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2025/05/28

ラーメン屋開業に必要な厨房機器と費用相場|初期コストを抑える方法も解説

  • 厨房機器
ラーメン屋開業で必要な厨房機器と費用

ラーメン屋を開業する際、「厨房機器には何が必要なのか」「費用相場はどれくらいか」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。特に初めて店舗を持つ場合、ラーメン店特有の設備や厨房スペースの設計、内装工事にかかるコストを正確に把握するのは容易ではありません。
ラーメン屋の開業には製麺機や圧力寸胴鍋、業務用冷蔵庫といった特有の厨房設備が必要であり、厨房設備費用は全体の開業資金の中でも大きな割合を占めます。では、どのような基準で自店舗に合う厨房機器を費用も考慮しながら選べば良いのでしょうか。
本記事では、飲食店開業支援の知見を持つBizcanの情報をもとに、ラーメン屋に必要な厨房機器と費用相場、さらに初期コストを抑える具体策についてわかりやすく解説します。

目次

ラーメン屋の開業に必要な厨房機器リスト

ラーメン

ラーメン屋を開業するには、以下7つの業務用厨房機器が必要です。

  • 製麺機
  • 圧力寸胴鍋・スープ寸胴鍋
  • ガステーブル・業務用コンロ
  • 冷蔵庫・冷凍庫・コールドテーブル
  • 食器洗浄機・シンク
  • 作業台・調理台
  • オプション機器(効率アップ・売上増を狙う設備)

以下では、各厨房機器が持つ役割や特徴について詳しく解説します。

製麺機

自家製麺を採用するラーメン屋では、製麺機の導入が店舗の差別化と味の再現性に直結します。
製麺機を導入すれば、麺の太さ・食感・配合などを自在に調整できるため、自店舗独自の味を安定して提供することが可能です。製麺機は仕入れ麺に比べてコストを抑えられ、長期的には厨房機器費用全体の効率化につながる場合もあります。
製麺所から麺を仕入れる選択肢もありますが、設備資金に余裕がある場合は、自家製麺による商品力の強化を検討してみてはいかがでしょうか。

圧力寸胴鍋・スープ寸胴鍋

ラーメン店では、提供するスープの品質を左右することから、圧力寸胴鍋やスープ寸胴鍋は必須の厨房機器です。
スープ寸胴鍋は、大量のスープを長時間煮込むために必要なアイテムであり、特に濃厚な豚骨ラーメンを提供する店舗では高圧タイプの寸胴鍋も求められます。
寸胴鍋はコストだけでなく、耐久性や容量も十分に検討して選びましょう。

ガステーブル・業務用コンロ

高火力での調理に対応するために、ガステーブル・業務用コンロは必須の厨房設備です。
炒め物やタレ作り、スープの再加熱など、瞬時に火力を調整したい工程において、ガステーブル・業務用コンロの導入は欠かせません。多口タイプのガステーブルを選べば、調理の複数工程を同時進行できるため、作業効率が大きく向上します。
ガステーブル・業務用コンロを導入する際は、厨房設計の動線を意識しつつ、調理頻度やメニュー構成に合った機種を選定しましょう。

冷蔵庫・冷凍庫・コールドテーブル

食材の鮮度を保つためには、冷蔵・冷凍庫とコールドテーブルの設置が必須です。
ラーメン屋では、チャーシュー・タレ・野菜・麺などの保存が求められ、冷蔵庫や冷凍庫は使用頻度が非常に高くなります。コールドテーブルとは、調理台が一体型となっている腰付近までの高さが特徴の冷蔵・冷凍庫です。上部が清掃しやすいステンレス製のテーブル状になっているため、作業効率と衛生性を兼ね備えています。省スペース化にも役立ち、特に厨房面積が限られた店舗で重宝されるのがコールドテーブルの特徴です。
冷蔵庫・冷凍庫・コールドテーブルを選ぶ際は、使用食材や仕入れ頻度を踏まえ、容量と設置のレイアウトを事前に検討しましょう。

食器洗浄機・シンク

衛生管理と人件費削減の両立には、業務用の食器洗浄機とシンクが重要です。
高温洗浄・短時間対応が可能な業務用食洗機を導入すれば、洗い物の時間を大幅に短縮でき、人件費カットにもつながります。また、厨房内の衛生基準を保つためには、二槽以上のシンクや手洗い用シンクの設置も必要です。営業許可証の取得に必要になるほか、食品衛生責任者の観点からも、シンク設備は必ず整えておかなければなりません。

シンクの基準について、「食品衛生法」には以下の記載があります。

 

“3 二次汚染の防止
(8)シンクは原則として用途別に相互汚染しないように設置すること。特に、加熱調理用食材、非加熱調理用食材、器具の洗浄等に用いるシンクを必ず別に設置すること。“

 

食器洗浄機・シンクの選定では、効率性と衛生基準の両立を図るために、導線上の配置やサイズに配慮した設備を選びましょう。

出典:食品衛生法第1条の3第2項の規定に基づく食品等事業者の記録の作成及び保存について

作業台・調理台

調理効率と衛生性を高めるには、作業台や調理台の導入が欠かせません。
仕込み、盛り付けといった各工程をスムーズに行うためには、適切なサイズの作業台が必要です。収納付きやキャスター付きタイプの作業台・調理台を選べば、省スペースかつ整理整頓された厨房環境が実現します。特にラーメン屋では、麺の湯切りやトッピング作業のスペース確保が肝心です。
作業効率を最大限に高めるために、使用人数と工程に応じた台の選定を心がけましょう。

券売機(必要に応じて)

ラーメン屋の回転率と業務効率を高めるには、券売機の導入がおすすめです。
券売機を導入すれば、注文と会計をセルフ化できるため、ホールスタッフの人件費を削減することが可能です。また、オーダーミスの防止や混雑時の対応スピード向上にもつながり、結果としてお客様の満足度や店舗の売上アップが期待できます。
特にカウンター中心の店舗や1人運営を想定する小規模店では、券売機の導入によって省人化と効率的な店舗運営につながります。券売機の価格帯は機能によって異なり、タッチパネル式やメニューカスタマイズ対応機などはやや高額な傾向です。一方、リース契約を活用すれば、初期費用を抑えられます。
営業スタイルや客層に応じて、券売機の導入が店舗運営にどう貢献するかを見極めたうえで検討しましょう。

ラーメン店におすすめの券売機は、以下の記事でチェックしてみてください。
参考サイト:ラーメン店におすすめの券売機5選|ボタン式・タッチパネル式の特徴と導入時の注意点

オプション機器(効率アップ・売上増を狙う設備)

基本的な厨房機器に加えて、開業時に検討すべきオプション機器としては、自家製麺用設備・製氷機・業務用食器などが、店舗の効率化と商品価値向上に貢献します。
自家製麺用設備(製麺機・熟成庫など)は、ラーメン屋にとって商品の「味」と「差別化」を支える要素です。麺のクオリティを自店で管理できるため、他店との差を打ち出しやすくなり、結果として繁盛店の実現に近づくでしょう。製氷機はスープの温度調整や飲料の提供、食材の急冷など多目的に使える機器で、作業効率や衛生管理の向上に直結します。
さらに、業務用のラーメン丼は料理の見栄えや保温性を高めると同時に、名入れなどによってブランド力やSNS映えを強化できます。このような設備は、単なる「備品」ではなく、売上や店舗評価の向上にもつながる重要なアイテムです。
厨房スペースや予算に合わせて導入を検討しながら、ラーメン屋の質を高めるための「攻めの設備投資」として、このようなオプション機器の導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

ラーメン屋開業時の厨房機器費用相場とは?

ラーメン屋を開業する際に必要な厨房機器の新品・中古・リースの費用相場は以下のとおりです。

新品300万~600万円程度
中古150万~300万円程度
リース月額数万円~十数万円程度

主要な設備の価格帯は以下のとおりです。

製麺機約50万~200万円
圧力寸胴鍋・スープ寸胴鍋約5万~20万円
ガステーブル・業務用コンロ約10万~30万円
冷蔵庫・冷凍庫・コールドテーブル約12万~27万円
食器洗浄機・シンク約7万~10万円
作業台・調理台約5万~15万円
券売機約30万~100万円
製氷機約16万~25万円
業務用食器・ラーメン丼約1万~5万円

上記の相場は、店舗の規模や選定する機器の仕様によって変動します。
ラーメン屋の開業前は、店舗のコンセプトや提供メニュー・予算に応じて、必要な設備を精査し、無駄のない投資を心がけることが重要です。また、専門業者との相談を通じて、最適な厨房機器選定や配置計画を立てましょう。

ラーメン屋の開業資金について、詳しくは以下の記事でご覧いただけます。
参考サイト:ラーメン屋開業資金はいくら必要?店舗規模ごとの目安や資金調達の方法を解説

ラーメン屋の厨房機器費用を抑える4つの方法

ラーメン屋の厨房

ラーメン屋の厨房機器費用を抑えるためには、以下4つの方法を抑えておきましょう。

  • 中古機器を賢く活用する
  • 厨房機器のリース契約をする
  • 居抜き物件を上手に使う
  • 補助金・助成金を活用する

それぞれの要点について解説していきます。

中古の厨房機器を賢く活用する

厨房機器費用を抑えるなら、中古品の厨房機器をうまく活用しましょう。
新品と比較して、中古の厨房機器は3~5割ほど安価で購入できることが多く、初期費用の抑制につながります。
特に冷蔵庫・シンク・作業台など耐久性が高い機器は、中古でも十分に実用性がある場合が多い傾向です。ただし、製氷機や製麺機のように可動部分が多い機器は、保証の有無や動作確認済みであることを必ずチェックしましょう。
導入コストを大きく抑えたい開業初期は、中古の厨房機器の選定を「賢い資金計画」の一環として検討してみるのも選択肢の1つです。

厨房機器のリース契約をする

運転資金や資金繰りに余裕を持たせたい場合は、厨房機器のリース契約がおすすめです。
リース契約を利用すれば、厨房機器を一括購入する必要がなく、月額払いで導入できるため、初期の資金負担を軽減できます。定期点検や修理費がリース料金に含まれる契約もあり、長期的に見ても経営の安定化につながります。ただし、契約期間終了まで設備機器の返却義務が発生する点や、総支払額が高くなる可能性がある点には注意しなければなりません。
資金計画とキャッシュフローに応じて、リース契約のメリットを最大限に活用しましょう。

居抜き物件を上手に使う

内装・設備の初期投資を抑えるには、厨房機器付きの居抜き物件を活用するのが効果的です。
居抜き物件では、前テナントが使用していた厨房機器やガス・水道・排気設備がそのまま残っているケースが多いため、新たに設置工事を行う必要がありません。これにより、厨房設備費だけでなく内装工事費も大幅に削減できるため、トータルの開業資金を抑えられます。ただし、機器の劣化状態や営業許可に必要な基準を満たしているかどうかの確認は欠かせません。
物件取得費と設備費を同時に抑えたい場合は、居抜き物件の活用も検討してみてください。

補助金・助成金を活用する

公的制度を活用すれば、厨房機器の購入や設置費用を大幅に削減できます。
ラーメン屋の開業では、「小規模事業者持続化補助金」や自治体の創業支援制度の活用により、厨房機器の導入費用や設置費、内装工事費などに対して助成を受けられる場合があるので確認しましょう。たとえば、設備費用の最大2/3、上限50万円まで支給される制度もあり、採択されれば大きなコスト削減につながります。申請には事業計画書や見積書が必要で、審査期間もあるため、早めの準備が大切です。
開業資金に不安がある場合は、補助金・助成金制度を積極的に調べ、活用を前提にした資金計画を立てましょう。

厨房機器の導入時に役立つ具体的な助成金・補助金については、以下の記事で解説しています。
参考記事:【2025年最新】厨房機器の導入で使える助成金・補助金5選|中小飲食店・個人事業主向け申請ガイド

ラーメン屋開業の厨房機器は費用を賢く抑えましょう

ラーメン屋の店舗開業には、製麺機や業務用コンロ、冷凍冷蔵庫など多岐にわたる厨房機器が必要となり、厨房設備費用が開業資金全体の3割以上を占めるケースも珍しくありません。新品の厨房機器を揃えた場合の費用負担は大きくなりますが、中古の厨房機器の活用やリース契約、居抜き物件の利用、さらには補助金制度の活用により、初期投資を大幅に抑えられる場合もあります。
重要なのは、単なるコスト削減だけでなく、店舗の運営効率や衛生管理、売上に直結する厨房設計を視野に入れて選定を進めることです。資金計画を慎重に立てつつ、無理のない形で理想のラーメン店開業を目指しましょう。

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