企業研修のデジタル化が進む中で、eラーニングシステムの導入は多くの企業が検討するテーマとなっています。
しかし、導入費用や月額料金、教材制作費などの内訳が複雑で、正確な相場を把握しきれない担当者も少なくありません。 実際、eラーニングの費用は導入形態によって3倍以上の差が出る場合があり、見積もり前の比較がとても重要です。
そこで本記事では、eラーニングシステム導入に必要な費用の全体像から、見積もり時のチェックポイント、費用削減の具体的な方法までを解説します。
eラーニングに必要な費用とは?内訳を解説

eラーニングシステムの導入、運用にかかる費用は、20万円~500万円が目安です。
eラーニングの費用には、導入費用(初期費用)や月額料金のほか、コンテンツ制作費やサポート費用などが挙げられます。それぞれ項目ごとにかかる費用の目安 を把握し、導入時の費用だけでなく中長期的なコストについても予測しておくことが大切です。
- 導入費用(初期費用)
- 月額費用
- 教材制作・動画コンテンツ費用
- 機能追加・カスタマイズ費用
- 運用・サポート費
eラーニングシステムの導入や運用にかかる費用について、区分ごとの目安は下記の通りです。
| 費用区分 | 相場の目安 |
|---|---|
| 導入費用(初期費用) | 0〜20万円(クラウド型) 100〜500万円(オンプレミス) |
| 月額費用 | 1ユーザー200〜1,000円 または 月額5〜20万円(定額制) |
| 教材制作・動画コンテンツ費用 | 5〜50万円(スライド教材) 10〜100万円(動画教材) |
| 機能追加・カスタマイズ費用 | 10万円〜数百万円 |
| 運用・サポート費 | 月額費用に含まれることが多い(クラウド) オンプレミスは別途契約(数万円〜) |
上記の費用項目ごとに内訳をしっかり把握すれば、eラーニング導入後にかかる費用も見通しやすくなり、企業研修の効率化につながります。次に、それぞれの費用について解説します。
導入費用(初期費用)
eラーニングシステムの導入費用の相場は0〜20万円が目安です。クラウド型サービスでは、この価格帯のサービスが多く見られます。
導入費用(初期費用)は、eラーニングシステム利用開始時に必要な設定作業にかかる費用で、企業がまず確認すべきポイントです。特にクラウド型LMSの場合、初期費用が低価格で済むことが多く、導入しやすいのが特徴といえます。
初期費用にはシステムの基本設定や管理者アカウント作成、ユーザーID登録、標準的な学習管理機能の設定支援が含まれるのがポイントです。
運用体制や必要な機能を整理して初期費用を確認しておくことで、運用後の費用も予測しやすくなり、費用対効果に基づいた判断ができます。
月額費用
eラーニングシステムの運用にかかる月額費用は、クラウド型eラーニングの場合で1ユーザーあたり月200〜1,000円が目安です。月5〜20万円の定額制を取り入れているサービスもあります。
月額費用は、eラーニングを継続して利用する際の運用費用です。ユーザー数やサービスプランによって料金が大きく異なります。自社でシステムを構築して導入する「オンプレミス型eラーニングシステム」の場合、月額料金はかかりません。しかし、サーバーの保守管理やシステムのカスタマイズに携わる社員の人件費などがかかります。
クラウド型eラーニングの場合、学習管理システムの機能数や動画配信量、受講者数の増減によっても月額料金が変動するため注意しましょう。管理機能やサポート内容によっても料金に差が出る場合があります。
利用人数や研修実施の頻度を把握し、月額固定費とユーザー単位の変動費を採用しているそれぞれのサービスを比較して、自社にとって無理のない料金体系を選びましょう。
教材制作・動画コンテンツ費用
教材制作・動画コンテンツ費用は、スライド型教材の場合1本あたり5〜50万円、動画教材の場合は10〜100万円が一般的な金額です。制作費には教材の構成・シナリオ、撮影・編集、ナレーションなどが含まれます。
教材制作・動画コンテンツ費用は、eラーニングで使用するスライド教材や動画教材を企画・作成するために必要となる制作コストです。教材を外注するか社内で作成するかによっても費用は大きく異なります。
研修内容に合わせて外注と内製をバランス良く活用すれば、費用を抑えつつ学習の質もキープでき、長期的な人材育成にも役立つのがポイントです。
機能追加・カスタマイズ費用
機能追加やカスタマイズの費用は、数十万〜数百万円単位で発生する場合があります。学習システムを自社の運用に合わせて拡張する際に発生する費用で、標準機能だけでは足りない場合に必要となる場合が多いです。
代表的な追加機能として、テスト機能の強化や進捗管理機能のカスタマイズ、アンケート機能の拡張、既存システムとのデータ連携などが挙げられます。クラウド型は標準機能で十分対応できる場合が多いものの、スクラッチ開発やオンプレミス型で運用している場合は、高額な追加費用が発生する場合がある点を把握しておきましょう。
導入前に必要な機能を洗い出し、標準プランでどこまで対応できるか確認すれば、思わぬ追加費用を避けやすくなります。
運用・サポート費
運用・サポート費の目安は、約2万円~50万円です。eラーニングを安定して管理・運用するために不可欠な費用で、企業の人材育成体制にも直接影響します。
Eラーニングシステムの運用・サポートの主な内容は、管理者のサポートやシステム保守、問い合わせ対応、ユーザー管理機能の運用支援などです。クラウドサービスの場合は月額費用に含まれているケースも多く、オンプレミス型では別途サポート契約が必要です。
自社の教育体制と照らし合わせて運用サポートの必要度を判断すれば、管理負担の軽減に役立ち、スムーズな運用につながります。
eラーニングの費用相場|クラウド・オンプレミス・スクラッチ開発の違い
eラーニングの費用は、クラウド型では月額5〜20万円、オンプレミス型は100〜500万円、スクラッチ開発型では数百万円規模が一般的な目安です。ただし、導入の形態によって費用構造が大きく異なるため、システムの要件や運用方法に合った選択が重要になります。
導入形態ごとの費用目安は下記の通りです。
| 導入形態 | 初期費用(導入費) | 月額費用 / 運用費 |
|---|---|---|
| クラウド型eラーニング | 0〜20万円 | 5〜20万円 または 1ユーザー200〜1,000円 |
| オンプレミス型eラーニング | 100〜500万円 | 保守費:数万円〜/月 |
| スクラッチ開発型eラーニング | 500万円〜数千万円 | 保守・運用は別途見積もり |
このように費用のバランスを理解しておくと、自社に合ったeラーニングの導入形態を選びやすくなります。それぞれの特徴について説明します。
クラウド型eラーニングの費用相場
クラウド型eラーニングでは初期費用0〜20万円、月額費用5〜20万円が標準的です。ユーザー数に合わせた料金設定で、導入しやすく、多くの企業研修で利用されています。 クラウド型はシステムやサーバー構築が不要で、設定と教材の登録のみで導入が始められるのが特徴です。
利用人数の変動があっても柔軟に費用を管理できるため、小規模から始めたい企業や、段階的に利用を拡大したい場合にも適しています。近年では、飲食店での新人アルバイト研修や、店舗の新入社員研修にも採用されており、教育コストの負担軽減や即戦力の育成に役立つ手段として注目されているサービスです。
導入費用・月額費用ともに数万円単位の負担で導入できることから、従業員数が少ない個人店舗や小規模店舗でも、既存従業員が新人教育を担当する負担を軽減する目的で活用されています。
オンプレミス型eラーニングの費用相場
オンプレミス型eラーニングの相場は、導入費用100〜500万円、保守費用は数万円からです。初期投資は大きくなりますが、自社サーバーで管理したい場合に向いています。
オンプレミス型はサーバー調達やシステム開発、セキュリティ対策などへの投資も必要です。膨大な導入コストがかかる一方、受講者数が多い場合には長期間運用のコストが安定しやすいメリットもあります。
自社のシステム連携や高いセキュリティが必要な場合にもおすすめの選択肢です。ただし、初期費用の大きさを考慮して検討しましょう。
スクラッチ開発型eラーニングの費用相場
スクラッチ開発型eラーニングは、開発費として500万円以上、場合によっては数千万円かかる導入方法です。完全に自社仕様で設計できるのが最大のメリットで、自社の管理方法や従業員の受講手段に応じてカスタマイズできます。
教材制作やユーザー管理機能、進捗管理、アンケート機能などをゼロから構築するため、開発費や工数も大きくなります。
独自教育の仕組みを重視したい企業には適していますが、十分な予算と運用体制の準備をしてから検討することが必要です。
eラーニングの費用を左右する6つの要因|見積もり前の比較ポイント

eラーニングに必要な費用は、下記6つの要因で大きく変わります。
- 利用人数(ユーザーID数)
- 機能
- 動画容量・配信量
- 管理者の運用工数
- セキュリティ・権限管理
- 導入形態とサーバー仕様
特にクラウド型はユーザーID数が月額費用へ直結し、受講者が増えるほどコストが高くなる傾向にあります。学習の進捗管理やテスト機能の追加、動画配信量の増加も料金へ反映される場合がある点に注意しましょう。
また、オンプレミス型やスクラッチ開発型はサーバー構築や開発作業の工数も必要なため、初期費用が高額になる場合が多くあります。
あらかじめこのような要因を整理しておくと、正確な見積もりがしやすくなり、自社に合った費用体系を見極めやすくなるのがポイントです。
eラーニングの費用を抑える方法|コスト最適化の実践ポイント
eラーニングのコストを抑えるためには、目的に合ったプランの選定や教材の内製化、標準機能の活用が重要となります。主な方法は下記の通りです。
- 無料トライアルや無料プランを活用する
- 標準コンテンツで制作費を削減する
- 教材は自社で動画やPowerPointを使って内製する
- 公的な助成金や補助金を活用する
多くのクラウド型サービスが無料トライアルを提供しており、導入前にトライアルで操作性や機能を確認しておけば、必要のないオプション費用を見極められます。
また、サービスが用意する標準コンテンツを活用すれば教材制作費を抑えやすくなり、加えて自社オリジナル教材も動画やPowerPointを活用して内製すれば、費用を最小化することが可能です。
上記のポイントを意識していれば、初期費用と月額費用の両方を適切に調整し、企業の教育体制に合ったコストバランスが実現しやすくなります。
また、費用を抑えて最小限のコストで導入したい場合は、クラウド型eラーニングの導入が最適です。オンプレミス型eラーニングのようなサーバー構築や保守の費用がかからないため、コストを抑えつつeラーニングシステムを導入・運用できます。
クラウド型eラーニングの比較ポイントや詳細、おすすめサービスについては、下記の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
参考記事:クラウド型eラーニングとは?中小企業向けおすすめサービス5選と導入メリット・比較ポイントを解説
自社に合った料金体系を選び、費用対効果の高いeラーニング研修を
eラーニングにかかる費用は、導入費や月額費用、教材制作費に加え、利用人数や機能、動画容量などによっても大きく変動します。特にクラウド型サービスは初期費用が低く、オンプレミス型より保守・管理面での負担が軽減されやすいのも特徴です。
それぞれの要素を洗い出して費用面を比較すれば、教育効果とコストバランスを両立しやすくなります。ぜひ自社の研修課題を整理し、eラーニング活用を目指して目的や予算に合った最適な導入形態を選択しましょう。

