社員の印象や信頼感を左右するビジネスマナーの習得を効率的に行う手段として、eラーニングによるビジネスマナー研修が注目されています。
とくに新入社員や若手社員の早期育成には、「時間・場所に縛られず学べる」「コストを抑えて反復学習できる」といったeラーニングの特性が大きな効果を発揮する点がメリットです。
では、ビジネスマナー研修にはどのようなeラーニングシステムを選べばよいのでしょうか。
本記事では、導入実績や機能面でも評価が高いビジネスマナー研修におすすめのeラーニング教材を厳選して4つ紹介します。
eラーニングシステムとは

出典:『eラーニングと人的資本価値向上』に関する企業の意識調査
eラーニングシステムとは、インターネット上で教材を配信し、学習管理を行うシステムのことです。社員研修やビジネスマナー研修を効率的に実施できるほか、受講者の進捗管理や教材の配信も一元的に行えます。
eラーニングでは、教材の管理や学習の進捗管理などの機能を、LMS(学習管理システム)が担うケースが一般的です。
株式会社NTT HumanEXが実施した「eラーニングと人的資本価値向上」に関する企業の意識調査によると、eラーニングの研修内容では「コンプライアンス」「情報セキュリティ」が1位・2位を占めています。どちらもビジネスマナー研修で扱うことが多い内容で、企業が法令遵守や機密情報の取り扱いを重視する傾向が明らかになりました。
eラーニングシステムでは、新入社員向けのビジネスマナー講座から管理職研修まで、階層別の研修コースに対応可能です。時間や場所を選ばず学習できるので、集合研修に比べて柔軟な人材育成が実現します。
ビジネスマナー研修にeラーニングを活用する3つのメリット
ビジネスマナー研修をeラーニング化すれば、従来の集合研修では実現しにくかった以下のような学習・管理環境を構築できます。
- 時間・場所に縛られず、柔軟に学習できる
- 受講状況・理解度を「見える化」できる
- 研修コスト・教育負担の削減が可能
ここでは、ビジネスマナー研修をeラーニングで実施する際の3つのメリットについて詳しく解説します。
時間・場所に縛られず、柔軟に学習できる
eラーニングなら、インターネット接続さえできればいつでもどこでも学習が可能です。新入社員や内定者が自分のペースで受講できるため、集合研修のようなスケジュール調整が不要になります。
集合研修では受講者が集まるタイミングを調整する難しさがありました。eラーニングなら時間や場所に制約されず、パソコンやスマートフォンで動画を視聴しながら学習を進められます。
ビジネスマナー講座やビジネススキル研修を動画教材で配信すれば、在宅勤務の社員も出社中の社員も均等に研修を受講できる点がメリットです。
時間と場所を選ばない学習スタイルにより、内定者研修から新入社員研修まで効率的に実施できるため、入社後は新人指導のために過度な労力を割く必要がなくなり、実務に集中できる体制が整います。
受講状況・理解度を「見える化」できる
eラーニングシステムには学習管理機能があり、受講者一人ひとりの学習進捗状況や成績を把握・管理するのに適しています。
新入社員研修やビジネスマナー講座の受講データを一元管理することで、研修終了後も各コースの進捗を追跡可能です。受講者自身も自分の進捗状況を確認しながら学習を進められるため、計画的にスキルを習得できます。
学習管理機能により、若手社員から管理職まで階層別の研修効果を測定できるため、人事担当者が研修内容の改善を効率的に行えるのもメリットです。
研修コスト・教育負担の削減が可能
eラーニング導入により、会場費や講師派遣費などの研修費用を削減につながるメリットもあります。
講師の報酬は研修コストを押し上げる要因になりがちです。eラーニングシステムの動画教材を活用すれば、講師を毎回招く必要がなくなり、受講者の人数が多くなるほどコストを下げられます。
新入社員研修や内定者研修をeラーニング化することで、研修管理の工数も削減可能です。
ビジネスマナー講座やビジネススキル研修をeラーニングサービスを活用して行えば、社員教育の質を維持しながら研修費用を削減できるでしょう。
eラーニングを導入する効果については、以下記事にて詳しく解説しています。
参考記事:【効果測定法付き】eラーニングは効果があるの?効果を引き出す5つのポイントと学習者・管理者それぞれのメリット
eラーニングで学べるビジネスマナーの主な内容
ビジネスマナーは「なんとなく身につける」ものではなく、正しい知識の学習と反復によって習得できます。eラーニングでは、動画やスライドを通じて、挨拶・敬語・名刺交換から電話応対・報連相の方法まで、社会人に必須のマナーを体系的に学ぶことが可能です。
ここでは、eラーニングで習得できる主なビジネスマナーの内容をカテゴリ別にチェックリスト形式でご紹介します。
基本動作・第一印象
- 挨拶・お辞儀の角度とタイミング
- 正しい姿勢・立ち振る舞い・歩き方
- 会人としての身だしなみ(服装・髪型・清潔感)
言葉遣い・敬語
- 敬語(尊敬語・謙譲語・丁寧語)の使い分け
- NG表現・失礼な言い回しの回避
- 状況に応じた話し方・語調の調整
名刺交換・ビジネスの基本所作
- 名刺の渡し方・受け取り方・名刺管理
- 上座・下座の理解と行動
- 訪問・来客時のマナーと振る舞い
電話応対・メール対応
- 会社を代表する電話対応の基本
- クレーム対応・伝言の受け方・報告の仕方
- メールの基本構成(宛名・挨拶・本文・署名など)
- 件名・敬語・返信ルールの基本
ビジネス文書・報連相
- 社内文書・社外文書の違いと書き方
- 正しいフォーマットと表現ルール
- 「報告・連絡・相談(報連相)」の実践方法と頻度
コミュニケーション・人間関係構築
- 職場でのコミュニケーションの取り方
- 上司・同僚・顧客との信頼関係の築き方
- トラブル時の対応マナー・謝罪の基本
社会人としての心構え
- 仕事への責任感とプロ意識
- チームワークの重要性と役割意識
- ビジネスパーソンとしての自己管理
職種や立場に特化した研修コースで学べるビジネスマナーの内容の一例を表にまとめました。
| 対象 | 研修内容の概要 |
|---|---|
| 新入社員向け | ビジネス基礎・電話・名刺交換など入門編が中心 |
| 管理職向け | 指導時のマナー、部下への対応、ハラスメント対策など |
| 接客業向け | 接客マナー、クレーム対応、印象管理に特化 |
| 内定者向け | 社会人マナーの基礎+企業風土理解 |
このように、専門的な研修コースでは受講者の職種や階層に応じて、接客・管理職・内定者などそれぞれに必要なビジネスマナーを重点的に学べます。
おすすめのビジネスマナー向けeラーニングサービス4選
ここでは、実際の企業導入実績が豊富で、ビジネススキル研修やコンプライアンス研修にも対応可能な、信頼性の高いビジネスマナー向けeラーニングサービスを4つ厳選してご紹介します。
- LearnO
- JMAM|個人学習+研修管理に強い
- ユーキャン|低コストで個人にも導入しやすい
- 大塚商会|内定者・新人に特化した研修を無料で使える
各サービスの特徴や研修内容を比較し、自社の人材育成方針に合った製品選びにお役立てください。
LearnO

LearnOは企業研修や社員育成といった幅広い活用実績があり、ビジネスマナー研修に必要な柔軟性、アクセス性、および運用サポートを兼ね備えているeラーニングです。
ビジネスマナー研修は企業独自のルールや文化を反映することが重要です。LearnOは既存の資料を活用できるため、自社独自の教材がある場合は、その教材をeラーニング化するのがおすすめの導入方法です。
また、自社でビジネスマナーの動画やスライドの制作工数を削減したい場合、LearnOでは外部の専門的なサポートを活用できます。
LearnOはコンテンツの提供や企画・開発ノウハウを持つパートナー(株式会社dec boc、株式会社北斗社)と連携しており、eラーニング教材の企画・制作ノウハウに基づく教材制作サポートを行っているのも特徴です。このサポートにより、ビジネスマナー研修の質をさらに高めるための支援を受けられます。
LearnOは月額4,900円の業界最安値帯料金から提供されており、初期費用が0円 であるため、コストを抑えて全社的な教育を実施できます。
契約は1ヶ月から可能なため、特定の期間のみ集中的に研修を行いたい場合にも柔軟に対応できておすすめです。
JMAM|個人学習+研修管理に強い

JMAM(日本能率協会マネジメントセンター)が提供する、個人学習と研修管理に強みを持つビジネスマナー向けのeラーニングサービスには、内定者や新入社員の定着サポートに特化した「フレッシャーズ・ビュッフェ」があります。
フレッシャーズ・ビュッフェは、近年の新人の価値観に合わせた定額制eラーニングで、社会人の基本的な知識・スキルを235のコンテンツで効率的に学べます。
初期費用は0 円、年額 11,000 円(税込)/ 1名で学び放題のプランとなっています。
ユーキャン|低コストで個人にも導入しやすい

ユーキャン(U-CAN)が提供する法人向けのビジネスマナーeラーニングサービス「社会人のマナー講座」は、コストパフォーマンスとシンプルな料金体系が特徴です。
受講費用は11,000円(税込)、1人からでも受講可能なため少人数・個人で受講しやすくなっています。こちらは添削や質問サービスがなくサポートが簡素なため、低コストを実現しています。
標準学習期間は1カ月で、短期かつ速習でビジネスマナーを学びたい従業員におすすめです。
教材は全16章の動画講義で構成されており、1レッスンあたり10分前後のため、スキマ時間に短時間でビジネスマナーを学習できます。
大塚商会|内定者・新人に特化した研修を無料で使える

大塚商会の「大塚ID ビジネスeラーニング」は、新入社員教育における企業の課題(準備時間、費用、ノウハウの不足など)を解決することを目的に設計されています。
ビジネスの基礎知識を体系的に学びつつ、若手社員に起こりがちなミスやトラブル事例を確認しながら、社会人としての基本的なルールやマナーを学習できるコースが用意されているのが特徴です。
1レッスン10分以内で気軽に受講できる構成で、学習内容を理解しているかを確認するためのテストが用意されています。
ID登録から受講まですべて無料で利用できるのも特徴で、年会費や入会費は一切かかりません。
ただし、リアルタイムの受講履歴確認といった管理機能は、有料版のeラーニングで使えるようになっています。
初期費用は無料で開始できる中小企業向けeラーニングは、以下記事でも紹介しています。
ビジネスマナー向けeラーニング教材・サービスの選び方と比較ポイントは?
eラーニングシステムは数多く提供されているため、以下のような6つの比較ポイントを総合的に評価する必要があります。
- 教材の形式と学習スタイル
- 対象者・階層別のコース設計
- 管理機能・学習管理システム(LMS)の有無
- 料金体系・プラン内容の柔軟さ
- 導入実績・企業対応力
- 資料請求・体験講座の有無
まず教材の形式と学習スタイルを確認し、動画講座やeラーニング教材が自社の研修内容に適しているか判断しましょう。次に、新入社員向けプランから管理職研修まで、階層別のコース設計が可能かどうかを確認する工程も必要です。
料金体系では視聴期間や受講者数に応じたプランの柔軟さをチェックします。また、導入実績や企業対応力から信頼性も評価しましょう。
サービス紹介資料の無料ダウンロードや体験講座の有無も、導入前の判断材料として活用可能です。
これらの比較ポイントを押さえることで、ビジネスマナー研修からビジネススキル研修まで、社員教育を効率的に実施できるeラーニング研修サービスを選定できます。
ビジネスマナー研修のeラーニング、まずは無料トライアルもおすすめ
eラーニングによるビジネスマナー研修は、「学習管理」「動画教材の質」「対象者別コース設計」などを比較しながら選ぶのが成功のポイントです。
とくに、新入社員向けビジネスマナー研修のeラーニングのような階層別設計がされているサービスなら、育成の抜け漏れも防げます。時間とコストを効率化できるeラーニングを、人材育成の選択肢として取り入れてみてはいかがでしょうか。
