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2025/12/08

外国人採用の方法とは?|在留資格・手続き・注意点まで徹底解説

  • 外国人採用サービス
外国人採用の方法

人手不足が深刻化するなか、飲食・小売・施設運営などの現場では、外国人材の採用が重要な選択肢となりつつあります。
一方で、「外国人採用の方法がわからない」「外国人採用の在留資格はどれを確認すべきか」といった不安を抱える企業も少なくありません。
本記事では、外国人採用の方法を在留資格・手続き・注意点の観点から整理し、飲食・小売・施設などの店舗経営者・採用担当者に向けて、実務で活用できるポイントを解説します。

目次

外国人採用とは?企業が理解すべき基本と現状

「外国人雇用状況」の届出状況まとめ

出典:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和6年10月末時点)丨厚生労働省

外国人採用とは、在留資格を持つ外国人材を企業が労働者として受け入れ、雇用契約に基づき業務へ従事してもらう取り組みのことです。
企業が外国人採用を検討する際、近年の傾向を把握したい場合は、国内における外国人労働者数および各産業での雇用分布が年々拡大している点に注目です。店舗・施設運営の現場でも、外国人材の活用が現実的な選択肢となっています。

 

厚生労働省の調査によると、令和6年10月末時点で、国内の事業所に雇用されている外国人労働者数は約230万人を超え、前年から12.4%増加して過去最多を更新していることがわかりました。
産業別に見ると、製造業が全体の26%を占め最多で、続いてサービス・卸売・小売・宿泊・飲食がそれぞれ13%~15%程度の割合を占めているのが特徴です。飲食・小売・施設運営といった現場でも外国人材の雇用が進んでいることがうかがえます。

 

今後懸念される人手不足への対応策として外国人採用を視野に入れる場合、在留資格や雇用契約、労働条件などの法的要件を理解したうえで、適正な外国人採用の手続きと受け入れ体制を整えることが重要です。

参考記事:外国人採用の流れと必要な手続きの方法|在留資格の種類・費用まで解説

外国人労働者を採用できる「在留資格」と就労可能な範囲

外国人労働者を採用できる在留資格は、「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」などです。これらの在留資格には就労制限がなく、どの職種でも就労できます。
一方、「留学」「家族滞在」「文化活動」などの在留資格では原則として就労できません。ただし、例外的に「資格外活動許可」があれば、週28時間以内といった制限付きで労働できます。

参照:日本で働ける外国人・働けない外国人│東京外国人雇用サービスセンター

 

外国人を採用するにあたって、適切な在留資格を確認することは不可欠です。資格ごとに就労の可否や範囲が異なるため、誤った雇用契約や在留資格変更があると、企業側がリスクを負う事態になりかねません。

店舗や施設の運営など、実店舗ビジネスで外国人材を採用する場合は、就労可能な在留資格を事前に把握しておくことが大切です。

外国人採用の方法・手順【ステップごとの実務フロー】

タオルを運ぶ人

外国人採用を適切に進めるためには、在留資格の確認から雇用契約の作成、各種届出までの流れを正確に理解することが重要です。

  1.  在留資格の確認と雇用可否の判断
  2.  求人募集・採用活動の実施(人材紹介・登録支援機関の活用)
  3.  面接・採用決定(日本語能力・文化理解の確認)
  4.  雇用契約書・労働条件通知書の作成
  5.  在留資格認定証明書交付申請・変更許可申請
  6.  雇用開始・社会保険・雇用保険手続き
  7.  外国人雇用状況届出書の提出(ハローワーク)

ここでは、採用前後に必要となる実務フローを段階ごとに整理し、企業側が押さえるべき注意点をわかりやすく解説します。

① 在留資格の確認と雇用可否の判断

外国人採用の第一歩として、在留資格を確認し雇用可否を判断することが不可欠です。
前項で解説したように、在留資格には「就労可能」「就労制限あり」「就労不可」といった区分があります。そのため、採用前に在留カード・資格外活動許可欄を確認しましょう。
企業は雇用契約を締結する前に、当該外国人の在留資格を正しく確認し、就労可能な範囲であるかを明確に判断する必要がありますす。

② 求人募集・採用活動の実施

外国人採用を進める際は、適正な在留資格を把握したうえで、求人募集や採用活動を計画的に実施することが求められます。
登録支援機関や人材紹介会社を活用し、外国人材向けの求人媒体や留学生募集ルートを選べば、より多くの採用機会を得られるでしょう。
採用活動段階では、在留資格・就労内容・企業側の支援体制を踏まえた募集設計が重要となります。

③ 面接・採用決定

面接では、外国人材の日本語能力や文化的適応を評価したうえで採用を決定しましょう。
外国人材の場合、日本語レベルのみならず、就労可能な在留資格や活動内容、雇用契約書に記載すべき業務内容や労働条件も確認しておく必要があります。
採用決定前には働ける範囲と契約内容の整合性を確認し、採用後のトラブル防止に備えることが重要です。

④ 雇用契約書・労働条件通知書の作成

雇用契約書および労働条件通知書を適切に作成することが、外国人採用における法的なポイントとなります。
外国人雇用であっても、雇用契約・労働条件通知書に賃金・就業時間・業務内容・在留資格条件などを明記し、日本人労働者と同等の待遇を確保するとともに、企業側の管理責任を明らかにすることが不可欠です。とくに、契約内容は外国人労働者本人が理解できるよう、日本語だけでなく母国語で表記したものも準備しておきましょう。
契約書類の準備と記載内容の整備を事前に行い、雇用開始後の運用をスムーズにすることが求められます。

⑤ 在留資格認定証明書交付申請・変更許可申請

外国人を雇用する段階では、在留資格認定証明書の交付申請や在留資格変更許可申請を適切に行う必要があります。
雇用予定の外国人が「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国ビザ)」といった就労系の在留資格を取得・変更する際は、出入国在留管理庁へ所定の申請を提出し、許可を得なければ正式な雇用契約を締結できません。
したがって、採用前もしくは採用直後に、在留資格の申請・変更手続きを確実に実施しておくことが、法令遵守の観点からも重要といえます。

⑥ 雇用開始・社会保険・雇用保険手続き

雇用開始後は、社会保険・雇用保険への加入や手続きを速やかに実施することが重要です。
外国人労働者も、雇用契約に明示された賃金や就業条件に基づき、所定の雇用保険・健康保険・厚生年金等に加入する必要があります。
手続きが遅延すると、企業への不具合が発生する可能性もあります。社会保険や雇用保険の手続きを遅延すると、例えば、保険の未加入期間が発生し、企業が保険料の遡及負担や行政指導を受けるリスクが生じます。
そのため、外国人材の受け入れ後は、雇用開始日を基に保険資格取得届等を速やかに提出し、適正な雇用管理を行いましょう。

⑦ 外国人雇用状況届出書の提出(ハローワーク)

外国人を雇用した事業主は、所定の「外国人雇用状況届出書」を提出する義務があります。
厚生労働省によれば、外国人を雇い入れたときは翌月末日までに、在留資格・在留期間・資格外活動許可の有無などを記載して、ハローワークまたはオンラインで届け出る必要があります。
外国人採用にあたっては、雇用開始後速やかに届出を実施し、企業としての法令順守を確実にすることが大切です。

参照:外国人雇用状況の届出について|厚生労働省

外国人採用の前に確認すべき5つの注意点

外国人採用を進める前は、以下5つのポイントを事前に確認しましょう。

  • 不法就労に当たらないか
  • 在留カードの偽造防止チェック
  • 雇用前に必要な書類の確認
  • 雇用契約締結時の言語対応・通訳は適切か
  • 外国人従業員の労働条件は日本人と同等であるか

在留資格や在留期間の確認を怠ると不法就労につながる可能性があり、企業側が不法就労助長罪に問われるリスクがあります。在留カードの偽造を防止するためのチェックや、就労対象外ビザの場合は資格外活動許可欄の確認が必須であり、雇用契約書・労働条件通知書の整備も重要です。
さらに、外国人従業員が理解できる言語で契約内容を説明し、日本人と同等の労働条件の提示も求められます。

 

採用前の段階で上記の確認事項を整理し、在留資格と契約内容の整合性を保つことで、適法かつ安全な受け入れ体制を構築することが可能です。

外国人採用の方法では「制度理解+正確な手続き」が成功のポイント

外国人採用では、在留資格の確認から雇用契約書の作成、外国人雇用状況届出など、多くの手続きを正確に進める必要があります。特定技能や資格外活動許可の扱いを誤ると、不法就労助長罪に該当する可能性がある点にも注意しましょう。
適切な支援計画と就労環境を整えれば、外国人従業員は企業にとって大きな戦力となります。採用前後の管理体制を可視化し、制度理解に基づいた受け入れを進めることが、長期的な雇用定着につながるといえます。

 

外国人採用の制度の整理から在留資格の確認、雇用手続きまで、幅広い情報を網羅したい方には、実務に役立つ情報を読みやすくまとめた「Bizcan」の活用がおすすめです。
外国人採用に関する疑問解消に、ぜひご活用ください。

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