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2025/10/09

キッチンカーに開業届は必要?届出を出す際の注意点も解説

  • 飲食店開業支援
キッチンカーの開業届

キッチンカーを開業する際には、飲食業の営業許可や出店場所の確保と同じくらい重要なのが「開業届」の提出です。開業届は個人事業主として事業を始める際に税務署へ提出が義務づけられている書類で、提出することで青色申告の適用や各種控除を受けやすくなるといったメリットもあります。提出を怠ると確定申告や税務処理で不利益を被る可能性があるため、早めに準備しておくことが安心です。本記事では、開業届の必要性や必要書類、その他の許可申請についてわかりやすく解説します。

目次

キッチンカー開業に開業届は必要?

kitchencar-kaigyoutodoke-1 キッチンカーを開業する際には、保健所の営業許可や出店場所の確保と並び、税務署への「開業届」の提出が欠かせません。開業届は、個人事業主として正式に事業を開始したことを届け出るもので、提出先は管轄の税務署です。

法律上は義務とされており、提出を怠ると青色申告が選択できず、節税メリットを享受できなくなる恐れがあります。提出期限は原則として事業開始から1か月以内とされ、遅れると確定申告時に不利になる場合もあります。

逆に、きちんと提出すれば事業主としての信用が高まり、融資や補助金申請の際にも有利に働きます。開業をスムーズに進めるための第一歩として、必ず提出しておくことが大切です。

キッチンカー開業届を提出する際に必要な書類

kitchencar-kaigyoutodoke-2 本項では、キッチンカー開業届を提出する際に必要な書類について解説していきます。

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)

キッチンカーで事業を始める際には、まず税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。これがいわゆる開業届であり、個人事業主として正式に事業を始めることを税務署に届け出る手続きです。

提出期限は事業開始から1か月以内とされており、遅れると青色申告の適用ができない場合があるため注意が必要です。記載内容は事業の開始日、業種、屋号、事業所の所在地などで、それほど難しいものではありません。記入例も国税庁のサイトで確認できるため、参考にしながら正確に記入すればスムーズに進められるでしょう。

青色申告承認申請書

開業届と同時に提出しておきたいのが「青色申告承認申請書」です。これを提出して承認を受けると、青色申告特別控除や赤字の繰越控除などの税制上のメリットを得られます。キッチンカーのように経費が多く発生しやすい事業では、節税効果が大きく、結果的に手元に残る収益を増やすことにつながります。

申請期限は原則として開業日から2か月以内なので、開業届とセットで準備すると安心です。青色申告を選ぶかどうかで税務処理の方法が変わるため、経営計画の段階でしっかりと検討しておくことが大切です。

身分証明書やマイナンバー確認書類

開業届の提出には、身分証明書やマイナンバーの確認書類も必要になります。具体的には、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類と、マイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類の組み合わせが一般的です。

提出時にはコピーを添付する場合もあるため、事前に準備しておくと安心です。これらの書類を揃えていないと手続きが滞るため、スケジュールに余裕をもって確認しておきましょう。特に移動販売の場合は保健所や自治体への許可申請も並行して行うケースが多いため、必要書類をリスト化しておくと効率的です。

キッチンカー開業で必要となるその他の許可・届出とは?

kitchencar-kaigyoutodoke-3 本項では、キッチンカー開業で必要となるその他の許可・届出について解説していきます。

保健所の営業許可

キッチンカーで食品を販売する場合、最も重要なのが保健所からの営業許可です。販売する商品に応じて「飲食店営業許可」「菓子製造業許可」など、取得すべき許可の種類が変わります。また、営業許可を受けるには車両設備が基準を満たしている必要があり、シンクの数や給排水タンクの容量、調理器具の配置などがチェックされます。

さらに、営業許可を申請する責任者は「食品衛生責任者」の資格を持っていなければなりません。事前相談を行ってから車両を改装するのが一般的で、許可要件を満たさないと営業が認められないため、計画段階での確認が欠かせません。

道路使用許可や出店場所の申請

キッチンカーを運営する際は、出店場所の確保と道路使用許可の確認が必須です。商業施設の駐車場やイベント会場などで営業する場合は、管理者と契約を結ぶ必要があります。一方、公道上での営業を検討する場合は警察署に道路使用許可を申請しなければなりません。申請には出店日時や場所の詳細、車両の配置図などを添付するのが一般的です。

無許可で営業すると罰則や営業停止につながるリスクがあるため注意が必要です。安定した売上を確保するためにも、自治体の出店ルールやイベントスケジュールを調べ、計画的に営業場所を確保することが大切です。

火気使用に関する消防署への届出

キッチンカーではガスコンロや発電機を利用することが多く、安全面から消防署への届出が求められる場合があります。特に火気器具を使用する際には「火気使用設備等設置届出書」を提出し、車両の設備が安全基準を満たしているか確認を受けなければなりません。

消火器の設置義務やガスボンベの固定方法など、細かい規定も存在するため、事前に消防署へ相談しておくと安心です。火災や事故が発生した場合の責任は大きく、万が一のトラブルが営業停止につながることもあります。安全性を確保することは、顧客からの信頼を得ることにも直結します。

食品表示・衛生管理に関する準備

営業許可や各種届出と合わせて、食品表示や衛生管理の準備も欠かせません。アレルギー表示や原材料名の明示は法律で定められており、誤表示は行政指導や信用失墜の原因になります。また、HACCPに基づく衛生管理体制を整えておくことが推奨されており、食材の仕入れから保存、調理、販売までの流れをきちんと管理することが重要です。

さらに、調理スタッフの手洗いや車内の清掃を徹底するなど、日常的な衛生習慣も求められます。安全で信頼できる商品提供が継続的な顧客獲得につながり、長期的な経営安定を支える要素となります。

キッチンカー開業届を出す際の注意点

続いて、本項では、キッチンカー開業届を出す際の注意点について解説していきます。

屋号の重複や記載ミスを避ける

開業届に記載する屋号は店舗の顔となるため、慎重に決める必要があります。他の事業者と同じ屋号を使用すると、商標権の侵害や取引上のトラブルにつながる恐れがあります。事前にインターネットや商標検索サービスを利用して確認しておくと安心です。

また、住所や氏名などの基本情報に誤りがあると、税務署から修正を求められ手続きが滞る可能性があります。特にマイナンバー関連の記載は正確性が求められるため、提出前にダブルチェックを徹底しましょう。小さな記載ミスでも後々の手間が増えるため、書類は余裕をもって準備しておくことが大切です。

青色申告にするか白色申告にするかの判断に注意する

開業届の提出時には、確定申告の方法として青色申告か白色申告を選ぶことになります。青色申告を選択すると最大65万円の控除や赤字の繰越控除といった税制優遇が受けられ、節税効果が大きいのが特徴です。一方、帳簿付けが複雑になるため、会計ソフトの導入や専門家への相談が必要になる場合もあります。

白色申告は記帳が比較的簡単ですが、税制上のメリットは限定的です。自分の事業規模や将来的な経営計画を踏まえ、どちらが適しているかを検討することが重要です。選択を誤ると想定以上の税負担が発生する可能性もあるため注意しましょう。

副業で始める場合の対応に注意する

会社員が副業としてキッチンカーを開業する場合でも、開業届は提出しなければなりません。本業の勤務先に副業禁止規定がある場合は、事前に就業規則を確認することが欠かせません。また、開業届を提出すると税務署に事業所得として扱われるため、確定申告が必要になります。給与所得と事業所得を合算して課税されるため、予想以上に税負担が増えるケースもあります。

さらに、住民税の特別徴収を通じて副業が勤務先に知られることもあるため、普通徴収へ切り替えるなどの工夫も必要です。副業で始める際は税務と就業規則の両面から準備を進めることが成功への第一歩となります。

まとめ

キッチンカー開業では、開業届の提出をはじめ、保健所の営業許可や道路使用許可、消防署への届出など多岐にわたる手続きが必要になります。これらは面倒に感じられるかもしれませんが、きちんと整備しておくことで安心して営業を続けられる土台が整います。また、屋号や申告方法の選択、副業で始める場合の扱いなど、注意すべき点も少なくありません。適切に準備を進めることで、税務面・運営面のトラブルを避け、開業後の経営に集中できる環境を整えられるでしょう。

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