飲食店の食券販売のみならず、温浴施設やアミューズメント施設の入場券販売など、さまざまな店舗や施設で券売機が活用されています。
セルフレジと比べて使い慣れている顧客も多いことから、これから自店舗や自施設で券売機を導入しようと検討している方も多いでしょう。
本記事では、券売機の導入費用の目安や、券売機導入によって得られるメリット、導入の流れについて解説します。また、導入時に活用可能な補助金・助成金制度に加え、券売機の導入事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
券売機とは
券売機とは、食券機や自動券売機とも呼ばれる設備で、任意のボタンを押して相当金額を支払い、食券や入場券・利用券などを発行するものです。
プラスチック製・ガラス製のボタンを押して購入するボタン式券売機と、タッチパネルを操作して券類を購入するタッチパネル式券売機があります。そのほか、卓上・カウンター上に設置できる、コンパクトな小型券売機・卓上券売機などがあるのも特徴です。
飲食店を中心に、銭湯やサウナなどの温浴施設、アミューズメント施設など、幅広い店舗・施設で導入されています。
参考記事:券売機とは?食券機(食券自販機)・発券機・精算機との違いや活用シーンについて解説
券売機の導入費用の目安
券売機の導入にかかる費用は、券売機の大きさや種類によって大きく変動するため、店舗規模や予算に合わせて導入する機種を検討することが大切です。
以下では、券売機の導入費用の目安について、券売機の種類ごとに解説します。
ボタン式券売機の導入費用
ボタン式券売機の導入費用の目安は、約50万円~100万円です。低額紙幣(千円札)のみに対応している機種よりも、高額紙幣(五千円札・一万円札)にも対応している機種の方が、価格が高くなる傾向にあります。
また、近年ではボタン式券売機にキャッシュレス決済端末や、QRコード決済・バーコード決済用の読み取り端末をオプション導入できる機種があるのも特徴です。
このようなオプション追加の有無によっても、費用が変動する可能性があります。
タッチパネル式券売機の導入費用
タッチパネル式券売機の導入費用の目安は、約80万円~250万円です。タッチパネル式券売機には、キャッシュレス専用機と現金に対応可能な自動釣銭機搭載機の2種類があり、導入する機種によって大幅に金額が変動します。
とくに、自動釣銭機を搭載しているタッチパネル式券売機は費用が高額になる傾向にあるため、導入時には機種比較に加えて費用比較も行っておきましょう。
タッチパネル式券売機は、導入費用が高くなる半面、ボタン式券売機にはない機能が豊富に備わっています。
大画面に料理や商品の画像を掲載する、宣伝・広告動画を流す、多言語表示機能や多言語音声案内機能が備わっている、などです。費用だけでなく、このような機能に関しても比較して機種を選定しましょう。
小型券売機・卓上券売機の導入費用
小型券売機・卓上券売機の導入費用の目安は、約50万円~150万円です。小型のボタン式券売機であれば、約50万円~80万円で導入できる機種もあります。一方で、卓上タイプのタッチパネル式券売機の場合は、100万円を超えるけーすも少なくありません。
また、卓上タイプのタッチパネル式券売機は、キャッシュレス決済専用機となっている場合も多いため、現金決済にも対応したい場合は機種選定に注意が必要です。
参考記事:券売機の小型機種おすすめ10選|価格の目安や中古・新品どちらを選ぶべきか解説
券売機を導入するメリット
券売機を導入するメリットは、以下の3項目です。
- 会計・清算対応を効率化できる
- 釣銭ミスを防げる
- 店舗の回転率向上につながる
それぞれ、券売機を導入する前と比べて、具体的にどのようなプラスの変化があるのか、詳しく解説します。
会計・清算対応を効率化できる
券売機を導入すると、会計・清算対応を効率化できるメリットがあります。会計・清算を券売機で行うので、店舗・施設の従業員がレジで対応する必要がなくなるためです。
また、飲食店で券売機を導入する場合、一般的な飲食店のようにホールスタッフが注文を聞きに行く負担もなくなります。
会計・清算対応を券売機で効率化すれば、店舗従業員の業務を料理提供やテーブルの片付け、接客対応に注力できるため、人手不足解消にも効果的です。
釣銭ミスを防げる
釣銭ミスを防げるのも、券売機を導入するメリットの1つです。キャッシュレジスターや手打ちレジで会計を行うと、釣銭ミスが発生することがあります。
しかし、券売機であれば自動釣銭機で対応でき、自動的に釣銭を渡してくれるため、人の手を介することで発生するミスの抑止に効果的です。
また、キャッシュレス決済に対応すれば、現金のやり取りそのものをなくせることから、釣銭の集計作業やレジ締め作業の負担軽減にも役立ちます。
店舗の回転率向上につながる
券売機を導入すると、店舗の回転率向上に繋がるメリットもあります。券売機でオーダー受注や会計をセルフ化すれば、従業員がほかの業務に注力できるようになるためです。
レジ対応そのものがなくなるため、ピークタイムにテーブルが片付かず、次の顧客を案内できない、といった課題の解消につながります。
また、飲食店向けの券売機の場合、キッチンプリンターやキッチンディスプレイとの連携導入に、対応している機種があるのも特徴です。券売機は、店舗全体の業務効率化を実現する手段としてもすぐれています。
参考記事:券売機を導入するメリットとデメリットを解説!向いている業種・業態と選び方
券売機の導入に活用できる補助金・助成金制度
券売機の導入に活用できる補助金・助成金制度は、以下のとおりです。
- 中小企業省力化投資補助金
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 業務改善助成金
- 働き方改革推進支援助成金
上記はあくまで一例であり、すべての店舗・施設で利用できるとは限りません。
制度ごとに申請要件や補助金・助成金の支給要件が定められているためで、該当しない場合は申請しても支給されない点に注意が必要です。
券売機の導入に利用できる補助金・助成金制度について、詳しくは以下の記事で解説しています。
参考記事:【2025年最新】券売機の導入に利用できる補助金・助成金制度5選|制度ごとの補助上限額や申請要件も紹介
券売機を導入するまでの流れ
券売機は、以下の流れに沿って導入する方法が一般的です。
- 券売機の導入目的を整理する
- 券売機の種類を選ぶ
- 最適な券売機を選定する
- キャッシュレス決済端末・キッチン連携などオプション対応の有無を検討する
- 導入を決定した券売機を申し込む
- スタッフに導入研修を行って運用を開始する
券売機を導入する際は、まず具体的にどのような券売機を導入したいのかを検討する必要があります。自店舗・自施設にマッチする機種を導入しなければ、ミスマッチを起こして業務負担が増加する懸念があるためです。
券売機の種類やサイズ、オプションの有無なども検討しながら、最適な券売機の導入方法を検討しましょう。
券売機の導入事例3選
ここからは、券売機を実際に導入して運用している飲食店・施設の事例を3選紹介します。
ラーメン店の食券販売機
ラーメン店で食券版売機として券売機を導入している事例では、ボタン式券売機を導入して人件費削減や会計業務の効率化を実現しています。
券売機の導入によって、ピークタイムでも少人数のスタッフで対応できるようになったほか、券売機の食券販売データの管理・分析によって、売上傾向を把握できるようになりました。
結果的に仕入れ量の最適化につながり、原材料のロスや品切れによる販売機会の損失抑止につながっています。
カフェのセルフオーダー端末
カフェのセルフオーダー端末として、券売機を導入している事例もあります。オーダーと会計がその場で終えられるため、店舗の人件費削減やオーダーミスの低減につながっているケースです。
キッチンプリンターやキッチンディスプレイと連携可能な券売機の導入により、オーダー情報が直接キッチンに共有されるようになりました。
また、タッチパネル式券売機で商品のカラー写真も掲載するようにしたところ、価格とメニュー名のみで判断されていたオーダーも食べたいメニューでの注文に変化しています。結果的に、顧客単価向上にも繋がっている事例です。
動物園の入園チケット+入場ゲート
券売機と入場ゲート(セキュリティーゲート)の併用により、チケット売り場や入場ゲートの人員配置を削減している動物園の事例もあります。
券売機の中には、QRコードやバーコードの印字に対応しているものもあり、券売機でコードを印字したチケットを販売し、セキュリティーゲートで読み取って入場する仕組みを構築しました。
人件費削減と不正入園の抑止に、券売機を活用している事例です。
まとめ
券売機は、飲食店のみならずさまざまな施設でも活用されている設備です。券種の発行方法もさまざまで、キッチン連携可能な券売機の場合、オーダー情報は直接キッチンに共有し、呼び出し番号を印刷するスタイルで導入している店舗もあります。
まずは、自店舗にどのような設備が最適なのかを検討しながら、自店舗・自施設のレジ業務負担軽減に役立てましょう。