飲食店やアミューズメント施設、温浴施設など、さまざまな店舗や施設で導入されている設備として、券売機が挙げられます。無人で会計・オーダーを行ってくれる便利な設備ですが、券売機を使用しているとトラブルが発生するケースは少なくありません。
そこで今回は、自動券売機や食券機、両替機・精算機などの稼働中に発生しやすいトラブルの例や、トラブル発生時の対処法について解説します。また、券売機のトラブルを未然に防ぐポイントについても後述していますので、券売機導入時の参考としてお役立てください。
券売機のよくあるトラブル
まずは、券売機を稼働していて発生しやすいよくあるトラブルの例をいくつか紹介します。
紙幣・硬貨の投入エラーや返却
券売機でよくあるトラブルとして、紙幣・硬貨を投入した際にエラーが発生するケースが挙げられます。何度投入しても読み取ってもらえず、繰り返し返却されるような状況です。投入した硬貨にキズや汚れがある、紙幣が濡れている・破れているなどの理由から、このようなトラブルが発生することがあります。
ボタン・タッチパネル操作をしても反応しない
券売機では、ボタンやタッチパネルを操作しても反応しないというトラブルが発生することもあります。これは、内部パーツの汚れや摩耗、破損などが要因で引き起こされるトラブルです。故障した箇所に「使用不可」とする貼り紙を出すこともできますが、顧客からの印象が悪くなる可能性があるので早めに修理対応する必要があります。
紙幣・硬貨が詰まる
紙幣・硬貨が詰まるのも、券売機によくあるトラブルです。紙幣や硬貨を多量に投入したり、なんらかの要因で投入口が詰まっていたりすると、このような状態になることがあります。紙幣や硬貨の詰まりは、ピークタイムに発生すると店舗の業務オペレーションが停滞する要因になるため、早急な対応が求められるトラブルです。
食券・領収書が発行されない
券売機では、食券・領収書が発行されないようなトラブルが発生することもあります。食券・領収書発行用の用紙が切れているケースのほか、詰まりや正しい方法でセットされていないことが要因で、正常通り印刷されない状態です。このトラブルも、業務オペレーションの停止につながることから、営業中に発生した場合は早急に対応する必要があります。
顧客側の操作ミスによるクレーム
券売機のトラブルとして、顧客側の操作ミスによるクレームが発生することもあります。例えば、求めていたものとは異なるボタンを押していることに気付かず、押したボタンとは異なる食券が出てきた、と訴えてくるケースです。このような操作ミスは顧客とのトラブルに発展する可能性があるため、対処法を事前に検討しておくと良いでしょう。
券売機のトラブル発生時の対処法
券売機のトラブルが発生した際、もっとも大切なのは落ち着いてスピーディーに対応することです。慌てると顧客に対して不安感を与える上に、解決策を見落としかねません。また、営業中はトラブルへの対応速度が店舗の回転率にも影響を与える可能性があるため、事前に対処法を把握しておくと安心です。
硬貨・紙幣の詰まりを取り除く
券売機で、硬貨・紙幣の詰まりによるトラブルが発生した際は、まず硬貨・紙幣の詰まりを取り除く必要があります。硬貨や紙幣が詰まっている状態で、無理に押し込もうとして投入する現金を追加すると、状況が悪化する可能性があります。詰まっている箇所がどこなのかを冷静に見極めて、早急に対処しましょう。
交換用の硬貨・紙幣を用意しておく
交換用の硬貨・紙幣を用意しておくのも、券売機のトラブルに備える対処法の1つです。とくに、硬貨や紙幣を投入しても、エラーで何度も返却されている顧客がいる場合は、予備の硬貨・紙幣と交換して対応すると良いでしょう。濡れ・破れ・折れがある紙幣のほか、錆びてしまっている硬貨なども券売機では読み取りにくいたいめ、交換用を用意しておくと対応しやすくなります。
チケット・領収書の用紙を補充する
チケット・領収書が発行されないトラブルが発生したときは、用紙の補充状況を確認しましょう。不足していれば用紙を補充し、補充してあるにもかかわらず発行されない場合は、詰まりがないかチェックする必要があります。また、用紙の向きや量が正常通りセットされていないと、補充しているにもかかわらずチケット・領収書が発行されなくなる場合があるので注意が必要です。
口頭・メモ書きでオーダーに対応する
チケットや領収書の用紙補充、硬貨・紙幣の詰まりなどに対応しているとき、顧客を待たせる時間が発生します。そのような場合には、口頭やメモ書き、現金決済によるアナログ注文で、オーダーに対応して顧客を待たせないようにすることが重要です。
店舗の回転率が低下したり、急いでいる顧客が他店へ流れたりする可能性があるため、オーダーを途切れさせないように工夫して対応しましょう。
券売機の説明書を確認する
券売機でシステムエラーや想定外のトラブルが発生したときは、まず券売機の説明書を確認して対応方法が記載されていないかチェックしましょう。基本的なトラブルであれば、対処法が記載してあるはずです。
しかし、記載されている通り対応しても解消されない場合や、対応方法がわからないトラブルが発生したときは、メーカーや販売店に直接問い合わせる必要があります。
一度返金して購入し直してもらう
顧客側の購入ミスによるクレームが発生したときは、顧客に一度返金対応して、再度購入し直してもらいましょう。注意しなければならないのは、料理を提供する前の段階で顧客に気付いてもらうことです。そのため、食券を受け取ったタイミングで注文内容を口頭で確認する習慣をつけて、料理のロスを防ぐ必要があります。
券売機のトラブルは、新品やリース・レンタル利用中であれば、サービス事業者に相談できます。しかし、中古で購入した券売機は、保証の対象外になっていたり、購入直後に壊れたりする可能性もあるので注意が必要です。
参考記事:券売機の中古はやめた方が良いって本当?新品・中古それぞれのメリット・デメリットについて解説
飲食店の営業中に券売機が壊れたらどうすれば良い?
飲食店の営業時間中に券売機が突然壊れたときは、まずほかの対応方法でオーダー受注・清算を続けましょう。前述のメモ書きや現金決済での対応を行うなど、アナログで対応すれば店舗の営業を止めずに対応できます。とくに、停電や通信障害が発生したときなどは、券売機が使えなくなることもあるので対策しておくと安心です。
その上で、どのように対応すれば良いかを券売機メーカーに問い合わせて、状況に応じて修理や買い替えなどの対応を取ると良いでしょう。
券売機のトラブル発生を未然に防ぐポイント
券売機トラブルは、発生してから対応するだけでなく、発生を抑止する工夫を講じることも重要です。
- 普段から内部のホコリを取ってメンテナンスをしておく
- トラブル発生時のマニュアルを用意しておく
- 券売機を複数台導入する
ここでは、これらの対応で具体的にどのようなトラブルの回避につながるのかを詳しく解説します。
普段から内部のホコリを取ってメンテナンスをしておく
券売機のトラブルを防ぐには、普段から内部のホコリを取ってメンテナンスを定期的に行うことが大切です。とくに、硬貨や紙幣の投入口、釣銭の排出口など、現金の出し入れが行われる部位は汚れが溜まりやすいのでチェックしておきましょう。
基本的に、券売機カタログや説明書に普段のメンテナンス方法が記載されている場合も多いので、確認しておくと安心です。また、券売機を導入するタイミングで、メンテナンス方法やサポートサービスについても販売会社に問い合わせておけば、普段の手入れ方法も把握しやすくなります。
トラブル発生時のマニュアルを用意しておく
券売機のトラブル発生に備えて、トラブルが発生した際の対応マニュアルを用意しておくのも良いでしょう。券売機のトラブルが発生したときに、店内の従業員が誰でも対応できる状態にするためです。
例えば、トラブルに対応できる店員が1人しかいなければ、対応可能な店員がシフトに入っていないタイミングでトラブルになると、解消できなくなります。
このようなトラブル対応の属人化を解消するためにも、具体例を踏まえて対応方法をマニュアル化し、従業員全体に周知しておくことが重要です。
券売機を複数台導入する
券売機のトラブルを未然に防ぐには、券売機を複数台導入するのも選択肢の1つです。店舗の規模によっても異なりますが、複数台の券売機を導入していれば、片方がトラブルで稼働を停止しても、他方の機種で対応を続けられます。
券売機を1台だけ導入している店舗の場合、券売機が停止した途端にオペレーションが停止する事態となるため、リスク分散を兼ねて複数台導入するのもおすすめです。
片方を現金決済、もう片方をキャッシュレス券売機・多言語対応券売機にするなど、機種の機能を分ける選択肢もあります。
まとめ
券売機には、ボタン式券売機だけでなく、タッチパネル式券売機もあります。また、近年では食券発行を行わず、券売機で購入したオーダー情報が、リアルタイムにキッチンと共有される、キッチンプリンター・キッチンディスプレイと連携可能なサービスもあるので、活用を検討してみると良いでしょう。
券売機のトラブルは、券売機の経年劣化によって引き起こされる場合もあります。購入から5年~10年程度経過した券売機でこのようなトラブルが目立つようになったら、買い替えも視野に入れて検討することが大切です。