個人経営者や小規模店舗で、店舗アプリを導入したくても費用負担がネックでなかなか踏み切れない、というケースは多いのではないでしょうか。
店舗アプリは、便利な機能が豊富に備わっている反面、導入するためには開発・作成費用のほか、ランニングコストもかかります。
しかし、集客や販促を行う際、顧客のスマホ向けに情報発信を行えるツールとして、店舗アプリが効果的であることも確かです。
本記事では、店舗アプリ導入に費用面でお悩みの方に向けて、店舗アプリの導入にかかる具体的な費用の目安や費用を抑えるポイントについて解説します。
店舗アプリの開発・作成方法は3種類
店舗アプリを開発・作成する方法は、3種類あります。
それぞれに費用が異なるほか、機能の面でもメリット・デメリットがあるため、比較した上で検討することが重要です。
まずは、店舗アプリに開発・作成方法ごとの特徴について解説します。
店舗アプリ作成ツール・サービスを利用する
店舗アプリを作る場合、作成ツールや店舗アプリ制作サービスを利用する方法があります。アプリプラットフォームと呼ばれているサービスです。
作成ツール・サービスは、多様なテンプレートの中から最適なものを選択し、画像や文章を挿入するだけで簡単に作成できます。
ノーコードで作成できるため、店舗アプリの作成や運用にかかる費用が安く抑えられる点が特徴です。
一方で、オリジナルのアプリ機能を持たせることが難しく、基本的な機能(ポイントカードやクーポン券の発行など)のみのシンプルなものが多い傾向にあります。
店舗アプリ開発サービスに依頼する
店舗アプリ開発サービスに依頼して、店舗独自の機能やデザインを盛り込んだアプリを作成してもらう方法もあります。
フルスクラッチと呼ばれる、1からプログラムを設計して開発する方法です。コーディングによるゼロベースでの作成を開発会社が行うため、オリジナル機能を搭載したい場合に適しています。
店舗アプリを開発会社に依頼する場合、詳細な顧客情報を収集し、顧客管理や売り上げ管理をPOSレジと連動させることも可能です。
テンプレートに沿って作成するツールやサービスを活用しても、自分で店舗アプリが作れるか不安な方は、プロの開発サービスを活用すると良いでしょう。
ただし、作成ツールやサービスを利用するのと比べて、費用が高額になる傾向にあります。予算を考慮した上で、どのような方法で店舗アプリを作成するかを検討することが大切です。
各種プラットフォームのサービスを活用する
各種プラットフォームで提供されているサービスを活用する方法もあります。
例えば、キャッシュレス決済のPayPayが提供している「PayPayマイストア」の場合、PayPayのアプリ内で店舗情報の掲載や記事作成による情報発信が可能です。
また、有料のPayPayマイストアライトプランに加入すると、クーポン券やスタンプカードの発行もできます。
参考記事:PayPayの店舗アプリ「PayPayマイストア」とは?機能や特徴について徹底解説
このようなサービスを利用して、店舗アプリの代わりに活用するのもおすすめです。ただし、この方法では、店舗独自のアプリアイコンを作成することはできません。
プラットフォーム上で利用できるサービスのため、独自の店舗アプリと比べて競合他社に埋もれてしまう懸念があります。
店舗アプリの開発・作成にかかる費用の相場
店舗アプリの開発や作成にかかる制作料金の相場は、以下の通りです。
開発・作成方法 | 費用の相場 |
---|---|
作成ツール・サービス | 5,000円~30,000円/月額 |
開発サービス | 50万円~500万円/月額 ※店舗アプリの場合は3カ月~半年程度必要 |
プラットフォームのサービス利用 | 無料~5,000円/月額 |
店舗アプリを独自に開発してもらうと、独自機能も盛り込めますが店舗アプリ開発費用が高額になります。
個人経営者や小規模店舗での導入を検討しているのであれば、アプリ制作を自分で行える作成ツール・サービスの活用がおすすめです。
プラットフォームのサービスを利用して、店舗アプリに近い機能を導入することもできますが、独自性の面でデメリットがある点に注意しましょう。
そのため、店舗独自のアプリを作成したいが費用は最小限に抑えたい、という場合には、店舗アプリ作成ツールやサービスの活用が最適です。
参考記事:おすすめの店舗アプリ作成・開発サービス8選|機能や料金を徹底比較
店舗アプリの運用にかかる費用(ランニングコスト)の目安
店舗アプリは、作成だけでなく運用にも費用(ランニングコスト)がかかります。
店舗アプリの運用にかかる費用の目安は、以下の通りです。
開発・作成方法 | 費用の相場 |
---|---|
作成ツール・サービス | 0円~30,000円/月額 |
開発サービス | 維持費用5~20万円/月額 ※保守費用別途 |
プラットフォームのサービス利用 | 無料~5,000円/月額 |
作成ツール・アプリの中には、ランニングコストがほとんどかからないものもあります。
ただし、運用費がかからない料金プランでは、エラーやシステムの調整、機能のアップデートなどに対応してもらえないケースがほとんどです。
導入後もサポートを受けたい場合は、保守管理や維持のサポートが受けられるサービスがおすすめです。
また、プラットフォームのサービスを利用する場合、店舗アプリの機能利用は低コストでも、プラットフォームの利用料が別途発生するケースがあります。
同じようなアプリ作成・開発方法であっても、サービスを提供している企業によって費用設定やサービス内容は大きく異なる点にも注意しましょう。
店舗アプリの開発(作成)から導入までの流れ
店舗アプリの開発(作成)から、導入までの手順は以下の流れです。
- 店舗の課題を洗い出す
- 店舗アプリに必要な機能を明確にする
- 予算や導入までのスケジュールを決める
- 店舗アプリを開発・作成する
- 社内研修を行って従業員に使い方を周知する
- 店内でアプリを活用した業務オペレーションへ変更する
手順ごとに、意識しておきたいポイントについて解説します。
1.店舗の課題を洗い出す
まずは、店舗の課題を洗い出して、どのような問題が店舗経営におけるハードルになっているのかを明確にしましょう。
例えば、紙のポイントカード利用率の低さやリピート率の向上、予約管理における業務工数の削減・ミスの抑制などは、店舗アプリで解決できる課題です。
具体的な課題が見えてくれば、必要な対策方法が見えてきます。
2.店舗アプリに必要な機能を明確にする
店舗の課題が明確になったら、店舗アプリに搭載すべき機能を具体的に選定していきましょう。予約機能やPOSレジとの連携など特殊な機能には、対応していない作成サービスもあります。必要以上に機能を盛り込むと、開発費用が高くなったり、管理負担が増加する原因になったりするので注意が必要です。
3.予算や導入までのスケジュールを決める
店舗アプリに盛り込みたい機能の方向性が決まったら、予算や導入までのスケジュールを策定します。予算は高くしすぎるとコストの負担がかかるため、高く設定しすぎないように注意が必要です。
スケジュールは、アプリ作成・開発にかかる日数だけでなく、導入後に備えて従業員にどのように周知していくか、という点も検討しておきましょう。
4.店舗アプリを開発・作成する
予算・スケジュールに合わせて、店舗アプリの開発・作成に着手します。依頼する企業の選定は、予算だけでなくサービス内容や、店舗アプリの導入事例などを参考に行うと良いでしょう。
また、店舗アプリに掲載する商品・メニューの写真データなども、事前に準備しておくとスムーズに導入できます。
5.社内研修を行って従業員に使い方を周知する
店舗アプリの導入にあたり、社内研修による従業員への周知や共有も必要になります。いつから導入するのか、トラブルがあった際にどのように対応すれば良いのかなど、具体的な業務フローに落とし込んで使い方を周知しましょう。
6.店内でアプリを活用した業務オペレーションへ変更する
店舗アプリを導入するときは、アプリを活用した業務オペレーションへの変更が必要になります。例えば、紙のポイントカードを廃止する旨を顧客に説明する、集客のための情報発信をプッシュ通知機能で定期的に行う、などの方法です。
また、店頭でアプリのダウンロードを勧めるなど、店舗アプリサービスの開始を周知する施策も必要になります。ダウンロード特典としてクーポン券をプレゼントするなど、顧客がアプリを利用したくなる工夫を講じましょう。
参考記事:店舗アプリの作成方法は?作成時のポイントとおすすめの作成・開発サービス5選紹介
店舗アプリの開発(作成)・導入費用を抑えるポイント
店舗アプリの作成・開発や導入にかかる費用を抑えるポイントは、以下の3点です。
- 機能を増やしすぎない
- レベニューシェア型のアプリ開発に依頼する
- 店舗アプリ作成ツール・サービスを利用する
それぞれ具体的にどのようなことを意識すれば良いのか、費用を左右するポイントや低コストで利用できるサービスについて解説します。
機能を増やしすぎない
店舗アプリの開発・導入にかかる費用を抑えるには、機能を最小限に絞り込んで増やしすぎないことが大切です。
必要な機能が増えるほど、開発にかかる費用は増加します。店舗アプリ作成サービスを利用する場合でも、対応できる機能が豊富なサービスほど、月額費用は高くなる傾向です。
作成ツール・サービスを利用する場合は、どのような機能を搭載できるのかを比較した上で利用するものを選びましょう。
参考記事:店舗アプリに必要な機能とは?業種ごとのおすすめ機能と企業の導入事例を紹介
レベニューシェア型のアプリ開発に依頼する
店舗アプリの開発を行う際に、レベニューシェア型のアプリ開発に依頼すれば、導入コストを抑えられます。
レベニューシェア型のアプリ開発とは、アプリ開発にかかる初期費用を開発企業側が負担し、導入後に発生した収益を店舗側と開発企業側でシェアする契約方式です。
飲食店やサービス業よりも、ECショップや娯楽業(動画配信、VR、エンタメ)などのサービスを提供している企業でのアプリ開発に適しています。
そのため、小売業や飲食店、サービス業などで店舗アプリを導入する場合は、まずは作成ツールやサービスを利用して導入する方法がおすすめです。
店舗アプリ作成ツール・サービスを利用する
店舗アプリの開発・導入にかかる費用を抑えたいのであれば、店舗アプリ作成ツール・サービスを利用する方法がおすすめです。
テンプレートに沿って入力していけばノーコードで店舗アプリが作れるため、コーディングの知識がなくても利用できます。
中には、店舗アプリの作成費用無料のツール・サービスもあるので、低コストで導入したい方は、このようなサービスを活用すると良いでしょう。
参考記事:店舗アプリの無料作成サービス5選!機能の違いを徹底比較
まとめ
店舗アプリの作成・開発や導入にかかる費用は、アプリに備わっている機能の種類や、依頼する企業によって大きく変動します。
店舗にどのような経営課題があるのかを明確にした上で、解決する手段としてどのような機能が必要かを検討することが費用削減への近道です。
また、導入費用だけでなく運用にかかるランニングコストも確認し、中長期的な目線で利用するサービスを比較検討しましょう。