「カフェを開業したいが、どの厨房機器を揃えればいいかわからない」
「カフェの雰囲気やコンセプトを損なわず、性能の良い厨房機器はどう選べば良い?」
といった不安や悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
厨房機器はカフェや喫茶店運営の土台であり、厨房レイアウトや作業効率だけでなく、開業時の営業許可取得にも大きく影響します。適切な機器選定や設備の整備を怠ると、開業準備が滞るだけでなく、営業後の運営にも支障をきたしかねません。では、どのように比較・判断すれば最適な厨房機器を選べるのでしょうか。
本記事では、カフェの開業に必要な厨房機器リストと、選び方、保健所対応までわかりやすく解説します。
カフェ開業に必要な厨房機器リスト9つ
カフェ開業を成功させるには、必要な厨房機器の把握が不可欠です。これは、店舗運営の土台を築くための第一歩となります。
- 業務用シンク(二槽シンク推奨)
- 業務用冷蔵庫・冷凍庫(台下冷蔵庫・コールドテーブル)
- 製氷機
- ガステーブルまたはIHクッキングヒーター
- コーヒーマシン(エスプレッソマシン・コーヒーメーカー)
- オーブン・トースター
- 食器洗浄機
- 作業台・調理台
- 換気扇・フード設備
ここでは、上記の厨房機器の特徴を解説します。基本設備を網羅したうえで、自店舗の業態や提供メニューに応じた追加の厨房機器も検討してみてはいかがでしょうか。
業務用シンク(二槽シンク推奨)
カフェ開業には、食品衛生法の基準を満たすために、業務用の二槽シンクの設置が義務付けられています。
保健所の営業許可を取得するためには、食材と食器を別々に洗浄できるよう、二槽以上のシンクが必要です。各槽のサイズは、幅45cm以上、奥行き36cm以上、深さ18cm以上が一般的な基準となります。
シンクの基準について、「食品衛生法」には以下の記載があります。
“3 二次汚染の防止
(8)シンクは原則として用途別に相互汚染しないように設置すること。特に、加熱調理用食材、非加熱調理用食材、器具の洗浄等に用いるシンクを必ず別に設置すること。“
シンクの設置は衛生管理の基本です。開業前に必ず確認しておきましょう。
出典:食品衛生法第1条の3第2項の規定に基づく食品等事業者の記録の作成及び保存について
業務用冷蔵庫・冷凍庫(台下冷蔵庫・コールドテーブル)
食材管理を徹底するためには、カフェの厨房では業務用冷蔵庫や冷凍庫の導入が欠かせません。
台下冷蔵庫やコールドテーブルは、限られた厨房スペースを有効活用しながら、作業効率を高める機器になります。業務用冷蔵庫は庫内温度の安定性に優れ、食品の衛生管理基準を満たす性能を備えているのが特徴です。特に小規模カフェでは、冷凍冷蔵庫を組み合わせたコンパクトな設計が求められます。
厨房スペースに適した冷蔵・冷凍設備を選び、店舗運営における作業効率と食品の安全性を両立しましょう。
おすすめの業務用冷蔵庫については、以下の記事で紹介しています。
参考記事:業務用冷蔵庫のおすすめ3選|種類・新品・中古・選び方も解説
製氷機
ドリンク提供を主力とするカフェでは、安定した氷の供給が売上に直結するため、製氷機も必須の設備です。
業務用製氷機は、短時間で大量の氷を製造できるため、営業時間帯のドリンクの提供スピードを落とさず運営できます。製氷機の選定時には、製氷能力(kg/日)と設置スペース、消費電力を必ず確認するのが重要です。
繁忙時間帯でも安定したサービスを提供できるよう、店舗規模に応じた製氷機を選びましょう。
ガステーブルまたはIHクッキングヒーター
カフェ厨房において、簡易調理を担う熱源機器は店舗コンセプトに合わせた適切な選定を行いましょう。
ガステーブルは、火力調整がしやすく、トーストや簡単な炒め物の調理に適しています。一方、IHクッキングヒーターは、省スペース・省エネルギー性に優れ、厨房内の温度上昇を抑える利点があります。
店舗の提供メニューと厨房レイアウトに応じて、ガスまたはIHの特性を理解したうえで最適な機器を選びましょう。
コーヒーマシン(エスプレッソマシン・コーヒーメーカー)
コーヒーマシンはカフェの主力商品であるコーヒーの品質を左右するため、提供メニューや店舗規模に応じた機器を導入しましょう。
エスプレッソマシンは、ドリンク品質の要であり、特にラテアートやエスプレッソドリンクを扱うカフェでは導入が必須です。一方、ハンドドリップ重視型カフェでは、高機能なドリップマシンやコーヒーメーカーが求められます。機器選びでは、抽出容量、連続稼働性能、メンテナンス性をチェックするのがポイントです。
顧客満足を左右するコーヒーの品質を確保するため、自店のコンセプトに最適なコーヒーマシンを選びましょう。
オーブン・トースター
焼き菓子やトーストの提供には加熱機器が必要です。
業務用オーブンは火力が強く、パンや焼き菓子を短時間で均一に焼き上げる性能を備えています。トースターは、小型で設置しやすく、トーストやクロックムッシュなどのメニューに対応できる点が特徴です。オーブン・トースターの選定時は、調理メニューに応じたサイズと加熱方式(コンベクション、グリル式など)を確認してください。
提供するフードメニューの種類と数量に応じて、最適なオーブン・トースターを選び、店舗の付加価値を高めましょう。
食器洗浄機
作業効率と衛生管理を両立させるためには、食器洗浄機の導入が有効です。
業務用食器洗浄機は、短時間で高温洗浄・殺菌が可能であり、食器類の清潔維持と作業の負担軽減を同時に実現するのが特徴です。特にカフェは回転率が高いため、洗浄作業にかかる時間の削減が、スタッフの業務効率向上に直結します。
食器洗浄機は、設置スペースと必要な電源容量に注意して選びましょう。
作業台・調理台
効率的な厨房オペレーションを実現するには、適切な作業台・調理台の配置と選定が欠かせません。
業務用の作業台・調理台は、耐久性・衛生性に優れ、調理や盛り付け作業をスムーズに進める役割を果たします。台下収納付きタイプを選べば、限られた厨房スペースを有効活用できる点もメリットです。
作業台・調理台の選び方と配置の工夫により、厨房全体の作業効率と衛生レベルを大幅に向上できます。
換気扇・フード設備
厨房内の環境整備には換気扇やフード設備が必要です。油煙や蒸気を適切に排出することで、作業環境の快適性や衛生状態が向上します。換気扇・フード設備は、保健所指導でも設置が求められる設備です。
導入時には排気ルートや清掃のしやすさも重視して、換気設備を整備しましょう。
飲食店店内に必要な設備リスト3つ
カフェ経営においては厨房機器だけでなく、店内オペレーションを支える各種設備も万全に整える必要があります。
- モバイルオーダー・POSレジ
- 照明・空調設備
- ドリンクディスペンサー(必要に応じて)
厨房機器とあわせて上記の店内設備の準備も進め、総合的なオペレーション力を高めましょう。以下では、各設備の役割や特徴を解説していきます。
モバイルオーダー・POSレジ
カフェ経営者の方は、業務効率化と顧客満足度アップのために、モバイルオーダーやPOSレジの導入を検討するのがおすすめです。
モバイルオーダーシステムの導入により、顧客が自身のスマートフォンから注文できるようになり、注文ミスの削減や回転率の向上が期待できます。POSレジは売上管理や在庫管理を効率化し、データ分析による経営改善にも役立つのが特徴です。
オーダーやレジ周りの機器選びは、単なる注文・会計業務を超えて、店舗全体の業務効率化と売上向上につながります。
照明・空調設備
カフェの快適な店内環境を提供するために、適切な照明と空調設備の設置が欠かせません。
照明は、店舗の雰囲気作りや商品を引き立てるために重要です。LED照明の採用により省エネ効果も期待できます。空調設備は、季節や天候に関係なく快適な温度を維持し、顧客満足度の向上につながるのが特徴です。
快適な店内環境と省エネを実現するために、照明と空調設備は適切に選定・設置しましょう。
ドリンクディスペンサー(必要に応じて)
セルフサービスを提供するカフェでは、ドリンクディスペンサーの導入が業務効率化と顧客満足度向上につながります。
ドリンクディスペンサーの設置により、顧客が自由に飲料を選べるセルフサービスが可能となり、スタッフの負担軽減や回転率の向上が期待できます。
提供するサービス形態や顧客ニーズに応じて、ドリンクディスペンサーの導入も検討してみてはいかがでしょうか。
カフェの保健所許可取得に必須の厨房機器・設備とは?
カフェ開業には、食品営業許可の取得が必須条件となっており、そのために必要な厨房機器・設備の正確な整備が求められます。具体的に、以下の厨房機器・設備が必要です。
- 二槽シンク
- 冷蔵庫
- 換気設備
- 手洗い器
保健所の営業許可取得においては、二槽シンクの設置が基本条件です。加えて、冷蔵庫による食材の衛生管理体制を整備し、換気設備によって調理場内の空気環境を維持する必要があります。手洗い器は、作業者の衛生管理を徹底するための必須設備です。
営業許可の基準は自治体ごとに細かな違いがありますが、共通して求められるのは、衛生基準を満たす厨房レイアウトと設備の整備です。審査時には、厨房内の動線や機器の設置場所も確認対象となるため、あらかじめ基準に沿ったレイアウトを意識しておくことが重要になります。
開業の準備段階から保健所許可取得の基準を意識し、万全の態勢で審査に臨みましょう。
参考サイト:食品に関する営業許可・届出について│東京都
カフェの厨房機器選びのコツ|新品・中古・家庭用どれがベスト?
カフェ開業時の厨房機器選びでは、新品・中古の業務用厨房機器や家庭用機器それぞれの特徴を理解し、最適な選択を行うことが成功のカギです。各厨房機器のメリット・デメリットを紹介します。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
業務用厨房機器(新品) | 耐久性・連続使用性に優れており、保健所の食品営業許可取得にも有利 | 費用が高い傾向 |
業務用厨房機器(中古) | コスト削減に効果的 | 保証やメンテナンス体制の確認が不可欠 |
家庭用の機器 | 価格が安価 | 業務用基準に満たない場合が多く、営業許可が下りないリスクもある |
厨房機器選定においては、設置スペース、消費電力、作業効率を考慮しながら、店舗運営に適した機器をバランスよく組み合わせる視点が求められます。新品・中古・家庭用それぞれの特性を理解したうえで、最適な厨房環境を整えましょう。
カフェに必要な厨房機器リストを把握し、開業準備を完了させよう!
カフェ開業においては、厨房機器の選定が経営の成否を左右しかねません。基本設備を揃えるとともに、厨房スペースや動線を意識した配置が求められます。
また、食品営業許可取得のためには、二槽シンクや換気設備など法令基準への適合も欠かせません。内装工事の時点から、導入する厨房設備は法令に準拠したものを選定しておきましょう。
厨房機器導入にかかるコスト削減を図る場合、中古厨房機器の選定は慎重に行う必要があります。
店舗の規模や業態に応じた最適な厨房機器リストを整備し、補助金・助成金制度もうまく活用しながら、理想のカフェ開業に向けて万全な準備を進めましょう。
厨房機器の導入時に役立つ具体的な助成金・補助金については、以下の記事で解説しています。
参考記事:【2025年最新】厨房機器の導入で使える助成金・補助金5選|中小飲食店・個人事業主向け申請ガイド