深刻な人手不足が続いている中、コンビニ業界では外国人スタッフの採用が重要な戦力となりつつあります。採用の際には、留学生、永住者、定住者など在留資格によって働ける条件が異なるため、法律の理解と適切な雇用管理が不可欠です。
この記事では、コンビニで外国人スタッフを採用する際に知っておきたい在留資格の種類や特徴、そして手続きのポイントを整理し、店舗運営者が安心して採用判断できるように解説します。
コンビニでの外国人採用の現状とは?

現在、コンビニでは外国人スタッフの採用が年々増えており、主要チェーンではアルバイト・パート従業員のおよそ10%が外国人という状況です。
その背景には、国内全体の労働力不足と厳しい人手不足があります。特に、24時間営業が多いコンビニ業務では、夜勤や早朝シフトを外国人スタッフに任せるケースが増えている状況です。実際、3大コンビニチェーンでの外国人スタッフ数は、2019年と比べて約1.4倍となりました。
出身国としては中国、ベトナム、ネパールなどアジア圏が中心です。そのため、多言語対応や異文化理解が求められる店舗で、外国人スタッフが活躍する場面も多くなっています。
このような現状から、コンビニオーナーや店舗運営者には、外国人雇用を一時的な人手不足対策だけでなく、在留資格や日本語能力、就労条件を十分に理解し、定着や活躍を意識した人材戦略として考えることが求められています。
コンビニでの外国人採用事例については、下記もご参照ください。
参考記事:【2025年版】外国人採用の成功事例9選|飲食・小売・施設の実例を紹介
在留資格別|コンビニで働ける外国人のビザと条件
コンビニで外国人を採用する際は、在留資格ごとに働ける条件が大きく異なるため、まずは適法性を確認することが大切です。
- 留学生ビザ(資格外活動許可)
- 配偶者ビザ、定住者ビザ、永住者ビザ
- 人文知識・国際業務などの就労ビザ
- 特定技能ビザ
採用後のトラブルを避けるためにも、在留カードの情報が正しいか確認し、店舗業務に適合するか慎重に判断する姿勢が必要です。それぞれのビザの特徴と条件について解説します。
留学生ビザ(資格外活動許可)
留学生ビザを持つ人は、「資格外活動許可」を取得すれば、週28時間以内でコンビニのアルバイトができます。学期中は週28時間まで、長期休暇中は週40時間まで勤務できるのが特徴です。主な仕事はレジや品出しなどの単純作業ですが、深夜勤務や管理業務には従事できません。
外国人留学生を雇う際は、資格外活動許可の有無や就労時間の管理が必須です。雇用側も制度上の制約を理解し、適切な運用が求められます。
配偶者・定住者・永住者ビザ
配偶者ビザや定住者・永住者の在留資格を持つ人には就労制限がありません。そのため、フルタイムや正社員での採用が可能で、職種や勤務時間にも制約はないのが特徴です。コンビニの場合、レジ業務から店舗運営補助まで幅広く任せられるため、長期的な雇用も見込めます。
雇用主としては、在留資格の確認とあわせて日本人と同じ条件で働けるよう勤務時間・職務内容・労務管理を整えることが重要です。この環境が整えば、安定した戦力として外国人を雇用できるでしょう。
人文知識・国際業務などの就労ビザ
人文知識・国際業務などの就労ビザの場合、通訳や販売企画など専門的な業務は認められますが、レジ打ち・品出しなどの単純作業はできません。
このビザを持つ外国人を採用する際は、職務内容とビザの条件が合致していることを必ず確認しましょう。外国人アルバイトでも違法雇用にならないよう、在留資格と仕事内容との適合性を慎重にチェックする必要があります。
特定技能ビザ
特定技能外国人は基本的にコンビニでの就労は認められていません。
特定技能ビザでも、コンビニ業務に該当するレジ打ちや品出しといった単純労働には従事できないためです。
特定技能の対象分野は介護や外食業などに限られ、コンビニ業務は制度上の対象外となります。そのため、特定技能でレジ接客や店舗管理に従事することは認められていない点に注意が必要です。
制度上の制限を正しく理解すれば、不適切なビザ利用による違法就労リスクを回避できます。コンビニにおける外国人従業員の採用では、特定技能以外の就労可能な在留資格を検討しましょう。
コンビニで外国人を採用する前の書類確認と手続き
外国人スタッフを適切に雇用するには、採用前に以下の必要な書類や手続きの流れをしっかり把握しておくことが大切です。
1. 応募者の在留カード
- 在留資格の種類(留学、定住者、永住者、配偶者など)
- 就労制限の有無(「就労不可」「資格外活動許可」「就労制限なし」など)
2. 資格外活動許可の有無(留学生の場合)
- 在留カード裏面の「資格外活動許可欄」の確認
- 週28時間以内かどうかを確認
3. パスポートの在留資格欄・在留期間
- 有効期限切れがないか確認
- 更新申請中の場合は「特定活動(申請中)」の記載の有無を確認
4. 業務内容が在留資格に合致しているか
- 単純労働が可能なビザかの確認
- 管理業務などの場合は就労ビザ要件との整合性を確認
5. 雇用契約書・労働条件通知書の作成
- 雇用形態や給与、勤務時間、シフト条件などを明確に記載
- 可能であれば母国語版も併記
6. ハローワークへの「外国人雇用状況届出書」の提出
- 雇用開始後14日以内に提出必須
- 短時間アルバイトを含め、すべての外国人が対象
7. 労働保険・社会保険の加入手続き(該当者のみ)
- 勤務条件に応じて加入を判断
- 留学生でも条件を満たしていれば加入が必要
外国人スタッフの採用時は、在留カードなどの書類確認と法的な手続きを必ず行いましょう。特に「在留資格」と「資格外活動許可」の有無は最初に確認が必要です。
なお、在留カードには氏名、在留資格、就労制限などが記載されています。就労が可能か判断する際は、裏面の資格外活動許可欄も忘れずに確認してください。
採用後は雇用契約書や労働条件通知書の作成、さらに必要に応じてハローワークへの届出も忘れず対応しましょう。制度理解が不十分だと不法就労につながり、企業の責任が問われる場合もあります。採用前に必要書類の確認や申請手続きのフローをしっかり整備しておくことが大切です。
コンビニの外国人雇用に活用できる助成金・補助金

コンビニで外国人を採用・雇用する際に活用できる助成金・補助金制度には、以下のものが挙げられます。
- 人材確保等支援助成金
- キャリアアップ助成金
外国人スタッフを安定して雇用・育成するには、働きやすい環境づくりが欠かせません。その際、助成金や補助金を活用するのも有効な方法です。
それぞれの助成金・補助金について、コンビニでの活用方法を詳しく解説します。
人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金は、魅力的な職場づくりに取り組む事業主を支援する制度です。人材の確保や定着を目的としています。
特に、外国人労働者を雇うコンビニなどが利用できるのが「外国人労働者就労環境整備助成コース」です。このコースでは、導入や実施した制度ごとに1つあたり20万円、上限80万円まで助成されます。
ただし、支給には就労環境整備や離職率目標の達成など厳しい要件があるので、すべての企業が対象になるとは限りません。申請手続きや詳しい内容は、最寄りの労働局やハローワークで相談してください。
参照:人材確保等支援助成金
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、非正規雇用の外国人スタッフを正社員化したり、賃金規定などを改定して基本給を3%以上アップさせたりすることで、処遇改善に役立つ助成制度です。
特に、外国人を多く雇用している事業主が従業員の定着や人材確保をめざす場合に利用されます。条件を満たして申請しても必ずしも支給対象になるとは限らないため、労働局またはハローワークへ確認しましょう。
参照:キャリアアップ助成金
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)は、事業主がスタッフに専門知識や技能を身につけさせる職業訓練などを実施した場合に、訓練費用や訓練中の賃金の一部を国がサポートする制度です。
この助成金を活用すれば、外国人労働者のスキルアップやキャリアアップ、またコンビニ事業主の人材育成を後押しできます。
こちらの助成金も必ずしもすべての事業所が対象になるわけではないため、労働局やハローワークへの相談が大切です。
コンビニで外国人採用を成功させるために大切なこと
コンビニで外国人スタッフを採用する際は、在留資格の適合性、業務内容、日本語能力、労務管理体制をあわせて考えることが重要です。特に、資格外活動許可の有無や週28時間の勤務制限などの制度を十分に理解していないと、店舗の法的リスクに直結します。
制度の正しい理解と、現場でのきめ細かなサポートの両方を意識することで、安定した外国人材の雇用につながるでしょう。
