飲食店や小売店などの店舗経営者にとって、重要な設備の1つといえばPOSレジです。通常のキャッシュレジスターとは異なり、売上管理や在庫管理・顧客管理など、さまざまなデータの収集・分析もできるメリットがあります。
しかし、設備の費用負担が大きいことを理由に、中古での導入を検討している方も多いのではないでしょうか。
本記事では、POSレジは新品と中古どちらを購入すべきなのか、価格相場やメリット・デメリットを紹介しながら、徹底解説します。
また、記事後半では、小規模店舗・個人店舗にもおすすめの無料で利用を開始できるPOSレジも紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いください。
POSレジは新品と中古のどちらを購入すべき?
結論からいえば、POSレジを購入するのであれば新品の購入をおすすめします。
詳しい理由はメリット・デメリットで解説していますが、新品の方が長持ちする上に、最新機能が備わっているものも多くあることが理由です。
基本的にPOSレジの中古を購入しようと検討している方の多くは、「POSレジの購入費用負担を軽減したい」と考えているのではないでしょうか。
実は、POSレジは新品でも手頃な価格帯で導入できる機種が豊富にあります。
また、導入費用の負担を抑えたいのであれば、レンタルやリース・サブスクを利用するのも選択肢の1つです。安易に中古の購入に踏み切らないよう、レンタルなどの利用も視野に入れて比較検討しましょう。
POSレジの中古価格相場
まずは、POSレジの本体と、周辺機器それぞれの中古価格相場を紹介します。新品と比較して、どれくらいの差があるのかチェックしてみましょう。
POSレジ本体
POSレジ本体の中古価格相場は、約10万円~20万円です。メーカーや製造年数などによって価格に差はあるものの、一般的なキャッシュレジスターやPOSレジはこの価格帯で購入できます。
とくに中古市場でも人気が高い東芝テックのPOSレジは、約15万円~30万円が目安です。
一方で、POSレジの中でも高価な製品が多い自動釣銭機付きPOSレジの場合は、中古品でも約40万円~50万円かかる傾向にあります。
中古とはいっても数十万円の費用負担が生じるため、購入する前に価格に見合う商品の状態かを確かめておくことが重要です。
周辺機器の中古価格相場
POSレジを導入する際、周辺機器も準備する必要があります。POSレジと一緒に導入することが多い、周辺機器の中古価格相場は以下の通りです。
- レシートプリンター:5,000円~3万円
- キャッシュドロア:5,000円~1.5万円
- バーコードリーダー:1,000円~2万円
- ハンディターミナル:1万円~5万円
- キッチンプリンター:1.5万円~5万円
中古でこれらすべてを購入した場合、3万円~15万円ほどの費用が必要になります。
このほかにも、POSレジを導入するにはWi-Fiルーターなどの通信環境を整えなければなりません。その点も踏まえて、新品で購入するのとどちらが良いかを検討しましょう。
POSレジの中古と新品で価格を比較
POSレジを種類ごとに、中古と新品で価格を比較してみました。
POSレジの種類 | 中古市場価格の目安 | 新品の値段目安 |
---|---|---|
ターミナル型POSレジ | 10万円~20万円 | 20万円~50万円 |
自動釣銭機付きPOSレジ | 40万円~50万円 | 80万円~200万円 |
タブレットPOSレジ | 2万円~10万円 | 5万円~20万円 |
中古と新品で比較した場合、とくに自動釣銭機付きPOSレジは購入費用に大きな差があるとわかります。一方で、比較手頃なタブレットPOSレジの場合、それほど大きな開きはありません。
中古のPOSレジを購入するときは、導入したいと考えているPOSレジの種類によって判断するのも、検討ポイントの1つです。
また、上記はあくまで目安のため、新品でもこの価格帯よりも安く済むケースもあれば、高くなる場合もあります。導入したいPOSレジを絞り込んでから、中古価格と新品価格を比較してみるのも良いでしょう。
参考記事:POSレジの価格相場はどれくらい?種類ごとの導入費用の目安と安く抑えるコツ
POSレジを中古で購入するメリット・デメリット
ここからは、POSレジを中古で購入するメリット・デメリットについて解説します。
中古のメリット
中古のPOSレジを購入するメリットには、以下の項目が挙げられます。
- 初期費用が安く済む
- 好みの機器を組み合わせて導入できる
- 新品に近い状態の良いものを安く購入できることがある
中古のPOSレジは、なんといっても初期費用を安く抑えられる点が最大のメリットです。導入コストの負担を軽減するために、中古のPOSレジを検討している方は多いでしょう。
また、場合によっては新品に近い状態のものが中古市場に出回っているケースもあるので、掘り出し物に巡り合えるチャンスがあるのも、中古のメリットです。
そのほか、ポップアップストアやイベント出店など、屋外や短期間の利用を想定して購入するのにも、店舗用ほどの費用をかけずに済むメリットがあります。
ただし、短期出店などを目的にPOSレジを探しているのであれば、レンタルやリース・サブスクという選択肢も考慮しておきましょう。
中古のデメリット
中古のPOSレジを購入するデメリットには、以下の点が挙げられます。
- 破損しても保証が受けられない
- 前に使っていた人のデータが残っている可能性もある
- 費用に見合っている状態か判断することが難しい
- すべての機器を揃えると費用負担が大きくなる場合もある
中古のPOSレジだからといって、必ずしも費用が抑えられるとはかぎりません。また、中古のPOSレジは中古品を扱う専門店だけでなく、フリマサイトなどで個人売買が行われている場合もあります。
個人から購入した場合、細部まで点検できていなかったり、梱包が甘く配送時に破損したりするリスクもあるでしょう。また、周辺機器も1つずつ揃えていると、意外に費用負担が大きくなります。
POSレジ事業者の中には、自社のPOSレジシステムや決済機器を利用してくれる顧客向けに、手頃な価格でPOSレジや周辺機器を販売している企業もあるので、リサーチしてみるのもおすすめです。
POSレジを新品で購入するメリット・デメリット
POSレジの中古品を購入するメリット・デメリットについて解説してきましたが、新品のPOSレジにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。それぞれ詳しく見ていきましょう。
新品のメリット
新品のPOSレジを購入するメリットには、以下の項目が挙げられます。
- 新品なので長く使える
- 国や自治体の補助金・助成金制度が利用できる
- サービス事業者のサポートが受けられる
- 保守点検サービスが付帯している場合もある
- 複数店舗管理が可能なものもある
- セットで導入すれば中古よりも安く済むケースもある
新品のPOSレジを購入する場合、長く使えるメリットがあります。中古のPOSレジは、安いものの中に古い製品も含まれているため、購入してすぐに破損するケースも少なくありません。
また、新品のPOSレジを購入すると、サービス事業者やメーカーの導入サポートや保守点検サービスが受けられたり、複数店舗管理機能が使えたりするのもメリットです。
さらに、国や自治体の補助金・助成金制度が利用できることもあるので、意外に中古よりも安く済むケースもあります。
POSレジの導入に活用できる補助金・助成金制度については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
参考記事:【2024年最新】POSレジ導入に利用できる補助金・助成金5選|金額や申請要件について解説
新品のデメリット
新品のPOSレジを購入するデメリットは、以下の項目です。
- 初期費用がかかる
- 気軽に設備を変更できない
- 自店舗に合う設備を探すのが難しい
新品のPOSレジを購入する場合は、初期費用が負担になるデメリットがあります。
とくに、自動釣銭機付きPOSレジの場合、1台あたり100万円以上の値段がするケースは少なくありません。そのため、新たな設備に買い替えたくなっても、費用が負担となって気軽に変更できないデメリットもあります。
また、サービスが豊富にあることから、自店舗に合う設備やサービスを比較検討するのが負担になる場合もあるでしょう。
購入費用に関しては、選び方次第で中古のPOSレジを購入するのと変わらない価格帯で導入できることもあります。
どのPOSレジを選べば良いかわからない場合は、以下の記事で機能や特徴を比較紹介していますので、こちらもぜひ参考にしてください。
参考記事:POSレジのサービス紹介と比較
無料で導入できるおすすめのPOSレジ3選
中古のPOSレジを購入すべきか迷っているのであれば、無料で導入できるPOSレジを活用してみるのもおすすめです。
ここで紹介しているPOSレジシステムは、手持ちのタブレット端末などにPOSレジをインストールすれば導入できるサービスになります。
POSレジの本体や周辺機器を購入したい場合にも対応しており、比較的手頃な価格帯で購入できるので、費用面で悩んでいる方も一度検討してみてはいかがでしょうか。
Square
出典:Square株式会社
Squareは、タブレット型のPOSレジシステムです。他社のタブレットPOSレジと異なる点は、顧客側のディスプレイも備わっているデュアルディスプレイになっていることにあります。
月額利用料や初期費用などは一切かからず、手持ちのスマホやタブレット端末にアプリをインストールすれば、無料で利用開始できるのも特徴です。
POSレジ本体を購入する場合、以下の費用がかかります。
機器の名称 | 価格 |
---|---|
Squareレジスター本体 | 84,980円 |
レシートプリンター付きキャッシュドロア | 59,800円 |
中古でPOSレジを購入するのとほとんど変わらない金額で、最新のキャッシュレス決済なども導入できるのでおすすめです。
参考サイト:Square公式サイト
Airレジ
出典:リクルート株式会社
Airレジも、お手持ちのiPadなどにPOSレジアプリをインストールすれば、無料で利用できるPOSレジシステムです。初期費用・導入費用・月額利用料などもすべて無料で、決済手数料のみを支払えば利用できます。
また、端末を所持していない場合でも、POSレジ用のタブレット端末やレシートプリンター・キャッシュドロアなどのセットも販売しているため、手頃な価格帯で最新のPOSレジを導入することが可能です。
Airレジは、全国のビックカメラ各店舗にサービスカウンターを設置しているため、実機の体験や導入相談も気軽に行えます。
電話やパソコンからの導入相談にも対応しているので、周辺機器の購入を含めて一度相談してみるのもおすすめです。
機器の名称 | 価格 |
---|---|
Airレジ スターターパック(スター精密 mPOP セット) ※iPad・レシートプリンター内蔵キャッシュドロア(mPOP)・レシート用ロール紙 | iPadなし:84,000円 iPadあり:142,800円 |
Airレジ スターターパック(SII レシートプリンターセット) ※iPad・レシートプリンター・大容量キャッシュドロア・レシート用ロール紙 | iPadなし:52,400円 iPadあり:111,200円 |
<周辺機器>カスタマーディスプレイ | セイコーインスツル:26,400円 スター精密:30,800円 |
参考サイト:Airレジ公式サイト
スマレジ
出典:株式会社スマレジ
スマレジも、無料プランに備わっている基本のレジ機能であれば、決済手数料の負担のみで利用できるPOSレジサービスです。無料プランでは、基本のレジ機能に加えて売上管理や分析にも対応しています。
スマレジの特徴は、機器セットのサブスクレンタルにも対応している点です。POSレジで使用する端末本体や周辺機器の購入にかかる費用負担を軽減できるので、導入コストを抑えたい方に適しています。
また、オプションで購入できる周辺機器の種類も豊富で、バーコードリーダーやカスタマーディスプレイ・キャッシュレス決済端末など、幅広いラインナップから自店舗に合う設備を導入することが可能です。
機器の名称 | 価格 |
---|---|
mPOPサブスクプラン ※プリンター一体型キャッシュドロア・バーコードスキャナー・カスタマーディスプレイ | 3,960円~/月額 |
入門セットサブスクプラン ※レシートプリンター・キャッシュドロア・バーコードスキャナー・カスタマーディスプレイ | 4,950円~/月額 |
自動釣銭機サブスクプラン ※自動釣銭機・バーコードスキャナー・レシートプリンター・カスタマーディスプレイ | 36,190円~/月額 サブスク導入サポート費用:198,000円別途必要 |
参考サイト:スマレジ公式サイト
まとめ
POSレジは高価な製品が多く、中古市場でも活発に取引されています。しかし、中古POSレジは個人間での取引になると、状態が不明瞭なものも少なくありません。
もし、中古POSレジを購入するのであれば、POSレジ買取・販売を専門に行っている業務用品の業者を利用し、中古再生品や通電確認済み現状品保証が付いている製品を購入しましょう。
個人間で売買すると、導入直後に破損したり、メーカーの修理が受けられなかったりするリスクがあるため、費用だけでなくリスクなども総合的に判断して検討する必要があります。
近年は、POSレジも多様な製品が発売されているため、タブレットPOSレジやモバイルPOSレジなどであれば、比較的低コストでの導入が可能です。
無料で導入可能なPOSレジについては、以下の記事で紹介していますので、こちらもぜひ参考にしてください。