飲食店におけるオーダー受注業務を効率化する手段として、QRオーダーシステムを導入する店舗が増加傾向にあります。QRオーダーシステムが普及する中で、数多くあるセルフオーダーシステムの中から、自店舗にマッチするものを選定することに不安を抱えている方も多いでしょう。
本記事では、QRオーダーシステムとはなにか、モバイルオーダーやタブレットオーダーとの違い、導入するメリットについて詳しく解説します。
また、導入費用の目安や導入方法、自店舗に合うサービスの選び方に加え、QRオーダーシステムが向いている飲食店の特徴についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
QRオーダーシステム(スマホオーダーシステム)とは?
QRオーダーとは、店舗が用意したオーダー用のQRコードを、顧客のスマホで読み取り、料理を注文してもらう飲食店向けのオーダーシステムです。スマホを活用してオーダーすることから、スマホオーダーシステムとも呼ばれています。
QRコード注文に対応しているシステムの総称で、QRコードオーダー対応オーダーシステムとして、店内注文向け、店外注文向けなど幅広いサービスが展開されているのも特徴です。
大がかりな設備を導入する必要がなく、クラウドサービスとして提供されているものも豊富にあり、導入コストが抑えられる傾向にあります。
そのため、個人店舗や小規模店舗でも導入しやすく、飲食店におけるオーダー業務の負担軽減策として、注目されているシステムです。
モバイルオーダー・タブレットオーダー(テーブルオーダー)・セルフオーダーとの違い
QRオーダー以外にも、顧客が自ら注文を行うオーダーシステムとして、モバイルオーダーやタブレットオーダー(テーブルオーダー)、セルフオーダーなどが挙げられます。それぞれの違いや特徴は以下のとおりです。
項目 | モバイルオーダー | タブレットオーダー (テーブルオーダー・ テーブルトップオーダー(TTO)) |
セルフオーダー・ KIOSK(キオスク)端末 |
QRオーダー (スマホオーダー) |
---|---|---|---|---|
操作デバイス | 顧客のスマートフォン | 店舗の各テーブルに設置されたタブレット端末 | 店舗設置のタッチパネル(券売機型など) | 顧客のスマートフォン |
操作場所 | 店内注文・店外注文いずれも可 | テーブル席など店舗内 | 店舗内の専用端末前 | 店内のテーブルやレジ前 |
特徴 | 店舗アプリやWebブラウザから事前注文可能 店内注文に対応しているものも多い |
テーブルごとに端末を設置し注文操作 | 券売機のように対面不要で注文・事前決済できる | QRコードを読み込んで注文ページにアクセス |
主な用途 | テイクアウト、モバイル事前注文対応店、店内飲食 | ファミレス、居酒屋、焼肉屋、オーダーバイキングなど | ファストフード、フードコート、無人店舗 | カフェ、フードコート、非接触対応店 |
モバイルオーダーとQRオーダーは、QRコードの有無が大きな違いです。モバイルオーダーをスマホオーダーと呼ぶこともあり、呼称の幅が広い傾向にあります。
タブレットオーダー(テーブルオーダー)は、QRオーダーとは異なり、顧客のスマホではなく店舗が各テーブルに設置したタブレット端末で、顧客が注文操作を行うオーダー方式です。
テーブルの数に応じてタブレット端末を導入する必要があるため、QRオーダーシステムと比べて導入費用がかかります。一方で、顧客のスマホのバッテリーや通信容量を気にせずに利用できるといったメリットがあるのも特徴です。
QRオーダーシステムを導入するメリット
QRオーダーシステムを導入するメリットは、以下の3項目です。
- オーダーミスが減る
- 顧客単価向上が期待できる
- 多言語対応ができる
それぞれ、QRオーダーシステムを導入する前と比べてどのような変化があるのか、飲食店のオーダーフローにおけるQRオーダーシステムの影響・効果について解説します。
オーダーミスが減る
QRオーダーシステムを導入すると、オーダーミスが減るメリットがあります。飲食店における注文受注業務は、基本的にホールスタッフが直接顧客に聞く「口頭注文」が一般的です。
しかし、口頭注文の場合、聞き間違えやハンディ入力のミスなど、人的ミスが発生しやすくなります。QRオーダーシステムを導入すれば、顧客が直接注文するため、このようなミスを抑制できます。
QRオーダーシステムは、キッチンプリンターやキッチンディスプレイと連携可能なものも少なくありません。このようなシステムを導入すれば、人を挟むことで発生するオーダーミスを大幅に減らせるでしょう。
顧客単価向上が期待できる
顧客単価向上が期待できるのも、QRオーダーシステムを導入するメリットの1つです。飲食店の注文時にホールスタッフを呼ぶ必要がなくなるため、顧客は追加注文を行いたいタイミングでいつでもオーダーできます。
口頭注文の場合は、ホールスタッフを呼んで対応してもらえるのを待たなければならず、ランチタイム・ディナータイムなどの混雑時間帯は待つ時間が長くなり、顧客にとって大きなストレスになりかねません。
追加注文を諦めてしまい、知らず知らずのうちに収益機会を逃している可能性があります。QRオーダーシステムを導入すれば、このような心配がなくなり、顧客単価の向上が期待できます。
多言語対応ができる
多言語対応ができるのも、QRオーダーシステムを導入するメリットです。口頭注文で対応している飲食店では、インバウンド顧客が来店した場合、店舗スタッフが多言語対応をする必要があります。また、多言語表記に対応したメニュー表の作成も必要になるでしょう。
QRオーダーシステムを導入すれば、日本語の注文画面を作成すると簡単に多言語表示に切り替えて対応できます。QRオーダーシステムで多言語対応ができるようになれば、インバウンド顧客も受け入れやすくなり、収益機会の拡大につながります。
インバウンド対策として、オーダーシステムの導入を検討している飲食店にもおすすめです。
QRオーダーシステムの導入方法
QRオーダーシステムを導入する際は、以下の流れに沿って手続きを進めましょう。
- 導入する目的を明確にする
- 目的に合わせて必要な機能をリストアップする
- QRオーダーのサービスを比較検討する
- 導入するQRオーダーシステムを決定する
- 申込み・契約を締結する
- QRコードを生成して印刷・POP作成を行う
- 従業員に使い方の研修を行う
- 運用を開始する
まずは、自店舗にどのようなQRオーダーシステムを導入したいのかを明確にすることが大切です。QRオーダーシステムによっては、顧客が来店するたびにオーダー用QRコードを発行するタイプもあれば、テーブル上にPOPとして設置するタイプもあります。
店内注文・店外注文のいずれかの見に対応しているサービス、どちらにも対応できるサービスなど、提供している事業者によって機能に大きな差があるので注意しましょう。
QRオーダーシステムの導入費用・月額料金の目安
QRオーダーシステムの導入にかかる費用の目安は、初期費用が約5万円~20万円です。別途月額料金として、1店舗あたり、月額数千円~5万円程度かかる場合もあります。
月額料金無料のサービスもあり、反対に月額料金は発生するが初期費用がほとんどかからない、というサービスがあるのも特徴です。
QRオーダーシステムは、タブレットオーダーのようにタブレット端末を購入する負担がないため、比較的低コストで導入できます。
ただし、システムの導入費用や、連携導入するキッチンプリンター・キッチンディスプレイの購入費用なども、発生する場合があるので注意しましょう。
導入費用だけでなく、ランニングコストも試算した上で、自店舗に最適なQRオーダーシステムのサービスを選定する必要があります。
QRオーダーシステムの選び方と比較ポイント
QRオーダーシステムを選ぶ際は、以下の項目を意識して比較検討すると良いでしょう。
- 必要な機能が備わっているか
- オーダー用QRコードは都度発行・設置のどちらか
- 外部システム(POSレジ・キッチンディスプレイやプリンター)と連携可能か
- 店内版・店外版どちらのシステムか
- 事前決済に対応しているか
- 導入費用・月額料金の金額
- サポートサービスの充実度
飲食店のサービス内容によって、最適なQRオーダーシステムも異なります。テイクアウト注文・デリバリー対応の有無や、注文頻度も異なるでしょう。
また、焼肉屋や居酒屋・ビュッフェ店のように、食べ放題・飲み放題メニューがある場合も、放題メニューの注文に対応しているか確認しておく必要があります。
自店舗に最適なQRオーダー導入を実現するには、まず自店舗でどのようなQRオーダーシステムを導入したいのかを明確にしておくことが大切です。
QRオーダーシステムの導入に向いている飲食店の特徴
QRオーダーシステムの導入に向いている飲食店の特徴は、以下の3項目です。
- 居酒屋・焼肉店など注文回数が多い飲食店
- カフェ・ファストフード店など回転率が高い飲食店
- キッチンカー・デリバリー・テイクアウトなど店外注文が多い飲食店
それぞれ、QRオーダーシステムの導入によってどのように業務オペレーションが変化するのか、QRオーダーシステムの活用方法も踏まえて解説します。
居酒屋・焼肉店など注文回数が多い飲食店
居酒屋や焼肉店などの注文回数が多い飲食店は、QRオーダーシステムの導入に向いています。注文回数が多いと、ホールスタッフが注文受注に割く時間が増えてしまい、大きな業務負担となるためです。
QRオーダーシステムの導入によって、オーダーをセルフ化すれば、ホールスタッフの業務負担軽減につながる上に、顧客も従業員の対応を待つことなく、好きなタイミングで追加オーダーできます。
また、食べ放題・飲み放題メニューに対応しているQRオーダーシステムなら、放題プランの制限時間をスタッフが管理する負担を軽減することも可能です。
カフェ・ファストフード店など回転率が高い飲食店
カフェ・ファストフード店などの回転率が高い飲食店も、QRオーダーシステムの導入に向いている店舗です。店外からの事前注文や、席からの注文に対応できるシステムを導入すると良いでしょう。
とくに、注文と同時に決済が完了できるQRオーダーシステムを導入しておけば、会計対応も効率化できます。
スタッフが料理やドリンクの提供、テーブルのバッシングなど、他の業務に注力できるようになるため、店舗の回転率をさらに高められるでしょう。
キッチンカー・デリバリー・テイクアウトなど店外注文が多い飲食店
キッチンカー・デリバリー・テイクアウトなど、イートイン以外の店外注文が多い飲食店も、QRオーダーシステムの導入に向いています。
店頭注文のみに対応していると、レジ前にオーダーを待つ顧客の行列ができてしまい、顧客を長時間待たせてしまう場合があり、収益機会の損失にもつながりかねません。
QRオーダーシステムの導入によって店外注文や事前決済に対応することで、オーダーを聞く時間を調理対応に回せるようになり、時間あたりの収益最大化も実現できるでしょう。
まとめ
QRオーダーシステムは、飲食店におけるオーダー受注業務を効率化し、ミスの抑制やインバウンド対策にもつながるなど、幅広いメリットがあることから導入を検討している方も多いでしょう。
しかし、重要なのは「自店舗の最適なQRオーダーシステムを選ぶこと」であり、導入コストの安さだけで選ぶとミスマッチを引き起こす原因になりかねません。
まずは、具体的にどのようなQRオーダーシステムを導入したいのかを明確にした上で、最適なサービスを比較検討しましょう。