材料をセットするだけで料理が完成する自動調理器は、用途やメニューに合わせて選ぶことで、調理の手間や人件費の削減に貢献します。
例えば、無水調理や低温調理に特化したホットクックは家庭向けの調理器です。一方、業務用には自動撹拌式中華鍋やロータリークッカーがあり、このような機器は大量調理に適しています。
では、それぞれの自動調理器の機能にはどのような違いがあり、飲食店で導入する際はどのようなポイントで比較すれば良いのでしょうか。
本記事では、自動調理器の調理機能や価格、対応メニューを比較しながら、家庭用・業務用のおすすめモデルを解説します。
自動調理器とは?|料理を時短化する仕組みと種類を解説
自動調理器とは、食材や調味料を入れてボタンを押すだけで、加熱や攪拌などの調理工程を自動で行う調理家電のことです。
火加減の調整やかき混ぜ作業が不要なため、調理中に他の家事や作業ができます。忙しい日常や営業時間中でも効率的に調理できる点が大きな魅力です。
自動調理器は、以下のような種類に分けられます。これらの種類から用途に合った機種を選べば、業務の円滑化につながります。
非圧力タイプ(スロークッカーなど)
一定の温度でじっくりと加熱し、食材の旨味を引き出します。煮込み料理やスープにおすすめです。
無水調理対応機種
食材から出る水分を利用して調理し、栄養素や旨味を逃さず仕上げます。
低温調理対応機種
食材を一定の低温で加熱し、肉や魚をしっとりと仕上げます。
電気圧力鍋
電気の力で鍋内の圧力を高め、100℃以上の高温で食材を短時間で調理します。煮込み料理や炊飯におすすめです。
上記の機能により、調理時間が短縮でき、忙しい中でも一定した品質の料理を調理できます。
自動調理器(無水・低温調理)と電気圧力鍋の違いは?
無水・低温調理対応の自動調理器と電気圧力鍋は、それぞれ調理方式や機能に以下のような違いがあります。
電気圧力鍋 | 自動調理器(マルチクッカー・ホットクックなど) | |
---|---|---|
主な調理方式 | 高圧力で加熱(100℃以上で時短調理) | 無水・低温・炒め・煮込みなど多彩な調理モード |
圧力機能 | あり(モデルにより圧力値[kPa]が異なる) | 一部機種のみ圧力対応、非対応モデルが多い |
無水調理 | 非対応または限定的 | 標準装備(例:ホットクックは無水調理に特化) |
自動かくはん機能 | 基本的に非対応 | 対応モデルあり(ホットクックやオートクッカーなど) |
操作性 | シンプルなボタン操作が中心 | タッチパネルやアプリ連携対応のモデルも多い |
調理メニュー数 | 中程度(煮物、炊飯、スープ、カレーなど) | 多い(約90~150種類以上/アプリ連携で更新可能) |
手入れのしやすさ | 内鍋・パッキンの分解洗浄が必要 | 機種により食洗機対応パーツあり/フタや羽根が取り外し可能 |
用途・おすすめの使い方 | 短時間で煮込み・炊飯したいとき | 忙しい日常に「ほったらかし」で幅広いメニューを調理したいとき |
価格帯(参考) | 約1~3万円程度 | 約3~8万円(多機能モデルほど高価格) |
自動調理器は無水・低温調理など多彩な調理に対応し、火加減も自動制御されます。一方、電気圧力鍋は短時間で煮込みが可能で、時短調理に強みがある点が特徴です。どちらも、用途に応じて選定する必要があります。
次に、自動調理器を選ぶ際の具体的な比較ポイントを見ていきましょう。
自動調理器の比較ポイント3つ
自動調理器を選ぶ際は以下の3点を重視すれば、店舗に合った製品を見つけやすくなります。
- 容量とサイズの確認
- 調理機能の充実度
- 使いやすさとお手入れのしやすさ
上記のポイントを踏まえて自動調理器を選べば、日々の調理がより効率アップするでしょう。
容量とサイズの確認
店舗やカフェで自動調理器を選ぶ際は、調理容量と設置スペースのバランスを見極めることが重要です。
調理容量が不足すると一度に仕込める量が限られ、ピーク時のオペレーションに支障が出かねません。逆に容量が大きすぎると厨房スペースを圧迫し、動線が悪化する可能性があります。
一般的に、自動調理鍋や自動かくはん式調理機は「最大容量」や「満水容量」が明記されています。導入前にはメニュー構成や来客数を基に、自店舗に適した容量とサイズの製品を選定しましょう。
調理機能の充実度
自動調理器の導入では、搭載されている調理機能の種類と実用性を確認しましょう。
多機能モデルでは「無水調理」「低温調理」「圧力調理」などに対応し、仕込みの自由度が広がります。
例えば、ホットクックやオートクッカーは自動メニュー設定が豊富で、レシピブックやアプリ連携にも対応しています。これは、業務の効率化だけでなく、味の再現性と均一化にも役立ちます。
使いやすさとお手入れのしやすさ
自動調理器の操作性と清掃性は、日々の業務効率を左右する大切な評価軸です。
「ボタン式」や「ダイヤル式」の直感的な操作パネル、食洗機対応の内鍋、着脱可能なフタなどは、作業負担を軽減します。
業務効率化のためには、誰でも扱いやすく、お手入れも簡単なモデルを選びましょう。
【家庭用】人気の自動調理器おすすめ商品3選を比較
家庭用の自動調理器は、食事メニューの量が比較的少ないカフェやバーといった小規模店舗にもおすすめです。
- ヘルシオ ホットクック丨シャープ
- オートクッカー ビストロ丨パナソニック
- シェフドラム丨アイリスオーヤマ
上記の家庭用自動調理器の特徴やおすすめの使い方を紹介します。
ヘルシオ ホットクック丨シャープ
シャープの自動調理器「ヘルシオ ホットクック」は、材料を入れるだけで「ほったらかし調理」ができる点が大きな特徴です。
- 自動調理と多彩なメニュー
- 「無水調理」対応。素材そのものの味を最大限に引き出せる
- 自動かき混ぜ機能(proシリーズ)
材料をセットすればあとはホットクックが調理してくれるため、調理に時間を取られることなく、効率的に家事をこなせます。ホットクックの利用で、特に共働きや子育て世代など、忙しい日々を送る方の家事負担の大幅な軽減につながるでしょう。
小規模店舗やカフェの場合、自動かき混ぜ機能によって「ほったらかし」で調理できるため、調理スタッフが他の業務に集中する時間を確保できます。
また、ホットクックでは、食生活に合わせたおすすめメニューの提案や検索ができる新レシピサービスが提供されています。
ユーザーが作ったレシピの閲覧や情報交換もできる公式ファンコミュニティ「ホットクック部」も活用すれば、新しいレシピの発見や料理の楽しみが広がるでしょう。
オートクッカー ビストロ丨パナソニック
パナソニックの自動調理器「オートクッカー ビストロ」は、材料を入れるだけで本格的なおいしさを実現する「おまかせ調理」が特徴です。
- 独自の「鍋底かき混ぜ」機能
- 「高火力」調理機能
- 「冷凍調理」対応
- 簡単なお手入れ(お手入れパーツはたったの3点、取り外しも簡単)
- スマートフォン連携(キッチンポケットアプリ)
ビストロは鍋の底から羽根が回転してかき混ぜるため、鍋底に溜まりやすい調味料も全体に行き渡らせられます。冷凍食材をそのまま調理できるので、忙しい日の食事準備に役立ちます。
小規模な飲食店の場合、冷凍調理や予約調理機能によって仕込みの手間を削減できます。そのため、急な注文にも柔軟に対応できる、開店前の準備や忙しい時間帯の調理負担を軽減できる点がメリットです。
シェフドラム丨アイリスオーヤマ
アイリスオーヤマの「シェフドラム」は、鍋が回転することで食材をムラなくかき混ぜるのが特徴の自動調理器です。
- 「無水・低温調理」対応
- 「冷凍調理」対応
- 140品以上のレシピを公式サイトで閲覧可能
- 2パーツだけの簡単お手入れ
- 揚げ物・炒め物から蒸す・茹でる・発酵調理まで1台11役
お手入れの簡単さは、限られたスタッフで運営する小規模店舗にとって、清掃の手間を大きく削減できる重要な利点です。
シェフドラムは、「ホットクック」「オートクッカー ビストロ」よりも低価格で販売されているサイトが多いので、費用を抑えたい方にもおすすめです。
【業務用】人気の自動調理器おすすめ商品3選を比較
業務用の自動調理器は、大量に調理をするレストランや大型施設の食堂といった大規模店舗・施設に適しています。
- スーパースチーム エクセレントシリーズ丨株式会社マルゼン
- ロボット回転釜OMNI丨服部工業株式会社
- ロボシェフ丨株式会社 エム・アイ・ケー
上記の業務用自動調理器の特徴やおすすめの使い方を紹介します。
スーパースチーム エクセレントシリーズ丨株式会社マルゼン
出典:スーパースチーム エクセレントシリーズ丨株式会社マルゼン
「スーパースチーム エクセレントシリーズ」は、厨房機器の大手メーカーであるマルゼンが提供する、豊富な機能を兼ね備えたスチームコンベクションオーブンです。
- オート調理:経験の浅いスタッフでもボタン操作だけでプロの仕上がりを実現
- マルチ調理:複数の異なるメニューを同時に調理できるため、ランチタイムなどのピーク時における作業時間の短縮や、少人数での運営が可能
- マニュアル調理:こだわりの調理法を追求できる
- 庫内自動洗浄機能:毎日の洗浄作業にかかる手間や時間を大幅に削減
上記のような機能によって、日々の厨房業務の効率化や提供する料理の品質向上が期待できます。
ロボット回転釜OMNI丨服部工業株式会社
「ロボット回転釜OMNI」は、服部工業株式会社が提供する自動大量調理機です。熟練シェフの高度な調理技術を再現し、味付けから洗浄まで全自動で行えます。
- 全自動調理:味付けから洗浄まで、一連の調理工程をすべて自動で行う
- プロの技の再現性:「炒め」や「鍋返し」といった熟練シェフの高度なテクニックを忠実に再現し、食材をムラなく均一に攪拌する
- 安定した品質:温度管理や調味料の計量も自動で行われるため、誰が操作しても常に安定した品質の料理を提供できる
- 大量調理能力:一度に約30食分程度の調理が可能で、大規模な厨房での利用に適している
ロボット回転釜OMNIは煮物、炒め物、スープ、揚げ物など、幅広い調理に対応しているため、さまざまな業態の飲食店や給食施設でメイン調理器として活躍できます。
ロボシェフ丨株式会社 エム・アイ・ケー
株式会社エム・アイ・ケーが提供する自動調理器「ロボシェフ RCG560S」は、主に中華料理などの炒め物調理に特化した業務用自動調理器です。
- 業界初の平面回転方式:重いフライパンを振る必要がなく、具材を投入するだけで誰が作っても同じ味を提供
- 熱効率の高さ:熱源と鍋底の距離が一定に保たれるため、熱効率が良く、短時間での調理を実現
- マイコン操作:10メニュー(5工程)の調理プログラム設定が可能で、回転速度だけでなく火力までマイコンで制御
「鍋振り3年」の技術を1分で再現するこの自動調理器は、一度の調理でチャーハンなら1人前から5人前まで作れます。炒め物メニューの主力機として活躍する製品です。
メニューや利用シーンに合う自動調理器を比較検討しよう
家庭用自動調理器は、ホットクックやビストロのように多機能で操作が簡単なモデルが多くあります。無水・低温調理や予約調理にも優れており、共働き家庭や健康志向の方に人気です。業務用自動調理器と比べて省スペースで設置できるため、カフェやランチメニューに特化している店舗のような、小規模飲食店での導入に適しています。
一方、業務用自動調理器は調理効率や大量調理に特化しており、自動撹拌や回転釜などの導入で人手不足の解消や料理品質の均一化につながる点が特徴です。
自動調理器の導入時は、自動メニューの種類や調理容量、厨房環境に応じて、最適な機種を比較検討しましょう。