどうか
食券機を単なる発券・決済ツールとして使うのか、顧客データの収集・分析に活用するのかによって、必要な機種が変わります。
年齢・性別判別カメラによるマーケティングデータ活用を検討している場合は、MR-T4Sシリーズが候補になります。
小規模な個人経営店でデータ活用まで必要としない場合は、シンプルなボタン式モデルで十分です。
チェーン展開・複数店舗管理ニーズがある場合はFoodFrontia Pro SA連携を検討
複数店舗を運営するチェーン事業者や、今後の多店舗展開を見据えている場合は、NECプラットフォームズのFoodFrontia Pro SAを中心としたシステム構成を早期に検討することをおすすめします。
本部からの一元管理・売上データの一括集約・メニュー設定の一括配信ができる体制を整えることで、店舗数が増えても管理コストを抑えたスケーラブルな運用が実現できます。
まとめ|NEC食券機はスマホ設定・データ活用・本部連携が強み
NECグループの食券機は、NECマグナスコミュニケーションズとNECプラットフォームズの2社が異なるアプローチで飲食店の課題を解決する製品を提供しています。券売機単体での導入から、POSシステム・本部管理システムとの完全統合まで、幅広いニーズに対応できる点がNECグループとしての強みです。
スマートフォンでのメニュー設定変更「スマホde券づくり」、年齢・性別判別カメラによるマーケティングデータ活用、FoodFrontia Pro SAによるチェーン向け本部一元管理など、独自の機能を備えている点も特長です。新紙幣対応への明示的な情報公開や、継続的なCS活動による顧客満足度重視の姿勢も、長期的なパートナーとして信頼できる要素です。
食券機の導入・リプレイスを検討している場合は、まず「券売機単体か、POSシステムとの統合連携か」という導入目的を明確にした上で、NECマグナスコミュニケーションズまたはNECプラットフォームズの担当者に相談することをおすすめします。

