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2024/08/26

セルフレジは人手不足解消に効果的?人件費削減につながる導入のヒント

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セルフレジは人手不足解消に効果的?人件費削減につながる導入のヒント

スーパーマーケットやコンビニエンスストア、飲食店にいたるまで、さまざまな業種で導入する企業が増加しているのがセルフレジです。

業務負担軽減や会計ミスの抑制など、導入する目的は企業によって異なります。

では、セルフレジを人手不足解消や人件費削減を目的に導入した場合、効果は期待できるのでしょうか。

本記事では、セルフレジの導入は人手不足解消に役立つのか、どのように導入すれば効果を引き出せるのかについて解説します。

目次

日本国内における人手不足の現状

街中の人混み

企業が人手不足解消のためにさまざまな施策を講じる背景には、人手不足による企業の倒産が年々増加している現状があります。

厚生労働省の調査によると、2013年度には300件未満だった人手不足を起因とする倒産が、2022年度には485件と大幅に増加しました。この数字は、倒産件数全体のうち7.5%を占める割合です。

2013年度は3%未満だったことから、2倍以上増えていることが分かります。

参考サイト:令和5年版 労働経済の分析|厚生労働省

今後、少子高齢化が進んでさらに人口が減少すると予想されている中で、労働力の確保は企業にとって重要な経営課題です。

人手不足は、企業の存続をも脅かす喫緊の課題になっており、解消手段の一手としてセルフレジの導入が注目されています。

セルフレジが人手不足解消に役立つ理由

セルフレジが人手不足解消に役立つのは、以下の3点が理由です。

  • レジスタッフを最小限の人員配置にできる
  • レジの回転率が上がる
  • レジ締めの負担軽減につながる

具体的にどのようにして人手不足が解消されるのか、セルフレジの効果について解説します。

レジスタッフを最小限の人員配置にできる

セルフレジを導入すれば、複数台につき1人のレジスタッフ配置で済むため、人手不足解消に役立ちます。レジ1台ずつにスタッフを配置するのと比べて、最小限の人員で運用できるためです。

レジ業務において人手不足を感じるのは、顧客の列に対してレジの稼働台数が少ない状況が続くときでしょう。

有人レジの場合、1台につき1人を配置しなければならないため、スタッフの人数が足りないと感じます。

セルフレジシステムを導入すれば、レジスタッフを増やさずにレジの台数だけを増やすことが可能です。完全な無人レジにすることはできませんが、大幅な人員削減につながるでしょう。

レジの稼働数が増えればレジスタッフの人数を確保する負担が軽減でき、人手不足解消に役立ちます。

レジの回転率が上がる

セルフレジ機能を導入するとレジの回転率が上がるのも、セルフレジが人手不足解消に役立つ理由の1つです。

とくに、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売業でレジの混雑を解消するには、稼働させるレジの数を増やす必要があります。

しかし、そのためにはフルセルフレジを導入しなければなりません。客層によっては、すべてのレジをすぐにフルセルフレジ(完全セルフレジ)に変更することが、難しい場合もあるでしょう。

そこでおすすめなのが、会計や決済・支払いのみをセルフ化するセミセルフレジ(セルフ精算レジ)です。

商品登録はレジスタッフが行い、セルフレジ機能を決済・支払いの工程に導入して精算をセルフ化すれば、会計作業の時間短縮になるため、レジの回転率が向上します。

レジの回転率が上がれば、レジの稼働台数を増やさずに会計の待機列を解消できるでしょう。結果的にレジスタッフの配置を減らせるため、人手不足解消に役立ちます。

セルフレジの種類について、詳しくは以下のページで解説しています。こちらもぜひ参考にしてください。

内部リンク:セルフレジの種類と特徴は?導入で解決できる課題と注意点

レジ締めの負担軽減につながる

レジ締め作業の負担軽減につながるのも、セルフレジが人手不足解消に役立つ理由です。

小売業向けPOSシステムや自動精算機などのレジ締め作業では、決済とレジ内の金額が合っているかを人の手で集計し、差異がないかを確かめなければなりません。

しかし、レジスタッフが現金での会計業務を行っていると、釣銭ミスによって金額が合わないこともあります。何度も計算し直したり、不明金がレジ周辺に落下していないか確認したりと、残業が発生することもあるでしょう。

セルフレジであれば、機種によってはレジ締め業務を自動化してくれる機能が備わっています。レジスタッフの業務負担が軽減でき、締め作業が生じる閉店間際の人員が確保できないなどの課題解消につながります。

セルフレジ導入が人手不足解消に逆効果になるケース

セルフレジは、導入するだけで課題を解決できるものではありません。とくに、どのような課題を解消したいのかが明確になっていないと、思うように導入した効果を実感できないでしょう。

セルフレジも万能ではなく、人手不足解消のために導入しても逆効果になる場合があります。

そのような事態を防ぐためにも、導入失敗につながりやすい要因について確認しておくことが大切です。

機器トラブルへの対応力不足

セルフレジの機器トラブルにスタッフが対応できず、能力のあるスタッフでなければ担当できない配置場所になる場合があります。人手が足りていても、優れた能力をもつ人材不足に陥るでしょう。

釣銭が詰まったり、システムトラブルを起こしたりするようなケースです。トラブルへの対処に慣れていないと、復旧までに時間がかかります。

機械操作に慣れていないことを理由に敬遠され、レジスタッフの募集に人が集まらないかもしれません。

そのような場合は、研修制度が充実していることや、慣れるまでサポートスタッフと2人で対応できることなどをアピールする必要があります。

また、積極的に従業員間で情報共有を行い、トラブルへの対処方法に関するノウハウを蓄積することが大切です。

セルフレジ担当者への負担集中

セルフレジの担当者に負担が集中することも、人手不足解消に逆効果になるケースの1つです。

セルフレジの担当者は、複数台のセルフレジを1人で担当しなければなりません。同時に顧客に呼ばれたり、トラブルが発生したりすると、どうしても顧客を待たせます。

また、セルフレジの機種によっては、店員がキャッシュレス決済に付きっ切りで対応しなければならないケースも少なくありません。レジ袋の登録ができていないなど、会計を修正する業務も発生するでしょう。

そのため、有人レジでレジ打ちをするよりも負担が増加する可能性があります。

結果的に、退職者が出たり人員確保が思うようにできなかったりするなど、レジ業務を担う人員不足を加速させる可能性があるため注意が必要です。

セルフレジを人手不足解消に役立てる導入のポイント

重要ポイントのイメージ

セルフレジを人手不足解消のために導入するのであれば、導入時する前にスタッフ教育や業務オペレーションの変更について、検討しておくことが重要です。

ここからは、セルフレジの導入失敗を防ぐための、導入時に意識しておくべきポイントについて解説します。

レジスタッフの研修を十分に行う

セルフレジを導入する際は、レジスタッフの研修を十分に行い、機器トラブルへの対応力や速度を向上させることが大切です。

とくに、セルフレジの担当者だけでなく、応援に入れるようにスタッフ全体のスキルを上げておく必要があります。

セルフレジを操作できる担当者を増やすことで、セルフレジの担当になることへの抵抗感の緩和につながるでしょう。

人員配置を適切に行う

セルフレジを導入するときは、人員配置を適切に行い、最小限の人員にこだわりすぎないことが大切です。

1人当たりの担当台数が多くなり、セルフレジのスタッフに負担が集中するのを避ける目的があります。

例えば、応援スタッフを選定しておく、1人あたりの担当レジ台数を減らす、などの工夫が重要です。

また、セルフレジの導入直後は、顧客も操作に慣れていません。操作が分からない顧客に、何度も呼ばれることが想定されます。

そのため、セルフレジの導入直後は、スタッフの負担を分散させるために複数人で対応にあたるなど、導入から定着までの人員配置を入念に検討すると良いでしょう。

業種・客層に合うセルフレジを導入する

セルフレジを導入するときは、業種や客層に合うセルフレジを選ぶことも大切です。

例えば、高齢者が多くキャッシュレス決済をする顧客が少ない地域であれば、支払いのみをセルフ化するセミセルフレジ(自動釣銭機)の導入が良いでしょう。

比較的若い世代の顧客が多い場合には、キャッシュレス決済のバリエーションを増やすのも効果的です。会員限定のコンテンツとして、ポイント獲得に応じた特典制度を導入すれば、集客にも役立ちます。

セルフレジを導入する場合、必ずしもフルセルフレジを導入する必要はありません。

セミセルフレジでレジの回転率を上げるのも、結果的に稼働させるレジの台数の削減につながります。業種や客層に合わせた機種を選ぶことが、人手不足解消への近道です。

また、小売業と飲食業では、導入に適した機種や必要な機能が異なります。飲食店でのセルフレジ導入を検討している場合は、以下の記事も参考にしてください。

内部リンク:飲食店にセルフレジは導入すべき?メリット・デメリットとおすすめ機種を紹介

まとめ

セルフレジは、人手不足解消に効果的な設備です。しかし、導入方法や機種選びを間違えると、逆効果になる可能性があります。

導入する際には、店舗の客層に合わせて必要な機能を選びましょう。また、導入する前の段階で、導入後の業務の進め方やスタッフの配置などを検討することが大切です。