セルフオーダーに対応しているシステムを導入する飲食店が増加する中で、比較的手頃な価格帯で導入できるQRオーダーシステムにも注目が集まっています。
タブレットオーダー(テーブルトップオーダー)とは異なり、各テーブルにタブレット端末を設置する必要がないため、小規模店舗や個人店舗でも導入しやすいシステムです。
本記事では、QRオーダーシステムの導入費用や月額料金・決済手数料率の目安を紹介します。また、導入費用や料金を抑えるポイントについても後述していますので、参考としてご活用ください。
QRオーダーシステムとは
QRオーダーシステムとは、顧客が自らのスマホでオーダー用のQRコードを読み取って、料理やドリンクの注文を行うセルフオーダーシステムのことです。スマホを使用してオーダーをすることから、モバイルオーダーの一種にも含まれています。
タブレット端末を各テーブルに設置する必要がないため、タブレットオーダー(テーブルトップオーダー)よりも、導入費用を抑えられる点が特徴です。
QRオーダーシステムで使用するオーダー用のQRコードは、テーブルにPOPやステッカーを設置する方法のほか、顧客が来店した際に都度印刷して手渡すタイプのものもあります。
前者は運用コストが安く済み、後者はいたずら注文の発生を抑止できるなど、導入方法によって異なる特徴があるため、比較検討して導入することが大切です。
参考記事:QRオーダーシステムとは?メリット・導入方法・選び方と向いている飲食店の特徴を解説
QRオーダーシステムの導入・運用にかかる料金・費用の目安
QRオーダーシステムの導入・運用にかかる料金・費用の目安は、約5万円~100万円です。QRオーダーシステムの導入・運用にかかる料金や費用は、店舗の規模によっても異なります。具体的には、以下のとおりです。
店舗規模 | 初期費用目安 | 月額運用費目安 | 備考 |
---|---|---|---|
小規模(~30席・単独店舗) | 約30万~50万 | 約5,000円~2万円 | POSレジやキッチンディスプレイ・キッチンプリンターなどと連携し、最低限の機能で導入するケース |
中規模(30~100席・数店舗) | 約50万~80万 | 約2万~6万円 | 呼び出しモニター、分析機能や各種システムとの連携、店外版・店内版併用など、多角的に活用するケース |
大規模(100席以上・数十店舗以上) | 約80万~150万以上 | 約6万~10万円 | チェーン展開している複数店舗の管理、店舗独自の高度なカスタマイズ、予約管理システムやLINEミニアプリ連携など、マーケティングにも活用するケース |
最小限で導入するケース | 約5万~20万 | 無料~5万円 | POPやステッカー・メニューに印字など簡易利用 |
QRオーダーシステムの導入費用や運用にかかる料金は、連携するシステムの数が増えるほど高くなる傾向にあります。
基本的なQRオーダーシステムと、POSレジやキッチンディスプレイ・キッチンプリンターなどとの連携のみであれば、5万円~50万円程度で導入できるケースも少なくありません。
また、簡易的なシステムの場合、月額料金がかからないものもあるので、導入費用と決済手数料のみの負担で利用することが可能です。以下では、QRオーダーシステムの導入・運用にかかる費用・料金の内訳と、金額目安について解説します。
導入費用・初期費用・機器購入費
QRオーダーシステムの導入費用・初期費用の目安は、1店舗あたり約5万円~100万円です。おもに、機器購入代金が多くの割合を占めており、連携導入する設備の費用が高くなる傾向にあります。
具体的には、POSレジやキッチンディスプレイ・キッチンプリンター、呼び出しモニター、QRコードPOPやステッカーの作成費用、インターネット環境の整備費用などです。
そのため、多店舗経営を行っている場合、トータルの導入費用は上述の目安金額よりも、高くなると考えておく必要があります。
月額料金(月額利用料)
QRオーダーシステムの利用にかかる月額料金(月額利用料)の目安は、無料~10万円ほどです。高度なカスタマイズ性のあるシステムを導入したり、外部システムとの連携導入を行っている場合は、月額料金も高くなる傾向にあります。
一方で、月額料金が無料のQRオーダーシステムもあるため、個人店舗や小規模店舗で導入する場合は、検討してみるのもおすすめです。ただし、月額無料のQRオーダーシステムの場合、決済手数料率が通常と異なるケースがあるので確認しておきましょう。
決済手数料
QRオーダーシステムの運用時にかかる、決済手数料の目安は約2~5%です。店外版モバイルオーダーシステムと呼ばれる、事前注文・テイクアウト注文・デリバリー注文などに対応しているシステムの場合、決済手数料の負担が発生します。
また、店内版のシステムでも、テーブル会計や注文時の事前会計に対応しているタイプの場合、決済手数料の負担が生じる点を理解しておきましょう。
決済手数料は、QRオーダーシステムの利用時に、顧客がキャッシュレス決済を利用する場合に発生するサービス利用料のことを指します。決済手段ごとの決済手数料率の目安は以下のとおりです。
決済手段 | 手数料率の目安 | 備考 |
---|---|---|
クレジットカード決済 | 1.98%〜5%(最大10%) | 国際ブランドや加盟店契約で変動。固定費が別途かかる場合がある |
QRコード決済 | 0%〜4% | キャンペーンで実質0%の期間がある場合も。決済ブランドの種類によって条件が異なる傾向 |
電子マネー(非接触IC) | 3〜4% | 交通系・iD、流通系、QUICPayなど。加盟形態・契約先で変動。 |
QRオーダーシステムの導入費用・月額料金に差がある理由
QRオーダーシステムの導入費用・月額料金に差が出てくる理由は、以下の3項目です。
- 導入する設備・機器の違い
- 月額料金と決済手数料の相関関係
- 外部システムとの連携可否
それぞれ、具体的にどのような点で差が出てくるのか、費用に影響を与える項目と基準について解説します。
導入する設備・機器の違い
QRオーダーシステムの導入費用・月額料金に差が出る理由として、導入する設備・機器の違いが挙げられます。
POSレジやキッチンディスプレイ・キッチンプリンターなど、周辺機器も同時導入すると初期費用が高くなるためです。周辺機器をリース利用する場合でも、初期費用は抑えられても月額料金に反映されます。
とくに、複数店舗で同時に導入する場合は、単純計算で店舗数分の費用が加算されるため、事前に費用の概算を出して把握しておくことが大切です。
月額料金と決済手数料の相関関係
月額料金と決済手数料の相関関係も、QRオーダーシステムの導入費用・月額料金の差に影響を与えている点です。月額料金が無料のQRオーダーシステムの場合、決済手数料率が割高に設定されていることがあります。
一方で、月額料金の負担が発生するQRオーダーシステムは、決済手数料率が割安に設定されている場合があるのも特徴です。
キャッシュレス決済での支払いが多い店舗は、決済手数料率の低い方を選び、少ない店舗は月額料金が無料もしくは安いサービスを選ぶと良いでしょう。
外部システムとの連携可否
外部システムとの連携可否も、QRオーダーシステムの導入費用・月額料金に差が出るポイントです。
POSレジやキッチンとの連携のほか、在庫管理システムや予約管理システム、会計ソフト、勤怠・シフト管理システム、ポータルサイト(UberEATS・出前館など)などとの連携が挙げられます。
QRオーダーシステムと、これらの外部システムとの連携に対応する場合、導入費用・月額料金が高くなる可能性があるので、コストとシステム連携の利点を天秤にかけて判断しましょう。
QRオーダーシステムの料金・導入費用を抑えるポイント
QRオーダーシステムの料金・導入費用を抑えるポイントは、以下の3項目です。
- POSレジとセットで導入する
- 店舗規模に合わせて加入するプランを選ぶ
- 補助金・助成金を活用して導入する
項目ごとのポイントや、費用をかけるべき部分と抑えるべき部分を判断する基準について解説します。
POSレジとセットで導入する
QRオーダーシステムの料金・導入費用を抑えるには、POSレジとセットでの導入がおすすめです。POSレジを提供している企業によっては、オプションでQRオーダーシステムを追加できる場合もあるため、結果的にトータルコストが安く抑えられます。
POSレジとQRオーダーシステムが標準連携しているため、外部システムとの連携費用を追加で支払う必要もありません。
また、事業者によってはセット割を提供していたり、POSレジとQRオーダーシステム周辺機器のリース契約が一本化されたりして、別途契約するよりも料金が抑えられる可能性があります。
店舗規模に合わせて加入するプランを選ぶ
飲食店の店舗規模に合わせて加入するプランを選ぶのも、QRオーダーシステムの料金・導入費用を抑えるポイントです。小規模店舗・個人店舗であれば、最小限の機能が利用できるプランを導入することで、費用を安く抑えられます。
一方で、チェーン展開している場合や店舗規模が大きい飲食店では、詳細な分析機能が備わっている、各種外部システムとの連携に対応しているなど、高度なカスタマイズに対応しているプランがおすすめです。
システム連携によって、給与計算や売上分析・在庫管理、集客・販促施策が容易になるため、投じたコスト以上の利便性向上や人件費削減などの効果が見込めます。
補助金・助成金を活用して導入する
QRオーダーシステムの料金・導入費用を抑えるには、補助金・助成金を活用するのも選択肢の1つです。活用する補助金・助成金制度によって申請要件は異なりますが、機器類の購入代金の一部を補助・助成してもらえる可能性があります。
とくに、POSレジや自動釣銭機、券売機など、導入費用の負担が大きい設備とQRオーダーシステムの導入を併せて行う場合は、活用を検討してみると良いでしょう。
参考記事:【2025年最新】モバイルオーダーシステム導入に利用できる補助金・助成金制度まとめ!申請時の注意点も解説
無料で導入できるQRオーダーシステムはある?
基本的に、完全に無料で導入できるQRオーダーシステムは、ほぼありません。月額料金が無料でも決済手数料の負担が生じたり、導入時の機器購入代金がかかったりするためです。
キャンペーン適用で無料で利用できる場合でも、期間が限られている場合が多いので注意しましょう。
完全に無料で利用はできなくても、初期費用無料で機器類をリースできたり、月額料金無料で決済手数料の負担のみで利用できるサービスはあります。
自店舗の状況に合わせて、最適なサービスを選定することが大切です。
まとめ
QRオーダーシステムの料金や費用を把握するためには、導入費用だけでなく月額料金や決済手数料率もチェックしておく必要があります。
サービスを提供している事業者によっては、POSレジのオプションとしてQRオーダーシステムが利用できる場合もあるので、セット導入を検討してみるのもおすすめです。