特定技能外国人を採用する際、「ビザ申請はどのように進めるのか」「企業側は何を準備すればよいのか」と疑問を持つ担当者は少なくありません。
特定技能の申請手続きは、外国人本人だけでなく受け入れ企業側にも複数の対応が求められます。手続きの誤りや書類の不備は審査の長期化や不許可につながる可能性があり、採用スケジュール全体に影響を及ぼすこともあります。そのため、申請の全体像を把握したうえで、早めに準備を進めることが重要です。
そこで本記事では、特定技能ビザ申請の基本から具体的な流れ、必要書類を企業担当者向けにわかりやすく解説します。
※記事で紹介している申請内容や書類などは、一般的な目安となります。個別の状況によっては対応が異なる場合もありますのでご注意ください。
特定技能ビザ申請とは?基本制度を理解する

特定技能ビザ申請とは、外国人が特定技能として在留するために行う在留資格申請手続きです。
申請は外国人本人と受け入れ企業が連携して進める必要があり、書類の準備から申請・審査まで一定の期間がかかります。
ここではまず、特定技能そのものの基本的な知識やビザ申請の全体像について解説します。
特定技能1号・2号の違い
特定技能には1号と2号の2種類があり、以下のように技能水準や在留条件が異なります。
| 特定技能1号 | 特定技能2号 | |
|---|---|---|
| 技能水準 | 相当程度の知識・経験が必要 | 熟練した技能が必要 |
| 在留期間 | 通算5年以内(1回の付与は最長3年) | 上限なし(3年・2年・1年・6か月の更新制) |
| 家族帯同 | 原則不可 | 要件を満たせば可 |
| 対象分野 | 16分野 | 介護を除く11分野 |
| 支援義務 | あり(企業または登録支援機関) | なし |
特定技能2号を取得すると、日本で働ける期間の更新に上限がなくなり、家族を日本に呼び寄せられるほか、要件を満たせば永住申請が可能になるなどのメリットがあります。
ビザ申請が必要となる主なケース
特定技能のビザ申請が必要となるケースは、主に以下の3つです。
| ケース | 申請の種類 | 概要 |
|---|---|---|
| 海外から新規で呼び寄せる場合 | 在留資格認定証明書交付申請 | 企業が申請代理人となり申請。交付後、本人が現地の日本大使館で査証を取得して入国 |
| 留学生・技能実習生など国内在留者の資格変更 | 在留資格変更許可申請 | 原則として外国人本人が申請人となり申請 |
| 他社から転職する場合 | 在留資格変更許可申請 | 特定技能は所属機関に紐づくため、転職のたびに申請が必要 |
まずは自社のケースが上記のどの申請区分に該当するかを整理することが、スムーズな手続きの第一歩となります。
特定技能外国人の採用については、採用方法や流れを詳しく解説した以下の記事もあわせてご覧ください。
参考記事:特定技能外国人を採用するには?手続き方法や注意点を解説
特定技能ビザ申請の流れ

特定技能ビザ申請は、外国人本人と受け入れ企業が連携して進めます。全体の流れを把握したうえで、抜け漏れなく準備を進めることが重要です。
ここでは、特定技能の外国人を採用し、ビザ申請する全体的な流れを解説します。
1. 雇用契約の締結と要件確認
はじめに、外国人本人との雇用契約を締結します。雇用契約書および雇用条件書は、外国人本人が理解できる言語で作成することが義務付けられています。
また、以下の点が法令の要件を満たしているかを事前に確認しましょう。
- 給与が日本人と同等以上であるか
- 社会保険・労働保険に加入する予定があるか
- 就業規則・賃金規程の内容が適法であるか
- 支援計画の策定ができているか(特定技能1号の場合)
2. 必要書類の準備
雇用契約締結後、申請に必要な書類を企業側・外国人本人それぞれで準備します。
書類は「申請人(外国人本人)に関する書類」「所属機関(雇用企業)に関する書類」「産業分野別に関する書類」の3種類に分けられます。
必要書類の量が多いため、早めに準備を開始することが大切です。
3. 地方出入国在留管理局へ申請
必要書類が揃ったら、管轄の地方出入国在留管理局へ申請します。申請の種類は、対象者の状況によって異なります。
| 申請の種類 | 対象となるケース | 申請人 |
|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請 | 海外から新規で呼び寄せる場合 | 外国人本人(海外にいるため、受け入れ企業の職員が代理申請するケースが一般的) |
| 在留資格変更許可申請 | ・留学生・技能実習生など、すでに日本に在留している外国人の資格を変更する場合 ・他社から転職する場合 |
原則として外国人本人 |
| 在留期間更新許可申請 | すでに特定技能で在留しており、在留期間を延長する場合 | 原則として外国人本人 |
申請は窓口への持参のほか、オンラインでも手続きが可能です。オンライン申請は24時間利用できるため、窓口に出向く手間を省くことができます。
4. 審査・許可
申請後、出入国在留管理庁による審査が行われ、通常1〜3か月程度で入管から「許可通知」または「認定証明書」が届きます。
審査期間中に追加書類の提出を求められる場合もあるため、連絡が来た際には速やかに対応しましょう。
許可後、在留資格変更の場合は在留カードが発行され、認定証明書交付の場合は本人が現地の日本大使館で査証を取得して入国する流れとなります。
特定技能ビザ申請に必要な書類

申請では、外国人本人が準備する書類と企業側が準備する書類の双方が求められます。
書類は大きく「申請人(外国人本人)に関する書類」「所属機関(企業)に関する書類」「分野別に必要な書類」の3種類に分類されます。
ここでは、特定技能外国人のビザ申請に必要な書類を解説します。
外国人本人が準備する書類
- 在留審査申請書
- パスポート(写し)
- 履歴書
- 技能試験合格証明書
- 日本語試験合格証明書(技能実習2号修了者は修了証明書)
- 健康診断書
- 課税・納税証明書
- 国民健康保険料納付証明書
- 国民年金被保険者記録照会(納付Ⅱ)
※国内在留者(在留資格変更の場合)は、税金・年金・健康保険関係の書類が追加で必要となります。
※国籍により、二国間取り決めに基づく追加書類が求められる場合もあります。
企業側が準備する書類
- 所属機関概要書
- 登記事項証明書
- 決算書・確定申告書の写し(直近2年分)
- 雇用契約書・雇用条件書
- 労働保険料納付証明書
- 社会保険料納入状況照会回答票
- 税務署納税証明書(その3)
- 支援計画書
- 分野別誓約書・協議会入会証
※同一年度内にすでに特定技能外国人を受け入れている企業は、所属機関に関する一部書類の提出が省略できる場合があります。
提出書類の詳細については、以下の記事もあわせてご参照ください。
参考記事:【チェックリスト付】特定技能の提出書類一覧|申請パターン別に解説
特定技能ビザ申請で注意すべきポイント
特定技能ビザの審査では、書類の形式面だけでなく、雇用条件や支援体制などの実態も審査されます。不許可を避けるために、ここで紹介するポイントを事前に確認しておきましょう。
不許可になりやすいケース
特定技能ビザの申請が不許可となるケースには、主に以下のようなものが挙げられます。
| 不許可になりやすいケース | 確認すべきポイント |
|---|---|
| 報酬水準が基準を満たしていない | ・同等業務の日本人と同等以上の報酬か。 ・控除後の手取り額や手当の扱いも含めて雇用条件書に正確に記載されているか。 |
| 支援体制が整っていない | ・義務的支援の実施体制が整っているか。 ・登録支援機関に委託する場合は委託契約書が適切に締結されているか。 |
| 提出書類に不備がある | ・記載漏れ・内容の不整合・有効期限切れがないか。 ・書類全体の整合性が取れているか。 |
書類に不備や違反があると、不許可だけでなく許可取り消しなどの措置が取られる場合もあります。申請前に書類全体を通して確認することを徹底しましょう。
審査期間の目安
通常1〜3か月程度で入管から許可通知または認定証明書が届きます。
ただし、申請が集中する時期や書類の補正が発生した場合はさらに時間がかかることがあるため、入社予定日から逆算して、少なくとも3〜4か月前には申請できるよう準備を進めることをおすすめします。
| 申請の種類 | 審査期間の目安 |
|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請 | 1〜3か月程度 |
| 在留資格変更許可申請 | 2週間〜2か月程度 |
| 在留期間更新許可申請 | 2週間〜1か月程度 |
余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが、採用計画全体を円滑に進めるうえで重要です。
特定技能ビザ申請は計画的に準備しよう
この記事では、特定技能ビザ申請の基本から申請の流れ、必要書類、注意点までを解説しました。
特定技能ビザ申請は外国人本人だけでなく、受け入れ企業側にも雇用契約書や支援計画書、各種証明書類など多くの準備が求められます。また、新規入国・在留資格変更・在留期間更新のいずれのケースに該当するかによって手続きの内容や申請人が異なるため、まず自社の状況を正確に把握することが重要です。
制度を正しく理解し、計画的に手続きを進めることで、特定技能外国人の受け入れを円滑に進めましょう。

