LED照明は、省エネ効果や長寿命といったメリットから、飲食店や小売店、商業施設など幅広い業態で導入が進んでいます。しかし、実際に蛍光灯や電球形ランプをLEDに交換するとなると、費用や工事の有無など気になるポイントが多いのではないでしょうか。本記事では、照明器具の種類別にかかる交換費用や、工事時の注意点、ランニングコスト削減効果、そして費用を抑える方法について詳しく解説します。LED化を検討中の方は、導入判断の参考にしてください。
照明器具別のLED交換費用の違いとは?
本項では、店舗施設で利用されるLED照明器具の交換費用を種別に解説していきます。
シーリングライトのLED交換費用
シーリングライトをLEDタイプに交換する場合、本体価格は1万円~3万円が目安です。器具ごと交換するケースが多く、既存の蛍光灯照明からLEDシーリングライトに付け替えることで、明るさの均一性やデザイン性が向上します。
工事が不要な製品も多く、比較的簡単に導入できるのが特徴です。ただし、取り付け部品が古い場合は電気工事が必要となり、数千円~1万円ほどの追加費用が発生することもあります。初期費用を抑えたい場合は、既存器具に対応した簡易交換タイプを選ぶのも有効です。
管蛍光灯・管LEDランプの交換費用
管蛍光灯をLEDランプに交換する場合、1本あたりの価格は2,000~5,000円程度です。安定器を残したまま使えるタイプや、安定器を取り外すバイパス工事が必要なタイプがあります。バイパス工事を行う場合は、1箇所につき5,000~1万円前後の工事費がかかることも少なくありません。
照明器具をそのまま活用できるため、器具交換のコストを抑えられるのがメリットです。複数本を同時に交換する際は、業者によってはまとめ割引が適用されることもあります。
電球形蛍光ランプのLED交換費用
電球形蛍光ランプをLED電球に交換する場合は、1個あたり1,000~3,000円ほどが目安です。口金のサイズが合えば、既存器具にそのまま取り付け可能なため、工事費用がほぼかからない点が大きな利点です。
ただし、密閉型の照明器具や調光機能付きの器具では、対応できるLED電球が限られるため注意が必要です。店舗全体で複数箇所を一度にLED化すると、初期費用が抑えられるだけでなく、電気代削減効果も早期に得られやすくなります。
LED交換工事を行う場合の注意点とは
本項では、LED交換工事を行う際の注意点について解説していきます。
既存蛍光灯器具との互換性に注意
LEDランプを導入する際は、現在使用している蛍光灯器具との互換性を必ず確認しましょう。安定器の種類や口金サイズが合わない場合、点灯不良や発熱トラブルの原因となります。特に古い器具では、LEDに対応していないケースが多いため、事前にメーカー仕様書や業者の診断を受けるのが安全です。
互換性のあるランプを選べば、工事不要でスムーズに交換でき、費用の節約にもつながります。誤った選定を避けることで、長期的に安心して使用できます。
電気工事が必要になるケースに注意
蛍光灯器具からLED化する際、バイパス工事や配線調整が必要となることがあります。特にグロー式・ラピッド式など古い安定器を使っている場合、電気工事を行わないとLEDランプが正しく点灯しないケースが多いです。
工事費用は1箇所あたり5,000~1万5,000円ほどかかることがあります。無理に自己対応すると感電や火災のリスクがあるため、必ず資格を持つ電気工事士に依頼してください。安全面とコストのバランスを見極めたうえで、導入方法を決めることが重要です。
LED照明器具の取り付け作業で発生する追加料金に注意
LED照明器具の設置は、現場の状況によっては追加料金が発生することがあります。例えば天井が高い店舗や配線の引き直しが必要な場合、作業用足場の設置費や延長工事費が別途請求されるケースがあります。
また、既存器具の撤去費用や廃材処分費が含まれない見積もりもあるため注意が必要です。事前に見積もりの内訳を確認し、追加費用の可能性を把握しておくことで、予算オーバーを防ぎやすくなります。
LED交換は店舗・施設のランニングコスト削減効果につながる?
続いて本項で、LED交換で得られるランニングコスト削減効果について解説していきます。
消費電力削減による電気代節約効果
LED照明は蛍光灯や白熱灯に比べて消費電力が約半分から3分の1とされています。そのため、店舗や施設全体の照明をLED化することで、電気代を大幅に削減できます。特に営業時間が長い飲食店や24時間稼働する施設では、効果が顕著に表れやすいです。
さらにLEDは点灯直後から明るく、調光機能を備えたタイプも多いため、状況に応じて電力使用量を抑える運用も可能です。長期的なランニングコスト削減を見据えた導入に役立ちます。
長寿命ランプによるメンテナンスコスト削減効果
LEDランプは従来の蛍光灯や白熱電球と比べ、寿命が4~5倍長い製品が多く、約40,000~50,000時間の使用が可能です。交換頻度が大幅に減ることで、ランプ購入費だけでなく、交換作業に伴う人件費や業務中断のコスト削減にもつながります。
高所や手間のかかる場所にある照明器具でも、交換回数を減らせるため、安全面のメリットも大きいです。長寿命化は、施設全体のメンテナンス効率を改善する重要な要素といえるでしょう。
LED交換費用を抑えるためのポイント
LED交換費用を抑えるうえで重要となるポイントについて解説していきます。
補助金や助成金を活用する
LED照明への交換は、省エネやCO₂削減の観点から、国や自治体の補助金・助成金制度の対象となることがあります。例えば省エネ改修補助金や中小企業向けのエネルギー効率改善事業などを利用すれば、初期費用の一部を負担してもらえるケースがあります。
募集時期や条件は地域によって異なるため、事前に情報を確認し、申請準備を進めておくと安心です。補助金の活用は、費用負担を大きく軽減できる有効な手段です。
なお、LED工事に利用可能な助成金については下記記事でも紹介していますので、併せてチェックしてください。
関連記事:LED工事に活用できる助成金とは?よくある失敗例も紹介
工事費用の割引を利用する
LED照明工事は複数箇所をまとめて依頼すると、割引が適用されることがあります。業者によっては本数単位での単価が下がるほか、キャンペーン価格が設定される場合もあります。また、既存照明器具の撤去・処分費込みで見積もりが提示されるパックプランを選ぶと、追加費用を抑えやすいです。
事前に複数業者へ相談し、まとめ施工やキャンペーンの有無を確認することで、総費用を節約できる可能性が高まります。
見積もり比較して費用の安い業者を選ぶ
LED交換の費用は業者によって大きく異なるため、必ず複数社から見積もりを取ることをおすすめします。見積もりには本体価格や工事費、撤去費、保証内容などが含まれるため、総額とサービス内容を比較することが大切です。
安いだけでなく、対応の丁寧さやアフターサポートの有無も重要な判断基準になります。相見積もりを行えば、適正価格を把握でき、コストを抑えつつ安心して導入できる業者を選びやすくなります。
まとめ
LED交換は初期費用がかかるものの、電気代の削減やメンテナンス頻度の低減といった長期的なコストメリットが大きいのが特徴です。器具の種類や施工条件によって必要な費用は変動するため、事前に相場や注意点を把握しておくことが重要です。また、補助金制度や複数社の見積もり比較を活用することで、導入コストを抑えることも可能です。本記事を参考に、無理のない予算で効率的にLED化を進め、店舗運営のコスト最適化を実現しましょう。