請求書カード払いは、支出を先延ばしにしながら事業資金を確保できる手段として、多くの事業者に活用されています。
クレジットカード決済を通じてポイントを獲得することも可能ですが、決済手数料を考慮すると、ポイント目的での利用は現実的とはいえません。
請求書カード払いの本質的なメリットは、あくまで資金繰りの柔軟性にあります。
本記事では「ポイントで得をする」ではなく、資金繰り対策を主軸にしつつ、結果的にポイントも付随する手段として、正しい活用方法を解説します。
請求書カード払いでポイントが貯まる仕組みとは?

請求書カード払いは、振込が必要な請求書をクレジットカード決済に置き換える仕組みです。
これにより、本来であれば銀行振込となる支払いもカード決済扱いとなり、カード会社のポイント付与対象になります。
ただし重要なのは、ポイント目的で利用する仕組みではないという点です。
カード決済である以上、付随的にポイントはつきますが、主目的は支払い期日の延長と資金流動性の確保です。
なぜ銀行振込では貯まらないポイントがカード払いで得られるのか
銀行振込は決済サービスではなく単なる送金処理であるため、ポイント還元が発生しません。
一方で、クレジットカードは加盟店手数料を基盤とするビジネスモデルで運営されており、その一部が利用者へポイントとして還元されます。
請求書カード払いは、請求書という本来カード決済不可な取引を、カード会社の決済ルートへ乗せる仕組みです。
結果的にポイント付与対象になるだけで、ポイント獲得を主目的とした設計ではありません。
カード会社のポイント還元の仕組み
クレジットカード会社は、決済時に加盟店から数%の手数料を受け取り、その一部をポイントとして利用者へ還元しています。
請求書カード払いの場合も、あくまでこの仕組みの延長線上にあるのです。
そのため、次の点を冷静に理解する必要があります。
売掛金でもポイント付与される驚き
請求書カード払いの決済手数料は、平均で2.5%〜3.5%前後が相場です。
通常のクレジットカード還元率は1%前後であるため、ポイントだけを見ると赤字になります。
つまり、
- ポイント目的で利用する→損
- 資金繰り改善のために使う→結果的にポイントが付く
という位置づけが正解です。
請求書カード払いの決済手数料は請求書カード払いでポイントを無理なく活かす考え方

請求書カード払いの決済手請求書をカード払いにすることで、銀行振込では発生しないポイントが付与されるケースがあります。
ただし、請求書カード払いには2.5〜3.5%前後の手数料がかかることが一般的なため、ポイント目的で利用すると損になる可能性が高い点には注意が必要です。
請求書カード払いの本来の役割は、あくまで「支払いを延ばして資金繰りを安定させる」ことにあります。
ポイントは副次的に付与されるものであり、資金繰り対策のついでに一部コストを回収できる仕組みと考えるのが現実的です。
この前提を理解したうえで、無理なくポイントを活かす方法を紹介します。
高還元率カードの利用は「手数料の一部回収」という位置づけ
請求書カード払いでカードを選ぶ際は、還元率の高いカードを使うことで、支払手数料の一部をポイントで回収できる可能性があります。
リクルートカードや楽天ブラックカードなどの高還元カードを利用すると、同じ支払いでも戻ってくるポイントの量に差が出ます。
ただし、ほとんどの場合で手数料の方が高くなるため、「利益を得る」というよりも「負担を和らげる」ための工夫と考えるのが適切です。
高還元カードは、ポイントで儲けるための手段ではなく、支払コストの目減りを防ぐ補助的な役割と捉えると失敗がありません。
対応範囲の広いサービスを選ぶと「キャッシュ管理」がしやすくなる
請求書カード払いサービスの中には、納税・外注費・システム利用料など、幅広い支払いに対応しているものがあります。
支払い対象が広がることで、事業全体のキャッシュフローをカード決済に集約しやすくなり、
- 支払タイミングのコントロール
- 資金の見える化
- 支出の平準化
といった面で実務的なメリットが生まれます。
その結果として、カード決済額が増え、ポイントが付く機会も増えますが、あくまで本質は管理のしやすさと資金繰り改善です。
キャンペーン活用は「還元率アップ」ではなく「負担軽減」の意識で
カード会社や請求書カード払いサービスが実施するキャンペーンでは、一時的にポイント還元率が上がることがあります。
ただし、これを「お得」と捉えるのではなく、決済手数料の負担を一時的に軽減できる機会として活用するのが適切です。
大口支払いのタイミングとキャンペーンを合わせることで、実質コストを抑えつつ支払いを進められる点がメリットといえます。
ポイントが貯まりやすい請求書カード払いサービス3選

請求書の支払いをカード経由にすることでポイントを獲得したい場合、どのサービスを利用するかは非常に重要です。
サービスごとに対応するカードブランドや使える場面、ポイント付与の条件が異なるため、店舗や事業者の運用に合った仕組みを選ぶ必要があります。
ここでは、特にポイントを獲得しやすい請求書カード払いサービスを3つ紹介します。
DGFT請求書カード払い

DGFT請求書カード払いは、取引先がカード決済に対応していない請求書にも、自社のクレジットカードで支払い可能にするサービスです。
請求書支払い先がカードを受け付けていなくても、DGFT経由でカード決済に切り替え、最大約60日まで支払い期日を繰り延べながら資金繰りを改善できます。
フリーウェイ請求書カード払い

フリーウェイ請求書カード払いは、請求書支払いをクレジットカードで代行処理する支払者向けサービスです。
2.7%(非課税)程度の手数料で請求書をカード支払いへ切り替え可能。
振込代行と支払いサイト延長・即日振込といった機能も提供しています。
STORES ビジネスあと払い

STORES ビジネスあと払い(請求書カード払いサービス)は、受け取った請求書をクレジットカードで支払い、立替払いとカード決済を可能にするサービスです。
最大60日まで支払い期日を延長でき、請求元が直接カード対応でなくても利用可です。
請求書カード払いのポイント活用例
請求書をカード払いへ切り替えることで、銀行振込では発生しないポイントが付与される場合があります。
ただし、請求書カード払いには2.5〜3.5%前後の手数料がかかるため、ポイント目的だけで利用すると基本的に損になる仕組みです。
そこで重要なのは、「ポイントで得をする」ではなく、資金繰り改善の結果として、コストの一部をポイントで回収するという考え方です。
ここでは、ポイントを主目的にせず、あくまで「補助的な回収手段」として上手に活用する例を紹介します。
Amazonギフト券やマイルに交換して“支払負担の一部”を回収する
カード決済で付与されたポイントは、Amazonギフト券やマイルに交換することで、事業経費の一部を補填できます。
Amazonギフト券は、
- 事務用品
- 消耗品
- 備品類
などの購入に活用でき、現金支出を部分的に抑える効果があります。
また、マイルに交換することで、出張時の航空券購入費用を軽減できる場合もあります。
ただし、これで手数料を上回る利益が出るケースはほとんどありません。
あくまで、「支払ったコストの一部が戻ってくる」という感覚で活用するのが現実的です。
備品や消耗品の一部をポイントで補填する
ポイントを、日々の事業運営で必要な消耗品の購入にあてると、キャッシュアウトを抑える効果があります。
- パソコン周辺機器
- 文房具
- 梱包資材
- 衛生用品
など、頻繁に発生する支出をポイントで部分的にまかなうことで、「支払いコストを少しでも回収する」運用が可能です。
節税対策ではなく、あくまで実務上の負担軽減策として活用するとよいでしょう。
出張費の一部補填として使う
カードで貯めたポイントを、ホテル宿泊費や交通費の補助に利用することで、出張コストを軽減できます。
特に、出張回数の多い事業者にとっては、航空券の割引・宿泊費の一部補助としてポイントが活躍します。
ただし、「出張無料」などと考えると誤解を招くため、あくまで費用の一部回収ができる手段と考えておくことが大切です。
請求書カード払いで注意すべきポイントとリスク
請求書カード払いは、資金繰り改善に役立つ一方、仕組みを理解せずに利用すると想定以上の負担になることがあります。
特に次の3点には注意が必要です。
カードの利用限度額に注意
請求書カード払いで最も注意したいのが、カード自体の利用限度額です。
高額な仕入れや外注費を支払うケースでは、限度額にすぐ到達してしまい、途中で決済が止まる可能性があります。
限度額超過になると請求書が支払えず、取引先に迷惑がかかるだけでなく、信用に影響する恐れもあります。
事前にカード会社へ限度額の増枠申請をおこなったり、複数カードを用途別に使い分けると安心です。
また、一括払いしか選べないカードの場合は、支払日の資金繰りに直結するため、より慎重な管理が必要です。
手数料と比較して還元率のほうが低い場合は逆損益になる
請求書カード払いは、手数料の方が必ず重い構造です。
そのため、「ポイントが貯まる=お得」ではなく、「出費の中で一部が戻ってくる」仕組みと理解しておく必要があります。
還元率が1〜2%程度のカードでは、手数料負けするのが通常です。
決済に時間がかかるケースがある
請求書カード払いは、サービスによっては決済完了まで数時間〜数日かかる場合があります。
特に審査が必要なタイプや、請求書内容の確認を行うタイプのサービスでは、即日処理ができないケースも存在します。
支払い期限ギリギリで利用すると、決済が間に合わず延滞扱いになる可能性があり、資金繰り改善どころか取引先との信頼を損ねるリスクも。
余裕を持って手続きすることや、即時決済対応のサービスを選ぶことで、この問題は避けられます。
請求書カード払いで利益を生む経営を始めよう
請求書カード払いは、ポイントを稼ぐ仕組みではありません。
本来の価値は、・支払期日の調整・資金ショート防止・キャッシュフローの安定化にあります。
ポイントは、その過程で「ついでに付与される」ものです。
この認識で運用すれば、請求書カード払いは事業にとって実用的な資金管理ツールとして機能します。
