請求書カード払いは、現金が不足している場面でも支払い対応ができる点で注目されています。
しかし、便利な仕組みである一方、使い方を誤ると資金繰りの悪化や想定以上のコスト増加を招くおそれがあります。
特に、手数料負担やクレジットカードの利用枠制限などは、事前に理解しておかないと経営に影響を及ぼすポイントです。
本記事では、請求書カード払いに存在する代表的なデメリットを整理し、具体的な対策もあわせて解説します。
導入前に正しい知識を身につけ、自社にとって最適な判断ができるよう役立ててください。
請求書カード払いのデメリット一覧

請求書カード払いは便利な仕組みですが、導入前に把握しておくべき弱点がいくつかあります。
仕組みを理解しないまま利用すると、コスト増加や資金管理の混乱につながる可能性が高いです。
ここでは、請求書カード払いのデメリットについて解説します。
手数料が継続的に発生する
請求書カード払いを利用するたびに手数料が発生します。
スポット利用であれば軽微な負担に感じることもありますが、月に複数回利用すると固定費のように積み上がります。
毎月同じように利用していると、年間では無視できない金額になるのです。
手数料は売上に対する経費となるため、利益率を圧迫する要因になります。
導入時に一度きりの負担ではないことを理解しておく必要があります。
利用金額が増えるほどコスト負担も増加
請求書カード払いの多くは、利用金額に応じて手数料が決まる定率制です。
仕入れや外注費など高額な支払いに利用すればするほど、コストも比例して増えます。
売上が増えても手数料も増える構造のため、利益率に与える影響を見落としがちです。
特に原価率が高い業種では、わずかな手数料が増えるだけでも収益に直結します。
クレジットカードの利用枠に制限される
請求書カード払いは、クレジットカードの限度額内でしか利用できません。
急な高額請求が発生した場合、利用可能額が不足していると支払いそのものができません。
また、他の経費と併用していると、限度額の消費が早まることもあります。
カード更新や利用停止などのトラブルが起きると、支払手段が突然使えなくなるおそれもあります。
支払を先延ばししている錯覚が生まれる
カード払いに切り替えることで資金が増えたように錯覚しやすくなりますが、実際は支払が後ろにずれているだけです。
支払い義務が消えているわけではありません。
この錯覚により、不要な支出を増やしてしまうと、引落日に資金不足に陥る危険があります。
資金繰りが改善したように見えて、実態は負債が増えている状態である点を認識する必要があります。
翌月以降の支払いが集中する
請求書カード払いを複数回利用すると、引落日に支払いが集中します。
月末や月初の特定日にまとまった金額が引き落とされるため、予想以上の負担になることがあります。
単月では楽に見えても、利用が積み重なることで反動が生じる可能性が高いです。
事前に引落予定額を管理しないと、突然資金不足に陥ることもあります。
手数料負担が発生するリスク・デメリット

請求書カード払いを利用するうえで、避けて通れないのが手数料負担です。
現金流出を先延ばしできる反面、その対価として必ず手数料が発生します。
導入前にこの点を理解していないと、想定以上のコスト増加につながるおそれがあります。
ここでは、手数料負担が発生するリスク・デメリットについて解説しますので、参考にしてください。
利用金額が増えるほど負担も増加
請求書カード払いの手数料は定率制が多く、利用金額に比例して上がります。
少額利用では目立たなくても、仕入れや外注費など高額な支払いに使うほど負担は大きくなります。
月間利用額が増えれば、そのまま手数料も積み上がる仕組みです。
継続利用すると、年間で見たときのコストは無視できない水準になります。
一度便利さを感じると使い続けてしまいやすいため、負担額を意識しないまま利用を続けると利益を圧迫します。
実質的な資金調達コストの高さ
請求書カード払いは、支払い期日を先に延ばせる仕組みであり、短期的に資金繰りへ余裕をもたせる手段として活用されるケースが多くあります。
その点では、支払い猶予を得るという意味で、資金調達に近い側面があると言えるでしょう。
ただし、銀行融資などと比較すると、手数料という形で発生するコストは割高になりやすい傾向があります。
数%の手数料であっても、利用期間が短い分、年率換算すると高水準に見える場合があります。
即効性があり、急な支払い対応には有効ですが、長期的な資金確保の手段として使い続けることには向いていません。
あくまで一時的な資金調整策として位置づけ、計画的に利用する判断が求められます。
クレジットカード利用枠の制約

請求書カード払いは、クレジットカードの利用可能枠の範囲内でしか使えません。
どれだけサービスが便利でも、カード側の条件を満たさなければ支払いは成立しません。
利用枠の把握を怠ると、いざというときに決済できない事態も発生します。
ここでは、カード利用枠に関する注意点を解説します。
限度額に達すると利用できない
請求書カード払いは、カードの利用限度額に達すると決済そのものができなくなります。
他の経費とカードを併用していると、想定より早く上限に達することもあります。
また、複数の請求書をまとめて処理した場合、一度の決済で枠を使い切ってしまうケースも少なくありません。
決済できなければ当日の支払いが完了せず、取引先との関係に影響を及ぼすおそれがあります。
支払直前に利用枠を必ず確認する習慣が必要です。
与信状況による制限
カード会社の判断によって、利用枠が突然下げられたり、一時的に利用制限がかかる場合があります。
支払遅延や利用状況によっては、利用停止となることも。
決済時にエラーが出ると、当日の対応ができなくなります。
与信状況は利用者側で完全にコントロールできないため、一枚のカードに頼りきる運用はリスクがあります。
予備カードを準備するなど、複数手段を確保しておくことが安全です。
資金繰り悪化を招く可能性
請求書カード払いは一時的に支出を遅らせられますが、使い方を誤ると資金繰りを悪化させる原因になります。
支払いが見えにくくなることで判断を誤り、結果的に負担が重くなるケースも少なくありません。
ここでは、資金管理の面で注意すべきポイントを整理します。
先送りによる錯覚の危険
請求書カード払いを使うと、資金に余裕ができたように感じやすくなります。
しかし、実際には支払い時期が後ろにずれているだけで、支払義務が消えたわけではありません。
この錯覚によって、予定外の支出を増やしてしまうと、引落日が近づいたときに資金不足に陥るおそれがあります。
特に、毎月継続して利用している場合、実際の資金状況と感覚がずれていきます。
利用後に必ず引落予定額を確認し、現金残高と照らし合わせて管理することが重要です。
翌月以降の支払い集中
請求書カード払いを複数回利用すると、引落日に支払いが集中します。
単発利用では問題なく見えても、利用が重なると翌月の引落額が膨らみ、資金繰りに大きな負担がかかります。
月末や月初に集中するケースも多く、通常の支出と重なることで現金不足が発生しやすくなります。
事前に引落予定額を一覧で管理し、支払い規模を調整しなければなりません。
利用額の上限設定が有効な対策になります。
経理・管理負担の増加
請求書カード払いは支払い方法が複雑になる分、経理業務にも影響が出ます。
従来の振込処理に比べ、管理すべき項目が増えることで、作業量が増加します。
正しい処理ルールがないと、帳簿と実際の支払状況が一致しなくなるおそれも。
ここでは、経理担当者が直面しやすい負担について整理します。
仕訳処理の複雑化
請求書カード払いでは、支払時と引落時を分けて処理する必要があります。
仕入や外注費を計上すると同時に未払金を立て、引落時に消し込む流れが基本です。
この仕組みを理解していないと、現金支出と同様に処理してしまい、帳簿上の残高と実際の銀行残高が合わなくなります。
また、手数料を別科目で処理する必要もあるため、仕訳の入力ミスが発生しやすくなります。
処理ルールを統一しなければ、経理担当者の負担は大きくなるでしょう。
支払状況の把握が難しくなる
請求書カード払いを併用すると、支払状況を一目で把握することが難しくなります。
通常の振込とカード払いが混在するため、どの請求書が処理済みで、どれが未処理なのかが分かりづらくなります。
また、カードの引落額と請求書金額が一致しない場合、内訳確認に時間がかかるものです。
管理表を作成せずに運用していると、支払漏れや二重処理のリスクが高まります。
支払履歴を一覧で管理する体制が必要です。
すべての取引に向いていない
請求書カード払いは便利な手段ですが、万能ではありません。
利用シーンを選ばず使うと、かえって経営を圧迫する原因になります。
導入する前に、自社の状況に合っているかを見極めることが重要です。
ここでは、請求書カード払いに向かないケースを整理します。
長期的な資金調達には不向き
請求書カード払いは短期的な資金繰り調整には有効ですが、長期的な資金調達には向いていません。
継続的に利用すると手数料負担が積み重なり、長期的なコスト増加につながります。
銀行融資のように金利が低く、返済計画を立てられる手段とは性質が異なります。
事業拡大や設備投資など、長期視点の資金需要に対しては、別の調達手段を検討する必要があるでしょう。
即効性を理由に常用する運用はリスクが高くなります。
企業規模による相性差
請求書カード払いは、小規模事業者やスタートアップには使いやすい一方、取引金額が大きい企業には不向きな場面もあります。
高額取引が多い企業では、カードの限度額が足かせになります。
また、管理すべき件数が増えることで、経理業務が煩雑化。
支払い規模や取引頻度に応じて、効率的な支払手段を選ぶ必要があります。
企業規模に合った判断が重要です。
請求書カード払いのデメリットを抑えるための対策
請求書カード払いは使い方を誤らなければ、利便性を活かしながらリスクを抑えられます。
重要なのは、場当たり的に使わないことです。
ルール作りと管理体制を整えることで、手数料負担や資金繰り悪化を防げます。
ここでは、請求書カード払いのデメリットを抑えるための対策を紹介します。
利用ルールを明確にする
請求書カード払いを使う場面を、事前に決めておくことが重要です。
緊急時のみ利用、一定金額以上の場合は使用しないなど、社内ルールを設けます。
誰でも自由に使える状態では、利用額が膨らみやすくなります。
判断基準を明確化することで、無駄な利用を防げます。ルールがあることで、経理処理も統一しやすくなるでしょう。
高還元カードを選ぶ
カードによってポイント還元率は異なります。
還元率の高いカードを選ぶことで、発生する手数料の一部を実質的に相殺できます。
年間利用額が大きい場合、還元差は無視できません。
単なる経費ではなく、経営上のコストとしてカード選定を行う視点が必要です。
利用額を分散する
大きな金額を一度に決済せず、複数回に分けて利用することで、引落負担を軽減できます。
集中した引落は資金繰りを圧迫します。
限度額を管理しやすくする意味でも有効です。
取引先との支払期限を確認しながら調整しましょう。
月次で利用額を管理する
毎月の利用額を必ず可視化します。
引落予定額を把握することで、資金ショートを防げます。
エクセルや会計ソフトで一覧管理する体制を整えます。感覚に頼らない運用が重要です。
他の資金調達手段と併用する
請求書カード払いだけに頼ると、限界があります。
銀行融資や補助金、売掛金管理の見直しなどと併用することで、資金繰りの安定度が高まります。
一つの手段に依存しない運用が重要です。
請求書カード払いは万能ではない。だからこそ管理が重要
請求書カード払いは、急な支払いへの対応や資金繰りの補助として有効な手段です。
一方で、手数料負担の増加、カード枠の制約、支払い集中といったリスクも抱えています。
短期的な利便性だけで判断せず、年間コストや資金計画の視点で考えることが大切です。
利用ルールの整備、月次での管理、他手段との併用を前提とした運用により、デメリットは最小限に抑えられます。
正しく使えば経営を助ける手段になりますが、無計画な利用は資金繰り悪化の原因になります。
導入前に自社に合った使い方を明確にし、戦略的に活用しましょう。
