近年、企業の人材育成においてeラーニングが欠かせない存在になりつつあります。eラーニングは時間や場所にとらわれず受講でき、進捗管理や効果測定も容易なため、多くの企業が導入を進めているシステムです。
しかし、「eラーニングは効果がないのでは?」と疑問に感じたことがある方もいるでしょう。
そこで今回は、eラーニング導入による効果測定方法と、学習効果を最大化する5つの工夫、受講者・管理者それぞれのメリットを詳しく解説します。
eラーニングとは?

出典:『通信教育およびeラーニングの活用実態調査』丨産業能率大学総合研究所
eラーニングとは、インターネットを活用して学習コンテンツを提供・受講できる教育方法のことです。
産業能率大学総合研究所が2025年2月に公開した『通信教育およびeラーニングの活用実態調査』によると、eラーニングを利用している企業では「学習したメンバーが満足している」「情報や知識が獲得できている」 といった項目について、「あてはまる」「ややあてはまる」と回答した企業が6割を超えています。このことから、eラーニングシステムの効果を実感している企業は多いと言えるでしょう。
このようなeラーニングシステムの効果を引き出すには、受講者の学習スタイルに合わせた設計や、進捗管理・評価を組み合わせた運用が重要です。
対面研修・OJTと比較したeラーニング研修のメリット・デメリット
eラーニングは時間や場所に縛られず受講でき、コスト削減や進捗管理に優れています。一方、対面での企業研修やOJTに比べて実践力や双方向性に課題があるのも特徴です。研修・OJTと比較したeラーニングシステムのメリット・デメリットを具体的に表にまとめました。
| 項目 | eラーニングのメリット | eラーニングのデメリット |
|---|---|---|
| 時間・場所 | 受講者が自分の都合に合わせて学習できる | 自由すぎて学習の習慣化が難しくなることも |
| コスト | 会場・講師費用が不要で低コスト | 初期導入費や教材作成が必要な場合はコストがかかる |
| 学習進捗の管理 | LMSにより進捗や理解度をリアルタイムで把握可能 | システムが未整備だと管理が煩雑 |
| 反復学習 | 何度でも繰り返し学べ、理解度向上につながる | 学習者側のモチベーション維持が課題になりやすい |
| 受講者間の交流 | コメント機能やチャットで情報共有が可能 | 対面に比べて相互理解・コミュニケーションが弱まりやすい |
| 実践スキル習得 | 基礎知識や理論の習得に向いている | OJTのような現場対応力の育成には不向きな場合もある |
eラーニングは、LMSによって学習進捗や理解度を見える化でき、教材も反復学習に適している点がメリットです。一方で、現場での実践や受講者同士のリアルな交流は、OJTや集合研修に強みがあります。
両方のデメリットを補う方法として、社員研修の目的に応じて、eラーニング教材を使ったオンライン研修と対面形式を組み合わせるハイブリッド運用により、それぞれのメリットを最大限に活かすことも可能です。
参考記事: eラーニングシステムのメリットとは?学習者・企業双方が得する効果と導入前のポイントを解説
【受講者側】eラーニングの3つの学習効果

eラーニングは、単に場所や時間に縛られずに学べるだけでなく、受講者自身も成長を実感しやすい学習手法です。
- 理解度が可視化され、確実に定着する
- 習熟度に応じたカスタマイズ学習ができる
- モチベーションを高める仕組みがある
モチベーションを高める仕組みや習熟度に応じたカスタマイズ機能により、学習内容の定着と成長する実感とさらなる成長意欲を後押しするeラーニングの学習効果について解説します。
理解度が可視化され、確実に定着する
eラーニングではマイクロラーニングやクイズ形式の教材により、理解度が着実に可視化され、確実に定着する学習環境が構築できます。
効果的なコンテンツ設計として、5〜10分程度の動画や簡潔なテキストで構成されたマイクロラーニング形式があります。マイクロラーニング形式の教材では、受講者の理解度に応じて学習ペースを調整できるため、繰り返しの学習によって知識が定着する点が特徴です。
このように、eラーニング学習には知識を本当に身につけるための仕組みが整っています。
習熟度に応じたカスタマイズ学習ができる
eラーニングは、受講者一人ひとりの習熟度に応じたカスタマイズ学習により、スキルを段階的かつ確実に高める効果も期待できます。
学習者の習熟度に応じた個別フォローにより、理解が不十分な箇所を補強しやすくなるためです。学習の質の向上に直結し、挫折や脱落を防止する効果も期待できるでしょう。
習熟度に合わせた学習支援を行うことで、eラーニングは受け身ではなく、各受講者が着実にスキルアップできる有効な教育手法として活用できます。
モチベーションを高める仕組みがある
eラーニングには、自律学習を促し、受講者のモチベーションを高める構造的な仕組みが備わっています。
たとえば、実務に役立つ内容や従事している業務の進捗状況に合わせた学習教材を提供することで、従業員に「仕事に役立っている」という実感が生まれ、やる気や職場への貢献意欲向上も期待できるでしょう。
eラーニングは受講者に業務を自分ごととして捉える意識付けにつながり、学びへの主体性やモチベーションを自然に高める効果があります。
【管理者側】eラーニングの3つの効果
eラーニングは、管理者にとっても非常に有効な教育手段です。
- 学習者の進捗状況をリアルタイムで把握できる
- 評価を数値で「見える化」できる
- 教育コストを抑えながら、短期間での人材育成を実現
管理者側から見たeラーニングの具体的な効果を解説します。
学習者の進捗状況をリアルタイムで把握できる
eラーニングを導入するとは、学習者の進捗状況をリアルタイムで把握できるため、個別対応がしやすくなります。
従来の対面研修では、受講者がどこまで学習を進めているかを管理するのが困難でした。
しかし、eラーニングシステムでは、学習履歴や受講状況が自動的に記録され、管理者は「誰が」「どこまで」「いつまでに」学んだかを一覧で確認することが可能です。とくに新入社員や管理職研修など進捗把握が重要な場面では、大きな効果を発揮します。
このように、進捗管理の自動化と可視化により、教育担当者の負担を軽減しつつ、効果的なフォローアップが可能になる点がeラーニングシステムの導入効果のひとつです。
評価を数値で「見える化」できる
eラーニングシステムに備わっているテスト機能やログデータを活用すれば、学習者の評価を数値で見える化できます。
確認テストやアンケートを組み合わせた効果測定が簡単に実施できるため、学習後の理解度や習熟度の把握も容易です。
たとえば、得点や回答傾向、視聴ログなどをもとに、学習効果を個人単位・組織単位で比較分析できます。これは、人事評価や今後の研修設計にも活用できる項目です。
定量的な評価体制の構築につながるため、研修成果が曖昧にならず、人材育成を科学的にマネジメントできる効果があります。
教育コストを抑えながら、短期間での人材育成を実現
eラーニングは教育コストを抑えながら、短期間での人材育成を実現します。
eラーニングによる学習なら研修会場の手配や講師の調整が不要なため、導入コストや運営負担を大幅に削減することが可能です。
また、社員が好きな時間に何度でも反復学習できる環境は、とくに基礎知識やマニュアル習得の場面で効果を発揮します。
多拠点展開している企業や、忙しい業務の合間に学習させたい管理職層にとって最適な人材教育の手段です。
このように、eラーニングは「時間」「コスト」「定着率」すべての観点から、効率的で戦略的な人材育成を支える有効な仕組みとなります。
eラーニングの効果測定方法|成果を見える化するには?

eラーニングの効果測定を行うには、客観的な基準をもとにした評価を行う必要があります。
LMS(受講状況の把握やテスト結果の管理を一元的に行える学習管理システム)による受講データやテスト機能で理解度を数値化し、アンケートや自己評価で意欲や満足度も可視化することが重要です。これにより、「eラーニングが効果ない」と感じている原因(教材設計やモチベーション管理の課題)も明確になります。
さらに、現状抱えている業務と講座内容を連動させて学習できれば、受講者の振り返りに役立つほか、学習効果の実感にもつながるでしょう。
eラーニングの効果測定は理解度の把握だけを目的とするのではなく、業務と連動させて会社への貢献度をも可視化することがポイントです。
eラーニングの効果的な5つの活用ポイント
eラーニングの効果を引き出すには、学習環境やコンテンツ設計の工夫といった以下5つのポイントを知っておく必要があります。
- 研修コンテンツの最適化(動画・テスト・反復学習)
- 学習スタイルに合わせた受講環境づくり
- 受講者同士の学び合い・コメント機能の活用
- OJT・集合研修とのハイブリッド運用
- スマホでもスキマ時間に受講可能な設計
eラーニングの効果を高めるには、動画やテストによる反復学習で理解度を深め、スマホ対応でスキマ時間も活用できる環境を整えることが重要です。さらに、受講者同士の交流やOJTとの併用により、モチベーション維持と実践力の向上にもつながります。
eラーニングはただ導入するだけでなく、学習者目線に立った設計が導入効果を最大限に引き出すポイントです。
自社の課題に合わせたコンテンツ設計と管理体制で、eラーニングの効果を引き出す
eラーニングは、受講者のモチベーション向上や学習定着だけでなく、進捗管理の効率化や教育コスト削減にも有効です。
とくに、テスト機能やコメント機能、スマホ対応といった工夫により、受講者のニーズに応じた多様な学習環境を提供できます。また、効果測定を通じて成果の見える化を実現すれば、導入後の学習コンテンツの改善にもつなげられるでしょう。
学習者と管理者双方にとって効果のある教育施策として、eラーニングを活用してみてはいかがでしょうか。

