飲食店を中心に導入する店舗が広まりつつあるモバイルオーダーシステムは、近年多様化しています。
店舗アプリを通じてオーダーする方式に加え、オーダー用のQRコードを顧客のスマホで読み取ってもらうQRオーダーや、SNSのLINEを活用してオーダーできる「LINEミニアプリ」タイプなどさまざまです。
また、店舗の客席にオーター用のタブレット端末を設置するタブレットオーダー(テーブルオーダー)、店頭のタッチパネル端末でオーダー・決済できるKIOSK端末など、オーダー設備は多種多様にあります。
そのような中で、モバイルオーダーシステムは比較的導入費用が安いことから、小規模店舗や個人店舗の業務効率化、人手不足解消につながる手段として注目されているのも現状です。初期費用が高くなりやすいタブレットオーダーと比べて、手軽に導入できるでしょう。
そこで今回は、モバイルオーダーシステムとはそもそもどのような設備なのか、モバイルオーダーの導入に適している飲食店の業態、飲食店以外の業態について詳しく解説します。
モバイルオーダーシステムとは?

モバイルオーダーシステムとは、顧客が自らのスマホを使って、飲食店で料理・ドリンクの注文を行う設備のことです。
小売業でECサイトと連動させて導入しているケースもあれば、クリスマスケーキやお節料理などの季節料理の事前予約注文に対応しているものもあります。
店舗が混雑していても、店員の対応を待つ必要がないため、顧客が好きなタイミングで注文できる点がメリットです。
店舗の業態に合わせて、さまざまな種類のモバイルオーダーサービスが登場しています。具体的には、客席でオーダーする店内版モバイルオーダーのほか、テイクアウト注文やデリバリー注文に対応している店外版モバイルオーダーがあるのも特徴です。
参考記事:モバイルオーダーとは?メリット・デメリットや仕組みと主な支払い方法・活用事例を紹介
モバイルオーダーに対応している店舗一覧
モバイルオーダーを導入している店舗は、年々増加しています。以下は、2025年時点でモバイルオーダーを導入している飲食店・企業の例です。
- マクドナルド(モバイルオーダー)
- スターバックスコーヒー(Mobile Order & Pay)
- 吉野家(スマホオーダー)
- すき家(モバイルオーダー)
- モスバーガー(モバイルオーダー)
- ケンタッキーフライドチキン(モバイルオーダー)
- ドトールコーヒー(モバイルオーダー)
- サンマルクカフェ(モバイルオーダー)
- 丸亀製麺(モバイルオーダー)
- 牛角(モバイルオーダー)
- くら寿司(スマホで注文)
- スシロー(お持ち帰りネット注文)
- コメダ珈琲店(店内モバイルオーダー実証)
- ローソン(店舗受取モバイルオーダー)
- イオンリテール(モバイルオーダーシステム導入)
- 星野リゾート1955東京ベイ(StarPay-Order導入)
- 東京ディズニーリゾート(Disney Mobile Order)
モバイルオーダーは、基本的に店舗アプリや店舗に設置されたQRコードを読み取って注文する方式が中心です。一方で、ブラウザから公式サイトにアクセスして注文する、「スマホオーダー」を導入しているケースもあります。
【飲食店】モバイルオーダーの導入に適している店舗の業態・ジャンル

飲食店の業態の中から、モバイルオーダーの導入に適している店舗の例を紹介します。ラーメン店や定食屋など、モバイルオーダーよりも券売機の導入が適しているケースもあるため、自店舗の業態や提供しているサービスに応じて、飲食店向けのモバイルオーダーシステムの導入を検討しましょう。
カフェ・喫茶店
カフェ・喫茶店は、モバイルオーダーの導入に最適な業態です。モバイルオーダーはカスタマイズ注文、セット注文の注文受付もセルフ化できるため、店内注文時のレジの混雑を緩和できます。先に席を確保し、席でゆっくりとメニューを見ながらオーダーできるため、顧客満足度向上にも効果的です。
ファストフード店
ファストフード店も、モバイルオーダーの導入に適している業態です。セット注文が多いほか、店舗によっては店内飲食だけでなく、テイクアウト注文やデリバリー注文にも対応しているため、オーダー情報を一元管理する手段としてモバイルオーダーが注目されています。注文情報が直接レジと共有されるため、回転率の向上、オーダーミスの抑制などにも効果的な手段です。
テイクアウト専門店・デリバリー専門店
テイクアウト専門店・デリバリー専門店も、モバイルオーダーの導入に向いています。モバイルオーダーには、店外からの予約注文や事前注文に対応している「店外版モバイルオーダー」があり、テイクアウト注文やデリバリー注文の対応を効率化するうえで効果的です。注文と同時にキャッシュレス決済してもらうことで、会計業務の負担軽減や直前キャンセルによる損失回避につながります。
焼肉店・居酒屋
モバイルオーダーの導入に適した飲食店の業態として、焼肉店・居酒屋も挙げられます。焼肉店や居酒屋は追加注文の頻度が高い傾向にあるため、店員のオーダー受注業務にかかる負担を軽減し、料理・ドリンクの提供やテーブルのバッシングに注力できる点がメリットです。顧客も好きなタイミングで追加注文できるため、店員の対応を待つ間に追加注文を諦めてしまうことがないことから、顧客単価向上にも効果が期待できます。
【小売業】モバイルオーダーの導入に適している店舗の業態・ジャンル
モバイルオーダーは、飲食店以外でもさまざまな店舗で導入されている設備です。ここでは、小売業の中で、モバイルオーダーの導入に適している店舗の業態・ジャンルを紹介します。
コスメ・アパレル店
コスメ・アパレル店では、独自の店舗アプリやECサイトを活用した、モバイルオーダーを導入しているケースが多くあります。SNSと連動させ、SNSの投稿を通じて商品の情報発信を行い、モバイルオーダーで注文してもらうオンライン簡潔型の注文方式です。店舗に直接足を運ぶことが難しい地域在住の顧客に対するアプローチや、店舗で実物を見てオンラインで注文したいという顧客ニーズにも対応できます。
家具・家電販売店
家具・家電販売店も、モバイルオーダーの導入に向いている業態です。大手家電量販店では、ECショップと連動したモバイルオーダーやスマホオーダーを取り入れているケースが多く、処分したい家具家電の引き取りや、購入した商品の配送・設置まで依頼できます。配送のみならず、店頭受け取りにも対応できるため、顧客の購買意欲が高いタイミングで購入に踏み切ってもらえる点がメリットです。
ホテル・宿泊施設
モバイルオーダーの導入に向いている業態として、ホテル・宿泊施設も挙げられます。ルームサービスの注文だけでなく、不足しているアメニティの注文や、スパ・レンタルサイクルの利用予約にも利用できる点がメリットです。配膳ロボットと連携し、フロントスタッフの業務負担軽減にも役立てられています。チェックイン・チェックアウトもオンラインで完結できるような、いわゆる店舗アプリ型(公式アプリ型)で導入しているケースが多いのも特徴です。
店舗に導入するモバイルオーダーの選び方

店舗に導入するモバイルオーダーを選ぶには、以下の点を意識して比較検討することが重要です。
- 導入目的を明確にし、自店舗の課題に合った機能を選ぶ
- 業態や利用シーンに合うタイプを見極める
- POSレジや決済システムとの連携可否を確認する
- 顧客が使いやすい操作性を重視する
- 導入後のサポートや運用体制が整っているか確認する
店内版モバイルオーダーと店外版モバイルオーダーでは、対応可能なオーダー方式が異なるため、自店舗にマッチするサービスを選ぶ必要があります。
また、モバイルオーダーによって、店舗アプリが必要なもの、QRコードPOPやステッカーの製作が必要なもの、公式サイトと連携可能なものなど、注文方法や機能はさまざまです。
自店舗でどのような運用方法を想定しているのかを明確にしたうえで、対応可能なモバイルオーダーシステムを選定しましょう。
参考記事:モバイルオーダーシステムのサービス比較12選!企業の導入事例や選び方のポイントを紹介
モバイルオーダー利用時に注文店舗を間違えたらどうすべき?
モバイルオーダーを使用している顧客側にとって、利用時に注文店舗を間違えてしまうのはよくある失敗です。ここでは、一般的なモバイルオーダーシステム(店外版)で、オーダーする店舗を間違えてしまった場合の対応方法と傾向について解説します。
基本的に返金対応はしてもらえない
モバイルオーダー利用時に注文店舗を間違えた場合、基本的に返金対応はしてもらえないケースがほとんどです。一度注文すると、注文と同時に支払い・決済も完了するため、基本的にはキャンセルできません。
これは、無断キャンセルや直前キャンセルによって、店舗側が損失を被るのを避けるための仕組みです。そのため、注文時に店舗を間違えていないか、注文前に今一度確認する必要があります。
調理開始・出荷前であればキャンセルできる場合もある
店舗で導入しているモバイルオーダーシステムによっては、調理開始前や倉庫からの出荷作業前であればキャンセルできる場合があります。
注文する店舗を間違えたことに早い段階で気付いたときは、キャンセル対応できないか確認してみると良いでしょう。ただし、モバイルオーダーによっては注文した時点でキャンセルできないものもあるので、注意が必要です。
返金対応してもらえる場合もあるがレアケース
モバイルオーダーで注文する店舗を間違えた際、まれに返金対応してもらえる場合があります。たとえば、店舗選択を間違えていることに気付かず、店頭に商品を受け取りに行ってしまったケースです。
その場合、店頭でオーダーし直して、間違えてしまったオーダー情報を取り消す形で、返金対応してもらえる場合があります。ただし、あくまで店舗側の善意で提供されているサービスのため、基本的には返金してもらえない方が多い点に注意しましょう。
また、返金の可否に限らず、注文する店舗を間違えたことに気付いた段階で、注文してしまった店舗に受け取りができない旨を連絡することが大切です。無断キャンセルにならないよう、注意してください。
まとめ
モバイルオーダーを導入する店舗は、今や飲食店のみならずさまざまな業種・業態で広まっています。しかし、多様化するオーダーシステムによって選択肢が広まった結果、自店舗に最適な機種がわからない、という方も多いでしょう。
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