ベトナム人は特定技能外国人の中でも採用数が多く、勤勉で日本語習得も進んでいる方が多い傾向にあるため、さまざまな業種で即戦力として活躍しています。
しかし、特定技能外国人を採用する企業担当者の中には、「ベトナム人を採用したいが手続きが複雑そう」「在留期間や更新手順がよく分からない」という悩みを抱えている方も多いでしょう。
そこで本記事では、特定技能1号・2号それぞれの特徴や在留期間の違い、ベトナム人特有の受入れ手順、特定技能のベトナム人を受け入れる際の注意点まで、企業担当者が採用前に押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。
特定技能の1号・2号とは?
特定技能とは、2019年に創設された外国人労働者向けの在留資格制度です。深刻な人手不足が続く特定の産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人が就労できる仕組みとして設けられました。
特定技能には「1号」と「2号」の2種類があり、取得要件や在留期間、家族帯同の可否などに違いがあります。
特定技能1号・2号の主な違い
以下に、特定技能「1号」と「2号」の主な違いをまとめました。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 技能水準 | 相当程度の知識または経験を必要とする技能 | 熟練した技能(1号より高い水準) |
| 在留期間 | 通算5年以内(更新可) | 上限なし(更新可) |
| 対象分野 | 16分野 | 11分野 |
| 家族帯同 | 原則不可 | 要件を満たせば可 |
| 支援義務 | あり(企業または登録支援機関) | なし |
2号は在留期間の上限がなく、家族を呼び寄せることも可能なため、長期的な就労を見据えた採用に向いている一方で、2号の取得要件は1号より厳しく設定されています。
ベトナム人特定技能外国人を採用する際は、まず両区分の違いを理解することが大切です。
特定技能外国人を採用する方法や手続き手順については、以下の記事をご覧ください。
参考記事:特定技能外国人を採用するには?手続き方法や注意点を解説
特定技能のベトナム人を受け入れるメリット

出入国在留管理庁の発表によると、2025年6月末時点における特定技能1号の在留外国人の総数は333,123人であり、そのうちベトナム人は146,270人と全体の約44%を占め、国別で最多となっています。
なぜこれほど多くの企業がベトナム人を採用するのかというと、以下のようなメリットが挙げられるため、といわれています。
- 勤勉で定着率が高い
- ベトナム人の国民性が日本とマッチしやすい
ここでは、企業側が期待できる3つのメリットを具体的に解説します。
参照:出入国在留管理庁「【第1表】主な国籍・地域別 特定産業分野別 特定技能1号在留外国人数」
勤勉で定着率が高い
ベトナム人は真面目で協調性が高い方が多く、職場のルールを守る姿勢が評価されています。
また家族への仕送りを目的に来日するケースが多いことから、就労意欲が高く、離職率が比較的低い傾向があります。即戦力を求める製造業・飲食業・介護分野などで特に歓迎されている背景のひとつです。
ベトナム人の国民性が日本とマッチしやすい
ベトナムは日本との関係が深く、多くのベトナム人が日本のアニメや文化に親しんで育っていたり、宗教的な制約が少ないために食事面や生活習慣でのトラブルになりにくかったりする点も、企業にとって受け入れやすい要因です。
また日系企業がベトナム国内に数多く進出していることから、日本式の仕事のやり方に対する理解も高い傾向があります。
特定技能のベトナム人を受け入れる手続きの流れ

ベトナム人の受け入れには、他国とは異なるベトナム固有の手続きが必要です。採用方法によって手順が変わるため、「現地採用」と「国内在留者の採用」に分けて確認しましょう。
ベトナムにいる人材を採用する方法
以下に、ベトナムにいる人材を採用する方法をまとめました。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 | DOLAB認定の送り出し機関と労働者提供契約を締結する |
| 2 | DOLABが契約内容を承認する |
| 3 | 採用したいベトナム人と雇用契約を締結する |
| 4 | 送り出し機関を通じてDOLABに推薦者表の交付申請を行う |
| 5 | 推薦者表を取得する |
| 6 | 在留資格認定証明書の交付申請を行う |
| 7 | ビザ発給・入国・就労開始 |
現地採用の場合、二国間協定により、DOLAB(ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局)が認定した送り出し機関を経由することが義務付けられています。送り出し機関を通さずに現地採用することはできないため、信頼できる認定機関の選定が重要です。
日本国内にいる人材を採用する方法
以下に、日本国内にいる人材を採用する方法をまとめました。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 | 採用候補者と雇用契約を締結する |
| 2 | 駐日ベトナム大使館に推薦者表の交付申請を行う |
| 3 | 推薦者表を取得する |
| 4 | 在留資格変更許可申請を行う |
| 5 | 在留資格変更後、就労開始 |
すでに日本に在留しているベトナム人(技能実習・留学などの在留資格を持つ方)を採用する場合、基本的には、現地の送り出し機関を利用する必要はありません。ただし、在留資格を特定技能に変更する際は、駐日ベトナム大使館を通じて推薦者表を取得することが必須です。
特定技能のベトナム人を受け入れる際の注意点

特定技能のベトナム人を採用する際には、以下のようなベトナム固有のルールや受入企業に求められる要件を把握しておく必要があります。
- DOLAB認定の送り出し機関の利用が必須
- 推薦者表の取得が必要
- 契約内容の明確化
事前に把握しておくことで、スムーズな採用とトラブル防止につながります。
DOLAB認定の送り出し機関の利用が必須
現地から新規に採用する場合、日本企業はDOLABが認定した送り出し機関と「労働者提供契約」を締結する必要があります。
認定を受けていない機関を経由した採用は認められないため、事前にDOLABの公式サイトなどで認定機関かどうかを確認することが重要です。
なお、すでに日本に在留しているベトナム人を採用する場合、この手続きは基本的には不要です。
推薦者表の取得が必要
推薦者表とは、ベトナム人申請者がベトナム側の関連法令に従い必要な手続きを経た者であることを証明する書類です。
現地採用・国内在留者の採用いずれも、在留資格の申請時に提出が必要で、この書類がなければ在留資格認定証明書の交付申請や変更申請を進めることができません。
申請手続きは基本的にベトナム語で行われるため、送り出し機関や登録支援機関のサポートを活用することをおすすめします。
契約内容の明確化
特定技能の在留資格は、就労先の変更(転職)が認められているため、採用後に離職されるリスクを念頭に置いておくことが大切です。
労働条件や業務内容を雇用契約書に明確に記載し、入社時に丁寧に説明することが、定着率の向上につながります。その際には母国語での説明資料を用意するなど、言語面でのサポートも効果的です。
特定技能のベトナム人の受け入れには事前準備が不可欠
この記事では、特定技能外国人のベトナム人を採用するメリットや手続き、注意点を解説しました。
ベトナム人を採用するには、DOLAB認定の送出機関の利用や推薦者表の取得など、独自の手続きを漏れなく踏むことが必要です。契約内容や労働条件を明確にし、適切な支援体制を整えることがトラブル防止と定着率向上に直結します。
特定技能制度やベトナム固有の手続きは複雑なため、自社だけで対応することが難しい場合は、登録支援機関や人材紹介会社の活用を検討してみてください。専門家のサポートを活用することで、採用から受入れ後のフォローまでをスムーズに進めることができます。

