「厨房機器のメンテナンスは本当に必要なのか」「費用が高額になりそうで躊躇してしまう」
とお悩みの飲食店オーナーも多いのではないでしょうか。
しかし、業務用冷蔵庫や製氷機といった厨房機器は、毎日稼働し続けるからこそ、劣化や不具合が蓄積されます。メンテナンスを怠れば、営業停止や重大な衛生トラブルを引き起こしかねません。
「突然止まる冷蔵庫」「氷ができない製氷機」――そんな想定外を未然に防ぐためにも、定期的な点検が必要です。
本記事では、業務用厨房機器メンテナンスの必要性やメンテナンス費用の目安、信頼できる厨房機器メンテナンス業者の選び方まで、店舗経営者にとって役立つ知識を具体的に解説します。
業務用厨房機器メンテナンスの必要性と放置リスク
業務用厨房機器の定期的なメンテナンスは、故障や衛生トラブルを未然に防ぎ、店舗経営の安定性を高めるうえで欠かせません。
厨房内の排気ダクトやグリスフィルターには、日々の調理によって油汚れやほこりが蓄積していきます。これを放置すると排気効率が低下し、厨房内の温度上昇や煙の充満を引き起こすだけでなく、火災のリスクも高まるのが怖いところです。
冷蔵庫や製氷機といった冷却機器では、庫内ファンやフィルターの目詰まりが原因で冷却効率が著しく低下するケースも多くあります。すると、食材の品質管理や電気代にも悪影響を及ぼしかねません。
また、定期的な点検を怠ると、部品の摩耗や劣化が進行します。その結果、突発的な故障によって営業に支障が出るばかりか、修理や交換に高額な費用がかかる点に注意しましょう。
「まだ使えるから大丈夫」と見過ごしていた機器が、ある日突然営業停止の引き金になるかもしれません。こうしたリスクを軽減するには、専門業者による定期的な清掃・メンテナンスが必要です。
普段の厨房機器のお手入れ・メンテナンス方法
厨房機器は、業者による定期的なメンテナンスも重要ですが、普段のお手入れも欠かせません。まずは、飲食店で普段行うべき厨房機器のお手入れ・メンテナンス方法を把握しておきましょう。
- 冷蔵庫・冷凍庫のお手入れ・メンテナンス方法
- 製氷機のお手入れ・メンテナンス方法
- ガスコンロのお手入れ・メンテナンス方法
- フライヤーのお手入れ・メンテナンス方法
- スチームコンベクションオーブンのお手入れ・メンテナンス方法
- グリドルのお手入れ・メンテナンス方法
それぞれのメンテナンスのやり方を厨房機器ごとに解説します。
冷蔵庫・冷凍庫のお手入れ・メンテナンス方法
冷蔵庫と冷凍庫は、庫内やフィルター、背面のコンデンサーの掃除を月1回行うだけで、冷却効率が改善し、電気代削減にもつながります。
ドアパッキンの隙間に溜まった汚れは、冷気の漏れを招いて庫内温度を不安定にする要因の1つです。
また、背面のルーバーにほこりが詰まると熱交換が阻害され、コンプレッサーに過剰負荷がかかるため、背面まで綺麗にしておくのがおすすめです。霜取り機能があれば、定期的に霜取りも行いましょう。
製氷機のお手入れ・メンテナンス方法
製氷機は、給水ラインとフィルターの定期洗浄を行うことでで、細菌繁殖や氷品質の悪化を防げます。
製氷機の給水バルブに付着したミネラル汚れ(水垢)は詰まりや水漏れの原因になるうえ、氷の風味を損ねかねません。さらに、放置してフィルターにカビが生えると、衛生面での重大リスクにもつながります。
清掃にはブラシと除菌剤が有効で、週1回~少なくても月1回の洗浄が望ましいでしょう。
ガスコンロのお手入れ・メンテナンス方法
ガスコンロのバーナーとゴトクは毎日清掃しましょう。さらに、月1回の目詰まり・火力チェックを行う習慣が重要です。
ゴトク裏に溜まる油汚れは、火が不安定になる原因となり、場合によってはガス漏れを起こす可能性もあります。加えて、バーナーの穴詰まりは火力の低下や異音を招き、効率的な調理を阻害しかねません。
日常の拭き取り+チェックで、厨房の安全を守りましょう。
フライヤーのお手入れ・メンテナンス方法
フライヤーは油の交換と槽内のカーボン(焦げカス)除去を定期的に行うことで、発火事故や風味劣化のリスクを防ぐことが可能です。
使用後の油を濾過せずに使い続けると、カーボンが溜まり、油の酸化が急速に進行します。また、加熱管や槽内に固着した油汚れは、火災の原因にもなりかねません。
高温の油を扱うフライヤーだからこそ、「汚れの蓄積=事故リスク」だと意識し、定期清掃を欠かさないようにしましょう。
スチームコンベクションオーブンのお手入れ・メンテナンス方法
スチームコンベクションオーブンは、使用後の蒸気・水分を残さず拭き取り、定期的に排水経路や加熱管を点検しましょう。
スチームコンベクションオーブンは高湿度下で使用するため、水垢やカビの温床になりやすく、衛生的なリスクがあります。また、排水トラップの詰まりやスケール汚れは、温度異常や加熱不良の原因にもなりかねません。
見えないところほど汚れるのがスチコンの特徴です。高性能な機器だからこそ、使用後の丁寧な拭き取りと内部洗浄が長寿命につながります。
グリドルのお手入れ・メンテナンス方法
グリドルは調理面の焦げ付き除去と排油トレーの洗浄を日々実施することで、加熱ムラと劣化を防げます。
調理面にカーボンが蓄積すると、火の通りに差が生じ、焼きムラや加熱不良が生じかねません。また、排油口やトレーの清掃を怠ると、過熱による焦げ臭や煙の発生、さらにはボヤにもつながる可能性があります。
営業終了後にはスクレーパーで残渣を除去し、グリドルクリーナーを鉄板に注ぎ不織布ナイロンたわしで鉄板を清掃しましょう。
厨房機器のメンテナンス費用相場|部品交換・出張料金の目安
厨房機器のメンテナンスを業者に依頼した場合の費用相場は、5千円~10万円ほどです。 費用は依頼内容(機器の種類、部品の有無)や業者、緊急性、時間帯(夜間・休日)などによって変動するので、あくまで目安としてご参照ください。
項目 | 費用相場 |
---|---|
スポット点検(1回) | 5,000円〜20,000円前後 |
定期点検プラン(年額) | 15,000円〜50,000円前後 |
保守契約(複数機器一括) | 30,000円〜100,000円超 |
厨房機器のメンテナンスを業者に依頼すると、普段のお手入れでは手が届かない部位の清掃や、専門的な視点による劣化状況のチェックなどを実施してもらえるメリットがあります。スポット点検は、業者によって作業内容や点検にかかる時間が異なるため、複数社に見積もりを依頼したうえで比較検討し、依頼先を選定しましょう。
保守契約の場合、冷蔵庫、製氷機、加熱機器など複数機器対応で、定期点検+修理サポート付きのプランもあります。厨房機器1台あたりにかかるメンテナンス費用が割安になったり、突然の故障にも迅速に対応してもらえたりする契約もあるため、活用を検討してみると良いでしょう。
古くなった厨房機器は、買い替えを検討してみても良いかもしれません。業務用厨房機器のおすすめの販売店については、以下の記事でも紹介しているのでぜひご覧ください。
参考記事:業務用厨房機器の販売店おすすめ5選|新品と中古のメリット&デメリット・販売店の選び方も解説
【夜間・24時間対応OK】厨房機器メンテナンスおすすめ業者5選
夜間・24時間対応も可能な厨房機器メンテナンスのおすすめ業者5選を紹介します。
- グッドレスキュー24
- 厨房修理110番
- トーキョーアポロメンテナンス
- リペア株式会社
- 株式会社厨房サービス
日中の店舗の営業時間を避けた時間帯に厨房機器のメンテナンスを依頼したい場合や、緊急の場合に確認してみてください。
グッドレスキュー24
出典:グッドレスキュー24
グッドレスキュー24は、24時間365日全国対応が特徴の厨房機器メンテナンス・修理サービスです。
- 全機種・メーカー問わず修理・メンテナンス可能
- 一般会員と定額制会員の料金プラン
対応可能な厨房機器は多く、ホシザキの冷機器、マルゼンやタニコーの熱機器など主要メーカーの製品はもちろん、洗浄機器や少数機種のメンテナンスや修理対応も頼める可能性があります。グッドデザイン賞を2020年に受賞している信頼性あるサービスです。
厨房修理110番
出典:厨房修理110番
厨房修理110番では、深夜・早朝、土日祝日もいつでも厨房機器のメンテナンスが対応可能です。不具合修理や厨房機器販売も行っており、買い替えも安心です。
- メインエリアは東京都と埼玉県
- 土日・祝日もOKで、年中無休・365日対応
土日祝、時間外の修理訪問には追加料金が発生するため確認してください。
トーキョーアポロメンテナンス
トーキョーアポロメンテナンスでは電話での連絡後、最短30分で現場にスタッフ到着し、必要な修理を迅速に行ってくれます。
- 迅速な対応と24時間365日体制
- 他社で断られた案件や、メーカーから買い替えを勧められたような修理内容にも対応
- 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県を中心にサービスを提供
ホームページ限定の割引サービスもあるため、そちらも要チェックです。
リペア株式会社
出典:リペア株式会社
リペア株式会社は、メンテナンスサービス一筋32年の経験を持つ会社です。夜間や休日を問わず、「受付センター」がお客さまからの問い合わせを待機しています。
- 関東に8つのサービスセンターあり
- サービスマンは全員が自社社員、メーカーの講習受講済み
厨房機器を含む空調機器や冷凍冷蔵機器の修理・メンテナンスに関して、年中無休でいつでも受付が可能です。
株式会社厨房サービス
出典:株式会社厨房サービス
株式会社厨房サービスは、愛知県で厨房機器のメンテナンスを行う会社です。
- 夜間、早朝、休日対応も可能
- 厨房機器全般、冷凍冷蔵設備、空調換気設備、フロンガス回収、給排水・給湯設備など厨房関係のことなら何でも対応
修理だけでなく、設計から設置まで総合的に手掛けているため、定期点検や急な修理にも対応できます。
厨房機器の修理をしたい場合、業務用厨房機器の修理業者について、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:業務用厨房機器の修理業者おすすめ6選!|費用相場・業者の選び方を紹介
飲食店の厨房機器メンテナンス業者を選ぶポイント6つ
飲食店の厨房機器メンテナンス業者選びでは、以下6つのポイントをチェックしましょう。
- 対応機器の種類が幅広いか確認する(例:冷蔵冷凍庫・製氷機・食洗機・ガス機器など)
- 有資格者(厨房設備士・厨房設備施工技能士)が在籍しているか
- 施工実績や導入事例が豊富で、飲食店への対応経験があるか
- 緊急時の出張修理体制が整っているか
- 見積もりが明瞭で、出張費・作業料・部品代の内訳が事前に提示されるか
- 厨房機器メーカーとの提携有無(例:ホシザキ・タニコー等)をチェック
まず、業者が対応できる厨房機器の種類(業務用冷凍冷蔵庫、製氷機、ガス機器など)を確認しましょう。専門知識と経験のある技術者が在籍しているかどうかは、故障対応の迅速さと精度に直結します。施工実績や利用店舗数の多さも重要な指標です。
また、緊急対応や定期点検といったアフターサービス体制が整っているかも欠かせません。24時間対応や保守契約を組める業者なら、営業中に起こるトラブルにも迅速に対応してもらえます。
定期的なメンテナンスで業務用厨房機器を長く安全に使おう
厨房機器のメンテナンスは、コストではなく“経営を守る投資”です。業務用厨房機器は日常的に酷使され、内部の部品は少しずつ確実に劣化していきます。冷却性能の低下や異音、氷不足といった初期症状を見逃さず、早期に対処すれば、結果として修理費用や営業損失の削減につながるのがポイントです。
壊れてから慌てるのではなく、“壊れないように備える”ことが、プロとしての判断力と言えるでしょう。