飲食店でAirレジの導入を検討しているなかで、「食券機のような使い方はできないか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、Airレジと食券機の機能的な違いを整理したうえで、代替となる選択肢をわかりやすく解説します。
エアレジで食券機は使えるのか?

結論からお伝えすると、Airレジはそのままでは食券機・券売機・セルフレジとして使用することはできません。まずはその理由と、Airレジが実際に対応していることの範囲を解説していきます。
- Airレジは食券機・券売機・セルフレジには非対応
- Airレジが対応している自動釣銭機(グローリー社「グローリー300」等)との違い
- 「食券機のような使い方がしたい」場合の選択肢
- スマレジとの違い
Airレジは食券機・券売機・セルフレジには非対応
Airレジはリクルートが提供するiPad向けPOSレジアプリで、飲食店・小売店を中心に広く導入されています。無料から使い始められる手軽さと、Airペイとの連携による多様なキャッシュレス決済対応が強みですが、食券機・券売機としての機能は設計として含まれていません。
食券機・券売機とは、客が自ら端末を操作してメニューを選び、その場で代金を支払って食券(レシートまたは専用チケット)を受け取る「前払い・セルフ完結型」の機器です。店員の介在なしに注文と会計が完結する点が最大の特徴で、ラーメン店・定食屋・立ち食い店のような高回転業態で長年使われてきました。
Airレジはあくまで「スタッフが操作するPOSレジ」として設計されており、Airレジ単体では、客自身が注文・決済を完結するセルフ運用には対応していません。iPadにAirレジアプリを入れたとしても、客に向けてそのまま食券機として提供できる機能・UIにはなっていないのです。
Airレジが対応している自動釣銭機(グローリー社「グローリー300」等)との違い
「Airレジは現金の自動化に対応していないのか」と疑問を持つ方もいますが、Airレジはグローリー社の「グローリー300(RT-300)」などの自動釣銭機との連携には対応しています。この連携では、スタッフがAirレジで会計操作をすると自動釣銭機が起動し、客が現金を投入すると自動でお釣りを返す仕組みです。
ただしこれは、あくまでスタッフと客が対面でやりとりする従来の会計フローを「現金処理だけ自動化する」ものです。食券機のように客が一人で端末を操作して注文から会計まで完結する仕組みとは根本的に異なります。
自動釣銭機は「省力化」であり、食券機は「無人化・前払い化」です。この違いを踏まえたうえで、想定する運用に合うかを確認することが重要です。
「食券機のような使い方がしたい」場合の選択肢(Airレジオーダー活用 or 専用食券機の導入)
Airレジを使いながらも食券機的な運用を実現したい場合、主に2つの方向性があります。
ひとつは、Airレジと組み合わせて使えるAirレジオーダーのセルフオーダー機能を活用する方法です。
顧客のスマートフォンからQRコードを読み込んで注文・決済まで完結させる仕組みで、食券機に近いセルフ運用を実現できます。ただし、専用端末を設置するわけではなく現金には対応していないため、完全に食券機の代替になるわけではありません。
もうひとつは、Airレジとは独立した専用の食券機・券売機を別途導入する方法です。POSレジと食券機を二系統で運用することになりますが、食券機ならではの現金前払い・高回転対応・専用端末の設置感といった特性をより実現しやすくなります。
スマレジとの違い(スマレジは食券機・セルフレジ・セミセルフレジに対応)
同じタブレット型POSレジとしてよく比較されるスマレジは、Airレジとは異なり食券機・セルフレジ・セミセルフレジとの連携に対応しています。スマレジは「スマレジ・セルフレジ」という専用のアドオン機能を持っており、タブレットを客向けに設置してセルフで注文・決済を完結させる運用が可能です。
また、食券機メーカーとのAPI連携実績もあり、既存の食券機とスマレジを接続して売上データを一元管理するといった使い方もできます。食券機・セルフレジを前提とした業態での導入を検討しているなら、Airレジよりスマレジの方が適する場合があります。
一方、Airレジはコスト面・操作の簡便さ・Airペイとのシームレスな連携という点での優位性があるため、業態と運用スタイルに合わせてどちらを選ぶか判断することが重要です。
Airレジオーダーで食券機に近い運用は可能か

Airレジ単体では食券機として使えないものの、オプションサービスの「Airレジ オーダー」を活用することで、食券機に近いセルフ注文・セルフ会計の運用を実現できる可能性があります。その機能の詳細と限界を確認していきましょう。
- Airレジ オーダーのセルフオーダー機能
- オンライン決済機能
- モバイルオーダー店内版との違い・使い分け
- 食券機との主な違い
- Airレジオーダーの月額料金・対応プランの目安
Airレジ オーダーのセルフオーダー機能(QRコードをスキャンして客が注文・決済を完結)
Airレジ オーダーは、Airレジと連携して使えるリクルートのオーダー管理サービスです。このなかに「セルフオーダー」と呼ばれる機能があり、テーブルに設置したQRコードを客自身のスマートフォンで読み込むことで、客がメニューを閲覧・選択・注文まで完結できます。
注文データはリアルタイムでキッチンのタブレットや店舗のAirレジに連携されるため、スタッフがテーブルに行って注文を取る手間がなくなります。混雑時のオペレーション負荷を大幅に軽減しやすい点は食券機と共通の価値であり、人手不足に悩む飲食店にとって有効な選択肢です。
オンライン決済機能(QRコードを案内するだけでセルフ会計が可能)
Airレジ オーダーには、QRコードを使ったオンライン決済機能も備わっています。顧客がスマートフォンでQRコードを読み込み、そのままクレジットカードやスマートフォン決済で会計まで完結できる仕組みです。
スタッフがレジに呼び込んで会計する手順がなくなるため、退店時のオペレーションが大幅にシンプルになります。この「注文→調理→提供→セルフ会計」の流れは、食券機が実現する「前払い→調理→受け取り」の流れとは順序が異なりますが、スタッフの介在を最小化するという目的においては共通しています。
モバイルオーダー店内版との違い・使い分け
「モバイルオーダー」という言葉は広義に使われることが多く、Airレジ オーダーのセルフオーダーと混同されることも少なくありません。モバイルオーダーの「店内版」は基本的にAirレジ オーダーのセルフオーダーと同様の仕組みですが、「店外版(テイクアウト・事前注文)」はまた異なります。
店外版は客が来店前にスマートフォンで注文・決済を済ませ、来店したら商品を受け取るだけという使い方で、テイクアウト需要の高いカフェや弁当店で活用されています。
店内でのセルフオーダーを実現したいなら店内版、テイクアウトや事前注文の効率化を図りたいなら店外版、と目的に合わせて使い分けることが基本です。
食券機との主な違い(専用端末がない・現金非対応・客のスマホが必須)
Airレジ オーダーのセルフオーダーは食券機に近い体験を提供できる一方で、いくつかの本質的な違いがあります。
まず、専用端末が存在しません。食券機は店舗に専用の機器が設置されているため、客は自分のスマートフォンを必要とせず、スマートフォンの操作に不慣れな方でも利用できます。
一方、Airレジ オーダーのセルフオーダーは客自身のスマートフォンが必須であるため、スマートフォンを持っていない客・バッテリーが切れている客・QRコードの読み取りに不慣れなお客様などには対応できない場面が生じます。
次に、現金に対応していません。Airレジ オーダーのオンライン決済はクレジットカード・スマートフォン決済が前提であり、現金払いを希望する客には対応できません。現金のお客さんが多い業態では、この点が大きな制約になります。
また、前払い文化への対応という観点でも違いがあります。食券機は「先にお金を払ってから席に着く・並ぶ」という前払い文化に対応した機器ですが、Airレジ オーダーは着席後に注文・食後に会計という後払いスタイルが基本です。
Airレジオーダーの月額料金・対応プランの目安
Airレジ オーダーの料金体系は、利用する機能・プランによって異なります。セルフオーダー機能を含む上位プランは月額数千円〜数万円程度が目安ですが、Airレジ本体の契約状況やキャンペーンによって変動するため、最新の料金は公式サイトで確認することを推奨します。
Airレジ本体のアプリ自体は無料で使い始められますが、Airレジ オーダーは別途契約・課金が必要な点に注意が必要です。
食券機を導入したい場合の選択肢

Airレジのような汎用POSレジとは別に、専用の食券機・券売機を導入するという選択肢もあります。食券機には大きく分けて4つの種類があり、店舗の業態・客層・予算に合わせて選ぶことが重要です。
- 券売機専用の食券機を導入する
- キャッシュレス対応の高機能食券機を導入する
- タブレット型の食券機を導入する
- セルフレジ兼用の食券機を導入する
券売機専用の食券機を導入する
最もオーソドックスなのが、硬貨・紙幣の現金専用の券売機型食券機です。ラーメン店・定食屋・そば屋・立ち食いステーキ店など、昔ながらの前払い文化が根づいた業態で長年使われてきた機器になります。
現金のみの対応が多いため、キャッシュレス決済には非対応なことがほとんどです。メンテナンス費用や導入コストも比較的高く、メニュー変更時のボタン配置の変更が手間になるという側面もあります。
一方で、専用端末ならではの操作のシンプルさと、スマートフォン不要で誰でも使えるユニバーサルな使いやすさは大きな強みです。
参考記事:【飲食店・施設向け】QRコード決済対応の券売機5選&外付け端末2選|キャッシュレス決済の最先端を要チェック!
キャッシュレス対応の高機能食券機を導入する
近年普及が進んでいるのが、現金だけでなくクレジットカード・交通系ICカード・QRコード決済にも対応した高機能食券機です。現金利用者の多い従来の客層を取り込みつつ、キャッシュレス化の波にも対応できる点が魅力です。
機器の価格は現金専用機より高く、100万〜200万円以上になるケースもありますが、近年はリース・月額課金型の料金体系を用意しているメーカーも増えており、初期費用を抑えた導入が可能になっています。インバウンド客の多い観光地やフードコートでの導入事例が増えています。
タブレット型の食券機を導入する
タッチパネル式のタブレット型食券機は、従来のボタン式に比べてメニューの変更・追加が容易で、写真や説明文を豊富に表示できる点が特徴です。多言語対応(日英中韓など)が可能な機種も多く、外国人観光客が多い店舗での導入に向いています。
タブレット型の場合、ソフトウェアのアップデートでメニューをリモート管理できるため、ボタン式に比べて運用の柔軟性が高いです。月額料金制のクラウド型サービスも増えており、初期費用を抑えながら最新機能を使い続けられる点も魅力です。
セルフレジ兼用の食券機を導入する
食券機能とセルフレジ機能を一体化させた機器も存在します。顧客が自分でメニューを選んで注文・決済するだけでなく、持ち帰り商品の会計や追加注文もセルフで完結できる仕組みです。
ファストフード業態・フードコート・テイクアウト専門店などで活用されることが多く、スタッフの接客負担を最小化できます。導入費用は高くなりますが、人件費の削減効果が大きい業態では費用対効果が高く、長期的な視点で見ると投資回収が見込めます。
参考記事:飲食店にセルフレジは導入すべき?メリット・デメリットとおすすめ機種4選を紹介
エアレジと食券機それぞれの向いている業態
AirレジとAirレジ オーダー、そして専用食券機はそれぞれ得意とする業態・運用スタイルが異なります。「どちらが優れているか」ではなく、「自店の業態に合っているか」という視点で比較することが、導入判断の出発点です。
- Airレジが向いている業態
- 食券機(専用機)が向いている業態
- Airレジオーダーのセルフオーダーが向いている業態
- 両方を使い分けるハイブリッド運用の考え方
Airレジが向いている業態(レストラン・居酒屋・カフェ・後払い運用・テーブルオーダー中心)
Airレジはテーブルサービスを行う飲食店で最も力を発揮します。レストラン・居酒屋・カフェ・ダイニングバーなど、客が席に着いてスタッフから注文を取ってもらい、食後に会計するという後払いスタイルの業態です。
客単価が高く、注文の複雑さ(コース変更・アレルギー対応・追加注文)があるほど、スタッフが介在するAirレジの強みが発揮されます。Airペイとのシームレスな連携によってクレジットカード・交通系IC・QRコード決済など多様なキャッシュレス決済に対応でき、レシートのデジタル化・売上分析・在庫管理といった経営管理機能も充実しています。
月次・日次の売上データをリアルタイムで確認でき、複数店舗の売上を一元管理できる点も、規模を拡大していく飲食事業者にとって大きなメリットです。
食券機(専用機)が向いている業態(ラーメン店・定食屋・立ち食い・前払い・高回転業態)
食券機が本来の力を発揮するのは、前払い・高回転・少メニューの業態です。ラーメン店・定食屋・牛丼チェーン・立ち食いそば店・カレー店など、客が入店してすぐに注文・会計を済ませ、料理を受け取ったら席に着くという流れが確立している業態です。
スタッフが注文を取る必要がなく、会計待ちの行列も発生しないため、回転率向上につながるケースがあります。現金主体の客層(高齢者・スマートフォン非所持者)が多い業態でも、食券機ならスムーズに対応可能です。
また、「食券を渡す」という行為が注文の確認と料理の引き換え権として機能するため、オペレーションがシンプルかつ間違いが起きにくい設計になっています。
Airレジオーダーのセルフオーダーが向いている業態(カフェ・テイクアウト・席数が少ない店)
Airレジ オーダーのセルフオーダーは、キャッシュレス化が進んでいてスマートフォンの利用に慣れた客層が多い業態に向いています。カフェ・テイクアウト専門店・小規模なダイニング・ワーキングスペース併設の飲食店などが代表的な例です。
席数が少なく、スタッフが少人数の店舗でも、セルフオーダーを導入することで注文業務の負担を大きく減らせます。また、テイクアウトの事前注文対応や、混雑時に並ばずに注文できる体験は、若年層・ビジネス利用者層からの評価が高く、集客面でもプラスに働くことがあります。
両方を使い分けるハイブリッド運用の考え方
「Airレジ+食券機」を両方導入するハイブリッド運用も、業態によっては有効な選択肢です。例えば、ランチタイムは食券機で高回転を実現しつつ、ディナータイムはAirレジでテーブルサービスに切り替えるという使い分けが考えられます。
フードコート内に複数業態を展開する場合も、各業態に合わせてシステムを使い分けることが合理的です。
ただし、二系統を運用する場合は売上データの管理が複雑になります。食券機の売上とAirレジの売上を別々に集計・照合しなければならず、経営管理の手間が増えます。
導入・ランニングコストも単一システムより高くなるため、ハイブリッド運用が本当に必要かどうかは業態の実態に合わせて慎重に判断することが重要です。
まとめ|エアレジで食券機は使えないが、Airレジオーダーで近い運用は可能
AirレジはPOSレジとしての完成度が高く、テーブルサービス型の飲食店にとって優れた選択肢ですが、食券機・券売機・セルフレジとしての機能は持っていません。食券機のように「客が自分で注文・支払いを完結させる前払い運用」を実現したい場合、Airレジ単体では対応できないという事実をまず理解することが大切です。
食券機に近い体験を低コストで実現したいなら、Airレジ オーダーのセルフオーダー機能が有力な選択肢になります。ただし、現金非対応・専用端末なし・客のスマートフォン必須という制約があるため、現金客が多い業態・高齢者が多い客層・スマートフォン操作に不慣れな客が多い環境では限界があります。
完全な食券機運用を実現したいなら、専用の食券機・券売機を別途導入するか、連携可能な構成を組めるPOSへの切り替えを検討することが現実的です。自店の業態・客層・予算・運用体制を総合的に考慮したうえで、最適なシステム構成を選択してください。

