近年、飲食店やスーパーなどの小売店でも目にする機会が増えたセルフレジですが、クリニック・医療施設で導入するケースも増加傾向にあります。
クリニックや医療施設でセルフレジを導入する場合、飲食店や小売店で導入されているセルフレジとは異なり、専門的な機能が必要になるため、選定時には注意が必要です。
本記事では、クリニックでセルフレジを導入する場合に確認しておきたい機能について解説しながら、おすすめのセルフレジを8選紹介します。
また、クリニックでセルフレジを導入するメリットや選び方のポイントについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
セルフレジレジとは?
セルフレジとは、顧客が自ら商品の登録や会計の入力作業を行い、清算・会計作業を行う設備のことです。顧客が商品登録から会計まで、すべてセルフで行うものを「フルセルフレジ」、店舗の従業員が商品登録や会計金額の計算を行い、支払い操作のみを顧客が行うものをセルフレジと呼びます。
自動釣銭機が搭載されている現金決済対応の機種のほか、キャッシュレス決済専用機があるのも特徴です。顧客が自ら会計を行うという観点では、広義の意味で自動精算機や券売機もセルフレジの一種に該当します。
店舗の業種や業態に合わせて、さまざまな機能が備わった機種があるため、具体的にどのようなセルフレジを導入したいかを検討しながら、機種を比較することが大切です。
参考記事:セルフレジとは?仕組みや使い方・導入するメリット・費用についてまるごと解説
参考記事:セミセルフレジとは?導入するメリット・デメリットやトラブルへの対策方法を解説
クリニック向けのセルフレジに必要な機能
基本的に、セルフレジは会計・清算を行うための設備です。一方で、飲食店で導入する場合はモバイルオーダー、小売店で導入する場合は在庫管理システムなど、業種に特化した機能が備わっている機種も多くあります。
そのような中で、クリニック向けのセルフレジを導入する場合、以下の機能が備わっている機種を選ぶことが重要です。
- 電子カルテ・レセコン連携機能
- 未収金管理機能
- 自動釣銭機・キャッシュレス決済機能
以下では、これらセルフレジに備わっているクリニック向けの機能について詳しく解説します。
電子カルテ・レセコン連携機能
クリニック向けのセルフレジに備わっている機能として、電子カルテ・レセコン連携機能が挙げられます。その名のとおり、セルフレジと電子カルテ・レセコンを連携できる機能で、会計と連動させて診療費の請求を円滑化できる点が特徴です。
診療内容や保険点数が自動で反映されるため、受付スタッフが手入力する手間や入力ミスを防ぎ、正確な会計処理が行えます。また、待ち時間短縮・スタッフの負担軽減にもつながり、業務効率と患者満足度の向上を図る上で効果的な機能です。
未収金管理機能
クリニック向けセルフレジの未収金管理機能は、診療後に患者が支払いを行わなかった場合や一部のみ支払った場合に、その情報を自動で記録・管理するためのものです。
未収金の一覧表示のほか、患者ごとの残高確認が簡単に行えるため、次回来院時の精算や請求書発行もスムーズに行えます。未収金管理機能を活用すれば、会計漏れの防止から収益管理が容易になり、経営上のリスク低減だけでなく、スタッフの負担軽減も実現できます。
自動釣銭機・キャッシュレス決済機能
クリニック向けセルフレジの自動釣銭機・キャッシュレス決済機能は、会計の正確性と効率性を高める上で重要な機能です。自動釣銭機は現金授受のミスや不正を防止するだけでなく、スタッフの現金集計作業(レジ締め)や金銭管理の負担を大幅に削減できます。
また、キャッシュレス決済機能では、クレジットカードやQRコード決済、交通系ICなどのキャッシュレス決済に対応できるため、患者の支払い方法の多様化に応えられるのも特徴です。自動釣銭機・キャッシュレス決済機能の導入により、非接触決済も実現できることから、会計の正確性向上・決済手段の確認に加えて衛生対策の強化にもつながります。
【比較表付き】クリニックにおすすめのセルフレジ8選
ここからは、クリニックにおすすめのセルフレジを8選紹介します。
サービス名 | 導入費用 | フルセルフorセミセルフ | 電子カルテ・レセコン連携 | 未収金管理 | 自動釣銭機・キャッシュレス対応 |
---|---|---|---|---|---|
スマレジ | 約10万円~(例:約89万円)/補助金活用可 | フル・セミ両対応 | 〇 | △ ※顧客管理機能の応用 |
〇 |
POS+ healthcare | 初期約40万円~、月額14,000円〜 | 主にセミセルフ | 〇 | 明記なし | 〇 |
Airレジ | 要問合せ | フル・セミ両対応 | 〇 | △ ※顧客管理機能の応用 |
〇 |
BCPOS | 要問合せ | セミセルフ | 〇 | 〇 | 〇 |
POSCO | 要問合せ | セミセルフ | 〇 | 〇 | 〇 |
ハヤレジ | 要問合せ | セミセルフ | 〇 | 〇 | 〇 |
HappySelf(寺岡精工) | 要問合せ | フル・セミ両対応 | 〇 | △ ※レセコン側に支払い完了を通知できる |
〇 |
ユビレジ | 要問合せ | セミセルフ | 〇 | △ ※未収扱いの会計が可能 |
〇 |
スマレジ
出典:スマレジ株式会社
スマレジのセルフレジは、クリニックの会計業務効率化や患者満足度向上に役立つ設備です。電子カルテ・レセコンとの連携に対応しており、診療内容・保険点数が会計に自動で反映されるため、入力ミスの抑止による正確な会計・清算対応の実現が可能です。
スマレジでは、自動釣銭機やキャッシュレス決済端末の導入にも対応しており、現金管理の負担軽減と会計スピードの向上にもつながります。患者は、診療後に自分でスムーズに精算できるため、会計待ちの時間短縮、感染リスク低減につながるのもスマレジの強みです。
タブレットタイプのPOSレジなので、設置場所も最小限で済みます。POSシステムと会計ソフトや、調剤レセコン「NSIPS®(エヌシップス)」などとの連携導入も可能です。
POS+ healthcare
出典:ポスタス株式会社
POS+ healthcareのセルフレジは、クリニックや薬局など医療機関に特化した設計が強みのサービスです。電子カルテ・レセコンとスムーズに連携し、診療内容や保険点数を自動で会計に反映するため、会計処理の正確性向上や円滑化につながります。
自動釣銭機やキャッシュレス決済にも対応しており、現金管理の負担軽減も実現可能です。また、直感的に操作できる使いやすいUIと充実したサポート体制もPOS+の強みで、スタッフ・患者双方にとって活用しやすいセルフレジが導入できます。
Airレジ
出典:株式会社リクルート
Airレジは、クリニックでも導入しやすいシンプルなUIとシステムの拡張性が強みのセミセルフレジです。無料から利用開始できるPOSアプリをベースに、電子カルテ・レセコンとの連携に対応しています。基本的にはタブレット型POSレジと自動釣銭機を組み合わせて導入するため、フルセルフレジではなくセミセルフレジを導入したい場合に最適です。
電子カルテ・レセコンとの連携により、NON-PLUバーコードをバーコードリーダーで読み取れば、診療内容を正確に会計へ反映できるため入力作業や会計ミスを抑制できます。
自動釣銭機のほか、キャッシュレス決済端末の導入にも対応しているため、会計処理を効率化しつつ患者の利便も向上や衛生対策にも効果的です。システムは直感的な操作性で簡単に利用できるため、スタッフの教育コストも抑えられることから、小規模なクリニックでの導入にも適しています。
BCPOS|株式会社ビジコム
出典:株式会社ビジコム
BCPOSは、クリニックや調剤薬局に特化したセミセルフ方式のPOSレジで、レセコンから出力されるQRコードやNON‑PLUバーコードの読み取りによる会計に対応しています。
また、インボイス制度対応のレシート発行ができるほか、40種類以上のキャッシュレス決済ブランド対応で、自動釣銭機との連携導入も可能です。保険診療・自費診療と物販品の合算会計も簡単にでき、多機能かつ柔軟な構成で、会計業務の効率化と従業員の負担軽減に役立ちます。
POSCO
出典:株式会社ポスコ
POSCOのレセPOSは、電子カルテ・レセコン(レセプトコンピュータ)とシームレスに連携し、請求情報を自動で取り込んでくれるセルフレジです。
入力ミスや漏れを抑止しながら、正確で効率的な会計処理を実現します。自動釣銭機やキャッシュレス決済にも対応している点が特徴で、セミセルフからフルセルフまで柔軟なスタイルでの運用が可能です。
さらに、患者別集計機能や未収金管理機能も備わっているため、医療現場の複雑な診療体系にも対応できる専門性の高い機種といえます。カスタマイズ性が高く、中規模以上のクリニックにも最適な信頼性の高いPOSシステムです。
ハヤレジ
出典:ハヤレジ株式会社
ハヤレジも、電子カルテやレセコンとの連携に対応しており、診療後の請求金額を自動で読み取って会計業務を円滑化してくれるクリニック向けのセルフレジです。セミセルフ型とフルセルフ型のどちらでも選択可能で、設置スペースや運用スタイルに合わせて柔軟に導入できます。
また、自動釣銭機と連携すれば、会計ミスやレジ締め作業の負担も軽減できます。さらに、準備金の計数、売上金のワンタッチ回収、両替機能など金銭管理も効率化できる点が特徴です。会計業務を大幅に省力化し、患者対応に集中できる環境を整えられます。
HappySelf|株式会社寺岡精工
出典:株式会社寺岡精工
株式会社寺岡精工の「HappySelf」は、セルフ精算レジとして非接触でのスムーズな会計を実現してくれる設備です。自動釣銭機を搭載しているので釣銭ミスや違算を防止し、患者自身による精算方式の導入により、衛生対策に加えてオペレーションの効率化もサポートします。
キャッシュレス決済端末のPayossとセットで導入すれば、2回打ちによるミスの低減や、顧客の決済手段多様化に対するニーズにも対応できる点が魅力です。
多彩なキャッシュレス決済に対応しており、各決済ブランドとの契約や精算にかかる業務を一本化できるため、業務負担を大幅に軽減できます。セミセルフレジのパイオニアとして有名な企業なので、導入実績も豊富です。
ユビレジ
出典:株式会社ユビレジ
ユビレジは、iPadを活用したクラウド型POSシステムで、タブレット型POSレジとして導入できるサービスです。医療機関向けには、レセコンや電子カルテから出力されたバーコードをスキャンし、診療報酬を会計・清算に自動反映する機能が備わっています。
自動釣銭機やキャッシュレス決済との連携も可能なため、会計処理のミスを低減や、会計対応の円滑化による患者の待ち時間短縮にも効果的です。直感的に操作できるUI設計と充実したサポート体制により、スタッフ教育が容易で現場の導入ハードルが低い点も大きな強みです。
クリニックにセルフレジを導入するメリット
クリニックにセルフレジを導入するメリットは、以下のとおりです。
- 会計ミスを防げる
- 受付業務を効率化できる
- 待ち時間を短縮できる
- 感染症対策につながる
- キャッシュレスに対応できる
- 未収金の管理が容易になる
- セキュリティを強化できる
セルフレジは、単なるセルフ化されたレジ設備ではありません。POSシステムが搭載されている機種が多く、電子カルテやレセコン連携による会計ミスの抑止にもつながります。
また、受付業務の効率化も実現できるほか、非接触で会計対応できるため、感染症対策にも効果的です。
キャッシュレス決済にも対応できるようになる上に、カルテやレセコンの情報が自動的に共有されるため、個人情報漏洩のようなセキュリティリスクへの対策にも役立ちます。
参考記事:セルフレジを導入するメリット・デメリット|費用を抑えながら効果を引き出すコツ
クリニックにおける最適なセルフレジの選び方
クリニックでセルフレジを導入する場合、飲食店や小売店で導入する機種とは異なる視点で選定しなければなりません。具体的には、以下の比較ポイントを意識した選び方が重要です。
- 電子カルテ・レセコンとの連携可否
- 自動釣銭機やキャッシュレス決済への対応状況
- 未収金管理機能の有無
- 導入費用とランニングコストのバランス
- フルセルフ型かセミセルフ型かの選択
- スタッフや患者にとっての操作のしやすさ
- 多言語表示や領収書出力など患者対応機能
- 保守・サポート体制の充実度
電子カルテやレセコンとの連携、未収金管理機能などの業界特有の機能は、すべてのセルフレジに備わっているとは限りません。必要な機能を見極めた上で、備わっているか確認しながら選定することが重要です。
また、現場のスタッフや患者が操作しやすい機種を選ぶのも、大切な選定基準となります。近年では、外国人患者に対応するために、多言語表示機能・多言語音声案内機能が備わっている機種があるのも特徴です。
幅広い種類のセルフレジがあるため、最適な機種を選定するには、まず必要な機能や条件のリストアップから始めてみると良いでしょう。
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まとめ
クリニックにおけるセルフレジは、今や身近な設備になりつつあります。フルセルフレジ、セミセルフレジだけでなく、大規模な基幹病院の場合は呼び出しモニターと組み合わせて、自動精算機を複数導入しているケースも少なくありません。
本記事で紹介したセルフレジは、小規模クリニックから中規模病院まで、幅広い医療機関での導入に最適な設備です。さまざまなサービスを比較しながら、自施設に最適なセルフレジを導入しましょう。